さくらちるこのした風はさむからで空にしられぬ雪ぞふりける (貫之)
ほのぼのと明石の浦の朝ぎりにしまかくれゆくふねをしぞおもふ
いろ見えてうつろふものはよの中の人の心の花にぞありける 小野小町
夕さればさほのかはらのかわぎりにともまよはせる千鳥なくなり 紀 友則
いははしの夜のちぎりも絶ぬへしあくるわびしき葛城の神 小大君(こおおきみ)
ねのひするのべに小松のなかりせば千代のためしになにをひかまし 壬生忠峰
ゆきやらで山路くらしつほととぎす今ひと声のきかまほしさに 源公忠
伊勢の海千尋の浜に拾ふともいまはなにてふかひかあるべき 藤原敦忠
逢うことの絶えてしなくばなかなかに人をも身をもうらみざらまし 中納言朝忠
みじか夜のふけゆくままに高砂の峰の松風吹くかとぞきく 藤原兼輔