よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

小麦を食べるのをやめてみよう!(2)

2016-03-07 18:16:47 | 健康・病気
 次に、糖質としての小麦です。
 最近、「肥満解消や血糖を下げるためには、主食(米、パン、麺類)やイモ類を制限しよう」という糖質制限食が脚光をあびています。なぜなら、糖質は急激に血糖を上昇させ、膵臓から大量にインスリンを分泌させます。インスリンには、血糖を下げる作用のほかに、余分な糖を脂肪に変換し体に蓄える働きがあり、結果として肥満になります。 したがって、いかにインスリンを分泌させない(=血糖を上げない)食事をとるかが肥満解消の鍵になります。
 ある食品の血糖上昇率を、ブドウ糖を100として相対的に評価したものがグリセミックインデックス(GI値)と呼ばれます。ここで、小麦でつくったパン、クッキー、ケーキはGI値がとても高いです。なぜなら、小麦に含まれるアミロペクチンAという物質は、砂糖より血糖上昇スピードが速いからです。したがって、糖質のなかでも小麦が一番太る原因になりやすいのです。

 さらには、小麦は加熱しないと食べれないというのも問題です。小麦に含まれる糖質と蛋白質は、加熱されて終末糖化産物(AGE)へと変化します。AGEはこんがり薄茶色に焼けたクッキーなどの表面に含まれますが、この変性した蛋白質が細胞の機能を低下させ老化の一因になると考えられています。

 そして厄介なことには、小麦には中毒性があります。消化されると血液脳関門を通過できるポリペプチド混合物(エクソルフィン)になり、脳のオピオイド受容体と結合し、感覚的な恍惚状態をうみだします。あの甘い味を覚えてしまうとまた欲しくなるという、小麦は食べる麻薬といわれる所以です。

 無論、小麦は昔から食料として利用され、小麦がなかったら人類の繁栄もなかったと思います。しかし現在の小麦は、高カロリーで昔の小麦の40倍ものグルテンを含むように品種改良されています。大量の化学肥料と高度な灌漑技術を使って収穫量が増えましたが、最近では栽培した土地の塩害、地下水汚染、水不足なども深刻な問題となっているようです。

 小麦は、人類を餓えの恐怖から救いましたが、その一方で多くの肥満者をつくり新たな病気を作っている可能性が示されています。 
 皆様は、この小麦と今後どのように接していきますか?

参考図書:”炭水化物が人類を滅ばす”   夏井睦 
             ”「いつものパン」があなたを殺す“ デイビット・パールマター
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小麦を食べるのをやめてみよう!(1)

2016-03-07 18:13:20 | 健康・病気
ふっくらした焼きたてのパン、こしのあるうどん、アルデンテに茹でたパスタ、甘いクッキーなど・・、おいしい料理やスウィーツ材料として現代の私たちの生活に深く密着した小麦。今日はこの「小麦」の知られざる一面について考えてみます。

 小麦には、グルテンとよばれる蛋白質が含まれており、粘着性があり様々な用途に利用されています。このグルテン(主にグルテニンとグリアジン) が生体に悪影響をおこすことがわかってきました。

 グルテンを含む食事をとると遅発性アレルギー反応がおきるのが、グルテン過敏症です。さらにグルテンにより免疫系が障害され全身の炎症が生じるのがセリアック病といわれます。
 グルテン過敏症の症状は多岐にわたります。腸粘膜の破壊により、下痢、便秘、過敏性腸炎などの消化器症状や有害物質を吸収してしまう可能性があります。この有害物質が抗原となり、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を引き起こします。さらに腸管から炎症誘発性サイトカインが分泌され、脳に炎症を起こすあるいは脳の神経伝達を抑制することがわかってきました。うつ、自閉症、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、てんかんなどさまざまな精神・神経疾患の原因の一つであることが知られるようになりました。
 それ以外にも、メタボ関連疾患(肥満、糖尿病、高血圧)、自己免疫疾患(SLE、リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎)、悪性疾患(大腸がん、前立腺がん、乳がん)などとの関連も指摘されています。
 セリアック病の罹患率は、日本人は1%未満と言われています。しかし、グルテン過敏症の正確な罹患率は不明で、7%前後あるいは軽い症状まで含めると日本人の大半が何らかの影響を受けているという研究者もいます。
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