カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

シンガポール国立大学

2006年01月21日 | サイエンス
昨日まで二日間、National University of Singapore(NUS)を訪問しセミナーをしてきました。シンガポールは、英語を公用語にしながら中国系の人々が大半を占めているという点で、香港と似たところがあります。したがって、大学の学生も中国系がほとんどです。NUSを訪問した第一印象は、整備が行き届いていて、キャンパスもきれいであるということです。私のお世話になったDepartment of Biological Sciencesは、8年前に組織再編でできた学部で、そのHeadは以前トロント大にいたL教授です。このHeadは、予算や人材獲得に関して大きな力を持っています。L教授は、8年前にはまったく存在しなかった構造生物学やゲノム、プロテオミックス科学者をリクルートして、今では大変活発な研究グループを築き上げました。ほとんどの新人ファカルティは北米でポスドクを経験した中国系の科学者です。これも数日前に紹介した香港のケースと似ていますね。かれの功績によって、シンガポールの大学生は最先端の生物学の一端に接することができるようになったのは事実で、ここで育った学生がこの国の財産になっていくのだろうと強く感じました。正直なところ、私の今回会った何人かの大学院生の英語能力や科学的論理性、説明力は北米のトップクラスの大学生のそれには及びませんが、勤勉でやる気のある彼らの姿を見ていると、必ずいつか世界の一流の大学と肩を並べるであろうと思いました。彼らは学部、大学院を通してすべて英語で授業を受け、英語で研究発表等をしていますので、日本の平均的な大学生より英会話能力はかなり上です。この大学の10年後、20年後が楽しみです。


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