-Creater's Lab #03a-
皆さんおはこんばんちわ!
asayanことasami hiroakiでっす!(・ω・)ノ
ちょいマジメなお話し。
去る6月1日、世界第2位のアメリカの自動車メーカー、ゼネラル・モータース社(以下GM)が連邦法の適用を申請。GMは、事実上経営破たんしました。
昨年9月のリーマン・ブラザーズ証券に続いて、再びアメリカを代表する大型企業が倒産し、世界経済の更なる混迷が予測されます。
もちろん、今回のGMの倒産劇は、そのリーマンショックが引き金となり、経済不安から株価が暴落し、GMもその煽りを食らったモノで、GMが経営不振だったというワケではありません。 何せ、GMは世界第2位の業績を誇る自動車メーカーなのです。90年代までは、世界第1位(注:今世紀に入ってトヨタに抜かれた)だったのです。 多少の経営不振があったとしても、そう簡単に倒産するようなヤワな企業ではないのです。
それもあってか、リーマンの時には全く動こうともしなかったアメリカ政府でしたが、今回はかなり迅速な行動がありました。
経営破たんの申請以前から、ホワイトハウスはGMの役員らと協議し対応策を検討。
申請と同時に、同社の株式を非公開にして、人員整理や業務規模の縮小を柱とした再建計画を打ち出し、事実上、一時的な『国営化』によって連鎖的に発生すると予測される経済的混乱を最小限に止める努力が続けられています。
多少楽観的かもしれませんが、リーマンの時ほどの混乱は起きないように思います。 ってゆーか、そもそも負債額も6兆円程度と、リーマンの約10分の1程度しかないので、それほどの混乱が起きる要素は元々ないのかもしれません。(注:と言うより、ホワイトハウスは事実上リーマンは見捨てましたが、“僅か”6兆円規模だったから、GMは再建しようと考えたのかもしれません。公的資金の負担が軽くて済むから)
もちろん、GMはアメリカを代表する巨大企業であり、これが倒産するという事は、日本で言えばトヨタやソニーが倒産するのと同等の大事件であり、アメリカ国民の国民感情的には、かなりヘコむ出来事であるのは確かです。
とは言え、今回のホワイトハウスの迅速な対応は、リーマンの時とは比べ物にならないほど速く、しかも的確です。 こういうのを見せられると、やはりリーマンはホワイトハウスの切り捨て政策の一環だったのではないかと思えてしまいます。
そうなると、まことしやかに囁かれているある陰謀説が真実味を帯びてきてしますが、これはハナシが違うので詳細は省きます。(笑)
それはともかく、GMは今後、人員整理や事業縮小で3割程度の業務縮小が行われるらしいですが、そうなると、GM傘下のディーラーはどうなるんですかね?
日本でも人気の高い車種が多いGM傘下のディーラーが、やっぱり少なからず閉鎖されてしまうんでしょうか?
クルマ好きの僕としては、シボレーやハマーの姿を見る機会が少なくなってしまうので、一抹の寂しさを覚えてしまいます。(僕は買えないけどな!)
はてさて、どうなるコトやら……。
ちなみに、聞いたハナシによると、例のリーマンの倒産は、昨年の頭ぐらいから一部のエコノミストの間では予測済みだったらしいです。(←マテコラ)
それとは関係ありませんが、以前お伝えしたインターネット社のVOCALOIDシリーズ第2弾、『メグッポイド』の優待販売受付が6月5日に開始されました。 価格が実勢価格より2割ぐらい安いです。
ただし、優待版は通常版のみ。初回限定版はありません。
また、既にインターネット社製の他の製品を購入&ユーザー登録済みの方のみを対象としたオンライン販売ですので、MIXTUREやSSWシリーズユーザーにはオススメですが、インターネット社製の製品を購入&ユーザー登録されていない一般ユーザーは、フツーにお店で買う方が確実と思われます。
詳しい情報は、インターネット社のHP(→こちら)にてご確認下さい。
それはさて置き、今回は久々の『クリエーターズラボ』のコーナーです。
皆さま、大変長らくお待たせしました。 今回は、いよいよ『萌えキャライラスト』のテクニック解説です!
さらに、今回からナンと実に3回(←またか!)に渡って、Photoshopを使った萌えキャライラストのテクニック解説をしようという壮大な(?)企画!
今回は第1回目という事で、機材の準備から主線の抽出までを解説していこうと思います。
ただし、例によって僕が使用しているのはPhotoshopのCS2であり、現行バージョンのCS4とは微細な相違がある場合があります。 また、当ブログの『036.PhotoShopで描く3DCGっぽいイラスト』で解説済みのテクニックに関しては、基本的に解説を割愛してあります。 予めご了承下さい。
SSのサイズも、前回同様小さめです。見難い場合は、サムネイルをクリックして拡大表示してご覧下さい。
それでは、今回も最後までお付き合い下さいませませ。
・今回のお題
それではまず、今回のお題を発表しましょう。
今回のお題は、コチラ(↓)です! ハイ、『ひぐらしのなく頃に』のTVアニメ版の原画集です。(笑)
これは、TVアニメ版1stシーズンの1話~8話までの原画を収録した画集ですが、シリーズ化はされておらず、TVアニメ版の原画集は、事実上これが唯一です。
これをお題に選んだ理由は、手描きのオリジナル原画を使っても良かったんですが、原画を描くのがメンドクさかった(←オイ!)というのもありますが、この原画集は、A4サイズと版が大きく、加えて、まるで「思う存分スキャニングしてくれ!」と言わんばかりに片面印刷(注:本のような両面印刷だと、スキャニングの際に裏面が透けて写りこんでしまう。これを防ぐ手段はあるが、多少メンドクさい上作業の手間が増える事がある)だし、ネタとして面白いのではないかなと。(笑)
で、今回は、この中から1枚を選んで、これを原画としてアニメセル画調のイラストを描いてみたいと思います。
さて、問題の原画はというと、今回はコチラ(↓)を選びました。 ……ってよりにもよってコレかい!(笑)
だぁってぇ~~、“ぬり絵”とか書いてあるしぃ~~。(笑)
これは、アニメ版の原画ではなく、この画集のために総作画監督の沼田誠也氏が寄稿した書き下ろしイラストです。 今回は、これを使います。
はてさて、どんな絵に仕上がるコトやら……。
しかしこの選択が、まさかあのような地獄を見る事になろうとは、asayanはこの時、まだ知る由もなかったのです……。
・機材の準備
さて、実際に描き始める前に、まずは必要な機材や資料を用意しなくてはなりません。
前回の『3DCGっぽいイラスト』では、作業内容の関係上、ソフトウェア以外は“必須”となる機材や資料がありませんでした。
と言うのも、アレはPhotoshopというソフトの基本的な使い方、機能、出来る事と出来ない事を説明するために書いた、言わば『基礎編』であり、初心者でも出来るようにマウスとキーボードのみで作成可能な作例だったからです。
実際、僕もアレを作成した時は、マウスとキーボード以外のデバイスは使ってません。
しかし、今回の『萌えイラスト』は、言わば『応用編』であり、Photoshopを使ったイラスト、CG、マンガを描く時には“必須”となる機材やテクニックを説明していくからです。
ではまず、この写真(↓)をご覧下さい。 今回の作業で“必須”となる入力デバイスです。
当ブログでは、以前にも『002.オレの相方(入力デバイス編)』で紹介しましたが、WACOMのペン入力タブレット、『intuos3 PTZ‐630』(シュベルトクロイツ)です。
WACOM社のタブレットは、昨年2008年に現行モデルの『intuos4』がリリースされています。
現行モデルのintuos4では、このintuos3では左右対称だったデザインが“上下対称”になり、左右に分かれていたキーパッドが片方に寄せられました。 “上下対称”なので、右利きの人は、このキーパッドが左側に来るように置き、左利きの人は右側に来るように置く事で、利き手に関係なく、誰でも自分に合わせてタブレットを利用出来るようになりました。
いわゆる“ユニバーサルデザイン”ってヤツですね。
ただし、intuosシリーズはやや高価(定価3万円台から)なので、金銭的に利用が難しい人は、同じWACOM社の『Bamboo』を利用するというのも手です。
描画面の範囲がかなり狭い(注:A6~A5サイズ)ですが、僅か9000円程度と安価なのと、intuosのようにムダに高機能(注:先のキーパッドは、それぞれのキーにキーボードのキーを割り当てる事が出来るが、ドロップダウンリストから選択する形式を取っており、リスト外のキーや、複数のキーを同時押しするショートカットなどは割り当てられない。Photoshopでイラストを描く場合、ショートカットを多用する場面が多いので、せっかくのキーパッドが役に立たない)ではないので、初心者にも向いています。
実際、僕も最初はBambooの前身であるFoviaという同様の製品を使っていましたが、特に不都合は感じませんでした。
ただ、今のようにintuosに慣れてしまった後では、さすがに「描画面が狭過ぎる!」と感じるかもしれません。
いずれにせよ、タブレットは“必須”なので、上記を参考に必ず用意して下さい。
ちなみに、WACOM社のタブレットには、上記以外に液晶ディスプレイをそのままタブレット化した“液晶タブレット”(注:商品名はCintiq)なるモノがあります。
液晶画面がそのまま描画面になるので、実際に紙に描いているのと同じ感覚で描けるのが最大のメリットですが、価格が11万円以上(注:フラッグシップモデルは25万円以上)と極めて高価なので、僕はオススメしていません。
このような高価な機材を使うのは、プロになってからでも遅くはありません。 アマチュア、あるいは趣味程度であるなら、宝の持ち腐れになるだけなので、多少使い難くても安価なモノを選びましょう。(注:また、このような多少使い難い機材だと、それを補うために多少の工夫が必要になり、その過程で上手い絵を描くのに必要な重要なテクニックを自然に身に付ける事が出来る。詳細は後述)
また、タブレットを使う時は、必ず手袋(注:写真参照)を使いましょう。
手描きのマンガ原稿でも、原稿をキレイに保つために手袋が“必須”ですが、タブレットでもそれは同じです。
タブレットをキレイに保つという意味でもですが、タブレットの描画面は、紙とは異なる樹脂性で、樹脂はヒトの肌に張り付きやすいという性質を持っているので、長い線を描く時などは、手がタブレットに張り付いて動かなくなってしまい、キレイな線が描けずにイラつく場面が多々あります。
これを防ぐために、手袋が“必須”というワケです。
僕の場合、百均で買った“ドライブ手袋”(注:おばちゃんが、車に乗る時に日焼け防止につけてるヤツ。ただし、滑り止め用のゴムのツブツブが付いてるヤツは不可)というのを使っています。
これの、親指、人差し指、中指の部分(注:すなわちペンに直接触れる指)を第二関節辺りで切り取って使っています。
プロのマンガ家でも、手袋ではなくハンカチやティッシュペーパーで代用している人がいますが、僕は手袋を推奨しています。
また、汚れたら洗って使ってもいいですが、僕は使い捨てしてます。洗うと縮む事があるので。
それと、これは必須ではありませんが、ゲーム向けの左手用コントローラー(レヴァンティン)があると、作業がかなりラクになります。
これに、Photoshopでよく使うメニューのショートカットを登録しておけば、2キー同時押しや3キー同時押しなどの複雑なショートカットも1キーで一発で使う事が出来るようになります。
また、フツーに市販されているキーボードは、4キー同時押しに対応していない(注:4つ目のキーが押しても認識されない)事が多いので、4キー同時押しのショートカットを使う場合は、こういった機材が必須になります。(注:多用するワケではないが、Photoshopには4キー同時押しショートカットが多い)
これ以外に必要な機材として、スキャナがあります。(注:写真撮るの忘れました。サーセン)
手描きの線画(注:あるいは原画。英語ではキーフレームと言う)を取り込む際に必須になるので、1台は用意しておきましょう。
詳しくは後述しますが、Photoshopを初めとしたソフトウェアドローイングの解説本を読むと、よく「複合機ではなくスキャナ単体機を選びましょう」と書いてある事が多いですが、正直必要ありません。 複合機でも十分です。
複合機は、プリンター一体型という性格上、商品単価を低く抑えるために性能を落とし、生産コストを抑えていますが、カラー原稿やカメラのフィルムを直接取り込むのでもない限り、モノクロの手描き線画を取り込む程度ならば、複合機程度の性能でも十分過ぎるほど十分です。
解像度で比較すると、スキャナ単体機の場合は、最大で4800dpiという超高解像度で取り込めますが、複合機の場合は、最大でも1200dpi程度というのがほとんどです。
ですが、実際に線画の取り込みに必要な解像度は、450~600dpi程度なので、複合機でも十分なのです。
高価な単体機よりも、安価で場所も取らない複合機を選んでおkです。(注:ただし、プロになったら単体機を使いましょう。同じ解像度でも、複合機より精度が高いので)
機材が揃ったら、今度は資料を集めましょう。
今回は、主に以下のような資料を使います。 左側の大判3冊は、いずれもTVアニメ版『ひぐらしのなく頃に』の関連書籍です。
原画集は、飽くまでも原画集なので配色見本となるカラー画がありません。なので、配色見本となるカラー画が収録されているこういった書籍を、参考資料として使用します。
ただし、今回は飽くまでも“アニメセル画調のイラスト”を描くので、原作版やコンシューマ版の関連書籍は、参考資料からあえて外しました。 配色がアニメ版とは異なるため、選択肢の幅は増えますが、統一感が無くなる恐れがあるためです。
右側の下段4冊は、いずれもPhotoshopを使った萌えイラストの描き方解説本です。
同様の書籍は、複数の出版社からかなりの数が出版されており、僕は10冊ぐらい買いましたが、それでも本屋さんで見かけただけで買ってない本の方が多いぐらいです。
今回解説しているテクニックは、こういった書籍から学んだテクニックをベースに、僕が自分でやりやすいようにアレンジしたり組み合わせたりしたテクニックです。
また、右側上段の2冊は、いずれも配色見本帳です。
本来は、萌えイラストだけでなく、イラスト全般、絵画やポスター、広告、ウェブデザインなどの資料として出版されているモノですが、萌えイラストでもこのような本は配色配置の見本として重宝するので、無いよりはあった方がいいです。
これ以外にも、同様の書籍は複数の出版社から多数出版されていますが、本来は、こういった本の方こそ、数を集めるべきです。
主な理由は、配色の使用例をより多く参照出来るようにしておく事で、配色のパターンがワンパターンで似通ったモノばかりになるのを防げるからです。
最低でも、同様の書籍を3~4冊、あるいはそれ以上用意しておくと、かなりバリエーションが増えるハズです。
また、こうした資料は、集めれば集めるほど、後々データベース的に参照出来るようになるので、出来る限りたくさん集めるようにしましょう。
もちろん、こういった書籍は比較的高価で、1冊2000円以上するため、一度に全部集めようとするとまず間違いなく悪夢を見ます。
時間がかかってもいいので、1冊ずつ確かなモノを集めていきましょう。
そして、より多くの資料を参照するように心がけましょう。
・原画の取り込み
さて、機材と資料が揃ったら、いよいよ作業開始です。
ではまず、原画をスキャナで取り込みましょう。 本来、スキャナにはメーカーがバンドルした専用のスキャニングユーティリティがあり、これを使う事でそのスキャナの機能をフル活用出来るように設計されていますが、このユーティリティソフトは、メーカーがそれぞれ独自に開発しており、インターフェースやメニュー、機能にかなりの差があります。
僕が使っているスキャナは、エプソン製の複合機ですが、キャノンや富士ゼロックスのスキャナを使用している方には、応用が利かない恐れがあります。
そこで今回は、Windowsの標準機能であるTWAINによるスキャニングを行う事にしました。(SS参照)
Photoshopのメニューから、<ファイル→読み込み→WIA[スキャナ名]>のメニューをクリックすると、SSのようなダイアログが開きます。
まず、何もせずにスキャナに原稿をセットして<プレビュー>のボタンを押します。すると、右側のプレビューエリアにプレビューが表示されるので、原画の位置のズレや歪み、目に見える大きな汚れ等がないか確認します。
ちなみに、本のままだと本の折り目周辺の像が、暗くなったり歪んだりするので、思い切って切り取ってしまった方がいいです。
僕は切り取りました。つД`)゜。
問題が無ければ、プレビューエリアの点線の枠をドラッグして、取り込み範囲を広げます。
TWAINには、描画されている部分と余白を自動的に識別して、描画範囲のみを取り込み範囲にする機能がありますが、モノクロ原画の場合、ホントにギリギリの範囲で識別してしまうので、必ず広げておきましょう。
また、余白はあればあるほど、というワケではありませんが、ある程度以上は必ず必要です。
Photoshopで作業をする時、拡大表示すると線が画面の端によってしまい、作業しにくくなる事があるので、余白を持たせておく事で、全ての線が画面の中央に表示させられるようにしておくワケです。
作例のような縦長の原画の場合、横の余白が足りない事が多いので、最大まで広げておきます。(逆に、横長の場合は縦幅が足りなくなり易い)
作例では、縦幅に余裕があったので、上下の余白が同じぐらいになるように調整しましたが、不安なら最大まで広げても可です。
次に、<スキャンした画像の画質の調整>というリンクをクリックして、詳細プロパティを開きます。 ココで、<解像度>を“600dpi”にして、<画像の種類>を“グレースケール”にします。
今回は、印刷にも耐えられる解像度にするために600dpiを指定しましたが、ウェブページに貼る用であれば、450dpi程度で取り込んでも構いません。 ただし、その場合は印刷にはやや不向きになるので、注意が必要です。
ウェブ/印刷兼用の場合は、印刷用(600dpi)に合わせるようにしましょう。
また、前回の『3DCGっぽいイラスト』とは異なり、600dpiの高解像度なので、ファイルサイズがかなり大きくなります。 処理も重くなるので、HDDとメインメモリの容量には余裕を持っておきましょう。
画像の種類は、僕の場合はモノクロ2階調(注:白と黒のみに変換)でも構わないんですが、原画の主線の濃淡まで欲しい時のために、グレースケール(注:モノクロ2階調に中間色のグレーを足したモノ)にしておきます。
皆さんが描く時も、グレースケールで取り込むクセを付けておくと良いかもしれません。(注:飽くまでもモノクロ原画の時のみ。カラーの場合は、当然カラーを選びましょう)
また、TWAINには、明るさやコントラスト、カラーバランス(カラーモードのみ)の調整も可能ですが、ココではやりません。Photoshopにある同様の機能の方が高機能なので、今回はそちらを使います。
ココでは、解像度と画像の種類だけを指定し、シンプルに取り込みます。
以上の設定が終わったら、<OK>のボタンを押してプロパティを閉じ、<スキャン>のボタンを押して原画を取り込みます。
で、取り込むと、こうなります。(↓) 単純に取り込んだだけなので、描画面全体がグレーがかって暗いですね。 線も薄くて細部が見難いです。
これは、普通に紙に描かれたモノを取り込んだ時、どんなスキャナでも必ず起こる現象で、仕様なのでどうしようもありません。
これを補正するために、肉眼で原画を見た時と同じような明るさ(注:紙の白さ)になるように、先の画質調整でカラーバランスやコントラストを調整(注:これを“色調補正”という)する必要があるワケですが、今回は、これをPhotoshopの機能を使ってやってみましょう。
ちなみに、この状態の原画を保存しておきたい場合は、次の作業に入る前に、<ファイル→別名で保存>で任意の場所に保存しておきましょう。
・色調補正
ではまず、取り込んだ原画をレイヤー化しておきます。
レイヤーウィンドウに、レイヤー名が“背景”となっているレイヤーがあるハズなので、これを右クリックし、ポップアップメニューから<背景からレイヤーへ>のメニューをクリックして、背景をレイヤー化しておきます。
これは、背景のままだと加工出来る範囲に制限がかかる(注:消しゴムツールで消しても透明にならない、レイヤー順を入れ換えられないなど)場合があるので、レイヤー化してこの制限を無効化します。
最終的に、この原画は以下の色調補正以外の加工は行わない上、絵が完成したらレイヤーごと削除しても構いませんが、僕は常にやるようにしてます。 色調補正は、メニューバーの<イメージ→色調補正>のメニューから行います。 まず、<レベル補正>のメニューをクリックし、左図のようなダイアログを開きます。
ココで、グラフの下にある小さな上向きの矢印を左右にドラッグして、黒がより黒く、白がより白くなるように調整します。
黒、グレー、ホワイトの3つがありますが、それぞれ個別に調整していきます。
今回は、<入力レベル>の項目にあるような数値になるように調整しましたが、これは原画によってケースバイケースです。 矢印をドラッグすると、ワークウィンドウの原画がほぼリアルタイムに変化するので、それを見ながら、黒がより黒く、白がより白くなるように少しずつ調整していきましょう。
ただし、やり過ぎると肉眼では分からなかった原画の汚れ(注:消しゴムをかけた跡、あるいは紙そのモノの製造過程で封入されてしまったゴミなど)が浮き出てきたり、逆に薄い線が飛んで消えてしまったりするので、原画の隅々まで確認しながら、少しずつ、慎重に調整していきましょう。
慣れない内は時間がかかるかもしれませんが、慣れてくると感覚で調整出来るようになります。 経験を積みましょう。 本来なら、このレベル補正だけで十分ですが、ちょっと気に入らない箇所が何箇所かあったので、今回は同じ色調補正メニューの<明るさ・コントラスト>の調整も行いました。(左図参照)
ココで、全体をやや明るめにし、コントラストを強調気味に調整しました。
すると、こうなります。(↓) グレーがかっていた白がより白くなり、主線がハッキリして原画全体がクッキリしたカンジになりました。
これをやっておくと、この後の主線の抽出がやり易くなるワケです。 さて、主線の抽出に入る前に、以下の操作を行っておきます。
メニューから、<ウィンドウ→アレンジ→[ファイル名]の新規ウィンドウ>のメニューをクリックします。
すると、全く同じウィンドウがもう一つ開きます。(左図参照)
これは、アレンジウィンドウと言って、両方とも同じファイルの全く同じ状態が表示されており、一方を加工するともう一方にもその結果が反映されます。
これを利用し、一方を実際のワークエリアとして、もう一方には絵全体を表示させておき、ワークエリアで拡大表示で作業をしている最中でも、縮小表示しなくてももう一方で絵全体のバランスを確認出来るワケです。
またこれは、デュアルディスプレイ環境であればさらに効果的に利用出来る機能なので、デュアルディスプレイ環境がある方はぜひ一度試してみて頂きたい機能です。 作業効率が格段に上がる事請け合いです。
シングルディスプレイでも、ワイドディスプレイであれば、十分に利用出来る機能ですが、スタンダードディスプレイ(スクウェアディスプレイ)だと、逆にウィンドウの切り替えがメンドクさくなるかもしれません。(注:左図がそれです。ツールバーやレイヤーウィンドウを置いておくスペースがない! 僕は、普段はデュアルディスプレイで作業してます)
次に、<レイヤー→新規→レイヤー>で新規レイヤーを作り、ココに塗りつぶしツールで白ベタ(RGBオール255)を塗ります。
そして、レイヤーウィンドウの<不透明度>の数値を50%にします。
こうしておくと、後述の主線の抽出がやり易くなります。(注:詳細は後述)
以上の作業が終わったら、一度保存しておきます。
任意の場所に分かり易いファイル名を付けて保存します。(注:先に原画を未加工で保存している場合は、同じファイル名にならないように注意) 今回は、ファイル名を“renatan”としました。
今後は、これがワークファイルになり、作業の過程で随時<上書保存>する事になるので、必要ならば保存用にファイル名を変えてもう一つ保存しておきます。
・主線の抽出
さて、ココからが今回のメインディッシュ。シュベルトクロイツの出番です。
主線の抽出とは、原画から鉛筆、あるいはインクで描かれた主線だけを取り出し、紙の色である白を取り除く作業の事を言います。
ではまず、下のSSをご覧下さい。 これは、原画のある部分を200%に拡大表示したモノですが、主線以外に小さな黒い点々や、ミミズがのたくったような線があるのが分かりますね?
これは、肉眼では確認出来ないサイズの小さな“汚れ”で、これを“ゴミ”と言いますが、これはどんな原画であっても必ずあります。
たとえどんなに注意を払っても、消しゴムをかけた時の紙の汚れ、鉛筆やインクのミクロンサイズの欠片、原稿に触れた時の手垢、空気中に飛散しているホコリ、あるいはスキャナのガラス面の汚れなど、様々な要因によってスキャニング時に少なからず写り込んでしまうため、例えクリーンルームでスキャニングしても、紙の製造段階で紙そのモノに封入されてしまったゴミまでは取り除けないので、ありとあらゆる全ての原画に必ず付いて回る“ゴミ”です。
主線の抽出にはいくつかの方法がありますが、結局は、突き詰めると主線の抽出はこの“ゴミ”を取り除く“ゴミ取り作業”に終始します。
これをシッカリと取り除いておかないと、この後の全ての作業で必ず取り返しの付かない失敗をします。
かなりメンドクさい作業ですが、メンドクサがらずにシッカリやりましょう。
さて、主線の抽出にはいくつか方法がありますが、主に二つの方法に分類出来ます。
一つは、『抽出法』(命名、オレ)です。
これは、自動選択ツールやマスク処理などを使い、主線だけを残して後のいらない部分(注:白い余白部分や、主線以外の不必要な線など)を、消しゴムツールやカットコマンドを使って消していく方法です。(注:白で塗りつぶしていく方法もある)
この方法だと、原画の主線をそのまま利用する事になるため、原画の線の細かなニュアンスや濃淡が、そのまま完成CGに生かせるというメリットがあります。
そのため、アニメやマンガ、あるいはギャルゲーに代表されるノベル系ゲームの立ち絵やイベントCGなど、原画と仕上げの担当者が異なる場合、仕上げ担当者が原画家の意図した線を(良い意味でも悪い意味でも)改ざんしてしまわないように、この抽出法が一般的に行われています。
なので、プロを目指すのであれば、これは必須テクニックになるのでこの方法を覚えておく必要があります。
ただし、“ゴミ”を一つ一つ手作業で取り除く必要があり、非常に手間がかかる上、商用にも耐え得るレベルのクォリティになるにはある程度の経験が必要になる、あるいは主線をパーツ毎にレイヤー分けする必要がある場合などは、逆に手間がかかってメンドクさいなどのデメリットもあります。
もう一つの方法は、『トレス法』(命名、オレ)です。
これは、先ほどの抽出法とは異なり、原画レイヤーを一切加工せず、全くの透明な新規レイヤーを原画レイヤーに重ね、ブラシツールやペンツールなどで文字通り主線をトレーシングする方法です。
この方法だと、原画のゴミの有無や数に関係なく、ゴミや汚れの消し忘れも一切無い、完璧にクリーンな線画が出来るというメリットがあります。
ただし、原画家と仕上げ担当者が異なる場合、先に抽出法で説明した理由で、解釈の違いから原画家が意図した線と異なる線画になってしまう可能性が高いため、プロの現場ではまず使われていない方法です。
また、この方法はとにかく時間がかかるという致命的なデメリットがあります。
結局のトコロ、トレスと言ってもトレペに写し取るのとは異なり、解像度の違いから、元の原画の何倍もある巨大な紙に写し取るのと同じだからです。
イメージ的には、A4サイズの原画の場合、A全サイズの2倍(面積はA4サイズの16倍)の紙に、原画と全く同じ絵ゼロから描いていくのと同じです。
なので、本来はオススメ出来ない方法なんですが、僕は基本的にこの方法で描いてます。 ゴミ取りの手間に比べたら、時間がかかるぐらい……。(注:飽くまでも僕の個人的な見解です)
ちなみに、先に白ベタのレイヤーを作ってもらったのは、このトレス法のための下準備です。
半透明の白ベタレイヤーがないと、トレスした線と原画の線が同じ濃さの黒色のため、トレスし忘れやスキ間が残ったりします。
これを防ぐために、白ベタで原画の主線をややグレーにしておくワケです。(注:「原画そのモノの明度を下げれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、それだと細い主線が飛んで見えなくなってしまう事があるので、僕は上記の方法を推奨しています)
さて、それではトレス法の手順です。
まず、白ベタの直上に新規レイヤーを作成し、これをワークレイヤーとします。(注:これ以外のレイヤーは、レイヤーウィンドウの南京錠アイコンをクリックしてロックしておくと、間違いが起こりません)
このワークレイヤーに、<鉛筆ツール>で原画をトレスしていきます。
ブラシツールやペンツールなどだと、ピクセル周辺にぼかしが入ってしまい、見た目にはキレイ(注:飽くまでも“見た目”は。実際には塗り残しが多発し易い)ですが、均一な濃度の線が描けない(あるいは描き難い)ので、ぼかしが無く、均一な濃度の線が描ける鉛筆ツールを使います。
太さは2pixにしましたが、これは原画の線の太さによって変えてもおkです。
ただし、太くし過ぎると微妙な修正が困難を極めるので、あまり太くし過ぎないように注意が必要です。
僕の経験上から言わせてもらうと、4pixが限界でしょう。(注:それでもかなり太い)
また、カラーは黒(RGBオールゼロ)を選びます。
ちなみに描き始める順番ですが、これはお好みでおkだと思います。 ただし、キャラクター画の場合は、やはり基本は顔周辺からでしょうね。 キャラクター画は、何と言ってもやはり顔が命ですから。
僕の場合は、どんなキャラクターでも必ず髪から描くようにしてます。 好きなんですよ。髪描くの。(注:髪は女の命ですからね!) で、トレスの手順ですが、まず、原画の主線をよく見極め、主線の輪郭を丁寧になぞり、左図のように輪郭を一通りトレスします。
あまり広い範囲を一気にやろうとせず、左図程度の範囲を目安にチマチマとトレスしていきます。 次に、<塗りつぶしツール>で輪郭線の内側を塗りつぶします。
この時、輪郭線に1ピクセルのスキ間もない事を必ず確認して下さい。1ピクセルでもスキ間があると、そこから流れ出して意図しない場所まで塗りつぶされてしまいます。
もちろん、そうなっても慌てず騒がず、ヒストリーや編集メニューでアンドゥすれば元に戻りますが、かなりイライラするので注意深く確認し、完全に閉じた輪郭線を描くようにましょう。
また、輪郭線を描く範囲は、あまり大きくなり過ぎないようにしましょう。 目安としては、ウィンドウの範囲内に収まる程度の範囲で、適度に区切りを付けると良いです。 ウィンドウの表示範囲を超えると、先の確認に手間がかかるため。
to be continued...
ラフ画だった為に先週そこまで大変なことになっていたとは。。w
やはり結構時間がかかるようですね。
エコノミー症候群に気をつけてくだしあw
よし、今度アフターフェスティバル使ってみよう
to AtHear
コメthxです。
自分で原画を描かない分、ラクに出来るんじゃないかなぁ? と楽観していたらこんなコトに……。 遅くなって申し訳ないです。
つか、エコノミー症候群よりも先に腱鞘炎になりそうです。(笑)
from h.asami