先ずは気になる台風12号の動き(図は予報進路)。
*実際の経路図は下段へとスクロールしてください。
2011年8月31日午後6時:気象庁発表(予想進路)
28日(日曜日)の5日間予報と比較し、
大きく西に進路を変えてきた台風12号。
下記に気象庁の発表を転載すると、
台風第12号 (タラス)
平成23年08月31日18時40分 発表
<31日18時の実況>
大きさ 大型
強さ 強い
存在地域 日本の南
中心位置 北緯 26度55分/東経 137度20分
進行方向、速さ 西北西 ゆっくり
中心気圧 965hPa
中心付近の最大風速 35m/s
最大瞬間風速 50m/s(95kt)
25m/s以上の暴風域 全域 190km
15m/s以上の強風域 東側 650km/西側 560km
<01日18時の予報>
予報円の中心 北緯 28度35分/東経 136度00分
中心気圧 965hPa
中心付近の最大風速 35m/s(65kt)
最大瞬間風速 50m/s(95kt)
<02日15時の予報>
予報円の中心 北緯 31度05分/東経 135度30分
中心気圧 965hPa
中心付近の最大風速 35m/s(65kt)
最大瞬間風速 50m/s(95kt)
<03日15時の予報>
予報円の中心 北緯 35度55分/東経 135度20分
進行方向、速さ 北 20km/h(12kt)
中心気圧 975hPa
中心付近の最大風速 30m/s(55kt)
最大瞬間風速 40m/s(80kt)
<予想進路>
*3日間→ http://www.jma.go.jp/jp/typh/1112.html
当初(28日)の予報では、
台風12号は真っ直ぐに北上し関東の南海上から東北太平洋沖。
29日(月曜日)には伊豆半島に上陸し東北地方を縦断。
30日(火曜日)には知多半島周辺に上陸し新潟方面へ移動。
~以上の予報は2009年から実施された5日間予報によるもの。
そして今日(31日)は、
“信頼性が高まる3日間予報”がによる上陸位置が発表された。
~しかし未だ進路については未確定であることを明記し話を進める。
今日(31日)の予報では、
9月3日(土曜日)の未明にも紀伊半島に上陸し、
同3日の午後3時には兵庫~京都北部に達し日本海に出る予報。
私の住む石川県は3日の午後には暴風域に入る模様も、
台風は975hPaとやや勢力を落とし瞬間最大風速は最接近時で40m。
仮に台風の中心位置が現在の予報進路よりも100kmも西にそれた場合や、
中心気圧が上陸後に急激に弱まる場合は瞬間的に30m前後の最大風速。
現時点(発表のコース)での石川県(加賀地方)の警戒すべき注意点は、
降りしきる雨よりも南からの暴風かと感じられる。
*地形による予想で山脈の尾根が逆の福井県北部山間部では大雨の心配。
ただし、
これはあくまでも地形と風向きの関係で仮に台風の進路が東にずれ、
台風の中心が白山連峰の東に位置したコースをたどる場合には、
台風の雲を遮る山脈(山地)に雨を降らし20km程度の移動速度は、
24時間で250ミリを超える雨量(石川県加賀地方)が想定される。
*何れにせよ12号台風の被害想定は全国的に大雨による可能性が高い。
気象庁が発表する台風の中心位置はあくまでも“目安”に過ぎず、
現段階の発表で、
仮に和歌山県に上陸し富山県に抜けるコースでも予報円の範囲内であり、
可能性としての四国に上陸して中国地方に抜けるコースや、
関東西部に上陸し東北西部に抜けるコースも否定できず、
最新の情報と雨雲レーダーの動きや雨の降る地域の特徴を捉え、
どのような被害が想定されるかを事前に察知する事が必要となる。
実況の読み方は、
<31日18時の実況>
進行方向、速さ:西北西、ゆっくり
中心気圧:965hPa
中心付近の最大風速:35m/s
最大瞬間風速:50m/s
25m/s以上の暴風域 全域:190km(直径約380km)
15m/s以上の強風域:東側 650km/西側 560km(直径約1100km)
を基準とする。
その他の細かいデータは発表される図表に示されているので図表を確認し、
海上にある現在の強さ(中心気圧)と暴風域の大きさを把握。
通常暴風域は陸上にかかりはじめる頃には勢力を増す可能性は少なく、
上陸後には数時間で5hPa~10hPaは高まる(弱まる)ことが多く、
特にゆっくりとした大きな台風ほどに上陸後は勢力を弱める場合が多い。
逆に小さく速い台風は上陸しても勢力が弱まる前に移動する場合には、
ストレスの少ない中心付近の勢力は衰えずに日本海(仮に石川県)に達する。
ただし、
過去には伊勢湾台風や台風19号(平成3年)のように大型の台風でありながら、
移動速度が速く勢力が衰えぬままに暴風域が石川県を通り抜けたため、
各地に甚大な被害を出した事例もあり台風の条件に絶対はありえない。
また、
台風23号(平成16年)は970hPaと強いとは言えない勢力で、
大阪付近に上陸し湖北地方に達した後に南下し熱帯低気圧になった。
中心が湖北に達した事で京都~兵庫北部(舞鶴~豊岡)は記録的な豪雨災害。
超大型の強風域は石川県にも加賀南部地方を中心に大量の雨を降らせた。
例えば舞鶴市の方に聞いてみると、
“台風19号では暴風はそれ程ではなかった”らしく理由としての、
台風の中心(暴風域)が日本海を横断する場合に吹き荒れる南→北の風が、
舞鶴市の場合は南側の山地に阻まれ暴風にならないことは、
富山県が石川県と比較し日本海を台風が通り過ぎる場合に暴風が吹きにくい地形や、
周囲を山脈が囲む松本市に大量の雨や暴風が少ないとされる理由でもあるのだろう。
*余談として日本海を通り抜ける台風は日本海側に強烈なフェーン現象をもたらす。
その逆に、
台風23号では中心が舞鶴市の南東に位置したことで風は北→南に吹き荒れ、
台風19号では風を遮ってくれた山地が雨雲の移動を阻止する事で大量の降雨。
地域に甚大な被害をだした。
*舞鶴市の方の話では室戸岬付近から北東に進む台風に大雨被害が集中。
ただし暴風域の大きさや密度の高い雨雲の塊や海上で発生する積乱雲も考慮。
自然災害で大きな被害を出す地域は幾つかの条件(偶然)が揃う事例が多い。
台風の観測で最も注意を払うべきは、
*暴風については、
中心の位置×中心気圧×暴風域の大きさ。
*雨については、
雨雲の特徴(密度・位置)×観測点の風の向き×観測点の地形。
また移動速度については、
移動速度の速い台風は暴風(中心気圧の確認)に相乗効果を示し、
*移動方向と回転方向が逆の場合に相殺されるかは不明。
移動速度の遅い台風は同じ場所に大雨を降らすことが多い。
*停滞台風の脅威は長時間豪雨で過去にも記録的雨量を観測。
今回は私の住む石川県を基点に台風の読み方を文字にしたが、
基本はどの地域も同じなので観測点(お住まいの地域)を基軸に、
どの位置に台風がありどの位置への進路が予報されているか。
日本を襲う台風の普遍的な最大特徴は、
中心から時計の反対回りに暴風が吹き荒れる事で、
仮に台風が時計回りに吹き荒れた場合には、
降雨量の多さで知られる三重県尾鷲市などは、
年間雨量が半減するのではないかとも思われる。
*年降水量(平年値)ランキング
→ http://weather.time-j.net/Weather/Precipitation
気象観測の発達は人々に多くの恩恵を与えた。
しかし気象予報に完全はなく時に自然の脅威は人間にとって残酷だ。
収穫を前にした9月初頭の日本列島を襲う台風12号。
少しでも被害小さくなるよう、
人々の知恵を寄せ合って対処して欲しい。
進路が確定し難い台風ではあるが最新の情報と進路の確認。
石川県は台風の上陸地区ではない分だけ被害想定は容易く、
台風の経路と(通過地域の)被害状況を把握しながら、
荒れ狂う前に避難体制が整うようなシステムを模索して欲しい。
また、
上記記入はあくまでも個人の観点(趣味の領域)であり、
台風の特徴は千差万別であり思いもしない事態も想定し、
地元気象台が発表する最新データをもとに行動して欲しい。
*特に台風本体とは別に発生する雨雲や前線の位置にも注意。
プロにはプロの視点。
信じるられるものは専門的な知識と経験。
それだけにプロにはプロの責任。
其々の人間には其々の役割がある。
自分は何者か。
それを噛み締めながら、
日々の勤めに奔走したい。
~下記に実況データを記入していきます。
2011年9月4日午前6時:気象庁発表(実際の進路)
台風第12号 (タラス)
平成23年08月~09月
平成23年09月01日18時35分
<01日18時の実況>
大きさ 大型
強さ 強い
中心位置 北緯28度35分/東経135度55分
進行方向、速さ 北北西 15km/h
中心気圧 965hPa
最大風速 35m/s
最大瞬間風速 50m/s
25m/s以上の暴風域 全域 220km
15m/s以上の強風域 東側 650km/西側 560km
<02日18時の予報>
存在地域 四国沖
進行方向、速さ 北北西 15km/h
中心気圧 965hPa
<03日15時の予報>
存在地域 中国地方(岡山市周辺)
進行方向、速さ 北 20km/h
中心気圧 985hPa
最大風速 25m/s
最大瞬間風速 35m/s
<04日15時の予報>
存在地域 日本海
進行方向、速さ 北 30km/h
中心気圧 990hPa
最大風速 23m/s
最大瞬間風速 35m/s
(9月1日:夜記述)
台風の予想進路はさらに西よりに変更され
9月3日:午前3時頃に室戸岬に到達。
同:午前中に四国東部を縦断し
同:午後3時頃に岡山県と鳥取県の県境を北に進行。
台風は上陸後に急速に勢力を弱め瀬戸内海に到達するまでに、
25m以上の暴風域はなくなる見込み。
台風が仮に予報進路どおりに進めば、
9月2日の台風による被害想定地域は、
東海~近畿~四国の太平洋側。
*大きな台風なので台風の東側では強風域の外でも不安定な状態は続く。
特に2日~3日にかけて、
三重県東部、和歌山県南部、徳島県東部に雨雲の塊が到達(厳重な警戒)。
私の住む石川県では3日の午後から4日の午前にかけて最接近も、
暴風域はなくなることから風よりも雨の注意が必要となると予想される。
しかし、
台風の中心が予報よりも東(若狭湾)に進行すれば30mを超える風も考慮。
また、
石川県地方気象台では4日にかけて時間雨量50㍉、累積雨量400㍉を想定。
想定雨量は最悪事態を考慮に入れての発表も油断は禁物。
台風の進路については流動性が高く最新の情報を入手してください。
平成23年09月02日20時45分 発表
<02日20時の実況>
大きさ 大型
強さ -
存在地域 室戸岬の南約150km
中心位置 北緯 32度00分/東経 134度20分
進行方向、速さ 北北西 15km/h
中心気圧 965hPa
最大風速 30m/s
最大瞬間風速 45m/s
25m/s以上の暴風域 東側 220km/西側 170km
15m/s以上の強風域 東側 650km/西側 560km
<03日06時の予報>
存在地域 高松市付近
進行方向、速さ 北 20km/h
中心気圧 975hPa
最大風速 25m/s
<03日18時の予報>
存在地域 鳥取市の北北西約110km(日本海)
進行方向、速さ 北 20km/h
中心気圧 985hPa
最大風速 25m/s
(9月2日:夜記述)
台風の進路は昨晩と比較しほぼ変らずに、
3日未明にも室戸岬周辺に上陸し、
3日中には高松市周辺→岡山市周辺→鳥取市周辺へと移動。
速ければ3日の午後3時頃までには日本海に進む見込み。
台風が予想進路どおりに進んだ場合の上陸後の注意点は、
台風中心から東側の南向き斜面(紀伊半島~四国南東部)の他に、
中心点の西側の北向き斜面での大雨。
具体的に文字にすれば、
四国地区では香川県~愛媛県の北部や、
中国地区では鳥取県~山口県の北部で、
観測点の南側に山地を有する地域。
*進路によっては福岡県~兵庫県まで広く適応。
また、
近畿地区では岡山市付近に台風の中心が位置する場合には、
姫路市~神戸市周辺も暴風が運ぶ雨雲の溜まりとなる可能性。
さらに、
雨雲は広範囲に及ぶために上記に示した本体の雨雲だけでなく、
台風を取り巻く雨雲(東海~関東等太平洋側)や、
台風から延びる前線(現在位置は北海道にかかる)の南側、
等(沖縄・南九州を除く)どこで大雨災害が出ても不思議でない状況。
私の住む石川県では比較的リスクが少ないように感じるものの、
台風が若狭湾を抜ける進路をとった場合には暴風域に入る可能性も残り、
また広域での豪雨災害の可能性は少ないものの局地的なリスクは、
他の地域同様に厳重な警戒が必要となり台風の進路を注意深く監視。
2011年9月3日は西日本では極めて高いリスクの中での不安がつのる。
叶うことであれば、
台風が上陸後直ちに勢力を弱め台風を取り巻く渦が崩壊する事を願う。
平成23年09月03日19時45分 発表
<03日19時の実況>
大きさ 大型
強さ -
存在地域 倉敷市付近
中心位置 北緯 34度30分/東経 133度55分
進行方向、速さ 北 ゆっくり
中心気圧 988hPa
最大風速 30m/s
最大瞬間風速 40m/s
25m/s以上の暴風域 東側 220km/西側 170km
15m/s以上の強風域 東側 650km/西側 560km
<04日18時の予報>
存在地域 日本海
進行方向、速さ 北 30km/h(15kt)
中心気圧 990hPa
<05日15時の予報>
温帯低気圧
存在地域 沿海州
中心気圧 990hPa
(9月3日:夜記述)
昨晩の予報では既に日本海に抜けているはずの台風12号は、
夜に入ってようやくと岡山県倉敷市周辺に上陸。
現在値:988hPaの数字だけを見れば驚異的な台風ではないものの、
極めて遅い台風の中心から“雲の塊が多い東側の地域”で想定以上の大雨。
*上陸前からの鳥取県・島根県への雨量も想定を超えた(今後も厳戒が続く)。
特に憂慮すべきは台風東部の南側に長く延びる雲の帯であり、
台風が北に移動するに伴い長時間近畿地方に長雨を降らす模様。
特に注意すべきは紀伊半島南部~紀伊水道へと進行する雨雲。
*既に記録的な大雨が降り続く紀伊半島への更なる大雨は大規模な土砂災害。
*平素は雨雲が入りにくい兵庫県~岡山県東部の瀬戸内海側では浸水被害。
も想定される。
また密度の高い雨雲が台風中心の東側に集中するために進路次第で、
京都~滋賀~福井への雨雲の入り込みも否定できず最新の情報を入手。
台風が日本海に出ても変らず雲の動きに注意。
石川県については4日は地域によって100㍉を超える24時間雨量と、
瞬間的に20mを超える強風の想定(気象台)も大きな被害が出る要素は少ない。
平成23年09月04日18時40分 発表
<04日18時の実況>
大きさ 大型
強さ -
存在地域 山陰沖
中心位置 北緯 36度40分/東経 134度10分
進行方向、速さ 北北東 15km/h
中心気圧 994hPa
最大風速 20m/s
最大瞬間風速 30m/s
15m/s以上の強風域 北東側 750km/南西側 560km
(9月4日:夜記述)
紀伊半島各地で大規模な土砂災害を出してしまった台風12号。
勢力は衰え台風の形状は完全に崩れ深刻な状況からは脱したものの、
5日にかけて東海、関東、北陸は不安定な天気が続き局地的な大雨。
特に東海地方は土砂災害に警戒が必要な状況が続く。
平成23年09月05日15時35分 発表
<05日15時の実況>
温帯低気圧
存在地域 日本海
中心位置 北緯 41度00分/東経 136度00分
進行方向、速さ 北 30km/h(15kt)
中心気圧 992hPa
(9月5日:夜記述)
紀伊半島に大きな爪あとを残した台風12号は、
5日の午後3時には温帯低気圧に変りましたが、
東北~北海道は引き続き厳重な警戒が必要です。
<関連記事>
*台風12号(2011年)本文補足&台風8号(2009年)深層崩壊。
→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20110906