Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

フリンジ

2015年07月22日 08時21分43秒 | EXHIBITION


久しぶりに軸の仕事をいただいた。
昨日は職人さんのご自宅を訪問

軸装用の生地を選んだり
寸法を考えたり

何年か前にも
同じように訪ねたことがある。
好きな生地を選んで良い、
デザインも好きにして良いといわれても、
漠然としすぎて迷い、ドツボにはまったことが
苦い経験となっております。

なので今回は
充分イメージし構想を練って現場へ。

作品タイトルは「フリンジ」

「フリンジ」とはファッションの世界で「ふさ」のこと
例えば、マフラーやクッションなどの端に
房がついていることがある。
本来の目的とは関係の無い飾り、
2次的なもの、本流でないもの、周辺性のもの…
私のような存在のもの。

そして私の作品も
作品の中に徐々に現れるフリンジを描いているのかもしれません。

というのも
手足の輪郭は転写しておいて
周辺は余白にしておきます。
そして手足を描きながら見えてきたイメージを背景に直接描き
全体を構成していきます。
だから、背景に何が現れるかわからないし
また完成図もはじめからあるわけでもない。

まさにフリンジ的に背景は現れますが
その背景こそが、
私の作品のテーマなのかもしれません。


これも「フリンジ」P100です。
こちらは座の会展に出品する予定です。
止められなければ(笑)

ところで、
何年か前にはお世話になっている画廊の方に
私は墨が良いので、墨だけで作品を描くのはどうか
といわれて、私は激しく抵抗したことがある。
その後もしばらくチクチク言われたが
気持ちを曲げる気はなかった。

未熟だったのだ。
色彩のセンスも確かに良くなかったし、墨も好きだった。

でも、
墨だけで描いていて色が置けなくなっている自分に気づいたのだ。

色が置けないって私にとっては致命的、だと思った。
だって色が好きだから。

できる限り墨と岩絵の具と両方を使って
絵を描くようにしてきた。
今回久しぶりに墨だけで作品を描いたとき
色をイメージしながら墨を使うことができた。
これは以前にはできなかったこと。

曲げずに岩絵の具を使ってきて本当に良かったと
今つくづく実感しています。
その時「売れる」ために、やりたいことを曲げては絶体にいけないと
誰に何を言われても決して曲げてはいけないと
強く言いたいです。

(まぁ、結果売れてないんですけどね。)



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