以心伝心

書・旅・本などのメモ。

小倉百人一首83

2008年05月31日 | 
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
   山の奥にも  鹿ぞ鳴くなる    皇太后宮大夫俊成

(この世の中には、逃れる道はないものだ。いちずに思いつめて
 入った山の奥にも、悲しげに鳴く鹿の声が聞こえる・・。)

 現世から容易に逃れることのできない憂愁。

小倉百人一首82

2008年05月30日 | 
思ひわび さても命は あるものを
  憂きにたへぬは 涙なりけり         道因法師

(つれない人ゆえに思い悩んで、それでも命はこうしてあるものなのに
 そのつらさに堪えないでこぼれ落ちるのは涙だったよ・・。)

 思うにまかせず涙を誘う恋のつらさ。

小倉百人一首81

2008年05月29日 | 
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば
   ただ有明の  月ぞ残れる       後徳大寺左大臣

(ほととぎすが鳴いた方をながめると、そこにはただ有明の月が
 残っているだけである・・。)

 ほととぎすの鳴いた方角にはただ有明の月。

小倉百人一首80

2008年05月28日 | 
長からむ 心も知らず 黒髪の
   乱れて今朝は   ものをこそ思え     待賢門院堀河

(末永く変わらないという、あなたのお心もはかりがたく
 お逢いして別れた今朝は、黒髪が乱れるように心が乱れて
 あれこれともの思いすることです・・。)

 後朝の黒髪の乱れにつのらせる恋のもの思い。

小倉百人一首79

2008年05月27日 | 
秋風に たなびく雲の 絶え間より
   もれ出づる月の  影のさやけき      左京大夫顕輔(あきすけ)

(秋風によってたなびいている雲の切れ間から、もれさしてくる月の光の
 なんとくっきりと澄みきっていることよ・・。)

 秋の夜の雲間からもれ出るさわやかな月光。