よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

マインドフルネスとは(2)

2016-12-07 08:21:23 | 健康・病気
マインドフルネス瞑想法(とにかく脳が疲れている時)
① 基本姿勢をとる
・椅子に隙がなく、しかもリラックスして座る(背筋を軽く伸ばし、背もたれから離して)
   ・お腹はゆったり、手は太ももの上、脚は組まない
   ・目は閉じる(開ける場合は2m先の虚空を見る)、
② 身体の感覚に意識を向ける
   ・接触の感覚(足の裏と床、お尻と椅子、手と太ももなど)
   ・身体が地球に引っ張られる重力の感覚
③ 呼吸に注意を向ける
・呼吸に関わる感覚を意識する(鼻の通る空気/空気の出入りによる胸・お腹の上下/呼吸と呼吸の切れ目/それぞれの呼吸の深さ/吸う息と吐く息の温度の違いなど)
・深呼吸や呼吸コントロールは不要(自然と呼吸がやってくるのを待つような感覚)
・呼吸に「1」,「2」,「3」・・・「10」とラベリングするのも効果的
④ 雑念が浮かんだら
   ・雑念が浮かんだ事実に気づき、注意を呼吸に戻す
   ・雑念は生じて当然なので、自分を責めない
(応用編)
⑤ 喜ばしい内面の平穏が湧き起こるように促して、瞑想を終わる
   ・息を吸い込みます。私は穏やかです。
   ・息を吐きだします。そして微笑みます。今のこの瞬間は素晴らしい。

ポイント  1日5分でも10分でもいいので、毎日続けることが大切
同じ時間、同じ場所でやる(脳は「習慣」が大好き)



ボディスキャン(身体に痛み、違和感がある時、
ストレスで体調が悪い時)
① 横たわって、呼吸に注意を向ける
   ・椅子に座りながらでもOK
② 体の各部位へ意識を向けていく
・心臓から最も遠い足裏から始め、右側、左側の順で進める。その部に意識を向け痛みなどの異常感覚がないかスキャンする。
・右の足裏、左の足裏、右足首、左足首、右ふくらはぎ・・・・・下半身を網羅したら、今度は上半身へ。腰、へそ下、胃、肺、心臓。ここで大きく深呼吸をして、今度は右手のひらから再開。肩まで進んだら深呼吸。そして顔へ。耳、鼻、目などのパーツをまで進んだら、最後は頭。
③ 意識する部位を変えて注意をコントロールする
・初めは雑念が沸き上がってきますが、それを追いかけずにただ眺めるだけにする。
(応用編)
④ 幸せで喜びにあふれた出来事を思い出し、その情動が体にどのような影響を与えるかを感じる。
⑤ 逆にネガティブな感情が起こった時、体のどの部分の感覚が変化するかを意識する

ポイント 身体の感覚がどう変化しているかにも注意する


 その他、気づくと考え事をしている時、繰り返し同じことを考えている時、怒りや衝動に流されそうになる時、他人へのマイナス感情がある時などへの解消法として多くのマインドフルネスがあり、これらを実践していくことで脳の構造を変え、集中力を上げ、ストレスに強く、幸福度の高い脳を手に入れることができるとされています。
 本当かな?と疑心暗鬼な方も、特に必要なものはありませんから気軽に始めてはいかがですか。


参考文献:久賀谷 亮「世界のエリートたちがやっている 最高の休息法」
     チャディー・メン・タン 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」
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マインドフルネスとは(1)

2016-12-07 08:13:37 | 健康・病気
  「一つのことに集中できない、イライラする」、「忙しくないのにいつもだるい、疲れている」、「しっかり休養しているのに疲れがとれない」などの症状はありませんか? これらは、体の疲れではなく、脳の疲れのサインと考えられています。今回は、最近よく聞かれるようになったマインドフルネスについてお話します。

 脳は、重量としては体の2%しかありませんが、体全体の約20%のエネルギーを消費する大食漢です。脳が意識的に何も考えていない(ぼーっとしている)ときでも、脳はベースライン活動として、脳の消費エネルギーの60~80%を使います。したがってこのベースラインの活動を抑制しない限り脳が真の意味で休めたことにはならず疲労感がたまります。逆に言うと、脳が十分休息できれば、集中力が増し、パフォーマンスを上げることができるようになります。

 マインドフルネスとは、「ただあるがままでいるときの心(評価や判断をくだすことなく一瞬一瞬に注意をはらうこと)」あるいは「その心の状態になるための瞑想などを通じた脳の休息法の総称」をいいます。
 アップルコンピューターの創業者故スティーブ・ジョブズが座禅を組んでいたのは有名な話ですが、アメリカのグーグル、インテルなど超一流企業が、瞑想などのマインドフルネスを実践しています。本当に役に立つことしかしないエリートたちは、脳の休息が大事であり、マインドフルネスこそが「脳の最高の休息」であることを知っているのです。

 以前から、瞑想や座禅は、脳を一時的に休め心が落ち着くことは理解されていました。さらに最近の脳科学は、瞑想を継続的に行うと脳の構造そのものを変え疲れにくい脳になることまで証明しています。脳には、自らを変化させる能力(可塑性)があるのです。
 少し話がずれますが、瞑想や座禅を、西洋人は脳のパフォーマンスを上げるための手段と考え、東洋人はすべてを捨て去る手段ととらえる違いは興味のあるところです。

 次回は、マインドフルネスの実践法をご説明します。
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