をみなへしうしろめたくもみゆるかな
見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ (藤原定家)
窓近き竹の葉すさぶ風の音ねにいとど短きうたたねの夢
式子内親王
わが宿のそともにたてる楢の葉のしげみにすずむ夏は来にけり
わがやどにさける藤波たちかえりすぎがてにのみ人の見るらむ
(凡河内躬恒))
みそぎする川の瀬見ればからころも日も夕暮れに波ぞ立ちける (紀貫之)
万葉集よりニ首。
わが心うららかなれば富士の山今日ほがらかに見ゆるものかも
風たちてこまかに落つる竹の葉は日の照る方へみなちらふなり
(北原白秋ニ首)
吹く風に花たちばなやにほふらむ昔おぼゆる今日の庭かな 寂然法師
それより下(しも)つかたは、ほどにつけつつ、時にあひ、したり顔なるも、
みづからはいみじと思ふらめど、いとくちをし。