よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

ストレスに負けない生き方(2)

2017-05-08 14:44:32 | 健康・病気
では、様々なストレスから身を守るにはどうすればよいでしょうか。
1.ストレスの原因を避ける:簡単そうで意外に難しい。
2.笑い:ストレスを軽減、自律神経の過剰興奮を抑える。
3.友人や家族のサポートを得る:周りに共有してもらうことでストレスが緩和する。
4.運動:自律神経の興奮を抑制し、ストレス反応の暴走を抑える。脳自体を変化させる。
5.食事:ω3系脂肪酸、不飽和脂肪酸(青魚、ナッツ、オリーブ,アボガド)。
葉酸、ビタミンB12(枝豆、ほうれん草、レバー)。
乳酸菌、ビフィズス菌(発酵食品)。 緑茶。 全粒穀物(玄米)。
砂糖・アルコールは控えめにする。
6.睡眠:脳の休息
7.スマホ、パソコン生活に依存しない:情報氾濫、SNSなどの対応で脳が休めない。
などが挙げられます。具体的なストレス対策としては、次の二つが有名です。

“コーピング”
ストレスがかかった時にどんな気晴らしをすれば気分がよくなるか、あらかじめリストアップしておく。例えば、「音楽を聴く」、「本を読む」、「買い物をする」など。実際にストレスがかかる度に、そのストレスに見合った気晴らしをリストからピックアップして実行する(自らのストレスの「観察」と「対処」を意識的かつ徹底的に繰り返す)。 認知や理性を司る前頭葉が活発に働くことにより、恐怖や不安に反応する扁桃体の働きを抑える作用が期待できます。
ポイント①できるだけたくさんリストアップする(より具体的に100個以上)
    ②行動だけでなく妄想する気晴らしもリストアップする(手軽に実行)
    ③作成したリストを持ち歩く(その場で即座に対処する)
    ④頑張るストレスには、ダウン系の対処、
我慢するストレスには、アップ系の対処を選ぶ
    ⑤時には正面突破の問題解決も考える

“マインドフルネス”
日本では、瞑想(心の迷走を抑える)として知られています。
マインドフルネス・ストレス低減法
 体の力を抜き、背筋を伸ばして座る。そして、体と呼吸に意識を向け、その様子を感じるようにする。呼吸をただ感じる。おなかが膨らんで平らになったり、胸がゆっくり上がったり下がったり、などそのまま感じる。呼吸や意識へ集中するのではなく、今の瞬間に「気づき」が向かう状態。現実をあるがままに知覚することが大切。
脳が変化する(扁桃体の減少、海馬の増大)、体内の炎症を抑えるなどの効果があります。


参考文献:NHK出版新書『キラーストレス』 著者 NHKスペシャル取材班 
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ストレスに負けない生き方(1)

2017-05-08 14:41:50 | 健康・病気
太古の昔から、ヒトはいろんなストレスに対応しながら生きてきました。かつては、外敵から身を守るなど生命の危機に対するストレスが主流でしたが、現代では、仕事、人間関係、金銭など、より多面的、複雑化、慢性化したストレスに変化しているといってもよいと思います。

では、ストレスの正体は何でしょうか。良いことであれ、悪いことであれ、ある状態から、別の状態へ大きく「変化」すると、人間はそれをストレスと感じます。適度なストレスは、思考能力アップ、体力増進など体にとってもよいものですが、悪いものでは、様々な病気の原因になることが知られています。

かつては、身を守る仕組み(~闘争か逃避か~)として進化してきたのが、「ストレス反応」と呼ばれるものです。強い不安・恐怖を感じると、最初に脳の扁桃体と呼ばれるところが興奮し、視床下部(自律神経の中枢)を介して、体の各臓器が反応します。この時、副腎からストレスホルモンと呼ばれるコルチゾール、アドレナリンなどが分泌され、血圧や脈拍、血糖が上昇し、瞬時に行動できるようになります。
現代では、生命の危機になるような大きなストレスはめったにありませんが、現代社会を生き抜く上での様々な小さなストレスが積み重なって、体に変調をきたします。

慢性のストレスにより絶えず分泌されるコルチゾールにより、特に海馬の神経細胞が傷害され、うつ病の原因となることが知られています。さらに、ヒトには、目の前の現実だけでなく、過去や未来についてあれこれ考えを巡らす能力(心の迷走)があり、そうしている間、ストレス反応が続き事態を悪化させています。ストレスが続くことにより、自律神経の過剰反応が起こり、血圧上昇、血液凝固能亢進し、脳卒中、心筋梗塞発症の原因になることもよく知られています。
その他、免疫力が低下し、がん、アレルギーが起こります。ストレスにより、胃が痛くなる経験(胃炎・胃潰瘍)をお持ちの方もおられるでしょう。血糖上昇により、糖尿病になる危険性もあります。
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