前回のつづき
名古屋市美術館
「画家たちと戦争:彼らはいかにして生きぬいたのか」展
鑑賞時間は約30分。
めちゃくちゃタイトなスケジュールなので
ざらっと見る程度しか鑑賞できないか、と思いきや
そうでもない。
順不同だが、下記の作家の作品を
原則として戦前、戦中、戦後各3点づつ9点を展示
戦前絵画の、牧歌的あるいは生き生きと精力的に行われていた実験的な試みも
戦中に入るとガラッと変わって暗く沈み、目をそらしてくなるような戦争画を描き
戦後は、私も知るあの「暗い近代」の匂い
歪んだ人間の内面性の表現「不安、不信、葛藤、疎外…」
「戦後を乗り越える」わずかな兆しすら感じられません。
吉岡堅二、藤田嗣治、北川民次
福沢一郎、松本俊介、北脇昇、恩地孝四郎
横山大観、山口薫、宮本三郎、吉原治良
岡鹿之助、香月泰男、福田豊四郎
心当たりがある。
20代、絵に興味を持ち始めたころ、
海外のアートに夢中だった。
特に大型のインスタレーション、コンテンポラリーと呼ばれたもの
日本の作家でも現代アートを中心に見て歩いた。
一方で日本の絵画は古臭く感じていた。
今から思えば、まだ戦後絵画の延長上にあったのだ。
その切実な「不安、不信、葛藤、疎外…」が
20代の元気な私には重たくてしかたがなかった。
でも、今は理解できる。
戦争はどの国も経験している重要なファクターだ。
アートはそれを乗り越えてきているんだなぁと思う。
決して無視はしてはいない。
内容と表層は違うのだ。
今でも人人展は「暗い近代」の真っただ中で
時々「時代遅れ」と言われてしまう。
それを新しい地平に向かわせる方法は?
「時代を引き受けつつ断ち切る(突破する)」
そんな表現は可能だろうか??
福沢一郎「牛」
これから150年後、第3次世界大戦が終わり
世界の体系がすっかり変わって振り返れば、
今の時代は「戦前」だったりして。
「21世紀 戦前の美術」…あり得る!
今この時代(流行)のど真ん中で澱んでいる場合ではない。
すでに新しい戦争時代に突入した感じ、するじゃない。
「戦後」を引き受け、次の時代へ警鐘を鳴らしつつ
それを突破していくこと。
新しい「狂気」が必要かもしれません。
ところで
5人の美術業界ご一行は、
名古屋でお弁当を買い豊橋へ向かいます。
お弁当は東海道線の中でどうどうと食べましたが
我々以外、食べてる人なんか誰もいないですよ(笑)!!
さすがです…
豊橋駅のコンコース
続く