ウイルスと聞くと皆さん何を思い浮かべますか?
多くの人は、かぜやエイズなどの病気の原因で、抗生物質の効かない厄介者と感じているのではないでしょうか。 ウイルスは、細菌の千分の一程度の大きさで、外側は蛋白質の殻に覆われ、内側に核酸(DNAあるいはRNA遺伝子)を包括する構造をしています。 自分一人では生きていけず(エネルギーが作れない)、絶えずいろんな細胞(宿主)に入り込んで活動しています。したがって、そもそも生物と考えていいのかどうかも専門家の中でも議論になる存在です。
最近、ウイルスがヒト(あるいは生物全体)の進化に大きくかかわっている可能性が論じられるようになってきました。すなわち、ウイルスが宿主細胞に感染(寄生)し(細胞内の核に侵入し)、宿主遺伝子を変化させ、その結果その生物を進化させるという説です。
進化といえは、ダーウイン進化論の「突然変異」と「自然淘汰」が古典的に有名です。すなわち、遺伝子が内的(細胞の分裂・増殖での複製ミス)あるいは外的(放射線などのストレス)な因子により突然変化し、その結果生じた生物の変化が厳しい自然環境の中で生存競争に勝ち残っていくことが生物の進化につながるという説です。
この「突然変異」に、先程述べたウイルスが深く関与していることが、最近の遺伝子解析の結果わかってきました。生物遺伝子のなかに、ウイルスの遺伝子配列が多数見つかったのです。
ウイルスが細胞に侵入すると、通常は異物反応がおこり、ウイルスは攻撃をうけ死滅してしまうことが多いです。しかし、宿主とうまく共生でき、ウイルス遺伝子が宿主遺伝子に取り込まれる(融合)が起こり、その結果宿主が変化することもあるのです。
ほんの数十ナノミリしかない小さなウイルスが、生物全体の進化の一躍を握っているなんて、とても意外で生命の奥深さや地球の悠久性を感じさせます。
ちなみに最近の進化論として、フランク・ライアンは、①「突然変異」、②細菌と植物の間によく見られる「共生発生」、③異なる種の間でおこる「異種交配」、④外的環境因子による遺伝子発現の変化「エピジェネティクス」、これら四つの要素に自然淘汰が加わり進化が推進すると述べています。
参考論文: フランク・ライアン『破壊する創造者』
多くの人は、かぜやエイズなどの病気の原因で、抗生物質の効かない厄介者と感じているのではないでしょうか。 ウイルスは、細菌の千分の一程度の大きさで、外側は蛋白質の殻に覆われ、内側に核酸(DNAあるいはRNA遺伝子)を包括する構造をしています。 自分一人では生きていけず(エネルギーが作れない)、絶えずいろんな細胞(宿主)に入り込んで活動しています。したがって、そもそも生物と考えていいのかどうかも専門家の中でも議論になる存在です。
最近、ウイルスがヒト(あるいは生物全体)の進化に大きくかかわっている可能性が論じられるようになってきました。すなわち、ウイルスが宿主細胞に感染(寄生)し(細胞内の核に侵入し)、宿主遺伝子を変化させ、その結果その生物を進化させるという説です。
進化といえは、ダーウイン進化論の「突然変異」と「自然淘汰」が古典的に有名です。すなわち、遺伝子が内的(細胞の分裂・増殖での複製ミス)あるいは外的(放射線などのストレス)な因子により突然変化し、その結果生じた生物の変化が厳しい自然環境の中で生存競争に勝ち残っていくことが生物の進化につながるという説です。
この「突然変異」に、先程述べたウイルスが深く関与していることが、最近の遺伝子解析の結果わかってきました。生物遺伝子のなかに、ウイルスの遺伝子配列が多数見つかったのです。
ウイルスが細胞に侵入すると、通常は異物反応がおこり、ウイルスは攻撃をうけ死滅してしまうことが多いです。しかし、宿主とうまく共生でき、ウイルス遺伝子が宿主遺伝子に取り込まれる(融合)が起こり、その結果宿主が変化することもあるのです。
ほんの数十ナノミリしかない小さなウイルスが、生物全体の進化の一躍を握っているなんて、とても意外で生命の奥深さや地球の悠久性を感じさせます。
ちなみに最近の進化論として、フランク・ライアンは、①「突然変異」、②細菌と植物の間によく見られる「共生発生」、③異なる種の間でおこる「異種交配」、④外的環境因子による遺伝子発現の変化「エピジェネティクス」、これら四つの要素に自然淘汰が加わり進化が推進すると述べています。
参考論文: フランク・ライアン『破壊する創造者』