よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

脂肪の話(1)

2015-03-03 15:33:38 | 健康・病気
 脂肪と聞くと皆様は何を思い浮かべるでしょう。非常に高価ですが芸術的で美味しい霜降り肉を思い出して唾をごくっと飲み込む方もおられるでしょうし、おなか周りの脂肪をつまんでため息をつかれている方もいるかもしれません。さらに、美の象徴としてふくよかな女性が賞賛されたり、メタボの元凶として忌み嫌われたり、文化や時代背景により様々な評価がされる体脂肪は社会学的にも興味があります。 今回は知ってるようで意外に誤解も多い脂肪について医学的・栄養学的に考えてみます。

 まず脂肪の役割ですが、①体の貴重なエネルギー源でありかつ余分なエネルギーを貯蔵する、②体の構成成分(細胞膜、ホルモンなど)になる、③体を衝撃・寒さから守る緩衝材・断熱剤としての働き、などがあります。

 エネルギー源としての脂肪ですが、1gあたり9Kcal(他の三大栄養素の糖質、蛋白質は4kcal/g)と非常に熱効率がよいです。このため、余ったカロリーは主に脂肪として蓄えられることになります。水分さえあれば飢餓状態でも2~3ヶ月は生き延びることが可能なのは体脂肪のおかげです。話はそれますが、糖質は食事としてとらなくても他の栄養素から合成することができますが、脂肪と蛋白質は生きていく上で必須の栄養素です。
 次に体の構成成分としても重要な役割を果たしています。人の体は約37兆個の細胞からできていますが、その細胞は細胞膜により囲まれています。細胞膜には、①外部と内部を隔絶するバリア機能と、②外部と内部の物質の交通を適切に制御する機能が必要となりますが、これは、親水性と疎水性の性質を併せ持つリン脂質が二重構造をとることにより営まれています。また体の恒常性(ホメオスターシス)を維持するのに重要な働きをするステロイドホルモンや脂肪の吸収を助ける胆汁は、コレステロールから作られています。

 ここでリン脂質やコレステロールといった脂肪に関連した言葉がでてきましたが、次回でもう少し詳しく説明します。


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