北大の学生を相手に、「よいプレゼンテーションのすすめ」と題してセミナーをした。私自身満足の行くプレゼンテーションができるとは思っていないが、欧米の学会等で英語がネイティブの人の素晴らしい講演を聞いたりすると、何とかそれに近づきたいと思うものだ。そんな経験と知識から、日本の学生のためにまとめた、よい講演のポイントやテクニックを議論した。その中で、まず大切なのが、「Enthusiasm(情熱)」を表現すること、「Energetic(エネルギッシュに)」話すということを説いた。講演に限らず、サイエンティストとして、そうあることは必須であるとも説いた。すると一人の女子大学院生が、「先生はどうしてそんなに情熱的でいられるのか?」と私に質問してきた。私はその質問に少し戸惑ったが、同時に彼らの考え方に触れた気がして、なるほどと思った。とっさだったので、わたしは「自分のやっていることが面白いと思うから、情熱的でいられのです。あなたも早く面白いと思うものを見つけてください。」と返答して、その場をとりつくろった。後で考えると、彼女の質問には次のように答えるべきだったと思うのである。彼女や他の多くの学生が今悩んでいることは、一言で言うならば、人生の目的を見出せずにいることに起因するように私は思う。今の学生諸君は、生活面、学業面、いろんな意味で恵まれている。特にがんばらなくても生活していける。そして、人よりも余計にがんばったり目だったりすると、日本の社会では「出る釘は打たれる」ことになることをよく知っていて、その処世術を身に着けている。でも、私は彼らに言いたいのである。人と違う考えを持つことがオリジナリティであり、それなしには、よいサイエンスにはならない。人と違うことを恐れないでほしい。むしろ自慢すべきである。私は、サイエンスがとても面白いと思うと同時に、他のたくさんの事に興味があり、それぞれがとても面白いのである。たとえば、この私のブログで紹介していこうと思っている民族と文化のこと、シルクロードのこと、言語のこと、音楽のこと、食べ物のこと、などなど、すべてに興味が尽きない。すべてに情熱を持っている。それらすべての総和が私の人生であり、私は今、楽しく生かさせてもらっている、と思うのだ。学生の諸君、あなたもぜひ、早く人生の目的を見つけてほしい。そして、それに一直線に進んでほしい。前進あるのみであり、後ろを振り返らないのが私の処世術だ。あなたの心をすべて捧げてもいいと思うものが見つかったら(サイエンスであろうと、何であろうと)、ぜひそれを私に聞かせてほしい。きっとその話しはエキサイティングで私いや聞く人全員を惹きつけるものになるだろう。
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「出る釘は打たれる」のは何も日本に限ったこと
ではないと、カナダで仕事をするようになって思
います。安定を壊すもの、変化は恐怖なので人は
それを防ごうとします。新しいこと、斬新な考え
を持ち込めば持ち込むほど、打たれるものではない
でしょうか?打たれても、打たれても、また、
打たれても 出てこないと本物にはなれないと
思います。若い人がこれをやると生意気になり、
歳を取ってからやると頑固者でしょう。結局まわり
を振り回してでも好きなことをやった者勝ちです。