ものぐさ屁理屈研究室

誰も私に問わなければ、
私はそれを知っている。
誰か問う者に説明しようとすれば、
私はそれを知ってはいない。

「シン・コロナ:破1.13」―現実(ニッポン) 対 虚構(COVID-19)

2024-01-12 17:00:00 | 空気に水を差す
・→令和6年11日一般社団法人ワクチン問題研究会~設立後6カ月の成果報告


・COVID小委員会でのファウチ発言に関する、令和6年9日のブラッド・ウェンストラップ議員の声明。

「2日間にわたる証言と14時間にわたる質疑の結果、多くのことが明らかになった。今日のヒアリングでファウチ博士は、自分が推進した政策と義務化は、残念ながら今後何年にもわたってワクチン接種をためらわせることになるかもしれないと主張した。彼は、しばしば抑圧されていた研究所流出説は、実際には陰謀論ではなかったと証言した。さらに、アメリカ人に強要された社会的距離の取り方は、ある意味 "思いつき "であり、科学的データに基づいていなかった。

 ファウチ博士の記録されたインタビューは、公衆衛生システムにおけるシステム上の失敗を明らかにし、公衆衛生当局の手続き上の重大な懸念を明らかにした。反対意見がしばしば考慮されなかったり、完全に抑圧されていたことは明らかである。将来パンデミックが発生した場合、アメリカの対応は科学的事実と決定的データによって導かれなければならない。

 私たちの調査にとって重要なCOVID-19の情報をファウチ博士が思い出せないことに私たちは不満を持っているが、私たちが話をした他の人たちは事実を思い出している。私は、ファウチ博士が特別小委員会の前で非公開で証言してくれたことに感謝しており、今年の公聴会で彼とさらに話すことを楽しみにしている。今後、もっと良くする機会はたくさんある。」






シナリオ変更

2024-01-10 12:00:00 | 相場は相場に聞け!




ピーター・ブラントは、12月27日に買い推奨、マーク・リッチーもマーケットが開く前に注目ツイート。まあ、テクニカル的に、見ているところは、皆、全く同じ。








投資雑感2023

2024-01-03 12:00:00 | 相場は相場に聞け!
2023年は、トレンド・フォロワーにとっては、すこぶる付の稼ぎ時の年であった。最終損益はともかく、勝率 56.4%損益比率 1対8.3という数字を残せたことは、個人的には非常に満足できる年であった 。

少しばかしSNSを覗いてみたが、ファンダ・グロース系の人は、行き詰まりや限界を感じているような総括や感想が多く、やはり、「小型成長株でテン・バガー」本の出版ラッシュは、フラグであったようだ。

年末には、全貸借銘柄の1年間のチャートを、売買シミュレーションをしながら、順番に確認していくのを、恒例の年課にしているが、2023年はトレンドが出た好環境であったことは、年初から年末まで、綺麗な右肩上がりのチャートを描いている銘柄が多くみられたことことからも十二分に確認できる。これら先導株は、オニールの本に載っているような、典型的なチャートばかりで、オニール流の投資を実践している投資家にとっては、大豊作の年だったと言っても決して大げさな言ではないと思われる。彼も草葉の陰で喜んでいるだろう。

個人的には、現在買い持ちだけになっているのが訳5割、天井圏で両建てになっているのは訳3割で、ドテンして売り持ちだけになっているのが2割と言ったポートフォリオ構成で、今年は最終的には、ほとんどが売り持ちに移行していくのではないかと思っている。つまり、天井を打ってダウン・トレンドに転換する正念場の年になるのではないかと思っている次第。

前にも書いたが、2023年の個人的な大きなトピックとしては、相場環境認識の目線をアップ・トレンドに方針転換したことを挙げなければならない。



これはCFDの225週足チャートだが、テクニカル的には、5月17日にレンジ相場をブレイク(一番左の矢印)して、アップトレンド相場に転換したことが、2023年の大きな特異点で、個人的には、この認識が決定的に重要だったと思う。その後下落して、レンジ相場の上端に戻ってきたが二度跳ね返され(10月5日と10月31日→二、三番目の矢印)、レジスタンス・ラインがサポート・ラインに転換しているのがわかる。現在は、赤い横線で水平に引いてある強力なレジスタンス・ライン=ベースを、上に抜けていくかどうかといった位置にあるが、もし抜けて行くようであれば、とりあえずは、3万5,000円を目指す流れになろう。

さらに、月足チャートで見ると、5月に一つ上のダーバス・ボックスに移行したというのが良くわかる。



従って、もし上抜けていくのであれば、私のハード・ランディング・シナリオは、バブル最高値3万8,957円44銭と3万4,000円の間のどこかで天井を打って、右肩下がりのダブル・トップになるという風に変更せざるを得ないことになる。今年こそは、天井をつけるのではないかと予想しているが、さて、どうなるであろうか。


日本的組織について 1

2023-12-31 16:00:00 | やまとごころ、からごころ
今年起こった大きな事件を振り返ってみると、色々な切り口があろうが、自民党の統一教会問題、ジャニーズ問題、ダイハツ問題、自民党のパーティー券裏金問題など「組織」に関する様々な問題が顕在化したことが、挙げられよう。

「顕在化した」と言ったが、これらは以前から指摘されていた事柄で、知っている人は知っているという意味では、何も知らなったようなマスコミの手のひら返し的態度はいつもの事であるが、これらの問題の背後にあるものを抉り出さないと、是非を表面的に論ずるだけでは、何らの解決にもならないこと言うまでもないだろう。

従って、ここでこれらの問題に関して、巷間あまり言われていない接戦をいくつか引いてみたい。

それは、「資本ー民族ー国家」という三位一体のシステムの内の、「民族」という側面からの接線で、ここで「民族」というのは文化的な概念として言うのであるが、平たく言えば、日本の組織における伝統的・文化的特殊性という接戦を引いてみようという訳である。

一般には、こういった組織の問題というと、抽象的な「組織はなぜ衰退するのか」といった視点から、大上段に語られることがほとんどだが、これらの考察からは、一見尤もだが、実は衛生無害な結論しか出てこないのは、そこには大きな死角があるからで、その死角とは、比較文化論な視点であると言いたいのである。

この比較文化論な視点という点では、これまで多くの本を読んできたが、私が読んできた中では、山本七平の数々の著作が、日本的組織における伝統的・文化的特殊性の精髄に迫り得た、ほとんど唯一の偉業である。生前時の高評価に反比例するかのように、この山本学の影響が現在の論壇にほとんど見られないという事実は、私には奇妙を通り越していささか不思議な気がする程であるが、それはそれとして、先の死角の意味合いについて、山本はこのように述べている。

<日本に発展をもたらした要因はそのまま、日本を破綻させる要因であり、無自覚にこれに呪縛されていることは、「何だかわからないが、こうなってしまった」という発展をもたらすが、同時に「何だかわからないが、こうなってしまった」という破滅をも、もたらしうる>、と。

この点で、山本は、現在の保守と言われる、或いは保守を自称する論客とは、立場を異にするということは言っておかなければならないだろう。つまり、彼らは伝統というと、それが自明であり、守るべき良きものとしてしか語らないが、これに対して山本は、我々日本人は伝統に<無自覚に呪縛されて>いるのであって、それ故に日本に<発展をもたらした要因はそのまま、日本を破綻させる要因>にもなると捉えている。つまり、その長所と短所は裏表の関係にあるということであって、どちらの論が現実の複雑な襞に食い込み、その立体的な陰影を捉えているのかは、言うまでもないだろう。

ここでは、もうすでに40年以上も経っているのかという思いに改めて駆られるが、1980年に刊行された『日本資本主義の精神』から、いくつか論点を拾ってみよう。



『日本資本主義の精神ーなぜ、一生懸命働くのか』の第一章「日本の伝統と日本の資本主義」では、「日本の会社は、機能集団と共同体の二重構造」であることが指摘されている。

<日本の資本主義は、おそらく「企業神倫理と日本資本主義の精神」という形で解明されるべきもので、その基本は前記の二重構造にあるだろう。これが、日本の社会構造により支えられ、さらに、各人の精神構造は、その社会構造に対応して機能している。これを無視すれば、企業は存立しえない。
 この対応を簡単に記せば、機能集団が同時に共同体であり、機能集団における「功」が共同体における序列へ転化するという形である。
 そして、全体的に見れば、機能集団は共同体に転化してはじめて機能しうるのであり、このことはまた、集団がなんらかの必要に応じて機能すれば、それはすぐさま共同体に転化することを意味しているのであろう。>

この日本的組織における機能集団と共同体という二重構造という特異性を際立たせるために、山本は、アメリカやヨーロッパを持ち出して来て、日本とは違って、アメリカやヨーロッパでは「機能集団と共同体が分化」していることを挙げる。その比較文化論的結論は、アメリカやヨーロッパでは、イギリスの村落共同体やアメリカの地縁的共同体から社会(会社)に言わば出稼ぎにいっている(つまり、機能集団と共同体が分化している)のに対し、日本の場合は、機能集団が共同体に転化しているというものである。

山本は次のようなアメリカの地縁的共同体の例を出しているが、こういった例を持ち出して来るところが、山本の真骨頂である。

<アメリカの状態はしばしば取り上げられているが、共同体が今なお強固に存在している地方はもちろんのこと、犯罪都市ニューヨークのど真ん中の、夜は、絶対に一人歩きできないと言われる危険な場所にも、なお、そこへはいればドアに鍵はいらず、スーツケースを三日も四日もロビーへ放り出しておいても、絶対になくならない場所もある。それは、あるキリスト教系新宗派の宿舎である。その中に入ってみると、「なるほど、第三の種族が生まれる地縁社会の共同体とはこういうものなのか」とつくづく思う。そこには、あらゆる種族の人種がおり、学歴、貧富もさまざまで、経歴も多種多様、前科のある者も麻薬常習者だった者もいる。それらがみな、あらゆる系譜を断ち切って「新種族化」して共同体を構成し、超倫理的集団に転嫁しているのである。>

そして、アメリカやヨーロッパの機能集団が「契約」によって組織されているのに対し、機能集団と共同体との二重構造の日本の組織においては、「契約が(有名無実で)存在していない」事実を、挙げている。そして、ここらあたりの説明は端折って、幾分駆け足で進めるが、その代わりを成すものとして、「擬制の血縁関係」による不文律を挙げている。

この「擬制の血縁関係」の説明として、出版社の「常勤アルバイト」の例を挙げているが、この説明は私には、現在の非正規雇用社員の問題、引いては日本の労働市場の問題の核心を言い当てているように思われるが、どう思われるであろうか。

<だが、会社種族でない者は、まるで血縁社会における非血縁者のように、そこに何年いようと、生涯をそこで送ろうと、何の権利も認められない。昔、ある出版社に「常勤アルバイト」という制度があった。このアルバイトは社員と全く同じなのだが、十年勤めていても、一片の通告で解雇できた。それは不当解雇でなく、正当解雇なのである。そしてこの差別は当然とされていた。なぜならば、後者は確かに正当解雇だが、前者は血縁集団からの追放に等しく、いわば勘当であり、これはどの社会でも安直にできることではないからである。
 そしてこの種の行き方への反対は、一に、「全員を会社種族とせよ」という反対であっても、「会社種族を解体して全員を同一条件にせよ」ではなかった。すなわち、労働組合の要求も、「機能集団=共同体」への完成へと向かえということだったのである。>

ここには、なぜ日本には労働市場というものが成立し得なかった理由が、明確に説明されている。日本で正社員が解雇されるのは、<血縁集団からの追放に等しく、いわば勘当であり>、共同体からの追放であったからである。

また、こうした二重構造の日本の組織的伝統の中で発展してきた、終身雇用と年功序列という日本の企業特有の慣例は、現在では否定的にしか捉えられていないが、詰まるところ、これは果たしてそう簡単に伝統を作り替えることが出来るのかという問題に帰着するとも言えよう。

この点については、戦後、留学した御曹司が社長になって、アメリカのハーバード・ビジネス・スクール流の経営を持ち込んで、つぶれた大出版社の例を山本は持ち出しているが、少し前の大塚家具の内紛劇なども同様で、結局、経営者としての軍配は父親の方に上がったようである。コンサル出身の久美子社長の経営では、会社は、事実上機能不全に落ち入り、立ち行かなくなって、結局身売りせざるを得なくなった訳である。機能集団だけで突っ走ると、日本の企業は、ダメになってつぶれるのであるが、当然に共同体だけで行くと営利企業として機能しなくなり、これもまたつぶれてしまうのである。

この見地から考えると、結局、このような二重構造の日本の組織的伝統を自覚して、共同体という性格を守りながら、如何に機能集団としての能力を発揮しうるのかを考えて、それを実行することが出来た人が、日本の名経営者なのだということがわかる。戦後の不況期に、レイオフをしないといった松下幸之助の発言は、不景気の首切りは常態であった当時には破天荒のことであったが、彼が「経営の神様」になったのも、このような日本の組織的伝統を良く自覚していたればこそであろう。かっての日本を指して、「最も成功した共産主義社会」という評がなされたのも、うべなるかなである。

この意味で、自民党が「構造改革」の名のもとに、派遣法を成立させたのは、日本の衰退を考える上で、象徴的な出来事であったように思う。「構造改革」というのは日本の組織的伝統の「構造」を「改革」しようとした社会的な一大実験であったと言って良いが、そこには、こうした日本の組織的な伝統に対する自覚があったとは到底思われない。

言い換えると、そこに見過ごされているのは、労働市場も持ち得ない中で、終身雇用と年功序列でもって、アジアの奇跡と呼ばれた「高度成長」を成し遂げ、世界第二位の経済大国にまで成りあがり、一時は「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」とまで称された成果に対する自覚であるが、結局、これらは<「何だかわからないが、こうなってしまった」という発展>でしかなかったということであろう。一連の「構造改革」とは、またもや「からごころ」の悪弊が出たと言わざるをえないが、この日本人の伝統的思考形式、宿痾としての「からごころ」という接線については、後述する。

なお、日本のバブル期には、アメリカでは「日本式経営」に倣えということで、社内運動会を開催した企業が、少なからずあったことは、今となっては面白いエピソードである。

とまあいったようなことで、私の眼から見ると、当初に挙げておいた自民党の統一教会問題、ジャニーズ問題、ダイハツ問題、自民党のパーティー券裏金問題などは同根であって、日本の組織的な伝統に対する自覚の欠如から、その共同体的悪弊が表に出た事例と言って良いが、ジャニーズやダイハツは営利企業なので、機能集団としての能力が担保されないと倒産が待っているので、この点はそう悲観する必要はないとも言えるが、問題は自民党である。ここには、日本のポリティカル・マインドの問題が関わってくるので、これはまた、この日本のポリティカル・マインドという接線を引いて、改めて論じてみたいと思っている。

ところで、これは当事者でないと解らない機微があるので、断言するつもりはないが、参政党の内紛も、根底には、この日本の組織的伝統に対する自覚の有無の問題があるのではないかと私には思われる。それは、あえて二極化して述べれば、政党として共同体的側面を無視して、機能集団オンリーで行こうとする勢力と、共同体としての性格を守りながら、政党としての機能集団の能力を発揮させようとする勢力の対立といった構図であるが、この点、どう思われるであろうか。

ここには、日本の機能集団=政策集団として政党の難しさがあるのだが、このことは、自民党や野党の派閥というものを考えてみれば、すぐにわかることで、派閥=政策集団でないことは明白であろう。つまり、派閥というのは共同体の中の、それ自体がこれまた共同体だということである。

まあ、政党というのは、与党も野党も、ある意味では日本の組織的伝統の昇華された精髄と言ったら語弊があろうが、典型例であることは確かで、機能集団として突っ走っしろうとして失敗した第一次安倍内閣の反省から、自民党の共同体という性格を守りながら、如何に機能集団としての能力を発揮しうるのかを考えて、それを実行しようと悪戦苦闘したのが、第二次安倍内閣であったと私は考えているのであるが、どう思われるであろうか。勿論、この意味で、そこには妥協がつきものなので、極端に言えば、51の意志を通すために49の妥協をするのが政治であることは言うまでもないだろう。










東西投資理論の変遷を考える 2

2023-12-15 19:00:00 | 投資理論
さて、どうしてリバモアやダーバスを再読する気になったのかというと、興味深い投資本を続けて幾つか続けて読んだのが切っ掛けである。

その1つは Oliver Kellの「Victory in Stock Trading Strategy and Tactics of the 2020 U.S. Investing Champion」という本である。



Oliver Kellという名前には聞き覚えの無い人がほとんどだと思うが、本の題名に「2020 U.S. Investing Champion」とあるように、Oliver Kellは2020年の→Financial Competitionsで+ 941.1%という、2位のTomas Claroの + 497%を大きく引き離して、文字通りブッチギリの成績で優勝している。翌年の2021年には、ミネルビニが+ 334.8%で優勝していることは前にも書いたが、2020年の好調なマーケット環境に恵まれたとは言え、テン・バガーというのはちょっと最近の記憶にない数字だなと思っていたら、新記録を更新したとのことである。いや、素晴らしい。その彼が投資本を出したというだから、読んでみようという気にもなろうというものである。そのうち翻訳も出版されるかも知れない。

読んでみると、彼もまた「リバモア・ダーバス村のスーパー投資家たち」の一人であることが良くわかる内容であるが、そのことは巻末の推薦本を見てみても一目瞭然である。

<Reading List to Speed Up the Learning Curve

Reminiscences of a Stock Operator by Edwin Lefevre
How to Trade in Stocks by Jesse Livermore
How to Make Money in Stocks by William O’Neil
Trade Like a Stock Market Wizard by Mark Minervini
Think & Trade Like a Champion by Mark Minervini
Trade Like an O’Neil Disciple by Gil Morales and Chris Kacher
Japanese Candlestick Charting Techniques by Steve Nison
Technical Analysis Using Multiple Timeframes by Brian Shannon
Secrets for Profiting in Bull and Bear Markets by Stan Weinstein
One Up on Wall Street by Peter Lynch
Market Wizards by Jack Schwager
New Market Wizards by Jack Schwager
Stock Market Wizards by Jack Schwager
Hedge Fund Market Wizards by Jack Schwager
Unknown Market Wizards by Jack Schwager>

そして残りの2冊は、Bharath Koteshwarの「THE PERFECT STOCK:: How a 7000% move was set-up, started and finished in an astonishing 52 weeks」と「The Perfect Speculator」で、スタンガンの製造販売会社Taserの 2004年に起こった大相場に関する2部作とも言うべき内容の、すこぶる面白い2作である。

 

これらは、私が今年読んだ投資本の中のベスト・スリーであるが、Bharath Koteshwarは「The Perfect Speculator」のなかで、3冊の推薦本を挙げているだけ、あとは実践で学べと言っている。最も、そのうちの一冊は自著であるけれども。

<THE ONLY OTHER BOOKS A SPECULATOR NEEDS

1. “How I made $2 million in the stock market” by Nicolas Darvas
2. “How charts can help you in the stock market” by William Jiler
3. “The Perfect Stock” by Brad Koteshwar

All other lessons have to be learned by actual trade executions and experiencing a complete cycle consisting of an entire bull trend and an entire bear trend.>

リバモアもダーバスも古典なので、推薦本に挙げている人も多いと言えば多いのだが、日本では総花主義な意味合いで推薦本に挙げることはあっても、厳選した少数の推薦本として、まず読むべき本としてリバモアやダーバスを挙げる人は少ないだろう。

だが、私の狭い見聞からいうと、アメリカ人投資家でまず読むべき本としてリバモアやダーバスを挙げる人は、かなりの割合で多いように見受けられる。

ミネルビニも自著以外で推薦本に挙げているのは

・ウィリアム・オニールの本全て
・『マーケットの魔術師』シリーズ by ジャック・D・シュワッガー
・リバモアの株式投資術 by ジェシー・ローリントン・リバモア
・Superperformance stocks by Richard S. Love(見つけられれば)
・How Charts Can Help You in the Stock Market by William L. Jiler
・私は株で200万ドル儲けた by ニコラス・ダーバス
おまけ
欲望と幻想の市場 伝説の投機王リバモア by エドウィン・ルフェーブル 

といったラインナップで、これ以上のものはいらないとまで言っている。

私はこれまで、リバモアについてはルフェーブル の「欲望と幻想の市場 伝説の投機王リバモア」、ダーバスは「私は株で200万ドル儲けた」しか読んでいなかったのだが、このようなことから「私は株で200万ドル儲けた」を何気なくふと再読しだしたところ、愕然としたのであった。俺はこれまで一体何を読んでいたのかといった、目の覚めるような感銘を受けたのある。そのため興に載ってこれまで読んでいなかった二人に関する関連本を読み漁るという羽目に陥った次第である。やれやれ。

     
  

 

東西投資理論の変遷を考える 1

2023-12-13 17:00:00 | 投資理論
このところ、ジェシー・リバモアやニコラス・ダーバスを再読、さらにこれまで読んでいなかった関連本を色々と読んでいた最中に、チャリー・マンガーの訃報に接した。



99歳とのことで、まあ大往生といって良いだろうが、多くの追悼文で言われているように、偉大な投資家という評価には全く異存はないものの、その評価軸に関しては、いささか気になる点がないこともないので、この機会に文章にしておくのも良いだろう。

言うまでもないことだが、マンガーが、バフェットに多大な影響を与えたことは良く知られている。実際、バフェット自身も、自分に優れたフランチャイズの価値や定性分析の長所を教えてくれたのはマンガーであったと述べている。このように、バフェットが、グレアム流の定量的シケモク投資法から定性的成長株投資法への転回・発展を成すにあたって、マンガーが決定的な役割を果たした功労者であったことはほとんど公定の評価であると言って良いだろう。

問題は、この点をどう評価するのかであるが、最大限に評価する私には、マンガーをグレアム流の投資家という括りに入れて限定してしまうのは、過小評価に過ぎるのではないかということは言って置きたいと思うのである。

実際、マンガーによる

「ベンジャミン・グレアムは投資家として多くを学んだ。彼が会社を評価する手法はすべて、大暴落と大恐慌に打ちのめされた経験によって形作られた。そこには恐怖というトラウマが色濃く反映されており、すべてはそれを寄せつけないように設計されている。」

というグレアムに対する、例によって辛辣な発言も残されている訳だが、最近もパン・ローリングから『チャーリー・マンガーの実践グレアム式バリュー投資法 世界最高の投資家の智慧と思考の統合力』なる本が出版されている。原題は『Charlie Munger : The Complete Investor』で、私は未読なので、「実践グレアム式バリュー投資法」という邦題が内容に相応しいものかどうか判定する立場にないが、この邦題がミス・リードでないことを祈るばかりである。

そしてまた、かねてより私に不可解なのは、『証券分析』の出版五〇周年を記念して、一九八四年にコロンビア大学で行われた有名な講演の中で、バフェットがマンガーを「グレアム・ドッド村のスーパー投資家たち」の中に加えていることである。いや、バフェットのグレアム推しもちょっとばかし度が過ぎるのではないかと私は思うのだけれど、この点どう思われるであろうか。むしろマンガーは「フィリップ・フィッシャー村のスーパー投資家たち」に加えるべきではないのか、と私は訝るのである。

グレアム・ドッド村のスーパー投資家たち

この意味で、Investors Business DailyのCURT SCHLEIER氏の記事は、私には読み応えのある文章であったので、ここで紹介しておこう。

What Charlie Munger Taught Warren Buffett About Investing


ところで、このIBDを創刊したウィリアム・J・オニールも、今年5月28日に90歳で亡くなったのだが、アメリカと比べると、日本のSNSでは、このオニールの逝去は、さほど話題にならかったようだ。この点、投資ビジネス界隈では同じくレジェンド級の人物でありながら、マンガーと好対照をなしているのは、興味深い現象である。



私は、リバモアやダーバスを読み込んでいた最中であったせいか、どうしても、このオニールの逝去に関する日本での関心の薄さというものを、改めて考えざるを得ないのである。何といってもオニールは、「リバモア・ダーバス村のスーパー投資家たち」の一人であるのだから。

逆に言えば、このことは日本における「グレアム・ドッド村」の圧倒的な影響力というものを考えざるを得ない訳であるが、これに対してオニールを筆頭に「リバモア・ダーバス村」の影響というものは、実際のところ、日本ではほとんど見られないのではないかと考えられる。例えば、SNSを覗いてみても、投資に当たって、「成長性」を副次的に加味することはあっても、「成長性」をメインに据えて投資している日本人投資家は、ごく少数であろう。

日本人のマンガー推しという現象には、そこに彼我の投資に対する考え方の違いというものが、覗いて透けて見えているように思われるのだ。


二番煎じトレンド・フォロー再論 

2023-10-09 11:00:00 | 投資理論
前の文章を書いてから、知人達と色々と話をしたり、メールでやり取りもしたりしたのに加えて、STF氏の講演後のツイキャスも追加されたので、その反響をつらつらと眺めていて、色々と考えさせられるところもあったので、もう少し文章を書いてみようという気になった。まあ、内容的には二番煎じの感を免れないけれども、二番煎じには、二番煎じの効用というものがあろう。

講演後のツイキャス
モイ!iPhoneからキャス配信中

このツイキャスを聞いていて抱いた感触は、やはりSTF氏も天然系であったのか、やれやれといったある種の感慨である。これはどういうことかというと、永年日本のカリスマ投資家や著名な投資家の本や文章、発言などを理解しようと努めてきた経験から言わせてもらえれば、ロジックを明確に言語化して述べるという点において、どうも日本人は今一つで、どちらかと言えば苦手の部類に入るようだ。残念ながら氏もこの例外ではないと言わざるを得ないということである。

不言実行」という言葉があるが、この言葉は一般に解されているような「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと実行しろ」といった意味ではなくて、そもそも「実行」という形式でしか表現できない思想、一種の言語化し難い暗黙知=「不言」という知の在り方があるという真実を表している言葉の様に思われてならない。そう言ったら或いは深読みに過ぎると言われるかも知れないが、まあ、実行という営為に限らず、そもそも自分の事については、自分が一番わかっているなどと思っている事自体が大間違いであることが、なかなかと解りづらい時代に我々は生きているとは言えるだろう。

前回のツイキャス→うっしの株談義 ゲストSTFさん

といったようなことで、今回改めてこの2つのツイキャスを通して聴いてみたが、やはり対談の中で私が一番注目した発言は、勿論暗算?や体力??のくだりなどではなく、前回のcis氏について述べたくだりであった。

cisさんの本がすごい参考になりました。上がるものは上がる、下がるものは下がるっていう。そういえば、そうだよなって。

であるから、一般に、cis氏の考え方というのは、典型的なトレンド・フォローであるとは捉えられていないようでもあるし、cis氏の考え方を合わせ鏡にすることで、トレンド・フォローについてもう少し掘り下げてみたいと思うのである。




cis氏の言葉を、前回述べたようなテクニカル的な考え方や見方を念頭に置いて見てみれば、彼もまた典型的なトレンド・フォロワーであることが良くわかるだろう。表現は多少違うが、言っていることは、STF氏と全く同じである。

<投資家や投資を始める人に「何かアドバイスください」と言われたとき、僕は「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」とだけ言うことが多い。・・・・僕は基本は「順張り」だと話している。>

<けれども現在買われていることで上がっている、売られていることで下がっているというのは明確な事実としてそこにある。であればマーケットの潮目に沿って行動するのがいちばん勝つ可能性が高い。

上がっている株を買う。下がっている株は買わない。買った株が下がったら売る。

<勝手な予想はしないで、上がっているうちは持っておくのが基本。

どこで反転するのかは誰にもわからない。そのタイミングや値段を予想するのは、勝手な予想を当てはめているだけ。相場は相場に聞くしかない。

<買った株が下がり損切りしたとして、そのあと損切りをあざ笑うかのように上がりだしたとき、上昇株として買うことができるかどうか?・・・でも僕はそれを気にしない。いつも平気でやっている。一回ごとの売買で勝ち負けを考えていないから抵抗がない。買った株が下がったら売るし、上がっている株は買う。

<運や流れという発想はロジックを優先する思考の妨げになる。相場は相場の法則に従うしかない。

株で一番大切なのは迅速な損切り。

企業の価値を株価が正しく反映していないと考えるよりも、株価こそが答えであり、世の中の総意として適正だとみなされている数字だと考える方が正しい。

<「どうやって勉強したか?」とよく聞かれる。僕の場合、ただひたすら値動きを見た。マーケットのことはマーケットでしか学べない。


先のSTF氏の<そういえば、そうだよなって。>という言葉やこのcis氏の言葉から判るのは、二人ともに、対峙しているうちに、マーケット観について、ある種のコペルニクス的転回を強いられたという事実である。この二人には、言わば天動説から地動説への転回に比すべき認識論的転回、企業の価値を株価が正しく反映していないというマーケット観から株価こそが答えだというマーケット観への転回が起こっているという事実を私は強調したいのである。いや、何をまた大げさなことをと言われるだろうか。

これは言い換えると、株価というものを考えるに当たって、ファンダメンタル分析というのは、一旦企業価値という概念へと迂回し、この迂回路を通ったのちに株価に戻って来て、株価の高安を判定するという一種倒錯的とも言いうる間接的・相対的な認識方法だということである。これに対して、二人が行きついたのは、そういった迂回路を経ずに、株価こそが答えだという直接的・絶対的な認識だと言うことが出来る。つまり、ここにおいて相対的な認識から絶対的な認識へのコペルニクス的転回が、二人には起こっているという、体験上の学びにおける考え方の柔軟性に、私は注目したいのである。

cis氏の本の第一章は「本能に克てねば投資に勝てない」と題されているし、STF氏も「本能に反するやり方」と発言しているが、ここで本能と言い表されているものは、私に言わせれば、ファンダメンタル的固定観念に他ならない。一般には、株式投資にはバリュー投資とグロース投資の二つがあるといった初心者向けの説明が氾濫しているが、これを搦め手から見れば、というか一つ進級を繰り上げたより高次の視点から眺めれば、株式投資はファンダメンタルが基本であるという暗黙の刷り込みを、熱心に行っている日本投資教育界隈特有の景色が目に入ってくる。これは今風の言葉を使えば、一種のサブリミナル・スピンと言って良いだろうが、この本能という言葉は、初心者にとっては、この刷り込み=初心を離れることが如何に難しいかを表してもいるとも言えよう。まあ、初心を捨てられないから、何時までたっても初心者なのだけれどもね。

「初心忘るべからず」

勿論、ファンダメンタル投資で勝っている人も多数いる訳だけれども、その成績はファンダメンタル的な考え方に制約されているという事でもあって、この制約の軛から解放されたトレンド・フォロワーの実績とファンダメンタル投資家の実績を比べて見れば、事は一目瞭然であると私は思うのだけれども、この点について今一度考えてみてはどうだろうか、というのがこの文章の趣旨でもある訳である。

日本の伝統芸能では守破離とよく言われるが、この言葉はこの間の事情を良く表しているように思われる。さらなる高みへと昇るのには、現在のってれることが必要不可欠であるということであるが、最もこれは、が出来ていることが前提の話であって、が出来ていないのは型無しと言われているように、勿論、そこにはスクラップ・アンド・ビルドに付きものの型無しへと転落してしまう可能性もない訳ではないのだけれども。


先の文章では、ファンダメンタル分析が、静態的な割安度という量を分析する方法であるのに対し、テクニカル分析は、市場価格の変動という動態的な質を分析する方法だという言い方をした。そのためファンダメンタル分析が、株価の需給地合いについては、お手上げであるという点を指摘して置いたのだが、これはそもそも、株価変動という運動は、本質としてはある種の質であるという事実から来る訳で、詰まるところ、株価変動という質を捉える絶対的な認識方法へのコペルニクス的転回が、トレーダーの成功にとっては、必要不可欠なのだと私は言いたいのである。そこから当然の帰結として、必然的に実践を通した修練・鍛錬による株価の「変動感覚」の獲得・深化という命題が浮かび上がってくる。要はこの「変動感覚」の会得・体得という一種の暗黙知が、STF氏やcis氏のエッジであり、パフォーマンスの源泉なのである。

何やら認識論的な、ややこしい話をややこしく述べているので、難しい文章になってしまったが、本来ややこしい話というのはややこしく述べるのが筋である。であるから、この議論はベルクソンの至って明晰な筋金入りの文章に引き取ってもらって、これくらいでお開きにしよう。

たとえば空間の中に一つの物体が運動しているとする。私はその運動を眺める視点が動いているか動いていないかによって別々の知覚を持つ。私がその運動を関係づける座標や基準点の系に従って、すなわち私がその運動を翻訳するのに使う記号に従って、違う言い方をする。この二つの理由から、私はこの運動を相対的と名づける。前の場合も後の場合も私はその物の外に身を置いている。ところが絶対運動という時には、私はその運動体に内面的なところ、いわば気分を認め、私はその気分に同感し想像の力でその気分のなかに入り込むのである。その場合、その物体が動いているか動いていないか、一つの運動をとるか別の運動をとるかによって私は同じことを感じないだろう。私の感ずることは、私がその物体の中にいるのであるからそれに対してとる視点には依存しないし、元のものを把握するためにあらゆる翻訳を断念しているのであるから翻訳に使う記号にも依存しない。つまりその運動は外から、いわば私の方からではなく、内から、運動のなかで、そのまま捉えるのである。そうすれば私は絶対を捉えたことになる。>(アンリ・ベルクソン「形而上学入門」)


さて、トレンド・フォローというビジネス・モデル(投資と言うのは本来ビジネスである)について、cis氏は非常に重要なことを述べている。

<僕の場合、銘柄それぞれの勝敗を考えるなら、利益になる取引は3割くらいしかない。残りのほとんどがトントンくらいかちょい負け。けれども、時々負け額に対して10倍や20倍の金額を勝つことがあるから、勝率は低くともトータルではプラスになる。>

これは、勝率と損益比率の関係についての指摘で、日本の投資本ではほとんど語られることのない事柄である。

前提として、まず以下の文章(後半に出てくる)で、勝率と損益比率の関係について頭に入れて頂きたいと思う。

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 5

日本では「億り人」という言葉が象徴するように、普通にはどれだけ儲けたといった結果の数字だけが重視されているが、日本人の著名な投資家で、勝率と損益比率の関係について明確に述べているのは、私の知る限りcis氏のこの本だけである。

勝率3割、損益比率1対10~20とのことであるが、この数字にcis氏の、引いてはトレンド・フォローという投資法のエッジの特質が表現されているのがお判りであろうか。

多分、ピンとこない或いは判らない人がほとんどだと思うが、一度自分の勝率と損益比率を出してみることをお勧めする。言うなれば、この作業は自分の投資というビジネスの決算数字を出すという作業だと言って良いが、投資家というのは、自らの投資というビジネスのCEOであるから、このビジネスの決算数字を分析して、ビジネスのマネージメントをしていかなければならないはずなのだが、寡聞にしてこの作業を意識的にやっている日本人投資家というのを私はほとんど聞いたことがない。言い換えると(勝率と損益比率という)数字を基にして投資を語れない、と言うかそういった発想さえないというのが実情である、cis氏を除いては。

ロジックを優先する思考>ともcis氏は述べているが、自らの勝率と損益比率の数字を明確に把握しているという事実と合わせて考えると、<どの勝負事でも同じだけれど、自分を客観的に見られない人はやっぱり勝てない。>という言葉はセルフ・マネージメントと言う意味で、なかなかと蘊蓄に富んだ深い言葉だと言わざるを得ない。


そして、この勝率3割、損益比率1対10~20という数字が物語るものは、トレンド・フォローの逆コツコツドカンという特徴である。正常な?コツコツドカンというのは、心当たりのある人も多いと思うが、コツコツと積み上げた利益を、ドカンと大きな損失で一発で吹き飛ばしてしまうという結果属性を表した言葉であるが、この逆コツコツドカンというのは、これとは真逆の、コツコツと積み上げた損失を、ドカンと大きな利益で一発で一気に大幅なプラスに持っていくという結果属性を表した私の造語である。これがトレンド・フォローの特徴でありまた醍醐味である。

いわゆる損小利大ということになるのであるが、述べたように心当たりのある人が多いと思うが、普通はこれを実行するとなると、非常に困難な難事で、私に言わせれば、損小利大を心がけてはいても、往々にしてコツコツドカンという正反対の損大利小の結果になってしまうのは、ファンダ的な考え方をしているからである。言い換えると、ファンダ的な考え方から抜け出さない限り、この損小利大という目標と損大利小という結果がセットになったダブルバインド状態からは抜け出せないということである。

そのことは、難平という手法に象徴的・典型的に表れている。リスク・マネージメントの観点から言えば、損失が出ている場合は、ポジションを減らさなければならないのにも関わらず、難平という手法は、逆にポジションを増やすという、リスクをさらに増大させるウルトラ・ハイリスクな手法だからである。従って、ドカン!という結末が待ち構えているのは、至極当然の話であるとも言える。また先に、「誰でもが納得できる利確の明確な基準を示せないのがファンダメンタル派の弱点である」と述べたが、ファンダ派の投資家は利確に苦労しているようで、SNSでは<売った途端に暴騰の法則発動!>などと言われていたりするが、彼らの間では、一般に利確は難しいというのが常識になっているようだ。色々な数字を引き合いに出して上値の予想価格を出してはいるものの、上手くいかないので、どうしても利が伸びず、微益がコツコツという結果に甘んじざるを得ないことになってしまうので、そのため利を伸ばすために、半分は利確しないで残して置くといった中途半端な妥協案なども出されているようだ。そもそもなぜ逆張りという発想が出てくるのかと言えば、利幅を大きく取りたいからであろうが、これは精度の問題は別にしても、分析によって天底が判るという前提に立っている訳だが、しかし、この前提自体が破綻しているということは、実際の経験や成績を冷徹に見てみれば、言うまでもないことだと私なぞは思うのだけれども・・・。改めて<どこで反転するのかは誰にもわからない。そのタイミングや値段を予想するのは、勝手な予想を当てはめているだけ。相場は相場に聞くしかない。><自分を客観的に見られない人はやっぱり勝てない。>というcis氏の言葉は重いと言わざるを得ない。

これに対し、トレンド・フォローは全く逆のアプローチを取っている。<株で一番大切なのは迅速な損切り。><買った株が下がったら売る。>(cis氏)<さっさと切る>(STF氏)ので、自ずからコツコツという損小になる。利についても、<どこで反転するのかは誰にもわからない。そのタイミングや値段を予想するのは、勝手な予想を当てはめているだけ。相場は相場に聞くしかない。>ので<上がっているうちは持っておくのが基本。>(cis氏)<当たりを引っ張ること>(STF氏)ということで、トレンドが続く限り利を伸ばせばよいので、自ずからドカンと利大になる訳である。なお、私は順張りという良く言われている言葉を使うのを極力避けているが、それはトレンドという概念ではトレンドの終わりが即ち利確ポイントになるという風にロジックが明確であるのに対し、この順張りという言葉では、利確のポイントが明確ではないからである。つまり、本質的ではない言葉だからである。

ただここで注意しなければならないのは、cis氏が勝率3割と述べているように、トレンド・フォローは勝率が非常に悪いという事実である。良くは知らないので間違っていたら訂正するのに吝かではないが、名だたるファンダ派の投資家たちは、恐らくもっと良いはずで、悪くても4割くらいで、5割とか6割といった辺りの数字になるのではないか。或いはもっと良い数字なのかもしれない。STF氏は勝率について述べていないので、正確なところは判らないが、恐らく同じような数字、低い勝率だと思われる。ここで果たして勝率3割でも、自分は投資を続けられるだろうかと、一度自問して見て貰いたいと思うが、この意味でもトレンド・フォローは本能に反する投資法だと言わなければならないだろう。思い込みとは恐ろしいものである。

この低勝率はまた、そもそもトレンドというものがさほど市場においては発生しないし、また発生するかどうかも事後的にしかわからないという事実によるもので、この意味で年度によって成績に相当なばらつきがあるということにもなる。例えばアベノミクス相場がいい例で、市場においてトレンドが多く且つ長く発生する年度には、驚異的な成績を齎すことに成る訳で、STF氏は10倍になった年度が複数あるようだが、レバレッジ分を割り引けば、3.3倍で+230%という数字が出てくるが、cis氏の成績も好調時にはやはり+三桁%の成績であったように記憶している。ミネルヴィ二のコンペの成績(レバレッジ無し)も、1997年は+155%、2021年は+334.8%である。

STF氏は100銘柄と非常に多くの銘柄を取引しているとのことだが、本当のところは本人に聞いてみないと解らないが、恐らく発生するかどうか、事後的にしかわからないトレンドを逃さないために、このような信用全力による一網打尽的なスタイルを取るに至ったのではないか。トレンドを取り逃がしたくないという思いが非常に強いのかもしれない。

最もこういったトレンドが稀だという事実に対処する方法もあって、一つはアップ・トレンドだけでなく、ダウン・トレンドも取るという方法で、もう一つは対象を株以外の先物や債券、商品や通貨などにも広げるという方法である。それは株でトレンドが出ていない年度であっても、必ずと言って良いほど他の物ではトレンドが出ているからである。言い換えれば、トレンド・フォロー戦略は、テクニカル分析であるから、こうした全方位、マルチ・マーケット戦略と非常に相性が良いと言うことが出来る。

この点で、日本市場にも様々な数多くの種類のETFが上場されるようになったのは慶賀に堪えない。私も以前はFXやCFDもやっていたが、申告が面倒なので辞めてしまったが、FX・CFD取引の欠をETF取引で埋めて余りがあると言わなければならない。金ETFは前に述べたように数年前から基本買いホールド(=buy and hold)であるし、FRBが利上げに転換した2022年半ば以降は、米国債券ETFは売りっぱなし(=sell and hold)である。


さて、最後にカリスマ投資家を天然呼ばわりした落とし前は付けておくのが筋と言うものであろう。

トレンド・フォローと同じく、日本では冷や飯を食わされている投資ジャンルに、システム・トレードと言うのがある。これは、出来るだけやり方を言語化・ルール化して裁量部分を最小にしシステム化しようという試みで、私見ではこのシステム・トレードとしてはタートルズ方式はその嚆矢であり、至高であり究極である。裁量部分がほとんどないと言って良いほどシステム化されているからである。

ここでこの議論にはあまり立ち入る気はないが、日本の言語化・ルール化を阻む名人芸賞賛、素質・才能賞賛風潮に対するアンチ・テーゼとして、簡素ではあるが、トレンド・フォローをシステム化したモデルをここで一つ披露したいと思う。勿論、これは実践記録ではなく、机上のシミュレーションではあるが、エントリーやエグジットに悩まれている人には、参考になるのではないかと思うからである。

例としては、STF氏のツイキャスで出てきた3053ペッパーフードサービスが、アップ・トレンドの見本として好例に思えたので、これをサンプルにシミュレーションしてみた次第である。

シミュレーションとしては3種類、同じシステムを、それぞれ日足、週足、月足で動かしてみた結果を用意したが、御覧のように日足トレード>月足トレード>週足トレードという結果となった。勿論、これに裁量を加えれば、難易度は高いと言えども、さらに利益を伸ばすことも可能であることは言うまでもないだろう。なお、数字を見れば一目瞭然だと思うが、簡素化するために、売買は1株単位で行い、途中での買い増しなどの高度はポジション・ワークは行っていないことを付言して置く。

・日足(週足、月足)トレード、アップ・トレンド時のエントリールール

条件1 パーフェクト・オーダーであること(図の移動平均線は5(日、週、月)、25(同)、75(同)、100(同)、300(同))。
条件2 5日(週、月)移動平均線が、水平又は右肩上がりであること。

*エントリー1 条件1及び2を満たす時に、5日(又は5週又は5月)移動平均線の下から上にローソク足が出た(グランビルの法則)翌日(翌週、翌月の初日)、寄り付き成り行き買いでエントリー。

*エントリー2 条件2だけを満たし、条件1を満さない場合に、5日(又は5週又は5月)移動平均線の下から上にローソク足が出た(グランビルの法則)場合には、条件1のパーフェクト・オーダーになるの待ってから、すなわちパーフェクト・オーダーが完成した翌日(翌週、翌月の初日)、寄り付き成り行き買いでエントリー。


・エグジット・ルール

*終値が、5日(週、月)移動平均線を明確に下抜けた(グランビルの法則)翌日(翌週、翌月の初日)、寄り付き成り行きでエグジット。




日足トレードの場合



9勝6敗 勝率 60% 損益比率 1対5.97  最終損益 +4463

① エントリー 640  エグジット  815  損益 +175

➁ エントリー 923  エグジット  818  損益 -105

➂ エントリー 1050 エグジット 1294 損益 +244

④ エントリー 1375 エグジット 1538 損益 +163

⑤ エントリー 1695 エグジット 1553 損益 -142

⑥ エントリー 1765 エグジット 2005 損益 +240

⑦ エントリー 2100 エグジット 2030 損益 -70

⑧ エントリー 2150 エグジット 2178 損益 +28

⑨ エントリー 2275 エグジット 2215 損益 -60

⑩ エントリー 2300 エグジット 3290 損益 +990

⑪ エントリー 3625 エグジット 3295 損益 -330

⑫ エントリー 3495 エグジット 3545 損益 +50

⑬ エントリー 3600 エグジット 5300 損益 +1700

⑭ エントリー 5330 エグジット 7100 損益 +1770

⑮ エントリー 7380 エグジット 7190 損益 -190


週足トレードの場合


3勝2敗 勝率 60% 損益比率 1対2.88 最終損益 +4302

① エントリー 698  エグジット 790   損益 +92

➁ エントリー 944  エグジット 2080  損益 +1136

➂ エントリー 2315 エグジット 6680  損益 +4364

④ エントリー 6000 エグジット 5480  損益 -520

⑤ エントリー 6280 エグジット 5510  損益 -770

月足トレードの場合


1勝0敗  勝率 100% 損益比率 ー  最終損益 +4319

① エントリー 761 エグジット 5080 損益 +4319




トレンド・フォロー再論

2023-09-18 15:00:00 | 投資理論
殆どのファンダメンタル投資家は、効率的市場仮説を批判することから始めて、最終的には自らの行為によって、効率的市場仮説を実証する結果に終わるのが常である。ー名無し



先日、仲間内の飲み会で投資の話になり、名証IR の講演会に行ってきた友人を中心に、STFというカリスマ投資家の話題でひとしきり盛り上がった。私はこのSTFなる投資家については、全く知らなかったので、もっぱら聞き役であった訳だが、話の内容にいささか違和感があったので、色々と質問したり、意見を述べたりしたのだが、酒の席のせいか、話が上手くかみ合わないままに会はお開きとなった次第、まあよくある話である。

ただ、私自身STF氏の投資法にはかなり興味を引かれたこともあって、後日改めてネットで調べてみたところ、やはりこの違和感をぬぐい去ることが出来なかったので、文章を書く気になった。トレンド・フォローについて新しい光を当てることになるかもしれないと思うからである。

なお、参考にしたのは、複数のSTF氏の講演会に関するまとめメモと以下のツイキャスである。

うっしの株談義 ゲストSTFさん

私が違和感を感ずるのは、STF氏の投資法についていろいろと言われているが、その思想というと大げさだが、考え方の理解がどうも核心の部分でズレていて、今一つ十二分に理解されていないのではないかという点である。そうした理解の大本にあるのはファンダメンタル的な先入観だと思われるが、STF氏の投資法の根底にあるのは、ファンダメンタル的な考え方とは、ある意味で対極にある考え方である。

じゃあ、それは何かと尋ねられれば、トレンド・フォローだというのが私の答えである。今回のSTF氏の件で今更のように痛感させられたのは、私の仲間内だけではなく日本のSNSでも、このトレンド・フォローという考え方がほとんどと言って良いほど理解されていない、というかその基本的な知識さえ知られていないという事実で、逆に言えばそれだけファンダメンタル的な考え方が、いかに根強いかを物語ってもいよう。

例えば、氏の投資法については、”モメンタム投資”という言葉が使われているが、この”モメンタム投資”という言葉も、ロジックがどうもよくわからない言葉である、そう思うのは私だけであろうか。ググると「相場の勢いに乗る投資法」とか「株価チャートが上昇トレンド(右肩上がり)を示している銘柄を狙っていく投資法」とかの説明が出て来て、”モメンタム投資”を冠した書籍も色々と出版されているようだが、私に言わせるとこれらのロジックの中身は、どれも皆トレンド・フォローである。後で紹介するミネルヴィ二も、”モメンタム投資”と言われているし、著書の邦題には原題にはない”成長株投資”という言葉が冠されているといった有様である。やれやれ。

そしてまた、同じようなのに”新高根ブレイク投資法”というのもあるが、これもその核心にあるロジックは、トレンド・フォローそのもので、こうやって新しい意匠を次々に着せ替えて新奇さや進化形を演出するのも結構だが(私には、そこに投資関係の出版社等のマスコミによる次々に流行を作り出そうという意図が透けて見えるのだけれども)、逆に返ってその本質が見えにくくなってしまうという欠点があることも事実である。最も、一方ではこうした新しい意匠を生権力化し構造化する考え方も、そこには存在しているのも事実なので、先に述べたようにそれはファンダメンタル的な考え方だと私には思われる。言い換えると、ファンダメンタル的な見方や発想法から見ると、どうやらトレンド・フォローという投資法は、”モメンタム投資”だとか”新高根ブレイク投資法”だとか”成長株投資”といった投資法に見えるらしいということである。

結局、私が違和感を抱くのは、そこに透けて見えるこうした抜きがたいファンダメンタル至上主義的な見方や発想法、という言い方が拙ければ、ファンダメンタル一元論的な見方や発想法による理解における硬直性が鼻につくからに他ならない。それはまた、STF氏の投資法について、異口同音に皆が口を揃えたように述べている「良い子はマネをしないように」という結論にも、異議があるということでもある。

普通、ファンダメンタル分析に対しては、テクニカル分析が対置されるが、こういった二つの分析方法が発達してきたのには、その根底に全く異なった考え方が存在していると言わなければならない。STF氏自身はテクニカルは使わないとのことだが、誤解を恐れずに言えば、氏の考え方や発想法は、全く持ってテクニカルのそれである。

という訳で、ここでこの両者の原理的な考え方の違いを対比して述べなければならないが、ざっくりと幾分早口で述べれば、こういったことになろうか。

ファンダメンタル分析の根底にあるのは、実証主義的な(一般的に言うと科学的な)考え方であって、表層的な株価の根底にはファンダメンタルという本質があるとする考え方である。従って、例えばバリュー投資で言えば、最終的には本源的価値によって価格が決定される、つまり、平たく言えば本源的価値というファンダメンタルが原因であって、価格形成はその結果であるとする「因果関係」モデルを想定している訳である。実際にはこの「因果関係」自体は解析・証明出来ないので、統計的手法=背理法による検定という作業を基に、有意性がある「相関関係」などと言うのであるが、まあ、「相関関係」と言おうが「因果関係」と言おうが、根底にある考え方は基本的に同じであると言って良い。

だが、繰り返しになるが、こういった考え方による分析は、よく「最終的に」とか「長期には」とか言われるように、「因果」または「相関」を決定または反映する過程の動態的なモデルは解明されていない、というか原理的に不可能なので、静態的な分析になりがちだといえる。実際には本源的価値自体も変動しているのであるが、普通は、その時点での本源的価値に対して、高い安い(割安かどうか)だけが問題にされるので、下がってきてその価格になったのか、上がってきてその価格になったのかといった、そこに至る市場価格の動的な過程というものは殆ど問題にされることはない。

近年、こういった古典的ファンダメンタル分析の限界が意識されるようになり、企業価値の成長性という企業業績の変化に注目する動態的なファンダメンタル分析が注目されるようになったが、いわゆるグロース株のファンダメンタル分析による割安度の判定というのは、相当に難易度が高いと言わざるを得ないようだ。企業価値の成長性に対するファンダメンタル分析には、定量分析プラス、ビジネスモデルなどの定性分析を重視しなければならないが、後者は当然のことであるが、主に言葉によってしか表現することは出来ないという根本的な矛盾を伴うため、割安度の判定は至難の芸当であると言って良い。ただ、ここで私が言いたいのは、こうした動態的なファンダメンタル分析であっても、この割安度の判定という行為自体は、どうしてもある種の数値の比較にならざるを得ないので、結果としては、量的な意味合いしか持ちえないので、原理的に静態的たらざるを得ないという点である。

これに対し、テクニカル分析は、基本的に効率的市場仮説の立場を取っている。従って、そもそも価格の根底にある本質などと言った考え方はしていないので、「因果関係」や「相関関係」などいったモデルは端から想定しておらず、言ってみれば、即時的に市場価格=本質とする考え方である。これは、ファンダメンタルは全て市場価格に表われているという考え方に立っていると言い換えても良いが、この点に関するファンダメンタル派の批判はややこしくなるので、ここでは触れない。そして、これはあまり言われていないことだが、先に述べたようにファンダメンタル分析が基本的に静態的な分析であるのに対し、テクニカル分析というのは基本的に動態的な分析だと言わなければならない。このことは、例えばファンダメンタル分析にはないトレンドというテクニカル分析に特有な概念を考えてみれば、すぐに判ることであろう。結局、これはそもそもテクニカル分析とは一体全体何ぞやという話になるが、ファンダメンタル分析が、静態的な割安度という量を分析する方法であるのに対し、テクニカル分析は、市場価格の変動という動態的な質を分析する方法だというのが私の意見である。

よく需給だとか地合いだとかいった言葉が使われるのを目にするが、これらの言葉はファンダメンタル派にはある種のエクスキューズとしてしか使われていないが、テクニカル分析とはまさに、この需給や地合いを分析する方法なのだと言ったら判り易いだろうか。


であるから、こういったファンダメンタルとテクニカルの根本的な考え方の違いを念頭に置いて、STF氏の説明を読んでもらえれば、まさしくSTF氏の投資法はテクニカル的な考え方に基づいた、トレンドフォローであることは容易に了解出来るであろう。

ここで反論があるかもしれない。

<銘柄の発掘は、Twitterや株探から始まり、気になる銘柄は企業のwebサイトに行き決算資料やIRニュース・月次の販売データに目を通し、セグメント別の売上高や利益の推移を確認する>というのは、これこそまさに典型的なファンダメンタル分析ではないかと。

確かにスクリーニングに、ファンダメンタル分析を使っているように見えるが、それは割安度を分析している訳ではなく、株価変動をもたらすカタリストとしてのファンダメンタルの変化を探していると言った方がより正確であろう。従って、ファンダメンタル分析は、スクリーニングのための言わば単なる必要条件という位置付けでしかなく、STF氏にとっての十分条件としてはあくまでテクニカルなトレンドが出ているかどうかが問題なのである。なので、氏のファンダメンタル分析は正統的な?ファンダメンタル分析から見ると、あまりに簡略で不十分な分析だと言わざるを得ないだろう。それは<財務分析はしないけどPLは見る><浅く広くやってる、深掘りはあんまやらない><Q:目標株価は設定するかA:しない><Q:業績に株価がともなわない場合、原因を考えますかA:損切りする><Q:株価の高い低いの判断基準はA:そういうのは判断しない、上がってるものを買う>といった言葉に明らかで、繰り返しになるが、STF氏にとっては、そういったファンダメンタル分析よりも、あくまで株価にトレンドが出ているかどうかの方が重要なのである。まず、トレンド有りき、ということである。<株価が上がっているものでより上がりそうなものを買う><決算直後でない場合チャートがきれいなものに寄せる><Q:きれいなチャートってどういうものA:右肩上がり><Q:業績やテーマの先取りはどうやってるA:先取りはしてない、出てきたものを追っかけてる><下がって減らしたものがトレンドが変わって上がりだしたかなと思ったら増やす>等々。

こうした考え方であるから、いわゆる正統的なファンダメンタル投資とは違って<好業績が出たが、株価が付いてこない銘柄は損切りする>のは当然であり、ファンダメンタル投資家としてはあるまじき<決算の内容から継続性がよくわからなくても他の人もわかってなさそうなら買う>という事にもなる訳である。勿論、これはトレンドが出ていることが前提の話であることは言うまでもないだろう。

<おそらく超過利益の源泉は講演会で語られなかったところにあって、その意味でも講演を聴いた人が真似して同じようなことをやろうとしても勝つことは難しいでしょう。「上を買いたくなるものを買う」という表現があったけれど、上を買いたくなるとはどういうことなのか、開示資料からどのようなシグナルがあればそう認識されるのか、そのあたりにSTFさんに固有のエッジがあって、それは簡単には説明できないものであるように思われます。・・・ただ講演を聴いていて1つ強く感じたのはSTFさんの投資行動は本人がそう意識しているかはさておきPEADを取ろうとしているということで、PEADって何って人はPost Earnings Announcement Driftでググってほしいのだけど、決算の内容から継続性がよくわからなくても他の人もわかってなさそうなら買う、という発言はとくにそれを示唆するものであったと思います。参加者が100%良いとおもう決算に突撃してもダメなんですよね。みんながみんな良いとおもうなら寄りでぜんぶ織り込んでしまうから。ただ見た目のよい決算に無差別で突撃してもそれはそれでパフォーマンス出ないはずで、そこになにかの秘密があるのかなというのが昨日の講演で感じたことでした。>

こういった意見もあったが、これはテクニカルなトレンドという概念が欠落したファンダ思考の人の目にはこういう風に映るのであろうが、なかなかと興味深いコメントである。どうしてもファンダが主で、価格が従という考え方から抜けられないので、こういった倒錯的なコメントになってしまうのであろうが、価格(の動き=トレンド)が主でファンダが従であるということは、素直にSTF氏の説明を読めばわかるはずだと私なぞは思うのだけれども・・・。言い換えると、後で見るが、はっきりと講演会で語られているように<見た目のよい決算に無差別で突撃して>トレンドが出ない銘柄は<さっさと切る>、トレンドが出た<当たりを引っ張る>という方法こそが<STFさんに固有のエッジ>であり、パフォーマンスの<秘密>であると、トレンド・フォロワーの私は理解するのですけどね。まあ、こうやってカリスマ投資家は、神格化されて行くという絶好の見本かも知れない。

なお、これまで私はトレンドという言葉を定義しないで使ってきたが、実はテクニカル分析におけるトレンドには厳格な定義が存在する。

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 7

そして、STF氏は明確にルール化はしていないようで、氏自身の「変動感覚」に基づいてトレンドを判断し、売り買いをしていると思われるが、トレンド・フォローには、トレンド・ラインや移動平均線などに基づいたシンプルで明確なルールが確立されている。私自身は、日足トレードなので5日移動平均線を使っているが、アップトレンドを買いで取る場合、基本、株価が5日移動平均線の上に出たら買って、5日移動平均線の上にある限りずっとホールドし、株価が5日移動平均線を割ったら売るだけという至極単純なやり方をしている。最もそこには、5日移動平均線の上であっても、トレンドが鈍ってきた兆候が表れれば売るといった裁量部分もない訳ではないが、この兆候についてもルール化しているので、判断に迷うことはない。実際売り買いの判断は、ものの数秒で済んでしまう程である。STF氏も100銘柄ほどを売り買いしているということなので、ルール化はしていないにしても、同様に売り買いの判断は秒単位で行っていることは容易に想像できる。そこには確固とした明確な判断基準が存在すると推察されるので、おそらく判断に迷うことはほとんどないのではないか。

ただ一口にトレンドと言っても、時間軸によってトレンドの認識は異なるので、STF氏がどういった時間軸でトレンドを判断しているのかは、氏の説明からはわからないということは、指摘して置かなければならないだろう。

そしてまた、同様に氏の<当たりを引っ張ること、さっさと切ること>という言葉も、ファンダメンタル的な損小利大の意味で取ってはならない。ファンダ系の人で「損小利大がとにかく重要、だから握力を鍛えなければならない」といった表現をSNSでよく見かけるが、こういった修行僧的精神論的な方向?へ行くと、本人が自覚していないだけに、迷走は深まるばかりで何時までたっても抜け出せないという事態にもなりかねない。これは私に言わせると損切りはともかくとして、誰でもが納得できる利確の明確な基準を示せないのがファンダメンタル派の弱点であるということになる訳だが、それはともかく、この点で、氏の<引っ張る>という表現は、いささか誤解を招く言い方だと言わざるを得ない。<トレンドが出たら(当たりを引いたら)、トレンドが継続している限りホールドすること、トレンドが出なかったり、トレンドが終わったらさっさと切ること>とでも言い直せば、より判り易いだろう。

この言葉に限らず氏の説明を通して読んでみると、どうやらSTF氏自身もトレンド・フォローという言葉を知らないように見受けられる。あるいは言葉自体は知ってはいるのかも知れないが、説明の中に使うというレベル程には、この言葉の意味を明確に把握してはいないようだとは言えるだろう。

以上、どこかの国の選挙カーが立候補者の名前をしきりに連呼するごとく、いささかトレンド・フォローを連呼し過ぎた嫌いがないではないが、ここで興味を持たれた方のために、トレンド・フォローに関する書籍を幾つか紹介しておこうと思う。


まずは、トレンド・フォローの基本的な考え方や方法が、非常に判り易く述べられた基本図書4冊



『ルール トレードや人生や恋愛を成功に導くカギは「トレンドフォロー」』ラリー・ハイト

それから、マイケル・W・コベルの3冊も比較的解り易い。


『桁外れの利益をたたき出すトレーディング トレンドフォロー59の啓示 』


『トレンドフォロー大全 上げ相場でも下げ相場でもブラックスワン相場でも利益を出す方法』


『規律とトレンドフォロー売買法』

そして高度な応用編6冊(特にファンダしか知らない人には、いきなり読んでもこれらの本当の凄さは、多分判らないだろう)

まずは、タートルズ本2冊

『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』(画像は旧版) マイケル・W・コベル
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス

そして、現役バリバリのマーク・ミネルヴィニの3部作

『ミネルヴィニの成長株投資法 ━━高い先導株を買い、より高値で売り抜けろ』
『株式トレード 基本と原則』
『ミネルヴィニの勝者になるための思考法』

最後にジェシー・スタインの渾身の1冊

『スーパーストック発掘法 ──3万時間のトレード術を3時間で知る』


そして、皆さん否定的であるSTF氏の投資法の再現性の問題であるが、後で述べるようなレバレッジの問題は別にして、これはタートルズですでに決着がついている。先の2冊を読んでもらえれば判るが、以下の説明文を読むだけでもこのことは判るだろう。勿論、これは厳密な言語化、ルール化がなされているという前提あっての話であるが(この点は、先に挙げた書籍で補完できると思う)、巷間SNSで言われているような、向き不向きや性格に合う合わないとか、才能の在る無しの問題ではないということは、ここで強調しておきたい。そもそも才能の在る無しなんて、やってみた後で、事後的にしかわからない事柄だと思うのだが、どう思われるであろうか。

<謎のベールに包まれていた「タートル」の奥義を初公開!
「シンガポールの亀(タートル)牧場みたいに、トレーダーを育ててみよう」25年ほど前、カリスマ・トレーダー、リチャード・デニスは同僚のウィリアム・エックハートにそう語った。彼らは、トレーダーを育成することは可能か否かという賭けをするため、主要新聞に全面広告を打って大々的な募集をおこない、トレーダー養成塾「タートルズ」を作った。タートルたちは、わずか2週間の研修プログラムを終えると、それぞれ100万ドルの口座を任され、市場に参戦した。そして、ほとんどのメンバーが未経験だったにもかかわらず、次々と巨額の利益をあげ、業界に旋風を巻き起こした。相場は正しい訓練により成功できることが証明されたのだ。
しかし、タートルたちには厳しい掟があった。それは、教えられた投資手法を絶対、誰にも漏らしてはいけない、というものだ――。
タートルたちはなぜ、華々しい成功をおさめたのか?デニスとエックハートは、いかにして、たった2週間の研修で全員を凄腕トレーダーに仕立て上げることができたのか?
今日まで語られることのなかったタートルの全貌を、ついに明らかにします!>

<著者・カーティス・フェイスは、当時19歳の最年少タートルだったが、最も巨額の口座――200万ドルの運用を任され、わずか4年で3000万ドル以上を稼ぎ出した。こうしてリチャード・デニスの運用方法を受け継いだのち、自ら部分的に改良をかさね、メカニカル・トレーディングのシステム、およびソフトウェアの先駆者となる。
その運用実績は、年平均100パーセントという驚異のリターン、文字通り常勝無敗を誇っている。>

<全くの投資素人集団がわずか2週間の研修プログラムによって、次々と巨額の利益を上げていくというセンセーショナルなストーリーはトレーディングの世界では、あまりにも有名。その集団の名は「タートルズ」。

全米のトレード業界を驚愕させるパフォーマンスを実現させた舞台裏には、ある課題について意見の対立した2人のカリスマトレーダーの存在があった。わずか400ドルをトレーディングによって2億ドルにまで増やした伝説的トレーダー、リチャード・デニスとトレーダーにして数理論理学の専門家ウィリアム・エックハート。「トレーディングは訓練次第で成功できるか? 」2人の実験からすべてが始まった。
タートルズのメンバーは彼らにどのようなトレード手法を伝授されマーケットを席巻していったのか?トレードの手法やルールなどを含めた実験の全貌を描いた異色ノンフィクション>

派手好きの人には、こちらの方が良いかも(笑)。



それから最後に、レバレッジの話であるが、私には、資金が十二分に増えた現在でも、STF氏がどうして信用全力にこだわるのか、どうもよくわからない。本人も自覚していると思うが、ハイリスクであることは確かなので、利益の半分(あるいは全部)を引き出すというリスク・マネージメント方法は、FXなどでも良く使われているやり方だが、これはFX自体はそもそも証拠金取引であるという性格からくるので、私には、どうもそこにはSTF氏のギャンブル依存症的な性癖が覗いて見えるように思われるのであるが、さてどうであろうか。

「シン・コロナ:破1.12」―現実(ニッポン) 対 虚構(COVID-19)

2023-09-13 14:00:00 | 空気に水を差す
祝!mRNAワクチン接種を頑なに拒否してきたジョコビッチ、全米OP5年ぶりの4度目制覇、グランドスラム通算24勝目を達成。

Daniil Medvedev vs. Novak Djokovic Full Match | 2023 US Open Final


試合後のインタビューで、マイクをつかみ、ビースティ・ボーイズの「Fight For Your Right|権利のために戦え」を歌う。

Novak Djokovic Sings to the Crowd | 2023 US Open


ワクチン未接種を批判したライバルのナダルは、トップ100陥落後引退、「打たないなら、とっとと家に帰れ!」と罵倒したナブラチロワは、咽頭がんと乳がんに。いや、偶然、偶然ですよね(笑)。

スポンサーのワクチン製造会社のモデルナはジョコビッチをThe Moderna Shot of the Day賞に。「Shot」は注射に懸けたダブル・ミーニングだけれど、毎年の恒例行事だから、しようがないよね(笑)。


「シン・コロナ:破1.11」―現実(ニッポン) 対 虚構(COVID-19)

2023-09-07 17:30:00 | 空気に水を差す
ワク.チン問題研究会発足 記者会見! すぐ消します



ニコニコ版→速報)ワクチン問題研究会発足会見 2023/09/07 14時からの録画



一般社団法人 ワクチン問題研究会




「シン・コロナ:破1.10」―現実(ニッポン) 対 虚構(COVID-19)

2023-09-07 14:00:00 | 空気に水を差す


”陰謀論本”の紹介(笑)。

積読になっていた、ロバート・F・ケネディ・ジュニア著 The Real Anthony Fauci: Bill Gates, Big Pharma, and the Global War on Democracy and Public Health『アンソニー・ファウチの正体 ービル・ゲイツ、ビッグファーマ、そして民主主義と公衆衛生をめぐる世界戦争』をようやく読み終えた。著者は名前から判るように、あのケネディー一族である。アマゾンのベストセラー・リストには、ずっと載っているので、アメリカでは相当に読まれているのは間違いない。題名から判るように、今回のフェイク・パンデミックに重要な役割を果たしたファウチを中心に、自称フィランソロキャピタリスト・ビル・ゲイツやビッグファーマとの関係などが詳細に描かれている。いわゆる「回転ドア」ー”天下り”と”天上り”をぐるぐると繰り返し、利益相反どころか明らかな利益誘導で、特許利益と公的機関及び私的企業の特権的地位による報酬によって、巨富を得ていくシステムが見事に詳らかにされている。

恐らく、内容から言って日本では翻訳は出ないものと思われるが、すべてではないが、以下ののサイトで、かなりの重要な部分が紹介されているので、参照されたい。

「アンソニー・ファウチの正体」初めに

「アンソニー・ファウチの正体」第1章 パンデミックの管理ミス I: 恣意的な命令:科学のない医学

「アンソニー・ファウチの正体」第1章 パンデミックの管理ミス II: ヒドロキシクロロキンを殺す

「アンソニー・ファウチの正体」第一章 パンデミックの管理ミス iii: イベルメクチン

「アンソニー・ファウチの正体」第一章 パンデミックの管理ミス IV:レムデシビル

「アンソニー・ファウチの正体」第一章 パンデミックの管理ミス V: 最終的な解決策 ワクチンか破綻か

「アンソニー・ファウチの正体」第2章 公衆衛生よりも製薬会社の利益

「アンソニー・ファウチの正体」第9章 白人の重荷


「アンソニー・ファウチの正体」第10章 利益よりも大きい害

「アンソニー・ファウチの正体」第12章 細菌ゲーム ウォー・ゲーム バイオセキュリティー国家の誕生

「アンソニー・ファウチの正体」 あとがき


ご存じの方も多いと思うが、著者のロバート・F・ケネディ・ジュニアは次期アメリカ大統領選の民主党候補に立候補しているので、次期大統領選の台風の眼になりそうな人物である。対する共和党はトランプがまずもって固いと思われるので、ひょっとすると民主党、共和党共に”陰謀論者”が大統領候補に選ばれるという事態にもなりかねない。個人的には、その可能性は十二分にあると思っているが、マイケル、いや違った(笑)ミッシェル・オバマが民主党候補として立候補するという話もあって、ますます目が離せない次期アメリカ大統領選である。



そして”陰謀論本”の次に紹介したいのは、”陰謀論映画”である(笑)。



出演者がゲイリー・オールドマンなど錚々たるメンバーであるのにも関わらず、日本ではなぜか劇場公開されなかったことと「麻薬問題を扱った映画」といった頓珍漢な紹介をされたせいか、あまり話題になっていないようだが、ビッグ・ファーマによるオピオイド薬害問題を扱った映画である。現在、ネット配信で視聴可能。

物語は密輸捜査官ジェイク、突然死した息子の死の真相を究明しようとするシングルマザーのクレア、それに大学薬学病理学教授ブラウアー博士の三つのストーリーが並行して描かれるという構成になっているが、私が特に興味を持ったのはブラウアー博士のパートである。どの程度事実を踏まえているのかはわからないが、恐らくモデルになった人物がいるものと思われる。こうした大学研究機関におけるビッグ・ファーマの有形無形の影響力行使のやり口が、実に真に迫って描かれている。

これまで得た私の拙い知識からいって、1900年代後半くらいから、ビッグ・ファーマはこうした大学の研究室に資金提供するだけではなく、内容に関しても口を出すようになり、現在は、大学の研究室は完全にビッグ・ファーマの征圧下にあると言って良いようだ。極端な場合には、実際に今研究している内容が、プロジェクト全体うちのどういった位置を占めるのかも判らないといった、丸っきりビッグ・ファーマの下請け機関と化している有様というのが実情らしい。このような事情から、現役の大学研究者は、映画のブラウアー博士のように、今回のコロナ騒動において、いわゆる反ワクの立場を取ると、研究者生命が絶たれてしまいかねない状況にあると言って良い。恐らく京大のM准教授なども相当な有形無形の圧力を受けているものと思われる。


そして、さらに特筆すべきウルトラ・ビッグ・ニュースが飛び込んできた。<我々と一緒に民主主義と自由を取り戻そうではないか。バリケードの上でお会いしよう。>というロバート・F・ケネディ・ジュニアの「あとがき」の言葉に呼応するように、遂にと言うべきか、WHOに対抗する世界的な陰謀論者の組織(笑)が旗揚げした!

WCH日本支部HP

9/1 20:00~ 【ゲスト:佐々木みのり先生】WHOに対抗するWCH日本支部とは何か? 及川幸久The Wisdom LIVE Channel#92




終戦記念日に考える 2 ー 属国根性について

2023-09-02 14:00:00 | やまとごころ、からごころ
日本人が知らなければならない大東亜戦争の真実【真・日本の歴史】


知人に教えてもらったのだが、普通あまり見られない視点の考察が随所に鏤められている良質の動画なので、ここで紹介したい。2時間半弱の長尺ではあるが、全くダレることなく、非常に多くの事実や知見が緊密に凝縮して述べられているのは、作成者の見識とプレゼン能力の高さを示していて間然する所がない動画である。いや、素晴らしい。

少し難しい話になるが、前にも少し述べたことがあるように、近代以降の世界規模の歴史的現象は「資本ー民族ー国家」という三位一体のシステムの面から考えてみる必要があると考えている。

<柄谷氏は現在出来上がっている体制を「資本=ネーション=ステート(国家)」とする。この概念は、資本とネーションとステートという異質なものがハイフンで繋がれている訳だが、この見立ては、私には誠に的を得ているように思われる。勿論、この三つは重ならないので、そこからさまざまな現代的な問題が噴出して来ると言うことが出来る。思想的には、この三つが我々の頭の中に内面化されたものとして、それぞれ様々な「経済思想」、「ネーション思想」、「国家思想」などの主義やイデオロギーが考えられるが、大雑把に言えば我々個々人の世の中に対する考え=世界観の違いというものは、この三つの「思想」の微妙な濃淡の違いによる組み合わせのヴァリエーションの違いに過ぎないと言っても言い過ぎではないだろう。従って、政治においてはこの三つの勢力の鬩ぎ合いの結果が、その時々の各国政府の政策的な性格を決めることになると言っても良いだろう。>

一般に、こういった戦争に関する考察や解説というのは、主に「国家」の面から、即ち政治やら外交やら地政学の面からのみなされるのが普通だが、それだけではなく「資本」や「民族」の面からも考えてみることも必要だと言いたいのである。ここで「資本」というのは、平たく言えば「経済」の面から、「民族」というのは、比較文化論的な行動様式の面からであるが、この動画にはそれらの興味深い考察がいくつかなされている。私としては、特に後者について、少し掘り下げてみたいと思うのである。


なお、前回述べた山本五十六については、01:17:50 「 "ちゃぶ台返し”の真珠湾奇襲と連合艦隊司令長官・山本五十六」と説明されているが、実に言い得て妙である。


そして、「経済」面については、一般に日米の国力の違いと言った静態的な説明がなされるのを常とするが、さらに深く踏み込んで、01:28:50 「軍事サービスの供給能力の差が開いたのはなぜか」という動態的な問題設定から、当時日本がインフレであったのに対し、アメリカはデフレであって、軍事的生産能力に対する余力という点でアメリカに分があったという説明は、他ではあまり聞くことの出来ない明快な考察・説明で、これも素晴らしい。

それから、比較文化論的な行動様式の面については、01:05:55 「 米国の”フェア”な要求」ということで、アメリカという国は、”フェア”であると述べているのも、なかなかと興味深い。

これは、いわゆる日本”属国”論にも通ずる話なので、ここで掘り下げてみたいのだが、ここで言われているようにアメリカは交渉に当たって、要求を隠し立てすることなく、”フェア”に臨んできている訳だから、日本側の主体的な問題というものも大きいと言わなければならない。結局、突き詰めると、これは日本人通有の”属国根性”に帰結するのではないかと私は考えるのだが、どう思われるであろうか。

日本人通有の”属国根性”というと、なんだか雲を掴む話のように思われるかもしれないが、この点を明らかにするには、行動様式の帰納法的プロファイリングといった方法が有効ではないかと私は考えている。一般にこういったトピックについては、その是非だけが論じられることが多く、「なに?属国根性?卑屈だ、けしからん!」と言って、いわゆる”遺憾砲”と同じで断罪するだけでは、何ら解決がつかないのは、その背後にあるものを抉り出さない限り、この後も何度も繰り返されることになるからである。

そして、さらにこれに加えて比較文化論的というアプローチを持ち出すのは、こういった視点を考慮に入れないとなかなか我々自身の行動様式に対する見方というものは、相対化出来ないからである。

例えば、日米開戦に当たって日本は、英語・アメリカ語を敵国語として禁止した訳だが、前回の動画でも言われているように、海軍では異なり普通に使われていた。だから海軍は素晴らしいという是非論に陥り勝ちだが、日本の取った行動と、アメリカの取った行動と比べると、また別の面ー文化的な行動様式の違いというものが浮かび上がってくる。

ではアメリカはどうしたのかというと、国中から日本語の出来る人材をかき集めて日本語学校を作り、日本語使いを量産して、彼らに日本を、文化・産業等あらゆる面から徹底的に研究させたのである。孫子の「敵を知り己を知れば百戦危うからず」を地で行った訳であるが、これ以降、アメリカのジャパノロジー(日本学)は相当に進歩した訳で、実際にどのようなやり取り行われているのかはわからないが、現在の日米の様々な交渉の場においても、恐らく日本人特有の交渉態度における弱点を、アメリカ側は相当に熟知した上で、交渉に臨んでいるものと推察される。

と言ったようなことで、話を”属国根性”に戻すと、これはエンターテイメント作品を帰納法的にプロファイリングすれば容易にわかることである。

例えば、国民的アニメである「ドラえもん」である。問題があると、何かに付けてドラえもんにすがるのび太は、アメリカ大統領が代わるたびに、安保第5条が尖閣諸島にも適用されることの確認をいちいち取り付ける日本政府と瓜二つである。



また、例えば広辞苑に名前が載っているほど、日本人の人口に膾炙している「ウルトラマン」である。日本(設定は地球ということになっているが、なぜかいつも日本)の平和を脅かす宇宙怪獣や宇宙人に対して、日本(これも同様に設定は地球ということになっているが)の守護者として、どこからともなく飛来したウルトラマンが無償で戦うという、全くもって善意の守護者としてのウルトラマンという設定は、全くもって善意の守護者としての「ドラえもん」と同型である。その理由付けとしては、一応ハヤタ隊員を事故によって死なせたからだと言う設定になっているが、この設定は全くの善意の守護者たる理由としては、いささか弱いと言わざるを得ない。無理があるのは誰もが感ずることで、それが最終回での「ウルトラマン、そんなに地球人を好きになったのか?」というゾフィーのセリフを入れざるを得なかった理由であろう。



日米安保条約に関しては、果たしてアメリカは有事の際には、日本を守るために出動するのかどうか、という日本側の議論があるが、これは結局のところ、在日米軍は全くの善意の守護者なのかどうかという議論に帰着すると私には思われる。従って、この問いは、問いの仕方を変えて「在日米軍、そんなに日本人を好きになったのか?」という問いに変えてみれば、この議論の答えは明らかであろう。

まあ、実際には、在日米軍は、無償でもなんでもなく、日米開戦時に日本語学校を作ったように、アメリカ自身の行動規範に則って動いているので、先の尖閣諸島の件も同様だが、そもそもこういった議論をすること自体が不毛だと言わなければならない。アメリカが出動しない可能性があるならば、その事態に備えてさっさと日本は行動すれば良いだけのことである。結局のところ、こうした対米日本政府の行動様式に透けて見える、いわゆる「親米保守」の抜きがたいアメリカ依存性癖というものが、”属国根性”の正体であろうと私は考えるのだが、どう思われるであろうか。

例えば原爆投下などを考えてみても、「保守」と「親米」がくっ付くというのは、おかしな話だが、これは「終戦記念日」という、これまたおかしな記念日の背後にある考えと底で繋がっていると思われるので、次回には、このあたりの事について考えてみたい。


暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 4

2023-08-27 15:00:00 | トレンド・フォロー


さて、二度目は上の図のように、年が明けて2023年2月14日に再度エントリーした訳だが、同じような説明をだらだらと続けても面白味がないので、今回は省いて、この天井でのドテン売りについて、私が考えている意味合いについて少し述べてみたい。

これまで暴落・暴騰時のトレードについて述べて来た。その中で、トレンド・フォローといった言い方をしてきた訳だが、私が言うトレンド・フォローとは、通常言われているトレンド・フォローとは少しく異なるということは、ここで強調しておきたいと思うのである。

通常言われているトレンド・フォローとは、アップ・トレンドにせよダウントレンドにせよ、言わば片張り的思考に基づいた一方向のトレンドにだけ追随する単眼思考的トレンド・フォローであるのに対して、私の言うトレンド・フォローとは、両張り的思考に基づいた双方向のトレンドに追随する複眼思考的トレンド・フォローである。と、こうやって言語化して言葉にしてみると何やらややこしい複雑な技法のようだが、要はドテン売り、ドテン買いのことである。これは、その狙い撃ちするターゲットが、現在のトレンドだけではなく、方向転換後のトレンドまでをも射程に含むトレンド・フォローであると言い換えたら解り易いだろうか。


議論の前提として、同じような分類を述べている投資家も多いが、対比の意味で都合が良いので、ここではミネルヴィニの4つのステージ・サイクル分類を見てみたい。







第1ステージ 底固め局面ー無関心

特徴
・横ばいに動く
・株価は200日移動平均線の近くで上下する
・第4ステージで株価が数カ月以上も下げた後に、この横ばいのステージに入ることがよくある
・出来高は減って、前の第4ステージを比べても少ない

*複利効果を最大限に発揮するため、株を買った後に素早く上昇する銘柄に集中することが重要。第1ステージでは、どれほど魅力ある銘柄でも買うのは避けるべき。たとえ会社のファンダメンタルズが興味をそそるものでも、待って、第2ステージで買うこと。

第2ステージ 上昇局面ー機関投資家の買い集め

特徴
・株価は200日移動平均線を上回る
・200日移動平均線自体も上昇トレンド
・150日移動平均線が200日移動平均線を上回る
・株価は高値と安値を段階的に切り上げている
・株価が大きく上昇する日や週には出来高が急増し、押し目の期間では出来高が減る
・下落する日や週よりも上昇する日や週の時に平均以上の出来高になる

*株を買うなら明らかな上昇トレンドにあるこの時期に行う。機関投資家の買い集めを味方につけて上昇の波に乗る。底値からはだいぶ高くなっているかもしれないが問題はない。底値は過去情報、株価は将来の情報を見て動く。

第3ステージ 天井圏ー機関投資家の売り抜け

特徴
・株価は不安定になり、ボラティリティが高まる
・上昇トレンドに見えるが株価の動きは第2ステージと比較してはるかに不規則下
・出来高を伴って大きく下にブレイクする
・株価は200日移動平均線を下抜くかもしれない
・200日移動平均線は上方への勢いを失って横向き

*機関投資家による極端な買い集めはもうなく、売り抜け局面にある。個人投資家など弱い買い手が株価を支えている状況であるため、ボラティリティも高くなる。

第4ステージ 下落局面ー投げ売り

特徴
・株価は200日移動平均線を下回る
・200日移動平均線は、明らかな下降トレンド
・株価は52週安値を付けているか、そこに近い
・株価は安値と高値を段階的に切り下げている
・150日移動平均線が200日移動平均線を下回る
・株価が大きく下落する日や週は出来高が急増し、戻りでは出来高が減る
・上昇する日や週よりも下落する日や週は平均以上の出来高になる

*第4ステージの株価と出来高の特徴は、基本的に第2ステージの逆で、下げる日に出来高が増え、上げる日には出来高が減る。株価が第4ステージにある間は、買いは絶対に控える。












ミネルヴィニは、時にはカラ売りもやるようだが、基本的には上昇を取る、買いによる片張り手法なので、最も効率の良い第2ステージに特化すべきだと言っている。彼の目覚ましい成績は、この第2ステージに特化したところによるところが大きいと言えよう。彼の成功要因は、この第2ステージを見極める厳格な相場認識技術とシビアなリスク・マネージメント、それに加えて、永年の鍛錬による鋭敏な変動感覚がものを言っているように、私には思われる。

この意味で、前に紹介した彼が優勝を飾った2021年チャンピオンシップでのトレードについて、利確を早めるように<手法の範囲内での戦略の調整>をしたと言っているのは、見逃してはならない。

<私が投資のチャンピオンシップで優勝した2021年はとても難しい年だった。同年2月に銘柄の動きにシフトを感じた。つまり「ブレークアウトしてもそこから長続きしないこと」。だから私は短期での上昇の強みで売ることにした。手法の範囲内での戦略の調整はこれのみだったかな。>

この<調整>の理由として、<同年2月に銘柄の動きにシフトを感じた>からだと述べているが、こういった鋭敏な変動感覚による<調整>というものは、恐らく傑出した投資家であれば、誰もがやっている事であろうと想像する。また、逆に言えば、こういった相場の微妙な変化・差異に対する柔軟な<調整>能力の有無こそが、そうでない投資家と傑出した投資家とを分ける分水嶺になるのではないか、そう私は考えるのであるが、どう思われるであろうか。

ここで思い出すのは、長嶋茂雄(プロ野球選手)が、他人のバットでホームランを打ったというエピソードである。これには「弘法筆を選ばず」などいろいろな解釈が出来ようが、その日の自分の体調・調子と相手投手の投球内容・調子という二つの相対する条件の組み合わせに対する最適解として、その日の条件に最も適合したバット=自分のバットではない他人のバットを、あえて使ったのではないかと私は想像するのだが、どう思われるであろうか。普通では思いつかない他人のバットを使うというのは、まさに天才的な、微妙な変化や差異に対する柔軟な<調整>であった訳である。


ミネルヴィニ先生の米国株より)


それは兎も角、このミネルヴィニの4つのステージ・サイクルに共感を持って同意する人は多いと思うが、私が言いたいのは、これまで説明してきた天井でのドテン売りというのは、この第2ステージから第3ステージを経て第4ステージまでを取る、非常に効率の良い、エグイやり方であるということである。

言うまでもないことだが、ミネルヴィニが第2ステージに特化すべきだと言うのは、買いによる片張りを前提とした話であって、それに加えて第3ステージ、第4ステージも取ることも出来るので、その優位性は成果共々凄まじいものがあると言いたい訳である。まあ、理屈から考えても、ミネルヴィニの成績を上回ることは十二分に可能であることは、言うまでもないだろう。

これに比べると、天井でのドテン売りの逆パターン、大底でのドテン買いというのは、「底練り」という言葉があるように第1ステージを含んでいるので甚だ効率が悪く、私も決して手は出さないようにしている。その例外は暴落時で、これはリバウンドが付きものなので甚だ効率が良い。従って、こういったステージ・サイクル理解に基づけば、一般に広く行われているボトム・フィッシングというのは、最も非効率なやり方だということになる。

ところが、これまで多くの投資本を読み、主要な投資本は大体網羅してきた私の経験から言うと、こういったステージ・サイクル理解は広く共有されているのにも関わらず、ほとんどの投資本で説かれているのは、買い一辺倒の片張り手法に偏っているのが実情である、と残念ながら言わざるを得ない。つまり、そのターゲットはステージ・サイクルの内の第1ステージから第2ステージだけを対象にしている訳で、前に信用口座の開設率は30%ほどという数字を引いたが、この数字と株式投資における勝者の割合の数字(10%くらいから、実はもっと少なくほんの数%しかいないなどと色々言われているが、実際のところは判らない。証券会社は明確に数字を把握していると思うが、営業政策上マイナスの宣伝効果しかないので、今後も公表されることはないであろう)は、勿論、相関関係があろう。個人的には、因果関係があると断言しても、全く差し支えないとさえ考えているけれども。

といったようなことで、結局のところ、述べてきたような4つのステージ・サイクルを前提に考えれば、第2ステージから第3ステージを経て第4ステージまでを取るのが、最も経済的合理性に叶ったやり方ではないだろうか、というのが私のポジション・トークである(笑)。


それにしても、林輝太郎氏によれば、この「つなぎ売買」(なお、「うねり取り」「リズム取り」という呼称もあるが、私は「うねり」や「リズム」の定義が明確ではないので、あまり好きではない。これらは悪い呼び方である。)という相場技法は、西洋人の発想には見られないもので、先物同様、すでに江戸時代の米相場において生み出されていたということであるが、こうした日本人の先人の叡智には、計り知れないものがると思わざるを得ない。同じ血を引く日本人として、ぜひ、この「つなぎ売買」による、天井でのドテン売りという両建てによる相場技法を身に着けて頂きたいと思う次第である。成功を祈る。






終戦記念日に考える 1 ー「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を観る 

2023-08-21 17:00:00 | やまとごころ、からごころ


今年も終戦記念日がやって来た。特に意識していた訳ではないが、たまたまWOWOWでやっていた「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を観た。「70年目の真実」とあるので、どんなふうに新しい見方が盛り込まれているのかなといった興味から観た訳だが、私には、この映画のどこに「70年目の真実」があるのか、全く判らなかった。観終わって、やれやれと言った感想を持ったわけだが、この「やれやれ」について、少し書いてみたい。

映画に限らず否定的な評は普段は書かないのだが、ここで描かれた、山本五十六像は、相も変わらず戦争には反対であった悲劇の司令長官という一種の理想的な人物として描かれている。副題に「70年目の真実」とあるが、言うまでもなくフィクションである。従って、この副題はミスリードであるなどと野暮なことは言うつもりはないけれども、半藤一利監修とのことだが、あまりにもフィクションが過ぎる内容である。そうは言っても、人物像として、女好き博打好きであった面は綺麗にスルーされているとか、新聞社の名前が架空の「東京日報」であるとか、そういったささいなことを問題にしたい訳ではない。映画の影響力には侮れないものがあるので、こうした山本五十六像は、現在通念となっている陸軍悪玉海軍善玉論に則ったものであることを問題にしたいのである。

この陸軍悪玉海軍善玉論というのは、小説家の阿川弘之氏がその典型であるが、主に海軍出身者が広めた見方であることは指摘しておかなければならない。この映画の監修者の半藤一利氏も海軍出身ではないが、陸軍悪玉海軍善玉論を広めるのに預かって力のあった一人である。

山本五十六が真珠湾攻撃を決断した理由と戦後の復興にかけた日本海軍の秘策 


どのような組織でも一枚岩ではなく、さまざまな解釈や意見がその濃淡とともに混在しているので、海軍の中にもこういった考え方があったということまでは否定しないが、問題は山本五十六の評価である。様々な資料から、山本は司令長官辞任を盾にとって日米開戦を強硬に主張し、日本を東進させ敗戦に導いた主犯格の人物であるということは言っておかなければならない。

私も、この事実は一応は知っていたが、近年近現代史研究家 林千勝氏が第一次資料に基づいて詳らかにされたのだが、これほどまでに一貫して策略的な姿勢だったとまでは知らなかった。林千勝氏の労を多としたい。知らない人も多いと思うので、両論併記という意味でも、正反対の見解をここで紹介しておきたい。




なぜ真珠湾奇襲案がオモテの会議記録に存在しないのか? 近現代史研究家 林千勝


従って、大勢としては天皇は言うに及ばず軍令部・海軍省、即ち陸軍海軍共に日米開戦には反対であり、朝日新聞を筆頭とするジャーナリズムとそれに乗せられた世論、それに一部の議員が対米開戦強硬派であったという構図の中にあって、それを許した組織的な問題もあったにせよ、謀略的とも言いうる立ち回りによって、山本五十六司令長官と永野陸軍総長が、日本を日米開戦へと向かわせたというのが真実であろう。

それにしても、この山本にしても永野陸軍総長にしても、なぜこういった挙に出たのかは、どうもよくわからない。極東軍事裁判における永野の尋問調書における発言も、基本的に山本に責任を押し付けるといった保身の意志がありありと伺われる内容で、ではなぜ、その山本を重用したのかという点については全く触れられていない。

そもそも真珠湾攻撃の理由付けとしての、攻撃によるアメリカ戦意喪失論と山本の有名な発言ー「それは是非やれと言われれば初め半年や1年の間は随分暴れてご覧に入れる。然しながら、2年3年となれば全く確信は持てぬ。」というアメリカ猛反撃予想論は矛盾していて、整合性が取れていない。にもかかわらず、海軍善玉論は、後者の認識の正当性だけを強調し、それは海軍の伝統として世界情勢を良く知っていたからだといったロジックであるが、正反対の前者のアメリカ認識の方は無視、或いは黙殺といった論理の建付けになっていることは指摘しておかなければならないだろう。まあ、海軍出身者が海軍善玉論を論うのは判らないでもないが、そうではない半藤一利氏が陸軍悪玉海軍善玉論を唱えたのは、訝しいところである。この意味では、現在広く影響を及ぼしている半藤史観も再検討が必要であろう。

私も色々な書物を読んで来たが、この真珠湾攻撃によるアメリカ戦意喪失論というのがどこから出てきたのか、どうもよくわからない。或いは真珠湾攻撃まずありきのこじつけ的理由付けかも知れない。林千勝氏が述べているように、とにかく正式な会議にかければ、当時の軍令部・海軍省の情勢分析と真っ向から対立するので、それが山本が正式な会議にはかけることをせずに、裏工作に走った理由であろう。

結局のところ、山本・永野の二人がどういったことを考えていたのかは良くわからないと言わざるを得ない。これは想像するしかないのだが、或いは左翼の「敗戦革命論」に近いものを胸の奥深く秘めていたのかもしれない。このあたりの事は歴史の暗部という他はない。


それはともかく、この日米開戦に至る過程は、私には現在の状況と重ね合わせて考えざるを得ない。後になって考えてみれば、なぜあんな無謀なことをしたのであろうかということになるのではないか、そう思われて仕方がないのである。

ロシアに対する経済制裁というのは、どういう経緯で決定されたのかはどうもよくわからないのであるが、岸田首相のリーダーシップによる独断とは考えにくい。おそらく自民党主流派の意向であろうが、「力による現状変更は認めない」という国連軍司令官にでもなったような岸田首相の発言が大義に値するのかどうかはさて置き、そこにはロシアウクライナ戦争の趨勢に対する大局的な戦略的戦術的認識・分析があったとはとても思えないのであるが、この点どう思われるであろうか。

専門家にもいろいろな意見があるが、ウクライナとロシアの戦力比は大体1対5ぐらい、中には制空権や人的機械的ソフトウェアも含めて考えると1対10という専門家もいる始末で、このことから常識的に考えれば、日米開戦時の日本と同じく、当初からウクライナの敗戦は、決まったも同然だと見るのが妥当だろう。日本のマスコミは、ロシアの劣勢、ウクライナの反攻・反撃ばかりを騒ぎ立てているが、太平洋戦争時の大本営発表とそっくりである。苦し紛れのクラスター爆弾の使用決定がいい例で、ウクライナの劣勢は明らかなのであるが、恐らく、ここ1年くらいのうちにウクライナの敗戦は決定的になるものと思われる。その後は「ポツダム宣言受諾」に至るか、NATO・ロシアの全面戦争に発展するかのどちかであろう。ゼレンスキー大統領のこれまでの発言を見ていると、これまた日米開戦後の大本営発表とそっくりで、講和など全くの眼中にはないといった有様で、やっていることは「国民総動員」徴兵で、国民総玉砕を目指しているかのようで、まるで太平洋戦争末期の日本を見ているようだ。実際には、裏で色々と講和への丁々発止のやり取りが行われているようだが、NATO内の強硬派・アメリカの介入・妨害があって、上手くはいっていないようである。日本のマスコミでまことしやかに言われているプーチン失脚だとかプーチン暗殺だとかは、むしろゼレンスキー大統領にこそ言えることであって、その可能性は十二分にあると私なぞは考えるのだが、ある日突然「ゼレンスキー大統領国外逃亡」といったニュースが流れることになるのかもしれない。

とこういったことを書くと、直ぐに親ロシア親プーチンかとレッテルを張る人がいるけれども、私が言いたいのは、今回もまた日本が敗戦国側になるのは、火を見るより明らかであるということである。このロシアに対する経済制裁という決断が、今後の日本の外交上どれだけ国益を損ねることになるのかを考えると、空恐ろしい気がするが、急速に親ロシア・親中国・反米へと傾いているアラブ諸国との関係を考えれば、またもや日本には、日米開戦時と同じように、石油が入ってこない事にもなりかねない。

【日本崩壊政権】岸田外交は日本を石油危機に導く?! 中東産油国にとって日本の重要性は中国,韓国以下に転落!



また、麻生氏の台湾での発言にも見られるように、「台湾有事は日本有事」というのは自民党主流派の基本的な立場と言って良いだろうが、現在の極東情勢の中でロシアを反日にするということは、如何なる意味を持つのか考えているのだろうかという問いかけもむなしい気がするのは、私だけであろうか。

私自身は、「台湾有事」の可能性は限りなく低いと考えているが、何が起こるかわからないのが、歴史の恐ろしいところである。もしそういった事態を想定した場合、中国の身になって考えてみれば、中国一国だけで事を起こすとは考えにくい。むしろ、利害が一致する中国・北朝鮮・ロシアの三国同盟というのは当然に考えられるシナリオである。この三方に対応するだけの軍事力を、現在は兎も角、自衛隊に近い将来であっても持つことが出来るかどうか。増してや、石油が入ってこなくなったら・・・。

自民党主流派は、アメリカを当てにしているようにも見えるが、この点どう考えているのか、どうもよくわからない。これは私の推測であるので、誤解されないように釘をさして置きたいが、どうも日本政府は内々にアメリカから、期限付きで在日米軍撤退の通告を受けているように思われてならない。それが、軍事費増強ありき財源論後回しで遮二無二に軍事費増強に向かう理由であろうと私は邪推するのであるが、どう思われるであろうか。

勿論、その時期は在韓米軍撤退と機を同じくするはずで、その時日本は存亡の危機に立たされることになる。しかし、ピンチはチャンスでもある。それはまた、日本は属国から真の独立国として立つ絶好の機会でもあるということでもあって、その時日本は、果たしてそれにふさわしいリーダーを持つことが出来るのであろうか。




暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 3

2023-08-18 13:00:00 | トレンド・フォロー


さて、例によって、思考を再現してみよう。述べたように、青い線で引いてある2013年1月31日に付けた2560円を、2022年5月17日に上に抜けてきたので、エントリー。移動平均線の並びが、パーフェクト・オーダーになっているので、強いアップトレンドである。上値のとりあえずの目処は、これも前に述べたように青い線で引いてある4120円である。 0-200

5月24日 上髭陰線で5日移動平均線を割ったので、全ヘッジを入れる。200-200

6月8日 陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、その分買いを足す。0-400

6月13日 陰線で5日移動平均線を割る。上値を切り下げたので、レンジ入りしそうである。 100-400

6月15日 25日移動平均線を陰線で割り、5日移動平均線と25日移動平均線がデッドクロスするのはほぼ確実、つまりパーフェクト・オーダーが崩れ、レンジ入りが確実となったと判断。このあと、75日移動平均線も割れると大変であるが、75日移動平均線を割らなければ、基本アップトレンド目線である。ということで、何らかの変化があるまでは、しばらくは、ポジションは動かさないで、しばらくはレンジの上値、下値の見極めに注力することにする。

6月29日 再び5日移動平均線が25日移動平均線の上に出て、パーフェクト・オーダー復活。ヘッジを切って、買い増す。0-500

6月30日 すぐさま翌日に陰線で、5日移動平均線を割る。上値更新失敗。100-500

7月19日 再び25日移動平均線の下にもぐっていってから、5日移動平均線が再度25日移動平均線の上に出て、またまたパーフェクト・オーダー復活。日足も陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、買い増し。下値を切り上げているので、この後上値を更新するのかに注目。0ー600

7月25日 直近の上値は更新して上げて来たが、5月24日の高値を明確に超えられずに長い陰線で、5日移動平均線を割る。この時点で、点線で示したような上値・下値のレンジになっているのではないかと判断。ただし、5日移動平均線の傾きも上向きであるし、5日移動平均線と25日移動平均線の間隔が広がりだしているので、勢いは強いと判断できる。従って、多分、この下げ圧力は弱く、あまり下げないのではないかと思われた。さらに、5月24日以降の動きをみると、逆ヘッド・アンド・ショルダーになっていることも、こうした判断根拠を補強しよう。100-600

なお、基本アップトレンド目線なら、ちまちまヘッジを入れるようなことをせず、ロングも同様にちまちま増やすといったまどろっこしいやり方をせずに、下げ切ったところで、いっぺんにロングをまとめて入れれば良いのにと思われる人がいるかもしれないが、それは後講釈と言うものである。実際にはどこで下げ止まるのかは判らないし、大きく下げてダウン・トレンドへ転換していく可能性もあるので、このように上げ下げの動きの微妙な綾を読んで、ヘッジを入れたり外したりと、その時々の株価の動きに合わせてリスク管理をしながら、ポジションを動かしていくのが分割売買による両建てのやり方である。

利益面からみると、こういったレンジというのは、細かいマイナスをコツコツと積み重ねていくことになるが、レンジをブレイクしてトレンドが出たときにドカンと大きな利益が出るようなポジションを作っておくための準備期間と捉えることが重要である。言い換えると、目指すのは低勝率高損益比率型のトレード、俗にいうコツコツ(利益)・ドカン(損失)とは正反対の、言わば逆コツコツ(損失)・ドカン(利益)であって、大きく動く直前にどれだけ大きなポジションを作っておけるかどうかが肝である。


8月5日 その後上げて、5日移動平均線の上に出たが、再度レンジの上値に阻まれて下落、再び5日移動平均線の下にもぐっていってから、この日に初めて短いコマ陽線だが、日足の実態部分が下から5日移動平均線を抜けた。これは見逃してはならない兆候である。翌日は上がる可能性が高く、下値を切り上げることになるからである。これまでの5日移動平均線と25日移動平均線の絡み具合を見てみると、一回目の25日移動平均線に対しての5日移動平均線の下へのもぐり方よりも、2回目のもぐり方のほうが浅くなっているのが判るだろう。そして、翌日上がれば、今回は5日移動平均線が25日移動平均線を割らないで上がっていくことになる。多分、株価だけを見ている人にはこうしたことは、判らないであろうが、株価の位置的には、レンジの半分よりは上の位置であっても、ここは確率の高い上昇に賭けるべきクリティカル・ポイントである。0ー700

8月8日 週明けの翌日、大きく窓を開けて上昇、コマ陽線。ザラ場は見ない、翌日寄り付きの売買なので、どうやら一日遅れる形になったようだ。これは仕方がない。上値目安4120円が近づいてきたので、ここからの動きは要注意である。

8月9日 非常に長い上髭コマ陽線、いわゆるピンバー。上髭の中に4120円があるが、これは4120円を大きく抜けて上昇していったが、結局押し戻されて、4120円より下で終わったということを示していて、天井を打ったことを強く示唆している。更に注目すべきは、異常とも言える巨大な出来高である。これは、マーケットメイカーが売っている何よりの証拠で、ここは断固として手仕舞いするところである。0-0

なお、一瞬、売りを入れてドテンしようかとも考えたが、リスクが高いので、止めておいた。結果としては、この後下げて行って、この判断は正解だった訳だが、それは結果論と言うもので、上昇しだして3日しか経っていないので.、この後上がっていく可能性も十二分にあったからである。SNSには、こういった丁半博打的後講釈が溢れているが、言うまでもないことであるが、プロのギャンブラーはその名に反して決してギャンブルをしないものである。また、ここで、全部を利確しないで、ポジションをスクウェアにして、例えば100-100といったポジションにして対応していくという手もあるが、エントリーから丸々3カ月近く経っていることも、手仕舞いした理由である。それは、マインド・マネージメントの観点からで、このように一旦の区切りを入れないでだらだらと続けていくと、緊張感が薄れ、大ポカー大きな判断ミスをやり勝ちだからである。

8月15日 上下に髭のコマ陽線であるが、5日移動平均線の下に出たので、試し玉を入れる。100-0

8月19日 5日移動平均線の上に陽線で抜けたので、買いヘッジを入れる。この後、上値を切り下げるかどうかに注目。100-100

8月31日 その後、5日移動平均線の下にもぐって来たが、日足の実体がなく動きがほとんどない、はっきりしない日が2日続いて、様子見をしていたが、5日移動平均線が下げてきて、日足同様5日移動平均線も上値を切り下げたので、これでダウン・トレンドが明確になった。ヘッジを切って本玉を入れる。400-0

9月6日 5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。5日移動平均線が25日移動平均線の下に潜り込んできた。400-100

9月8日 十字線ではあるが、5日移動平均線の下にもぐって来たので、ヘッジを外す。500-0

9月16日 図に引いて置いた指示線を割り、25日移動平均線もダウン・トレンドに入って来たので、売り増し。600-0



10月14日 その後順調に下げて来て、一旦十字線で5日移動平均線の上に出たが、すぐ翌日に割って下がっていき、この日に陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。600-100

10月21日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを外す。700-0

10月24日 週明け、5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。700-100

10月27日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを外す。なお、下値の目処は前に述べた以前の高値2560円、それにその下にある300日移動平均線である。多くのチャートを見てもらえれば確認できるが、この300日移動平均線がサポートラインやレジスタンスラインになっているケースが結構多い。それだけマーケットメイカーに強く意識されている重要なラインである。 800-0

10月31日 前日10月28日は大陰線で2560円もあっさりと抜け、この日はピンバーで髭が300日移動平均線に刺さった形になっている。出来高も突出して多い。従って底を打ったと判断したが、ここであることに気づいた。動きは逆だが、天井を打った時と絵に描いたように相似形になっている。これは、この銘柄の背後で蠢いているマーケットメイカーのやり口の癖、というか特徴を物語っているように私は思われるのだが、どう思われるだろうか。従って、下げが急だったこともあり、ここでのリバウンドを取ってみる気になった。ドテンして試し玉を入れる。0-100

11月8日 上がってきて、5日移動平均線の上に出てきたのに伴って、5日移動平均線もV字回復。なので、この日に初めて短いコマだが陽線が出たので買いを足す。0-200

11月18日 5日移動平均線を陰線で割ったので、ここで終了(1回目)。0-0