亀井三千代 HP/Michiyo Kamei official web site
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暗くて分からないかもしれないが
モジリアニの複製
子供の頃から実家にあった。
初めて「モジリアニ」という単語を聞いたときは
「もじり兄」みたいな
誰かのお兄さん、みたいなイメージで記憶した。
夕方一人で留守番をしていると
こういった絵の顔がとても恐ろしいものに見えてくることが
よくあった。
今では確信している。
心の不安は目に映るものを歪ませる。
壁にかけてある書の文字が歪んで
渦を巻きながら迫ってくる、とか
飾ってある絵皿の風景が
崩れた老人の顔にしか見えなくなる、とか
そんな幼児体験はしょっちゅうだった。
今でもふと
あるものが、瞬間的にそのものに見えないときがあって
愕然とするが
私にとって絵を描くって
その豹変したイメージを保持したまま
最後まで行くって事に似ている。
仕上げの時、必ずものすごい動悸がする。
更年期かな、って思ったけど
ずっと前からだから
そういう体質なんだと思う。
全力疾走するみたいに
ドキドキ、わなわなする。
描き終えてもしばらくおさまらない。
このまま死んじゃったらどうしよう…
今の時期
右側のビルに夕陽が反射して
夕陽がまるで2つあるみたいに見えるときがある。
モジリアニの隣に
赤い窓枠を映し出すのは
どちらの夕陽だろう