ものぐさ屁理屈研究室

誰も私に問わなければ、
私はそれを知っている。
誰か問う者に説明しようとすれば、
私はそれを知ってはいない。

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 13

2024-08-25 07:00:00 | トレンド・フォロー
今回の調整は、225・topix共に月足で見るとなかなかとエグいピンバーになっている。やはり4万円奪還となりそうである。

225月足

topix月足


さて、まだトレードは終わってはいないが、この後は5日移動平均線を割ったらエグジットする最終工程だけなので、少し早いが再現してみよう。



6月26日 図のようにレンジを、出来高を伴って上に抜けたのでエントリー。0-10

7月2日 上値の目処は前の高値だが、早め早めにツナギ売りを入れて利益を確定していく算段である。酒田新値5本目なので、2-8

7月9日 酒田新値7本目、出来高を伴って吹いたので、ここでスクウェアにする。第一工程完了。5-5

7月12日 大きく下げて、陰線で5日移動平均線を割ったので、買いを外し売りを増やしていく。7-3

7月18日 大きく下げる。25日移動平均線を下に抜けるかに注目。10-0

7月25日 結局25日・50日・75日・100日移動平均線を難なく抜けて大きくギャップ・ダウン。そろそろ戻りがありそうだし、出来高が突出して大きいので、一旦リバウンドすると判断、半分を利確。日柄は10日目なので、底打ちにはまだ早く、買いは入れない。5-0

7月31日 5日移動平均線が水平になり、長い陽線で上に抜けたのでヘッジを入れる。5-2

8月1日 翌日、直ぐに5日移動平均線を陰線で下に抜けたので、ヘッジを外す。7-0

8月5日 300日移動平均線も突破し、長い陰線。この2日間の下げは凄まじい。出来高も前回の底打ち時よりも大きく底打ちを示唆しているが、日柄が17日とまだ早いので半分の4を利確するに留め、買いはまだ入れないで置く。例によって残りの3に、この日の高値21725+1の21726にストップを入れて置く。

8月6日 あらら、上髭にストップが引っ掛かり、0-0。やれやれ。しかし、ここは「我事に於て後悔せず」である。

8月7日 長い陽線。出来高も最大で、終値で8月5日から2割(普通は1割が目安)逆行しているので明らかに底打ちと思われるが、日柄は19日目なのでちと早い。日足が5日移動平均線に掛かってきているが、5日移動平均線の傾きがまだ急なので、エントリーは見送って、様子見。

8月9日 陰線だが、下髭で5日移動平均線に支えられている形になっていて、実体部分が5日移動平均線の上に出たので、ここでエントリー。0-2

8月13日 週明け、ギャップ・アップして陽線。5日移動平均線もV字回復で相当に強い。暴落時にこのように5日移動平均線が鋭角のV字になるのは珍しく、こういう時は得てして「行ってこい」の場合が多い。つまり、2番底の可能性は殆どないと見てよい。0-4

8月14日 下髭が長い十字線。強いが「乗せ」はあまり増やさないで置くのが鉄則なので、ここで打ち止め。0-5

ということで、現在は述べたように5日移動平均線を割らない限りホールドして、上昇について行くだけの状態になっている。今回の暴落については円キャリーの巻き戻しだとか、植田ショックだとか、都知事剥離骨折ショック(嘘、笑)だとか、色々と言われているが、私に言わせるとそれらは皆後講釈で、<利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか>と小林秀雄に倣って言いたくもなる。

改めてリバモアの言葉の凄さを見せつけられた暴落であったと思う。ま、ポジション・トークですけどね。

株価を動かす要因が何か、多大の時間をかけて答えを見つけようとするのは愚かである。株価が変動する姿にのみ意識を集中させよ。変動の理由に気をとられてはならない。>(ジェシー・リバモア

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 12

2024-08-06 07:00:00 | トレンド・フォロー
今回の暴落について、したり顔で暴落の原因がどうとか、暴落の責任犯捜しとか、例によってマスコミやSNSが騒がしいが、今更のように市場というのは戦場であると思った次第。

今回は引用だけ。小林秀雄の言葉


今日の様な批評時代になりますと、人々は自分の思い出さえ、批評意識によって、滅茶滅茶にしているのであります。戦に破れた事が、うまく思い出せないのである。その代り、過去の批判だとか清算だとかいう事が、盛んに言われる。これは思い出す事ではない。批判とか清算とかの名の下に、要するに過去は別様であり得たであろうという風に過去を扱っているのです。
・・・・
 戦の日の自分は、今日の平和時の同じ自分だ。二度と生きてみる事は、決して出来ぬ命の持続がある筈である。無智は、知ってみれば幻であったか。誤りは、正してみれば無意味であったか。実に子供らしい考えである。軽薄な進歩主義を生む、かような考えは、私達がその日その日を取返しがつかず生きているという事に関する、大事な或る内的感覚の欠如から来ているのであります。
>(『私の人生観』


宮本武蔵の「独行道」のなかの一条に「我事に於て後悔せず」という言葉がある。これは勿論一つのパラドックスでありまして、自分はつねに慎重に正しく行動して来たから、世人の様に後悔などはせぬという様な浅薄な意味ではない。今日の言葉で申せば、自己批判だとか自己清算だとかいうものは、皆嘘の皮であると、武蔵は言っているのだ。そんな方法では、真に自己を知る事は出来ない、そういう小賢しい方法は、むしろ自己欺瞞に導かれる道だと言えよう、そういう意味合いがあると私は思う。
・・・・
 昨日の事を後悔したければ、後悔するがよい、いずれ今日の事を後悔しなければならぬ明日がやって来るだろう。その日その日が自己批判に暮れる様な道を何処まで歩いても、批判する主体の姿に出会う事はない。別な道がきっとあるのだ、自分という本体に出会う道があるのだ、後悔などというお目出度い手段で、自分をごまかさぬと決心してみろ、そういう確信を武蔵は語っているのである。
・・・・
 それは、今日まで自分が生きて来たことについて、その掛け替えのない命の持続感というものを持て、という事になるでしょう。そこに行為の極意があるのであって、後悔など、先き立っても立たなくても大した事ではない、そういう極意に通じなければ、事前の予想も事後の反省も、影と戯れる様なものだ、とこの達人は言うのであります。行為は別々だが、それに賭けた命はいつも同じだ、その同じ姿を行為の緊張感の裡に悟得する、かくの如きが、あのパラドックスの語る武蔵の自己認識なのだと考えます。
>(『同』


僕は政治的には無智な一国民として事変に処した。黙って処した。それについて今は何の後悔もしていない。大事変が終った時には、必ず若しかくかくだったら事変は起らなかったろう、事変はこんな風にはならなかったろうという議論が起る。必然というものに対する人間の復讐だ。はかない復讐だ。この大戦争は一部の人達の無智と野心とから起ったか、それさえなければ、起らなかったか。どうも僕にはそんなお目出度い歴史観は持てないよ。僕は歴史の必然性というものをもっと恐しいものと考えている。僕は無智だから反省なぞしない。利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか。>(『コメディ・リテレール 小林秀雄を囲んで』


暴落はトレンド、トレンドはフレンド 11

2024-08-04 17:00:00 | トレンド・フォロー


以前に、方針はすでに決めてあって、それは「ツナギ」を入れながらの両建てによる「売り上がり」で、リスク・マネージメント最優先で、ドテン狙いと書いたが、現在まで図のような売買経過となっている。

ここでは、「ツナギ」を入れながらの「売り上がり」に重点を置いて説明をしたいと思う。なお、売買したのは1570日経平均レバレッジETFで、結局、休みを入れられなかったということである。ポジポジ病は、なかなか治りませんなあ。

3月18日 5日移動平均線が25日移動平均線と重なったところで、大きな出来高を伴って長い陽線が出たので、ここは明らかにエントリー・ポイント。翌日寄り成りで0-10。

ここから、上昇すれば、ツナギを売り上がりで入れて行き、理念型で言えば取り敢えずは10-10のスクウェアを目指す訳である。これが第一工程。ここまでが上手くいけば、この時点で、利益は固定されることになるので、この後、上がろうが下がろうが問題ない訳である。最も信用分の金利手数料は取られることにはなるが。

そして、この後第二工程として、株価の動きを見ながら、買いを外して行って下げを取る訳だが、どうも無理っぽいと思えば、この第二工程は省いても良い。つまり、売り買いの玉を同時に手仕舞ってしまえばよい。買いが現物なら現渡しで清算すればよい訳である。

つまり、リスク・マネージメント最優先というのは、こういった利点があるからで、売ってしまわないで、ツナギを入れるなどという、なんでこんな複雑なことをやるのかというと、こうやって利益を確保・固定して、難しい局面を切り抜けて行くことが出来るからである。

例えば、10-10のスクウェアにした時点で下げを予想している訳だが、このあと踏みあげられて上がっていった場合でも、清算しないで、じっくりと待って下げだしたのを確認してから、売りを増やすなり、買いを外すなりをしていっても良い訳である。

言い換えると、これには地合いを読む技術と分割して玉を増減させるポジション・ワーク技術が必要とされる訳で、よくあるような片張りの一撃必中一点集中買いといったやり方とは、対極にある徐々に分割して売買してゆく方法である。

4月1日 長い陰線で5日移動平均線を上から下に抜ける。この日の陰線一本だけで上値と下値を切り下げたことになるので、ダウン・トレンド確定。5日移動平均線も右肩下がりになって来ているので、一先ず天井を打ったようだ。7-3

4月5日 前日に5日移動平均線の上に出たが、終値では結局超えらずにこの日に下値を更新。10-0

4月9日 5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。10-2

4月15日 5日移動平均線に絡んでちゃぶついていたが、この日に短い陽線だが、5日移動平均線から下に離れたので、12-0。50日移動平均線に当たって跳ね返っているようにも見えるが、5日移動平均線と25日移動平均線の間隔が開き出しているので、まあ、大丈夫だろうと判断。

4月19日 下がってきて長い陰線、下髭が100日移動平均線に当たって跳ね返されたように見えること、25日移動平均線、75日移動平均線という節目で跳ね返ることなく下げてきたのでそろそろ反発しそうに思われること、最近にない巨大な出来高であることから底を打ったと判断、ここでエグジット。0-0

このあと、6月26日に再度エントリーしているが、これは現在も継続中なので、終わってからまた説明したいと思うが、基本的な考え方は同じである。

今回は5日移動平均線の傾きから言っても、前回と違って暴落と言って良いが、一番下の300日移動平均線で跳ね返されるかどうかに注目、また日柄から言えば、来週の後半または再来週の前半辺りが底打ちになると思われる。





暴落はトレンド、トレンドはフレンド 10

2024-05-05 15:00:00 | トレンド・フォロー
空売りのセット・アップとして天井を付ける形には色々あって、その典型はヘッド・アンド・ショルダーであるが、今回はダブル・トップの事例で、以下は現在いくつかショートしている内の、最近エグジットした2つの個別株のケースである。



1つ目は、7342ウェルスナビ。



3段上げでダブル・トップを付け、3月5日に5日移動平均線を下に抜けたので、例のごとく翌朝寄り成りでエントリー。5000-0

なお、後で挙げる7003三井ESほど明確ではないので図にラインは引かなかったが、過去20年の4月と8月に、ここら辺りで2回天井を打っていることも、エントリーの理由の一つである。つまり、ここら辺りにレジスタンス・ゾーンがあると想定される訳だ。

週足

利確ターゲットの目安は、ネックラインが2076なので、レフト・トップの2500、ライト・トップの2420という数字から計算すると、それぞれ1652、1732という目標値が出てくるが、上昇時に窓を開けているので、これを埋めることが出来るかどうかも頭に入れて置く必要があろう。

3月21日 ずっと下げて来て、3月15日に1755円で一旦底を打って、5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。まだ目標値に達していないので、下げ目線。5000-1000

3月25日 5日移動平均線を陰線で下に抜けたので、ヘッジを切ってその分売りを増やす。6000-0

3月29日 前日に1636円を付け目標値に到達。ここで利確したテクニカル・ショーターが多いためと思われるが、この日は大きく上げて5日移動平均線の上に出た。しかし、5日移動平均線の傾きが今だ急であるので、まだ下げるのではないか、従って青い100日移動平均線で跳ね返される可能性も十二分にあると考え、下げ目線継続。ということで、ヘッジを入れると共に、売りも追加。7000-1000

4月1日 やはり、100日移動平均線で跳ね返され、5日移動平均線を陰線で下に抜ける。ヘッジを切ってその分売りを増やす。8000-0

4月19日 その後、下げて来て、黒い300日移動平均線を抜けられずに跳ね返され、陽線で5日移動平均線の上に抜ける。5日移動平均線もほとんど水平になって来たし、すでに日柄もエントリーから33日も経っているので、ここでエグジット。0-0

終わってみれば、地合いにも恵まれたせいか、大きな戻りもなく、非常にやり易かったトレードであった。


次は、バズッたというべきか、何かと話題の7003三井ES。



3月8日 普通は5日移動平均線を割ったのを確認してからエントリーするが、いささかフライング気味にエントリー。話題になっていた銘柄だけあって、出来高が多いので、スケベ心を出して、ロットを少しばかり上げているが、後になって考えてみるといささか前のめりであったように思う。10000-0

それは、これも3段上げで綺麗なダブル・トップになっているということもあるが、それだけでなく、チャートに引いておいた青い線のレジスタンス・ラインで、2度もオーバー・シュートして、結局戻されてダブル・トップになったように見えるからである。というのはこのラインで過去に2度、2009年8月31日に2640円、2014年11月28日に2600円で天井を打っているからで、つまり、このレジスタンス・ラインで都合4度跳ね返されているということに成る訳である。

月足
目標値は、計算上1936と1928になる。これも窓を開けているので、窓を埋めるかどうか、また窓明け後にちゃぶついているところー小さなボックス(オレンジで図示)も抵抗帯になると思われるので、ここら辺りで一旦戻しが入りそうである。

3月11日 5日移動平均線を割り、大きな陰線。フライング気味のエントリーだったので、やった!というよりも、少しホッとしたというのが、この時の偽らざる心境。

3月12日 1800円まで下げ、あっさりと目標値に達するが、日柄から言ってもまだ下げの序の口、上下に髭をつけた短い陽線で終わったのは、テクニカル・ショーターの手仕舞いであろうか。

3月18日 あまり下げずに、5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。なかなかと強く感じられたので、ヘッジを多めに入れる。やはり、ボックスが抵抗帯になっているようだ。10000-3000

3月26日 大きな陽線。酒田新値2本目なので、ツナギを入れる。13000-3000 つまり3月18日に入れた買いの3000に対して売りの3000でツナギを入れたという恰好である。

酒田新値について、詳しくは以下の本を参照されたい。



3月28日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを切って売りを追加。16000-0

4月8日 結構下げてから陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れると共に、5日移動平均線の上に出るのが2度目なので、6000を利確。10000-3000

4月12日 25日移動平均線を超えられずに、5日移動平均線を陰線で割る。弱い。13000-0

4月24日 3段下げ完了で、あまり下げないで、5日移動平均線の上に出た。これも日柄としては33日経っているので、ここでエグジット。0-0

終わってみると、7342ウェルスナビと比べて、あまり下げず、やはりと言うべきか、シクリカル銘柄の強さを体感したトレードだったと言わざるを得ない。或いは次の上昇相場を牽引する先導株になるのかも知れないとも思われるので、監視銘柄に入れて置く。

Oliver Kell’s Price Cycle Mastery

2024-02-20 21:00:00 | トレンド・フォロー


前に紹介した、2020年の→Financial Competitionsで+ 941.1%という新記録を打ち立てて優勝したOliver Kellによる「Price Cycle Mastery」という 無料講座がtraderlionで始まった。

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100% FREE Model Book + Email Courseということで、EBookのテキストと7日間毎日送られてくる解説Emailという講座形式で、まだ全部のメールを受け取っていないが、EBookの内容と最初のメールの概略説明から見て、かなり良質のコンテンツであることは間違いない。

勿論、最後には高額な有料講座への誘導もあるが、著書の「Victory in Stock Trading Strategy and Tactics 」と比べてみても、ふむふむ、無料でここまで出すのかといった、かなり出し惜しみしない内容で、これだけでも彼がどのように「Price Cycle 」をテクニカルに解析しているのかが、十二分に理解できる内容である。

ただ、かなり凝縮された内容なので、テクニカルの基本的な素養の無い人には、こうした高度な応用は、その本質を理解するという意味で、かなり難しいかも知れないが、手元に置いておいて時間をかけて何回も読み直せば、多くの発見があろう。また当然に英文であるが、英語が苦手な人には、AI翻訳でどうにかなるだろう。

いつ打ち切られるか判らないので、興味のある方は、今のうちに手に入れて置くことをお勧めする。

暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 4

2023-08-27 15:00:00 | トレンド・フォロー


さて、二度目は上の図のように、年が明けて2023年2月14日に再度エントリーした訳だが、同じような説明をだらだらと続けても面白味がないので、今回は省いて、この天井でのドテン売りについて、私が考えている意味合いについて少し述べてみたい。

これまで暴落・暴騰時のトレードについて述べて来た。その中で、トレンド・フォローといった言い方をしてきた訳だが、私が言うトレンド・フォローとは、通常言われているトレンド・フォローとは少しく異なるということは、ここで強調しておきたいと思うのである。

通常言われているトレンド・フォローとは、アップ・トレンドにせよダウントレンドにせよ、言わば片張り的思考に基づいた一方向のトレンドにだけ追随する単眼思考的トレンド・フォローであるのに対して、私の言うトレンド・フォローとは、両張り的思考に基づいた双方向のトレンドに追随する複眼思考的トレンド・フォローである。と、こうやって言語化して言葉にしてみると何やらややこしい複雑な技法のようだが、要はドテン売り、ドテン買いのことである。これは、その狙い撃ちするターゲットが、現在のトレンドだけではなく、方向転換後のトレンドまでをも射程に含むトレンド・フォローであると言い換えたら解り易いだろうか。


議論の前提として、同じような分類を述べている投資家も多いが、対比の意味で都合が良いので、ここではミネルヴィニの4つのステージ・サイクル分類を見てみたい。







第1ステージ 底固め局面ー無関心

特徴
・横ばいに動く
・株価は200日移動平均線の近くで上下する
・第4ステージで株価が数カ月以上も下げた後に、この横ばいのステージに入ることがよくある
・出来高は減って、前の第4ステージを比べても少ない

*複利効果を最大限に発揮するため、株を買った後に素早く上昇する銘柄に集中することが重要。第1ステージでは、どれほど魅力ある銘柄でも買うのは避けるべき。たとえ会社のファンダメンタルズが興味をそそるものでも、待って、第2ステージで買うこと。

第2ステージ 上昇局面ー機関投資家の買い集め

特徴
・株価は200日移動平均線を上回る
・200日移動平均線自体も上昇トレンド
・150日移動平均線が200日移動平均線を上回る
・株価は高値と安値を段階的に切り上げている
・株価が大きく上昇する日や週には出来高が急増し、押し目の期間では出来高が減る
・下落する日や週よりも上昇する日や週の時に平均以上の出来高になる

*株を買うなら明らかな上昇トレンドにあるこの時期に行う。機関投資家の買い集めを味方につけて上昇の波に乗る。底値からはだいぶ高くなっているかもしれないが問題はない。底値は過去情報、株価は将来の情報を見て動く。

第3ステージ 天井圏ー機関投資家の売り抜け

特徴
・株価は不安定になり、ボラティリティが高まる
・上昇トレンドに見えるが株価の動きは第2ステージと比較してはるかに不規則下
・出来高を伴って大きく下にブレイクする
・株価は200日移動平均線を下抜くかもしれない
・200日移動平均線は上方への勢いを失って横向き

*機関投資家による極端な買い集めはもうなく、売り抜け局面にある。個人投資家など弱い買い手が株価を支えている状況であるため、ボラティリティも高くなる。

第4ステージ 下落局面ー投げ売り

特徴
・株価は200日移動平均線を下回る
・200日移動平均線は、明らかな下降トレンド
・株価は52週安値を付けているか、そこに近い
・株価は安値と高値を段階的に切り下げている
・150日移動平均線が200日移動平均線を下回る
・株価が大きく下落する日や週は出来高が急増し、戻りでは出来高が減る
・上昇する日や週よりも下落する日や週は平均以上の出来高になる

*第4ステージの株価と出来高の特徴は、基本的に第2ステージの逆で、下げる日に出来高が増え、上げる日には出来高が減る。株価が第4ステージにある間は、買いは絶対に控える。












ミネルヴィニは、時にはカラ売りもやるようだが、基本的には上昇を取る、買いによる片張り手法なので、最も効率の良い第2ステージに特化すべきだと言っている。彼の目覚ましい成績は、この第2ステージに特化したところによるところが大きいと言えよう。彼の成功要因は、この第2ステージを見極める厳格な相場認識技術とシビアなリスク・マネージメント、それに加えて、永年の鍛錬による鋭敏な変動感覚がものを言っているように、私には思われる。

この意味で、前に紹介した彼が優勝を飾った2021年チャンピオンシップでのトレードについて、利確を早めるように<手法の範囲内での戦略の調整>をしたと言っているのは、見逃してはならない。

<私が投資のチャンピオンシップで優勝した2021年はとても難しい年だった。同年2月に銘柄の動きにシフトを感じた。つまり「ブレークアウトしてもそこから長続きしないこと」。だから私は短期での上昇の強みで売ることにした。手法の範囲内での戦略の調整はこれのみだったかな。>

この<調整>の理由として、<同年2月に銘柄の動きにシフトを感じた>からだと述べているが、こういった鋭敏な変動感覚による<調整>というものは、恐らく傑出した投資家であれば、誰もがやっている事であろうと想像する。また、逆に言えば、こういった相場の微妙な変化・差異に対する柔軟な<調整>能力の有無こそが、そうでない投資家と傑出した投資家とを分ける分水嶺になるのではないか、そう私は考えるのであるが、どう思われるであろうか。

ここで思い出すのは、長嶋茂雄(プロ野球選手)が、他人のバットでホームランを打ったというエピソードである。これには「弘法筆を選ばず」などいろいろな解釈が出来ようが、その日の自分の体調・調子と相手投手の投球内容・調子という二つの相対する条件の組み合わせに対する最適解として、その日の条件に最も適合したバット=自分のバットではない他人のバットを、あえて使ったのではないかと私は想像するのだが、どう思われるであろうか。普通では思いつかない他人のバットを使うというのは、まさに天才的な、微妙な変化や差異に対する柔軟な<調整>であった訳である。


ミネルヴィニ先生の米国株より)


それは兎も角、このミネルヴィニの4つのステージ・サイクルに共感を持って同意する人は多いと思うが、私が言いたいのは、これまで説明してきた天井でのドテン売りというのは、この第2ステージから第3ステージを経て第4ステージまでを取る、非常に効率の良い、エグイやり方であるということである。

言うまでもないことだが、ミネルヴィニが第2ステージに特化すべきだと言うのは、買いによる片張りを前提とした話であって、それに加えて第3ステージ、第4ステージも取ることも出来るので、その優位性は成果共々凄まじいものがあると言いたい訳である。まあ、理屈から考えても、ミネルヴィニの成績を上回ることは十二分に可能であることは、言うまでもないだろう。

これに比べると、天井でのドテン売りの逆パターン、大底でのドテン買いというのは、「底練り」という言葉があるように第1ステージを含んでいるので甚だ効率が悪く、私も決して手は出さないようにしている。その例外は暴落時で、これはリバウンドが付きものなので甚だ効率が良い。従って、こういったステージ・サイクル理解に基づけば、一般に広く行われているボトム・フィッシングというのは、最も非効率なやり方だということになる。

ところが、これまで多くの投資本を読み、主要な投資本は大体網羅してきた私の経験から言うと、こういったステージ・サイクル理解は広く共有されているのにも関わらず、ほとんどの投資本で説かれているのは、買い一辺倒の片張り手法に偏っているのが実情である、と残念ながら言わざるを得ない。つまり、そのターゲットはステージ・サイクルの内の第1ステージから第2ステージだけを対象にしている訳で、前に信用口座の開設率は30%ほどという数字を引いたが、この数字と株式投資における勝者の割合の数字(10%くらいから、実はもっと少なくほんの数%しかいないなどと色々言われているが、実際のところは判らない。証券会社は明確に数字を把握していると思うが、営業政策上マイナスの宣伝効果しかないので、今後も公表されることはないであろう)は、勿論、相関関係があろう。個人的には、因果関係があると断言しても、全く差し支えないとさえ考えているけれども。

といったようなことで、結局のところ、述べてきたような4つのステージ・サイクルを前提に考えれば、第2ステージから第3ステージを経て第4ステージまでを取るのが、最も経済的合理性に叶ったやり方ではないだろうか、というのが私のポジション・トークである(笑)。


それにしても、林輝太郎氏によれば、この「つなぎ売買」(なお、「うねり取り」「リズム取り」という呼称もあるが、私は「うねり」や「リズム」の定義が明確ではないので、あまり好きではない。これらは悪い呼び方である。)という相場技法は、西洋人の発想には見られないもので、先物同様、すでに江戸時代の米相場において生み出されていたということであるが、こうした日本人の先人の叡智には、計り知れないものがると思わざるを得ない。同じ血を引く日本人として、ぜひ、この「つなぎ売買」による、天井でのドテン売りという両建てによる相場技法を身に着けて頂きたいと思う次第である。成功を祈る。






暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 3

2023-08-18 13:00:00 | トレンド・フォロー


さて、例によって、思考を再現してみよう。述べたように、青い線で引いてある2013年1月31日に付けた2560円を、2022年5月17日に上に抜けてきたので、エントリー。移動平均線の並びが、パーフェクト・オーダーになっているので、強いアップトレンドである。上値のとりあえずの目処は、これも前に述べたように青い線で引いてある4120円である。 0-200

5月24日 上髭陰線で5日移動平均線を割ったので、全ヘッジを入れる。200-200

6月8日 陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、その分買いを足す。0-400

6月13日 陰線で5日移動平均線を割る。上値を切り下げたので、レンジ入りしそうである。 100-400

6月15日 25日移動平均線を陰線で割り、5日移動平均線と25日移動平均線がデッドクロスするのはほぼ確実、つまりパーフェクト・オーダーが崩れ、レンジ入りが確実となったと判断。このあと、75日移動平均線も割れると大変であるが、75日移動平均線を割らなければ、基本アップトレンド目線である。ということで、何らかの変化があるまでは、しばらくは、ポジションは動かさないで、しばらくはレンジの上値、下値の見極めに注力することにする。

6月29日 再び5日移動平均線が25日移動平均線の上に出て、パーフェクト・オーダー復活。ヘッジを切って、買い増す。0-500

6月30日 すぐさま翌日に陰線で、5日移動平均線を割る。上値更新失敗。100-500

7月19日 再び25日移動平均線の下にもぐっていってから、5日移動平均線が再度25日移動平均線の上に出て、またまたパーフェクト・オーダー復活。日足も陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、買い増し。下値を切り上げているので、この後上値を更新するのかに注目。0ー600

7月25日 直近の上値は更新して上げて来たが、5月24日の高値を明確に超えられずに長い陰線で、5日移動平均線を割る。この時点で、点線で示したような上値・下値のレンジになっているのではないかと判断。ただし、5日移動平均線の傾きも上向きであるし、5日移動平均線と25日移動平均線の間隔が広がりだしているので、勢いは強いと判断できる。従って、多分、この下げ圧力は弱く、あまり下げないのではないかと思われた。さらに、5月24日以降の動きをみると、逆ヘッド・アンド・ショルダーになっていることも、こうした判断根拠を補強しよう。100-600

なお、基本アップトレンド目線なら、ちまちまヘッジを入れるようなことをせず、ロングも同様にちまちま増やすといったまどろっこしいやり方をせずに、下げ切ったところで、いっぺんにロングをまとめて入れれば良いのにと思われる人がいるかもしれないが、それは後講釈と言うものである。実際にはどこで下げ止まるのかは判らないし、大きく下げてダウン・トレンドへ転換していく可能性もあるので、このように上げ下げの動きの微妙な綾を読んで、ヘッジを入れたり外したりと、その時々の株価の動きに合わせてリスク管理をしながら、ポジションを動かしていくのが分割売買による両建てのやり方である。

利益面からみると、こういったレンジというのは、細かいマイナスをコツコツと積み重ねていくことになるが、レンジをブレイクしてトレンドが出たときにドカンと大きな利益が出るようなポジションを作っておくための準備期間と捉えることが重要である。言い換えると、目指すのは低勝率高損益比率型のトレード、俗にいうコツコツ(利益)・ドカン(損失)とは正反対の、言わば逆コツコツ(損失)・ドカン(利益)であって、大きく動く直前にどれだけ大きなポジションを作っておけるかどうかが肝である。


8月5日 その後上げて、5日移動平均線の上に出たが、再度レンジの上値に阻まれて下落、再び5日移動平均線の下にもぐっていってから、この日に初めて短いコマ陽線だが、日足の実態部分が下から5日移動平均線を抜けた。これは見逃してはならない兆候である。翌日は上がる可能性が高く、下値を切り上げることになるからである。これまでの5日移動平均線と25日移動平均線の絡み具合を見てみると、一回目の25日移動平均線に対しての5日移動平均線の下へのもぐり方よりも、2回目のもぐり方のほうが浅くなっているのが判るだろう。そして、翌日上がれば、今回は5日移動平均線が25日移動平均線を割らないで上がっていくことになる。多分、株価だけを見ている人にはこうしたことは、判らないであろうが、株価の位置的には、レンジの半分よりは上の位置であっても、ここは確率の高い上昇に賭けるべきクリティカル・ポイントである。0ー700

8月8日 週明けの翌日、大きく窓を開けて上昇、コマ陽線。ザラ場は見ない、翌日寄り付きの売買なので、どうやら一日遅れる形になったようだ。これは仕方がない。上値目安4120円が近づいてきたので、ここからの動きは要注意である。

8月9日 非常に長い上髭コマ陽線、いわゆるピンバー。上髭の中に4120円があるが、これは4120円を大きく抜けて上昇していったが、結局押し戻されて、4120円より下で終わったということを示していて、天井を打ったことを強く示唆している。更に注目すべきは、異常とも言える巨大な出来高である。これは、マーケットメイカーが売っている何よりの証拠で、ここは断固として手仕舞いするところである。0-0

なお、一瞬、売りを入れてドテンしようかとも考えたが、リスクが高いので、止めておいた。結果としては、この後下げて行って、この判断は正解だった訳だが、それは結果論と言うもので、上昇しだして3日しか経っていないので.、この後上がっていく可能性も十二分にあったからである。SNSには、こういった丁半博打的後講釈が溢れているが、言うまでもないことであるが、プロのギャンブラーはその名に反して決してギャンブルをしないものである。また、ここで、全部を利確しないで、ポジションをスクウェアにして、例えば100-100といったポジションにして対応していくという手もあるが、エントリーから丸々3カ月近く経っていることも、手仕舞いした理由である。それは、マインド・マネージメントの観点からで、このように一旦の区切りを入れないでだらだらと続けていくと、緊張感が薄れ、大ポカー大きな判断ミスをやり勝ちだからである。

8月15日 上下に髭のコマ陽線であるが、5日移動平均線の下に出たので、試し玉を入れる。100-0

8月19日 5日移動平均線の上に陽線で抜けたので、買いヘッジを入れる。この後、上値を切り下げるかどうかに注目。100-100

8月31日 その後、5日移動平均線の下にもぐって来たが、日足の実体がなく動きがほとんどない、はっきりしない日が2日続いて、様子見をしていたが、5日移動平均線が下げてきて、日足同様5日移動平均線も上値を切り下げたので、これでダウン・トレンドが明確になった。ヘッジを切って本玉を入れる。400-0

9月6日 5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。5日移動平均線が25日移動平均線の下に潜り込んできた。400-100

9月8日 十字線ではあるが、5日移動平均線の下にもぐって来たので、ヘッジを外す。500-0

9月16日 図に引いて置いた指示線を割り、25日移動平均線もダウン・トレンドに入って来たので、売り増し。600-0



10月14日 その後順調に下げて来て、一旦十字線で5日移動平均線の上に出たが、すぐ翌日に割って下がっていき、この日に陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。600-100

10月21日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを外す。700-0

10月24日 週明け、5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。700-100

10月27日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを外す。なお、下値の目処は前に述べた以前の高値2560円、それにその下にある300日移動平均線である。多くのチャートを見てもらえれば確認できるが、この300日移動平均線がサポートラインやレジスタンスラインになっているケースが結構多い。それだけマーケットメイカーに強く意識されている重要なラインである。 800-0

10月31日 前日10月28日は大陰線で2560円もあっさりと抜け、この日はピンバーで髭が300日移動平均線に刺さった形になっている。出来高も突出して多い。従って底を打ったと判断したが、ここであることに気づいた。動きは逆だが、天井を打った時と絵に描いたように相似形になっている。これは、この銘柄の背後で蠢いているマーケットメイカーのやり口の癖、というか特徴を物語っているように私は思われるのだが、どう思われるだろうか。従って、下げが急だったこともあり、ここでのリバウンドを取ってみる気になった。ドテンして試し玉を入れる。0-100

11月8日 上がってきて、5日移動平均線の上に出てきたのに伴って、5日移動平均線もV字回復。なので、この日に初めて短いコマだが陽線が出たので買いを足す。0-200

11月18日 5日移動平均線を陰線で割ったので、ここで終了(1回目)。0-0



暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 2

2023-08-11 12:00:00 | トレンド・フォロー
次は、個別株の場合である。

これは1518三井松島ホールディングスの月足チャートであるが、青い線で引いてある2013年1月31日に付けた2560円を、2022年5月17日に上に抜けてきた。このような鋭角に上がって鋭角に下げている過去の天井は節目として、要注意である。ここを抜けて来たと言うことは、長期の上昇トレンドに入ったと見ることが出来る。同じように、これも青い線で引いて置いたが、上値の節目として、2008年5月30日に付けた4120円が重要である。



勿論、上昇の力が強いと上に抜けていく場合や途中で失速して下げていく場合も多いが、今回はこのように4120円をレジスタンス値として、ダブルトップを付けた形になっている。こういった月足を見ている人はあまりいないと思うが、このようにテクニカルにおいても、ファンダメンタルと同様長期のマクロの視点が重要であることは、ここで強調しておきたい。従って、多くの銘柄の月足を見てみることをお勧めする。このように10年とか20年以上も前に付けた天井値で下げている銘柄は、かなりの数が見つかるはずである。



そして、2023年8月11日現在、2560円でまたもや反発しているので、下値2560円は、典型的なサポレジ転換線になっているようだ。このことからこの1518三井松島という銘柄は、下値2560円上値4120円のボックス相場になっていると判断できる。日足で見ると下値上値を切り上げているので、私は月曜日寄り付きで試し玉の買い注文を出したところである。

ただ、言わずもがなの事であるが、こうした上値下値の節目とかボックス相場とかはあくまで仮説であって、決して決めつけてはならない。あくまでも目安であって、株価の微妙で繊細な動きを注視することで、その変動に柔軟に対応していかなければならないこともまた、ここで強調しておきたい。

そして、こうした柔軟な対応力の基になるのは、林輝太郎氏が提唱された「変動感覚」で、これはまた非常に重要な概念で、別に論じたいと思っているが、私見では投資における「聖杯」とは、実はこの「変動感覚」がその重要な部分を占めているのではないかと考えている。それは、例えばバリュー投資などの手法を学んでも、一握りの勝ち組のバリュー投資家とその他大勢の負け組のバリュー投資家に分かれてしまうのは、この「変動感覚」の体得の有無が、この差異を作り出しているのではないかと考えているからである。

巷では一般に、ファンダメンタルだとか、テクニカルだとか、バリューだとかグロースだとかの分類が持て囃されているが、優位性あるいは有意性というのは、そういった手法自体に存在している訳ではなく、実のところ、その総てではないにしても、多くの部分がこの「変動感覚」の有無の濃淡にこそ存在しているのではないか、とあえて言いたいのである。ここで問題なのは、勝ち組の投資家や著名なカリスマ投資家でも、この点をはっきりと自覚している人は稀で、投資における名著は多く存在しているが、この点をはっきりと明言し、言語化し得た著作がほとんど見当たらないというのが実情であるということである。林輝太郎氏の著作を除いては。この意味では、この「変動感覚」という言葉の言語化という点で、林輝太郎氏の功績は空前のものではないだろうかと私は考えている。或いは絶後ということになるのかも知れない。

それはともかく、このことは突き詰めて考えると、なかなかと難しい問題である。どうやら投資の実践に置いて秀でる能力と、自分が実際に行っている投資という実践行為を、明確に言語化して、プレゼンすることが出来る能力とは、全くの別の次元の才能が必要とされると言って良いだろう。投資に限らず、我々人間の実存の形式とは、そういう風に出来ているらしい。

つまり、投資における優位性あるいは統計的有意性、言い換えると「聖杯」とは、そのかなりの部分が「変動感覚」という実践知・一種の暗黙知に依存しているのであって、この「変動感覚」を身に着けるのには、「頭脳による学習」では全く不十分、と言うより「頭脳による学習」とは別の次元の「学習」が必要で、それには林輝太郎氏の言うように、ある種の修練あるいは鍛錬が必要不可欠の要件として要求されることになる。練習・実践の繰り返しによる「体得」というものが、どうしても必要だということである。この意味では、投資というのは、スポーツと何ら変わるところはないのであって、投資にも「心技体」が必要だということにもなる訳である。




暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 1

2023-07-29 09:00:00 | トレンド・フォロー

日経225ETF

今回は暴落の逆パターン、暴騰時の対応である。暴騰とその後の反落を取った訳であるが、今回は非常に素直な典型的な暴騰・調整パターンであった。

以前書いていたように、私は日本株はレンジを下に抜けて、下落していくと予想していたので、レンジの上限辺りで、かなりのショートを積み上げていたのが、一時は30%くらいのプラスになっていた訳だが、これが上昇に伴ってストップに引っ掛かり、微益で撤退する羽目に陥った。やれやれ。

従って、当たり前の話であるが、上がるのであれば、態度を一転して上昇についていくのがトレンド・フォローというものである。今回のこの明らかに異常な上昇は、色々と理由づけられているが、私にはバブル末期の様相を呈しているように思われてならないのだが、どう思われるだろうか。一般に天井圏では乱高下するもので、まあ、現在、若干の調整はしているが、3万5000円を目指す流れと言って良いだろうが、今のところ、ハード・ランディングというメイン・シナリオに変わりはないので、トレンドを見極めて、虎視眈々と天井でのドテン売りを狙う戦略にも変わりはない。

例によって、思考を再現してみよう。

5月18日 前の高値を上抜けたので買いエントリー。0-100 この時点で、移動平均線の並びがパーフェクト・オーダーになっているので、上昇圧力は相当に強く、当分は小さな調整を挟みながら、直ぐに回復し上がっていくと判断できる。 

5月24日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを入れる。初期のこの時点では、だましの可能性があるので、全ヘッジとする。100-100

5月29日 陰線ではあるが、5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、その分買いを足す。0-200

5月31日 またもや5日移動平均線を割ったので、ヘッジを入れる。50-200

6月2日 5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、その分買いを足す。0-250

6月8日 5日移動平均線をまたもや割ったので、ヘッジを入れる。50-250

6月9日 直ぐさま翌日に5日移動平均線の上に出る。強い。0-300

6月20日 短い陽線だが、またもや5日移動平均線を割ったので、ヘッジを入れる。四回目なので、そろそろ調整しそうである。50-300

6月21日 またしても翌日、陽線で5日移動平均線の上に出る。強い。次の5日移動平均線割れ辺りからは、要注意か。0-350

6月22日 ところが翌日、陰線で5日移動平均線を割ってしまった。上値を切り下げ、5日移動平均線も下げに転じたので、とりあえずは天井を打った可能性がある。買いを全部切って、ショートを入れる。50-0

6月23日 長い陰線。やはり、天井を打ったようだ。次の注目は、25日移動平均線で跳ね返されるかどうかである。普通はパーフェクト・オーダーであるので、25日移動平均線辺りで反転する確率が高い。従って、ショートはあまり増やさないで、ポジションはそのまま。

6月27日 下げてきて、25日移動平均線上で下髭陰線。前日のロウソク足も25日移動平均線で跳ね返されているので、やはり反転しそうである。ショートを切って、スクウェアにする。0-0

6月28日 やはりと言うべきか、窓を開けて陽線で5日移動平均線の上に出る。述べたように天井を打った可能性があるので、あまり買いポジションは入れないでおく。0-50

7月5日 ダブル・トップを付けて、下げてきて5日移動平均線を割ったので、天井を打ったのはほぼ確実と見て良いだろう。だが短いとはいえ陽線なので、ヘッジを入れるだけにする。50-50

7月6日 下げて、25日移動平均線上の陰線。25日移動平均線に触れるのは、二度目であるし、半分は抜けているので、このまま下に抜けていくだろうと判断し、本玉を入れる。200-0。あとは、どこまで下げるかである。

7月13日 下げ渋ってきて、陽線で5日移動平均線の上に出たので、ここで終了。0-0 

普通は、この後は、上げ下げのはっきりしない相場がしばらくは続くと思われるので、エントリーは見合わせた方がよいだろう。従って、明確なトレンドが出るまでは、しばらくは休んだ方が無難であるが、まあ、今回の調整は天井でのドテン売りの良い予行演習になったというのが個人的な感想である。




ミネルヴィニ三部作

2021-12-31 18:00:00 | トレンド・フォロー






去年買ったまま積読になっていたミネルヴィニの「Mindset Secrets for Winning」をようやく読み終えることが出来た。そのうち翻訳も出るだろうが、本人もtrilogyと言っているので三部作が完成したということになるようであるが、これで彼の投資に関する考えの総てとは言えないにしても、基本的な概要のアウトラインが明確になったとは言えるだろう。ようやくにして、これで彼の投資システムというものの全体像が明確になった訳である。

これまで多くの投資本を読んできた経験から言うと、世に傑出した投資家は数多く存在しているが、傑出した投資家でありながらも投資について言語化する能力においても傑出した人間というのは稀有のように思われる。例えば、バフェットなどもいずれ投資本を書きたいと再三発言していたが、この期に及んでも果たされずにいるところを見ると、この事実はむしろ彼の賢明さを表すものと言えよう。つまり、バフェットは自らの投資法について、自身言語化する能力がないことをよく知っているのである。私見ではミネルヴィニはその稀有な人間のうちの一人である。

そのことは、例えば”新高値”系の手法について書かれた日本人の手になる著作が幾つかあるが、それらとこれらのミネルヴィニの翻訳された二冊(なお「成長株投資の神」はお勧めしない。はっきり言って、これは名声に寄り掛かっただけの売らんかな本。)を読み比べてみれば、その内容の質と量、強度と精度の違いは一”読”瞭然で、まあ格が違うといった塩梅である。

これまでにも述べてきたが、投資と言うのはビジネスであるので、結局最後には総合的なマネージメント能力がものを言うことになる。手法というのは投資というビジネスの一要素でしかない。従って、世に氾濫しているほとんどの投資本の手法至上主義的な内容、という言い方が拙ければ手法一辺倒の内容は実にミスリーディングであるとも言える。というより、むしろ害を及ぼしているとさえ言った方が良いのかも知れないとも思う。尤も、出版もまたビジネスな訳で、需要と供給の法則に支配されることは言うまでもない。勢い売れ筋の本ばかりが量産されることにもなるので、当たり前の話であるが、出版社にとって良い本とは売れる本のことで、必ずしも内容の良い本のことを指すとは限らない。それほど手法本の需要が旺盛とも言えるが、これはその背後に膨大なノービスと”手法ジプシー”の群れの存在を示してもいるとも言えよう。この事実から考えると、ミネルヴィニのこの三部作最後の本は題名が示す如く、マインドマネージメントに関する内容なので、恐らく需要はさほどあるまいとも思われる。そう考えると、或いは翻訳が見送られる可能性も大いに考えられるが、パンローリングには英断(?)を期待したいところである。

結局、繰り返しになるが、投資本に求むべきは手法云々よりも、それが大事でないとは言わないが、むしろマネージメントに関するノウハウの方が遥かに重要で、私見ではこのミネルヴィニの三部作は、それが包括的明晰に書かれている稀有な著作であることはいくら強調してもし過ぎることはないと思う。ネットでの評判を見ると、その圧倒的な成績もあって、ミネルヴィ二はその手法ばかりが注目されているようだが、その精髄はむしろマネージメント・ノウハウの方にあると、ここで声を大にして言っておきたい。従って、この意味合いが判っている人、或いは”聖杯”とは実は手法以外の別のところにあるのではないかと薄々感付き出している人には強くお勧めしたいと思う次第である。


なお、ミネルヴィ二はツイッターでも頻繁につぶやいているが、かなり重要な時局的なつぶやきもあって、参考になることが多いことも申し添えてこう。

Mark Minervini@markminervini

翻訳版

ミネルヴィニ先生の米国株

また、2021年はコンペにも参加していて、+334.8%とのことである。いやはや相も変わらず見事なパフォーマンス!

2021 U.S. Investing Championship.


暴落はトレンド、トレンドはフレンド 9

2020-05-22 11:00:00 | トレンド・フォロー


⑧3月23日 先ず、ここに至るまでの相場認識を記して置くと、キリ番の19000円、18000円も割り、順調に(?)下げてきて、3月17日に16378円を一旦は付けたが、結局、陽線で引けた。髭を上下に着けているので、底打ちを示唆しているが、日柄としては戻り高値からは18日目で、5日線に絡んでもいないので、様子見。

3月18日、19日は陰線だが5日線にタッチし出しているので、下げの勢いが鈍ってきている。この3日で小さいレンジを作っていると見れば、やはり16300円を意識した動きとも取れる。日柄は20日目なので、底打ちの期間に入ったと考えられる。週明けの動きに注目。

ということで、週が明けて23日には、ごくわずかだが陽線で5日線を下から上に抜けている。これはグランビルの法則の買いのシグナルで、縦軸横軸の目安から見ても底を打ったのではないかと判断した。

従って、だいぶ利益が出ていたこともあって、ショートの裡9を利確し、結局、2-3とした。ショートを2残したのは、下げる可能性もあるからで、もし下げていくようであれば、例によって臨機応変にポジション・ワークで対応していく訳である。また、このポジションは、2-(2+1)と見ることも出来る。ショートの2の利益をロングの2でヘッジして確保し、リスクにさらしているのはロングの1だけであると考える事も出来る。

と同時に、ここでドテンした形になったので、前日の安値16538円の1円下、16537円にヘッジ売り1の予約注文を入れる。若しこれで下げて行って下値を更新すれば、自動的に3-3のポジションになる訳である。

さらに、今回は底打ちを示す今一つの兆候が見られたので、それも記して置こう。

日経225というのは指数なので、先物やCFDのように、ETFとは別に取引所の時間帯以外にも取引されている金融商品もあって、同じ日経225であってもそれぞれのチャートは微妙に異なっている。

私はそれらのチャートも参照するのを常としているが、見たいチャートが一通り揃っているので、以下のサイトを常用している。

世界の株価と個人投資家ニュース

そして、3月23日の夜、いつもの様にこのサイトのチャートをざっとチェックしていったところ、日経225CFDと日経225ドル換算のチャートの形に目が留まった。この2つは殆ど同じなので、ここでは日経225CFDのチャートを示すが、私はこのチャートを見て、やはり明日から上昇するのでは、と思ったのである。判り易いように、直近の陽線を黒く塗っておいたが、引いてあるのは、16300円と16100円のラインである。直近の動きが、この二つの価格帯ゾーンを意識した動きになっているのが判るだろうか。



ついでに比較の意味で、通常の日経225のチャートも示しておこう。



このCFDのチャートが示すのは、前に相場と言うのはブルとベアの陣取り合戦と述べたが、件のゾーンに向ってベア側が攻めてきたが、直近では、ここを防衛ラインと考えているであろうブル側が徐々に押し戻していったことを示している。そして、注目すべきはこの3月23日のピンバーである。この日に、押し戻されていたベア側が、再度一気にゾーン内に攻め込んだが、ブル側が猛反撃に出てそれを押し戻し、結局この日は陽線で引けたという形になっている。つまり、このゾーンをめぐる熾烈な攻防を、ブル側が結果として死守し切って制したということを、このチャートは如実に示していると私は解釈した訳である。

⑨3月24日 窓を開けて長い陽線。やはり、底打ちしたようだ。ショートを切って、0-3とする。従って、ヘッジ売りも3とする。位置はそのまま。

今度は、上値の目安であるが、18000円は超えたので、キリ番の19000円と20000円、25日線にタッチする辺りが挙げられる。それに、今回の下げのフィボナッチ比率による戻し、19174(38.2%)と20054(50.0%)辺りが考えられるが、後者はキリ番の20000円と近接しているので、上げてもこの辺りまでであろうと見当をつける。

⑩3月26日 3月25日も窓を開けて長い陽線、19546で引けたが、この26日には下げて陰線、はらみ線(天井シグナル)になってしまった。よって、1-1のスクウェアのポジションとした。

⑪3月31日 3月27日は陽線だが、25日の高値を超えられず。週明けの2月30日も陽線だが、前日に対して高値安値を切り下げている。5日線に触りだしたのも下げの兆候である。そして、この31日に陰線で上から5日線を下に抜ける。従って、グランビルの法則に従って、売りを入れ2-1とした。

なお、26日の陰線の始値は19234円、同じく陰線のこの21日の始値は19181円と、フィボナッチ比率による戻し、19174(38.2%)がマーケット・メイカーには意識されているようだ。



⑫4月1日 窓を開けて長い陰線。ロングを切って3-0とする。これで上値を切り下げたので、下値を切り下げて2番底を付けに行くかに注目。

⑬4月3日 2日3日と上下に髭が出た短い陰線が並び、下げ渋っている。この並びは戻しで上げた分の戻し安値(ややこしいな)の目安として、フィボナッチ比率61.8%の17592円が意識されているように思えたので、1-1のスクウェアに戻す。



⑭4月6日 長い陽線で5日線を下から上に抜ける。0-2。これで下値を切り上げたので、底打ちが明確になった。このあと上値を切り上げるかどうかに注目である。

⑮4月7日 上下に髭の出た短い陽線だが、初めて25日線の上に出た。経験則として、25日線をロウソク足の実体部分が超えると、そのまま上がっていくことが多いので、ロングを追加、0-3とする。

⑯4月13日 そのあと3日上がっていったが、前の高値を超えられず、この13日に陰線で5日線を上から下に抜けたので、0-0とし、手仕舞いすることにした。私の暴落システムはあくまでも短期勝負用と割り切っているので、手仕舞いのルールとして大体1月半くらいを期限にしているからである。それは、これ以上ダラダラと続けると判断が甘くなり、思わぬポカをする傾向があるためである。

この後、結果としては高値を切り上げてアップトレンドになって行ったので、手仕舞いをするには早すぎたという見方もできようが、これだけでも十分な”餅”が得られたので、まあ良しとしよう。終わってみれば、今回の暴落は、妙な乱高下もなく非常に素直な動きの暴落であったように思う。幾分長居し過ぎた嫌いがないでもないが、それは底打ちが若干早く、2番底を付けに行くのではないかという先入観が少なからずあったからで、それでも動きに素直についていくことが出来たので、まあ上出来の部類である。それは端的に数字に表れているので、今回は勝率と損益比率ともに、これまでの平均値を上回ったトレードであった。


さて、以上で私の説明を終わりたいと思うが、最後に再度、暴落について述べておきたい。

誰が言い出したか知らないが百年に一度の暴落といった表現をよく耳にすることが多いが、そもそも原理的に言えば資本主義経済というのは非常に不安定なシステムであって、資本主義経済市場には暴落は付物であると言わなければならない。これは過去のチャートを確めてみれば、直ぐに分かることで、暴落は百年どころか実に頻繁に起きているのが判る。小さな暴落も含めれば、年に数回は必ず起きているというのが実状である。また同様に、暴落で〇〇兆とかの富が失われたなどといった言い方をされることも多いが、基本的に市場取引というのはゼロサム・ゲームであるので、実際には暴落時には多大な富の移転が行われているのが真実であって、この真実を冷徹に理解すべきである。

言い換えると、暴落はイレギュラーな市場現象ではなく、極めてレギュラーな市場現象であって、この事実を真摯に受け入れるならば、結局、投資(或は投機)における最終的な成否を分けるものは、暴落にうまく対処できるか否かに掛かっていると言っても過言ではないだろう。従って、ごくありふれた当然のリスク・マネージメントと言う意味で、暴落については、前もってよく研究した上で怠りなく準備しておく必要がある、とここで声を大にして再度強調して置きたいと思うのである。

といった次第で、この点を踏まえて考えれば、洋の東西を問わず、これまで暴落について特化して書かれた碌な投資本がないという事実は不思議な気がしないでもないが、結局、暴落に対する対処法というのは「裏に道あり、花の道」の典型例ということになるのだろう。日本ではないがしろにされている、そのバック・ボーンとなる基本的な考え方や原理原則に関する理論、それに私なりの暴落システムについては、これまで縷々述べてきたとおりであるが、いささかなりとも参考にしてもらって、ぜひ自分なりの暴落に対する何らかの対処法を確立して、暴落をフレンドにしてもらえればと思う次第である。成功を祈る。

なお最後に、最近感銘を受けた動画を紹介して終わりたいと思う。内容もさることながら、プレゼンテーションとしても、簡潔にして明解、実によく出来た動画であると思うので。

人間というのは通常の性癖として、どうしても「経験」というミクロな小局にしか目が行かないもので、「歴史」というマクロの大局を俯瞰するのには、よく訓練された叡智を必要とすると言わなければならないが、それが「賢人(賢者)」がオマハにしかいない理由であろう。そのバフェットがこの点で、実にうまく暴落に対処しているのは、今さら私ごときが言うまでもないことだが、この動画はバフェットではなく、もう一人の「賢人(賢者)」、相方のマンガーについてのものである。

史上最高のサクセスストーリー。ウォーレン・バフェットの右腕





暴落はトレンド、トレンドはフレンド 8

2020-05-16 00:00:00 | トレンド・フォロー
さて、前回述べたように今年の1月の月足で、ショートのエントリー・シグナルが出たので、2月からは週足も参考にしながら日足でエントリーポイントを探って行った。しかし、週足には取り上げるべき特別な特徴は見られなかったので、日足のチャートのみに基いて説明することにする。

結果としては、次の図のようなポジション・ワークになった次第であるが、その時々にどのような事を考えて、ポジションを動かしていったのかを、出来るだけ再現してみようと思う。

なお、前にも説明したように、場が引けてから、夜の時点で完成した日足を見て、翌朝寄り成りで注文をいれるというやり方を取っているので、図中のポジションは朝一の時点で取っているポジションということになる。



まず、2月4日の時点で下限ラインが確定したので、図に引いて置いたようなレンジが確認出来る。想定としては、最終的にはこのレンジを下にブレイクするので、出来るだけこのレンジの上限付近でショートを入れるのがセオリーという事になる。

①2月10日 上がって来て、想定通りレンジ上限辺りで下げたのでショートの試し玉(1単位)を入れる。1-0。

②2月14日 一旦上げたが、直ぐに高値を切り下げて下げたので。ショートを追加。2-0

③2月25日 もう一度上げ、高値を綺麗に切り下げて、待望のレンジを下にブレイク。ここは断固として本玉を入れるところである。5-2。

ここで同時にロングの2を入れたのは、もしも時のヘッジの為であるが、それは一般にレンジ・ブレイクというのは、ダマシが多いからである。タートルズ方式もレンジ・ブレイク手法だが、当然の如く勝率が低いので、これを逆手にとったタートル・スープなる手法が発明された程である。こうしておくと、もし万が一、踏み上げられてレンジ内に戻っていくようであれば、ショートを切って2-2にし、その後はトレンドに沿ってポジション・ワークで対応していくことが出来る訳である。

そして図に引いてある移動平均線は、5日、25日、75日線であるが、この25日の時点では、この3つの移動平均線のグランビルの法則によるからみ具合が、まず5日線が25日線をデッドクロスし、さらに5日線が75日線もデッドクロスしていて、次に25日線が75日線にぶつかって、今まさにデッドクロスしようとしているというダウントレンド転換の典型的なパターンである。従って、翌日、余程の大陽線でも出ない限り、パーフェクト・オーダーが完成することになる。

つまり、この25日の時点では、テクニカル的に、ダウ理論による高値安値切り下げの4点セット、グランビルの法則による移動平均線のパーフェクト・オーダー、レンジブレイクと3つが揃っていることになる。恐らく、この25日にショートを入れた人も相当数いるはずである。

なお、この2月25日には原油価格が暴落、50ドルを割れている(WTI終値49.9ドル/バレル)ので、これが今回の株価暴落のトリガーとなったと思われるが、前に述べたように私はファンダメンタルとテクニカルは表裏一体のものと考えているので、これも前に述べて置いたような、この原油暴落による株価暴落への波及シナリオは上に述べたようなテクニカル判断を補強するものという位置づけである。

逆に言うとファンダメンタル・シナリオだけで行動に移すという事は、大きなリスクを伴うので、必ずテクニカルの裏付けを取る必要があるということである。この点は、例えば「マネーショート」という映画を見た人はご存知だと思うが、サブプライムローン崩壊に懸けた主人公たちが、ショートを踏みあげられて一時的に慌てふためくシーンがあるが、これなぞは私に言わせると、主人公たちがテクニカルを全く参照していないというリスクを、実に象徴的に示しているシーンだと思うのである。まあ、原作を読んでいないのでこれは推測でしかないが、映画のシナリオ展開上、一波乱がないと面白くないという点はあるにしても、実話に基づいているということなので、このエピソードは恐らく事実であろう。



④2月27日 26日は様子見し(基本的に日足が5日線の下にあれば問題はない)、この27日の下げで、明確にダウントレンド入りと判断したので、ヘッジを切り、その分ショートを足して、7-0にする。そして、この時点で片張りになったので、同数のヘッジ買いの予約注文を入れて置いた。位置は、25日にレンジ割れした日足の高値+1円の22951円である。このあと下げるに従って、このヘッジの位置も下げていくという、トレーリング・ストップならぬ言わばトレーリング・ヘッジということになるが、最近は株でもようやく、このようなIFDだとかCOCOだとかの予約注文が出来るようになったのは、朗報である。

⑤3月5日 数日上げ下げして小さなレンジを作り、ごく小さな陰線とは言え5日線の上に出たので、グランビルの法則に忠実に従い、ヘッジを入れる。7-2

⑥3月6日 下げて5日線の下に再度潜り込み、レンジを下に抜けたので、ヘッジを切ってショートを足して、9-0にする。そして同時に、トレーリング・ヘッジをレンジの上、21720円に移動する。

⑦3月12日 3月10日につけた陽線(2万円奪回の試みか)の下ヒゲを割ったのでダウン・トレンド継続と見なし、ショートを追加、11-0にする。そしてトレーリング・ヘッジも3月11日の上髭の上、19975円へ移動する。

さて、入ってくるニュースといえば、新コロナウィルスによる全世界的パンデミックによる総悲観論一色といった有様で、1万9000円も割り込んでしまい、3つの移動平均線の傾き具合や開き具合から見ても、予期していたところとは言え、相当な暴落となったが、ここからは底値を探って行く展開である。

そのためには、縦軸と横軸の2つの目安を考慮する必要がある。

先ず縦軸の安値の目安であるが、大きな節目としてこの時考えていたのは、いわゆるキリ番である1万8000円、1万7000円、1万6000円等の外に、アベノミクス相場による上昇幅のフィボナッチ比率による戻しとサポレジ転換線である。注目していたのは、以下の図にあるフィボナッチ比率38.2%戻しの18200円と同50%(半値)戻しの16300円、それに16100円あたりのサポレジ転換線である。特に、後者2つは近接しているので、この辺りまで下げるようだと、この1万6100円から1万6300円当たりの価格帯は、マーケット・メイカー達に相当意識されるゾーンであるのは間違いない。



次に、横軸としては、日柄による目安である。この日柄という時間概念は、長いものでは例えばクズネック・サイクルなどの各種のサイクルが指摘されいるが、ごく短期においては、これまで相当な数の投資本や相場に関する本を読んできたにもかかわらず、殆どと言って良い程言及されず、考慮もされていない(その唯一の例外は林輝太郎氏の60日周期説くらいか)概念であるが、私見では非常に重要な概念である。

例えば、空売りなどは6か月の期限があるので、大きな出来高のあった日の6か月後やその半分の日柄である3か月後などはトレンドの転換点などの重要な節目となりやすいことが挙げられる。

それはともかく、過去30年間の日経225と東証1部全銘柄を調べた私の検証結果から言えば、アノマリーとして大体の暴落は1か月くらいで底を付けると言うことが出来る。稼働日でいうと大体23日前後で底を打っている。リーマン・ショックの時でも25日で底を付けているので、何処を起点に取るのかにもよるが、今回の暴落は戻り高値である2月20日から始まったとすれば、3月20日から25日くらいの間辺りに底打ちをするという目安が想定できる訳である。

勿論、これらはあくまでも目安に過ぎないので、前にも述べたように、これ等の目安にマーケット・メイカーがどのようにテクニカルを意識して、相場を動かしていくのかを探って行く作業が重要であることは言うまでもない。

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 7

2020-05-09 12:00:00 | トレンド・フォロー
ということで、実際には個別株もいくつか手がけたが、主に日経225ETFを手掛けたので、225のチャートを例にとって、このシナリオをどのように読み、修正していったのかを次に示そうと思うが、その前にテクニカルについて今一度、掘り下げておきたい。

前に、テクニカルという相場における法則は、原理的に物理法則とは性格を異にすると述べたが、その最も根源的な理由は、そこに人間の意志が存在しているという点にあると私は考えている。一元論対二元論と述べた所以であるが、これは基本的に相場をどのように捉えるかという相場観にも通底している。

それを単純化して述べれば、基本的に相場を動かしているのは、意志を持った複数のマーケットメイカーであるという事である。この点で、よく言われるような雑多な弱小投資家の群れ=大衆の動向という因子は全く考慮に入れる必要はないと考えている。これらマーケットメイカーは、また複数の売り手(ベア)と複数の買い手(ブル)に分かれる訳だが、この両者の力関係の均衡点がその時々の価格になるのは言うまでもないだろう。これをしごく単純なアナロジーで表現すれば、相場とはブルとベアとの陣取り合戦であると考えてよい。

そして、これらの売り手と買い手のマーケットメイカーは、ただ闇雲に売ったり買ったりしている筈もないので、何らかの根拠や基準に基づいて行動しているのは言うまでもないだろう。従って、その行動の特徴や痕跡がテクニカル的な傾向や規則性となって相場には現れることになる。例えば、サポートラインというのは買い手のマーケットメイカーが意識して買っている水準を表わしているし、レジスタンスラインというのは売り手のマーケットメイカーが意識して売っている水準を表わしている。さらに、両者の特徴を兼ね備えたサポレジ転換ラインというのは、売り手と買い手両方のマーケットメイカーが意識している攻防ラインであるから、今後も機能する可能性が非常に高いということにもなる訳である。そして、さらに高次の海千山千のマーケットメイカーは、この原理を熟知しているので、テクニカルにはわれわれ弱小投資家などよりはるかに精通していると考えなければならない。そのため、テクニカルを逆手に取ったいわゆる”ダマシ”なども意図的に仕掛けているというのは、相場に長年親しんでいる者には常識であることも付け加えておかなければならない。

結局のところ、この点を理解しないで、単に自然現象と同じように相場の動きを捉えれば、テクニカルが機能しないケースも多く見られるので、テクニカルというのはたまたま機能しているだけのようにも見える。そのため相場は単にランダムウォークしているだけだと考えるのも判らないでもないが、この点に関しては、通常、市場は効率的か否かといった論点から論じられる事が多いが、私に言わせるとどちらも一元論的な見方にとらわれているのであって、その両方に欠けているのは相場と言うのは、あくまでも人間の意識的・意図的な営為であるという、常識的な二元論的な見方である。

従って、”ダマシ”(というのは表面的はテクニカルは機能していないことになる訳だが、あえて意図的に機能させていないという意味では、逆説的に”機能している”と考えることもできる)も含めて、テクニカルが機能するか否かというのは、結局、そのテクニカルをマーケットメイカーが意識して行動しているか否かと言う事実に帰結する。当然のことながら、マーケットメイカーたちに意識されずスルーされたテクニカルは機能しないという事になる訳である、従って、この点を踏まえて考えれば、テクニカルを使いこなすためには、その時点で幾つかあるテクニカルの中から、マーケットメイカーが意識しているテクニカルを、チャート上の痕跡や兆候から推理してピックアップする必要があるという事である。言い換えると、テクニカルを使いこなす要諦とは、マーケットメイカーの背後からいわば肩越しに、彼らが注目・意識しているテクニカルを見なければならないということである。


さて、又もや前置きが長くなったが、下の図は今回のアベノミクス相場の上昇を示す日経225の月足チャートである。これを見るとアベノミクス相場というのは、2011年11月から比較的綺麗なエリオット波動を描いているのが判るだろう。



勿論、この調整波の部分は事後的に引いたラインであるが、図の黄色に塗ってある足が2019年度の月足である。この2019年の時点で考えていたのは、2018年10月につけた前の高値24448円が天井である可能性が高いという事である。その根拠の一つとして挙げられるのは、フィボナッチ比率による戻り高値の概算数値である。

1989年につけたバブルの高値38957.44円から2008年につけた底値6994.90円へのダウントレンドの戻しの目安としては、この下げ幅のフィボナッチ比率ー0.382と0.50、それに0.618が大きな節目として意識されることが考えられる。この2019年の時点では、この内の0.50による22976.17という概算値辺りで天井をつけるという想定が出来る訳である。まあ、フィボナッチなんぞを使わなくても、普通に半値戻しというのは相当に意識されやすい数字であるのは言うまでもないだろう。図中にはオレンジのラインで引いて置いたが、一旦このラインで下げてから再度上昇し(ダマシ?)、多少オーバーシュートした形になっている。このフィボナッチによる概算値とチャートから伺えるエリオット波動カウントを合わせて考えると、この24448円が天井である可能性はかなり高いと考えていた訳である。早ければ、アノマリーから考えて秋口に暴落するのではないかと考えて、私は虎視眈々と待ち構えていた次第である、

勿論、この時点では可能性は高いと言えども、未だ仮説にすぎなかった訳だが、それが明確になるのは、この後上げていった次の高値がこの24448円を越えずに下げた時点である。これによってエリオット波動理論でいう調整派(ダウントレンド)入りが確定したという事になる訳である。下のエリオット波動の基本形図でいえば、赤丸で囲った部分である。



従って、この赤丸の部分、戻り高値が切り下げたポイントは絶好の売りエントリーポイントになる訳である。今回は調整波bが強く、ダブルトップ気味になっているが、これも良くあるパターンである。

なおこれは余談だが、年が明けた翌2020年の一月の確定した上髭ピンバー(トレンドの転換点を示すプライスアクション)を見て、私は殆ど確信に近いものを持った。アベノミクス・バブルもこれで終ったな、と。従って、これまで長期投資として保有していたポートフォリオの殆どを処分することにした。中には長いもので30年に渡って保有していたものもあるが、わずかの優待株と高配当株(これらも同数の売りヘッジを掛けて置いたことは言うまでもない)を除いて、すべて売り払ってしまった。それはリーマンショックと同じ轍は二度と踏むまいと、堅く心に誓っていたからである。

ここで、ダウ理論について述べて置かなければならない。

ダウ理論は、すべてのテクニカルの基本となる重要な理論であるにもかかわらず、これもまた日本の株式投資では殆ど語られることがない理論であって、これもまたそれだけ見えざる検閲制度の強度を物語るものであるが、ここではそのトレンドの定義について述べるに止める。

普通、ダウ理論の6つ目の原則「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」の説明としては、このようなトレンドの定義がなされている。

安値を切り上げ、高値を更新→上昇トレンドが継続。

高値を切り下げ、安値を更新→下降トレンドが継続。

つまり、高値安値の四点セットでトレンドが判断できるという実に明解な定義になっている訳である。



「なんだ、あたりまえじゃないか」と思う人がいるかも知れないが、それはこのように厳密に定義をして置いてから、それを基に分析をしていくというやり方に馴れていないからである。と言うよりも、こうした定義を基に厳格に論理を組み上げていくといった考え方は、そもそも我々日本人にはないもので、それが見えざる検閲制度の根幹にある思想であるが、それがまたダウ理論の奥深さがなかなか判らない理由でもある。まあ、これまで何遍も述べて来たように、我々の普段使っている「高値」「安値」という言葉の融通無碍さ、実にいい加減さを考えてみれば、この事は良く判るだろう。

ともあれ、ここでいう「明確な転換シグナル」とは、例えばアップトレンドでは「押し安値」を下へ、ダウントレンドでは「戻り高値」を上へ抜けることを意味する訳であるが、そう言われてこの意味がすぐに分かるだろうか。

これはどういうことかというと、アップトレンドの場合、高値を切り上げても安値を切り上げなかったら、その時点でトレンドは終了したという事である。逆に、ダウントレンドの場合、安値を切り下げても高値を切り下げなかったら、その時点でトレンドは終了したという事である。

かようにダウ理論と言うのは、応用を含めて考えると、実に明快且つ奥深い重要な基本的原理論であって、ぜひマスターしておく必要があるので、一度詳しく調べてみる事をお勧めする次第である。

ここで、先の日経225の月足チャートをもう一度見てもらいたいが、現在の時点ではかなり戻していて一部では楽観論がみられるが、ダウ理論では高値安値を切り下げていて、「明確な転換シグナル」は出ていないので、未だダウントレンド中である。つまり、直近では丸印の高値を超えて現在のダウントレンドが否定されるのかどうかに注目する必要があるという事である。



暴落はトレンド、トレンドはフレンド 6

2020-05-02 12:20:00 | トレンド・フォロー
先ず簡単に、私の暴落システムについて説明しておくと、手法としてはツナギ売買による日足トレードになる。

日足トレードというのは、場が引けてから、日足が確定したチャートを見て判断を行い、買うにせよ売るにせよ、翌朝の寄り付き成り行きで予約注文を入れるというやり方を取っている。この方法だと場中には一切株価を見なくて済むし、場が引けてから翌朝の場が始まるまでの間の好きな時間に判断を行えば良いので、非常に楽ちんである。掛かる時間も早ければ数秒、長くても数分で終るので、ものぐさにはピッタリという訳である。というよりも、逆に長考すると、考えに考えを重ねて悪手を打つ場合が多いので、なるべく時間を掛けないで、最初に頭に浮かんだ判断に素直に従うよう心がけていると言った方が正確かも知れない。



そして、ツナギ売買とは、両建ての技法で、玉をつないでいくことからつけられた名前のようだが、次のようなポジション・ワーク技法である。

まず、表記だが普通は両建てのポジションを

(ショート)3-2(ロング)

というように表記するのが慣例になっている。
そして、例えば、これから上がると思い

0-1

というポジションを持ったとする。そして、これは得てしてよくある事だが、案に相違して下がってしまったとする。その場合、損切りはしないで、反対玉の売りを入れて、

1-1

とする。そして、その後、再び上がっていくようであれば、ショートを切って、ロングを追加して

0-2

でその上げを取っていく訳である。逆に、さらに下げていくようであれば、ロングを切ってショートを追加して

2-0

で下げを取っていく、といった技法である。実際は、入れる玉も多く、もっと複雑なポジション・ワークになることが多いが、基本的にはこの基本形のバリエーションになる訳である。従って、その前提としては、上げるか下げるかの見極めー相場認識の技術精度が要求されるのは言うまでもない。


そして、次に私の暴落システムの基本型を示す。当選の事だが、まず売りから入る(2-0)訳だが、下げ止まった底の辺りで、ショートを利確してロングを入れ、ポジションをスクウェアにし(1-1)、リバウンドし出したら、ショートを切ってロングを追加し(0-2)、リバウンドの上げを取っていくというものである。普通、暴落時には幾ばくかのリバウンドは必ずあるもので、その下げ上げの両方を取ってやろうという、なかなかと欲張りな、と言うか、えげつないシステムである。


以下、このシステムでもって、今回の暴落に置いて、どのような相場認識の下に、どのように考えて、売り買いを行ったのかを説明する。

先ずは、大局観から説明したいと思うが、これは2015年にまで遡る。次に引くのは、一旦はひっこめてしまったが、2015年の夏ごろに書いた文章の一部である。


<さてさて、というようなことで簡単ではあるが短期ベア中期ブルとの私的相場観を述べてきたので、ついでにここで長期ベア観も述べておくのも良いだろう。まず、前にも引いたが半藤一利氏の興味深い説を再度引く。

「じつは、私はインチキ史観を持っている。インチキ史観というか、遊びと思っていただいてもよい。それをここで語っておく。

日本が開国を迫られ、朝廷が開国と決めたのが慶応元年。その前は幕府が朝廷の勅許を得ず、勝手に開国したということで尊王攘夷運動が起きていたが、結局、攘夷は不可能ということで、朝廷も開国に踏み切らざるをえなかった。つまり、国策として開国が決まったのが慶応元年で、西暦にすると1865年である。

 それから明治の一代目が近代日本をつくるために辛酸をなめながら努力し、日清戦争、日露戦争と勝ち進んだ。とにかく世界の植民地にならず、世界列強の仲間入りをしたと喜んだのが日露戦争に勝ったときである。それが1905年のことで、国策としての開国が決まった慶応元年からちょうど四十年後にあたる。 それから軍部が力を持つようになり、国民もうぬぼれのぼせ、われこそアジア唯一の強国であると世界を敵に回すようになり、太平洋戦争に突入して散々な敗戦を喫した。それが1945年で、日露戦争から数えると四十年が経過している。つまり国をつくるにも、国を滅ぼすにも、四十年なんである。

 その後、占領期間の六年間を除くと、戦後日本は1951年からはじまる。そこから戦後の復興があり、建設があり、経済大国になってバブルのはじけたのが1991年。またしても四十年後の物語になっている。その間、戦後日本は最初から経済大国を目指したわけではなかった。アメリカの政策もあり、日本人は文化国家の創造を目ざしていた。働く人間たちに経済大国を目ざす意識はなかったが、朝鮮戦争などもあって、いつしか経済大国を目ざす流れになっていた。

 私の勝手な史観でいくと、”第一の滅び”は日露戦争にはじまり、太平洋戦争の敗戦で終わった。そこから日本は”第二の国づくり”をはじめ、バブルを経て、”第二の滅び”へと入った。つまり、”終わりのはじまり”がはじまっている。

 私の計算で行けば、2030年が”第二の滅び”の最終年になる。2030年と言えば高齢者人口が全人口の三分の一以上になり、労働人口も四分の一になると予想されている。日本の活力が危機にさらされ、まさに日本の危機である。 ”終わりのはじまり”はまだはじまったばかりである。いまのうちに2030年に最終年を迎えるこの”第二の滅び”を何とかしておかないと、日本は本当に滅びるかもしれない。」(『撤退戦の研究』光文社)

この「インチキ史観」に基けば2030年ごろに日本の転換点がやってくることになる。つまり、時期的にいって今回のブル相場が終わった後のベア相場の最悪期あたりになりそうである。山高ければ、谷深し。恐らく日経平均は最安値を更新するのではないか。その時にはそれを象徴するような未曽有の大事件が勃発するのではないかと考えているが、今のところそれが何であるのかは判らない。

アベノミクスのツケが回って財政破たんするのか、社会主義中国北朝鮮の崩壊時の戦争に日本も巻き込まれて多大の被害を受ける(核ミサイルの存在は脅威である)のか、東南海大地震が起きて日本沈没となるのか、はたまたGODZILLAあるいはシトが日本を襲うのか(笑)、あるいはそれらのうちいくつかが同時に起るということもあるのかもしれない。

そして、そこから日本は”第三の国づくり”を始める事になる訳である。なに、苦境に強いのは日本人の強みであって、日本はまたしても復興するのは間違いないだろうが、好調時にうぬぼれるのもまた日本人の弱みでもあって、2070年ごろにはまたもや「アジアの盟主」だとか「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」とかうぬぼれて必ずやへまをしでかすのであろう。

この「四十年」という周期は何に由来するのか、勿論分析の限りではないが、恐らく時代を担う現役世代が交代する周期がこれくらいなのであろうと思われる。つまり、「経験に学び」それが通用するのは高々「四十年」でしかないとも言えるのであって、やはり「歴史に学ぶ」必要があるということである。とまあ、このように書いてきたものの、何分「インチキ史観」であるのでこれを信用するには当たらない。(「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」2015/08/30)>


ということで、GODZILLAが日本を襲うという私の予言は、見事シン・ゴジラとなって的中した!訳であるが、実際に顕れたのはシン・ゴジラならぬシン・コロナであったというのは、シャレにもならない話である。新コロナウィルスについては様々な仮説や憶測、悲観論や楽観論が錯綜しているが、専門家にも本当のところはまだ良く判らないというのが真実であろう。それにしても、この間の日本政府の対応を見ていると、日本人というのはつくづくリスク・マネージメントが不得意だなあと思わざるを得ない。恐らく非常事態宣言による経済への波及効果なぞは、試算もしないで実行に移したのではないか。例えば、これまで「緩やかに回復」と白々しくも言いつづけて消費税を増税して置いて、四月の月例経済報告で、10年11ヶ月ぶりに新型コロナという絶好の口実を得て、今更「悪化」としたことが象徴的で、私の目には、「インチキ史観」のシナリオに沿って日本は、着々とその歩みを進めているようにしか見えない。

なお、これは余談だが、誰も指摘しないので、「自粛要請」という言葉のおぞましさについて一言述べておきたい。これは山本七平のいい方で言えば「空体語」、ジョージ・オーウェルの言い方で言えば「ニュー・スピーク」という事になろうが、そもそも「自粛」は促すものであって、「要請」するものではない。「要請」するなら「休業」のはずであるが、なぜこのような胡乱な論理のすり替えを行うのかと言うと、そこには「休業補償」をしたくないという政府=財務省の下心が透けて見える、そう考えるのは私だけではないだろう。実際、「休業補償」も「協力金」なる「空体語」へとすり替えられて、一律50万円という算定基準や給付基準も良く判らない支給でもってお茶を濁させられているのは、ご存じの通りである。また、現在の日本の法体系においては、強制的な禁止は出来ないので、マスコミを使って実質休業に追い込むよう「空気」の醸成があからさまに行われているが、そのためにパチンコ店が槍玉に挙げられているのは、戦時中の「隣組」による相互監視体制やそれによる「非国民」の糾弾・摘発を連想させられるが、そう思うのは私だけであろうか。これもまた「非常時」や「非常事態」に特有の、実に日本的なおぞましい「空気」によるものであろう。

まあ、「空気」は読むものだと考えている人には耳に念仏であろうが、「空気」は本来水を差すものである。



それはともかく、従って、このシナリオによれば、日本はバブル崩壊によって四十年周期のダウントレンドへと突入したのであって、アベノミクスによる上昇相場も単なる綾戻しでしかないので、バブル期の高値を越えることは無いという見立てになる訳である。

そして去年の時点で考えていたのは、これは同じように考えていた人も多いのではと思うが、特需が剥がれるオリンピック開始前後が、アベノミクス相場の終わりになるのではないか、ということである。ただ、これだけなら単なるシナリオでしかないのであって、このシナリオを実際の相場展開の中において、修正を加えながら読み込んでいく相場認識の技術が伴わなければ絵に描いた餅であるのは言うまでもないだろう。つまり、これは実に当たり前の話であるが、実際に餅を得ることが出来るのかどうか、ここが相場認識技術の腕の見せ所であるということである。


暴落はトレンド、トレンドはフレンド 5

2020-04-25 18:00:00 | トレンド・フォロー
duke氏が本書の最後の方で書いているこの文章は、特にどうという事もない常套的な文意で、何気なく読み飛ばしてしまいがちな文章だが、実に象徴的な一文であるように私の目には映る。


<自分のルールを全うする上で重要なのは、「何事も起こり得る。確実なことは何もない」ということを心に受け入れ、確率で考えられるようにすることです。自分の投資法の優位性を「確率的思考」で実行し、売買回数が多くなれば、大数の法則で、最終的には儲かる、勝てると信じることが重要です。>


私が注目するのは最後に<信じることが重要>と書いていることで、これを読んで「ふむふむ、やはりそうなのね」という感を禁じ得なかったからである。やっぱり氏もまたブルース・リー信者であったか、と思ったのである。ここに、ある種の考え方の典型をみたと言っても良い。

あるいは、些細な言葉尻を捕まえて、針小棒大にものを言っているのではないかと取られるかも知れないが、それはここに至るまでの記述の中に、こういった考え方をほのめかす文章がそこかしこに見られたからで、私にはduke氏がついうっかりと<信じる>という言葉を書いてしまったとは、全く思えないのである。例えば、duke氏はさまざまな投資手法を試した手法ジプシー期を経て、ふりーパパ氏の投資手法に出合い、<大きく飛躍>した時のことをこう書いている。


<とはいえ、最初は試行錯誤の繰り返し、疑心暗鬼の連続でした。>

<実際に自分が新高値で買った株式の株価が、さらに上昇していくのを見て、この手法はイケると直感しました。まさにウロコが落ちた瞬間です>


つまり、もうお分かりの方には言うまでもないことだろうが、私が疑問を呈したいのは、「確率」だとか「有意性」(or「優位性」)という言葉は、昨今の投資家なら誰でも普通に使う言葉だが、投資システム(あえて手法とは言わない)の「確率的有意性(or優位性)」というものは、果して「信じる」といった性格のものなのかどうか、果して「直感」で判断する性格のものかどうか、という事である。

これは言い換えると、「確率的有意性(or「優位性」)」の裏付けを何に求めるのかという事であって、勿論、信心や直感に基いて「信じる者こそ救われん」とか「考えるな。感じろ!」と考えるのは勝手だが、相場に置いて「救われる」かどうかは、全く別の話である。私はブルース・リー信者ではないので(というのは勿論冗談だが、いや我ながらくどいね)、理性的合理的根拠による裏付けがなければ、勿論、信用しない。というか、採用しないだけである。

つまり、なにが言いたいのかと言うと、結局ここには、検証という考えが全くもって欠けているという事が言いたいのである。言い換えると、リスク・マネージメントの一環としての検証という事である。これもまた株式投資においては、確率的思考や確率的有意性という言葉の氾濫とは裏腹に、言及されることがほとんどなく、全く軽んじられている重要項目の一つであるが、ネットでの私の狭い見聞範囲でも、株式投資で検証をまともにやっている人を全くと言って良い程見たことがない。

極端な事を言えば、そこにあるのは検証を経ていない借り物の手法や単なる思い付きによる手法の雑多な混淆の群れであって、これではそれらを信じるか信じないかの丁半ばくちになってしまうことになるのも仕方がないと思われる。私がシステムと言うのもこの検証作業を必須の前提とした意味合いで言うのであって、結局、そこには信頼に足る明確なシステムもなければ、それに基づいたルールもないのが実情ではないかと思うのである。この意味において、duke氏が<疑心暗鬼>と書いているのは誠に象徴的であると私の目には映る。或は的確にと言うべきかもしれないが。

であるから、この観点から見ると、duke氏の次のような、いきなりステーキならぬいきなり実弾投入主義的アドバイスは、リスク・マネージメントという意味でも、私には全く受け入れがたいギャンブル・アドバイスとしか思えない。しかも、これは手法ジプシー期を含めてのアドバイスであるから、何をか言わんやである。

<こうした私の失敗から、株式投資の初心者の方にアドバイスするとしたら、とにかく小さい金額で始める事をお勧めします。・・・・投資する金額は小さくてもいいので、退場させられることなく続けていけば、経験値という素晴らしいお宝が得られます。>

私には、この本を読み終わって、duke氏はよくこれで退場しなかったなとしか思えないのであるが、まあ、これはフルタイムの「普通の正社員」という、現在の日本においてはかなり恵まれた給与や付加給付あってのものであろう。つまり、これは「普通の正社員」でも出来る投資法ではなくて、「普通の正社員」しかできない投資法だという事である。一般論として投資家としての退場の成否を分ける最大の要因は、つまり最後に物を言うのは、何と言っても資金量だからである。

ともあれ、私もここでアドバイスをするとすれば、自分のやっていることの確率的有意性について、ある程度の確信や自信がなければ、たとえ利益が出ていようと、即刻実弾投入は止めて、検証作業へと移るべきである。これは実に至極当たり前のことだと思うが、投資以外の実務と同じように、検証→デモトレード→本番トレードという工程を踏むべきである。


というようなことで、NO検証、NO相場LIFE!を強調するために、いささか回りくどい話になってしまったが、ここからは検証へとディペンドして書いていこうと思う。

さて、検証が重要と言っても、検証の目的は検証結果の成否を得る事だけが目的ではない。検証には色々な意味合いがあるが、その最大の効用は、何と言っても、システムに対する疑心暗鬼が無くなるということである。マインド・マネージメントという観点から言っても、このようなダーク・サイド側のマイナス要素は事前に撲滅して置く必要があるのは言うまでもないだろう。この安心感と言おうか、自信と言おうか、猜疑心による動揺の払拭による心の平静さと言うものはちょっと言葉にできないもので、或は検証をやったことのない人にはわからないものなのかも知れない。

さらに、特筆大書きして強調して置きたいのは、検証作業においては、得られたデータを活用・分析することによって、ある程度システムをリファインしていくことができるということである。

この意味では、duke氏が「売買したら日記を付ける」という文章を書いて、ポイントとして挙げていることは、私は高く評価するものである。

<簡単なメモ書きでも、書き続けている内に、必ずいろいろな気付きが得られます。不思議な事に、自分自身の考えや気持ちの整理もできます。心にかかっていたモヤモヤが晴れていくのを実感できるはずです。この効果は計り知れません。・・・・
特に、損をした経験からは、多くの事が学べるはずです。
なぜ損をしたのか。
損切りはルール通りにできたのか。
こうした過ちの原因をメモし、振り返ってみるのです。
そして、そこで得た気付きを、次の売買に生かしててください。
ものごとはこれの繰り返しです。実際にやってみて、反省し、改善点を探す。さらにやってみて、反省し、改善点を探す。それを繰り返していくうちに、徐々に実力が付いてきます。
売買記録をエクセルで管理し、すべての取引を数値化するのもお勧めです。自分の取引記録のデータ集をつくるのです。買い値、売り値、株数、投資額、保有期間、損益率などを記録します。数字は嘘をつきませんから、感覚よりも正しい姿をあなたに教えてくれます。>


ただし、当然のことながらduke氏と私とでは、記録の重要性やその活用法につてのスタンスが異なるので、この文章では大きな不満が残るのも事実である。これでは、よくあるPDCAサイクルのお気軽な総花的一般論的解説の見本みたいな文章でしかない、そう言ったら、あまりにも辛辣に過ぎる感想だろうか。

以下、私なりの観点から記録データの活用法について、もう少し具体的に述べてみたい。

まず、取引記録から勝率と損益比率を計算する。記録を全く取ってない人でも、証券会社にそれらのデータがあるので、この二つの数字は容易に出せるはずである。この二つの数字だけで端的にシステムの特性を知ることができるので、あとはとりあえずは必要ない。つまり、確率的有意性の当否は、具体的にはこの二つの数値ー勝率と損益比率によって明確に知ることができるという事である。言い換えると、私にとって、確率有意性の同義語は検証であり、検証の同義語は勝率と損益比率の数値であると言っても過言ではない。それ程この二つの数字は取り分け重要だということである。計算の基になる期間は、人によって取引量が異なるので一概に言えないが、サンプル数としては大数の法則から言えば1000は欲しい所である。

そして、この出て来た勝率と損益比率という数値によって、自分の実際に行ってきた投資(システム)の現状をまず把握し、そこからこの二つの数値をどう改善できるかを考えていくという手順を踏む。

まず第一に取り組むべきは、平均損失額を減らすことで、大体普通は損失額が大きすぎるのが足を引っ張っているので、最初に損切ルールを見直すという事である。また、損切ルールを変えると損益比率だけではなく、それに伴って勝率も変わってくるので、いろいろとルールを変えてみて、利益が最大になるように最適な組み合わせの数値を探って行く訳である。この時に、何パーセント下がったら損切りするというような自己中心的なと言う意味での主観的なルールを採用している人は、前に述べたように相場に基いたという意味での客観的な基準(例えばATRの何倍とか、いろいろな平均移動線とかにタッチした時点とか、PIVOTとか等々)も検証してみるべきである。

普通はこれだけの作業でも数字は劇的に改善される場合が多いが、これが終わったら次には平均利益額を増やすことの検証で、これも同様に利食いルールを見直すことで、最適解を探って行くのは、損失の場合と同じである。また、この時には、先の客観的な基準に加えてブレイク・イーブンだとかトレーリング・ストップも検証すると良いだろう。主に、前者は勝率の、後者は損益比率の改善に寄与するはずである。

そして、最後に見直すのはエントリー・ルールで、特に損失で終ったトレードは、そもそもエントリー自体が問題である場合が多いので、エントリー・ルール自体の見直しもそうだが、それだけでなく、エントリーに何らかのフィルターを掛け、エントリーを厳選することも検討すべきである。

そして、このエントリー・フィルターとして最も重要なのは相場認識の技術であるが、これはかいつまんで説明することが出来ない性質のもので、前にも少し述べたがより高次の大局観が重要であるということである。至極単純化して言えば、例えばマクロの局面がダウントレンドなのにも関わらず、ミクロの局面のアップトレンドで買いで入るから、損切が頻発することになるといったことである。ファンダメンタルだけをエントリー基準にしている人は、往々にしてこういったバリュー・トラップの袋小路に嵌り易いので、特にそうである。ここでは、日本の相場格言ー「着眼大局、着手小局」を紹介するに止める。


とまあ、以上の三つの段階を踏むことによって、バルサラの破産確率表と照らし合わせて、破産確率がゼロとなるような勝率と損益比率の数値に持っていくのが理想であるが、以上の概略説明からも容易に想像されるように、検証には膨大な作業が必要とされることは覚悟しておかなければならい。期間も、まあ最低でも半年はかかるものと考えるべきで、それでも結果が保証されている訳ではないので、検証の結果として、リファインしたにもかかわらず結局使えないシステムだったという事も十二分にあり得る。まあ、これは投資に限らず検証と言うものに付物の<経験値という素晴らしいお宝>であるから仕方がないとも言える訳だが。


ということで、以上でもって、私の考える検証作業というものについての基本的なアウトラインを述べてきた訳だが、これを読んで、果して実際に検証をやってみようという人がどれだけいるだろうか、という疑義を私は拭い去る事が出来ないのも事実である。

恐らく、実際にやってみる人は殆どいないのではと想像するが、結局のところ、「投資」と言うのは、出来合いの「手法」に一か八か懸けてみるか、(金銭的に余裕のある人は実弾で)試行錯誤しながら、自分でオーダーメイドのシステムを作り上げていくかの二択しかないというのが厳然たる真実であって、検証がその分水嶺になるという事実は動かせない。要は、この眞實にどう向き合うかということである。

前に、「淡々と実行できなければ」と書いたことやシステムという言葉から、或はインデックス投資を連想した人がいるかも知れない。私に言わせればインデックス投資というのは、投資システムとして見れば、一方においては範とするべきものであって、普通はその成果に満足できないから、パッシブではなくアグレッシブ投資を行っている訳であるが、今回の暴落で、アベノミクスで積み上げて来た利益の多くをを一挙に吐き出すことになった人も多いだろう。過去の例からいづれ回復してゆくと考えて、ホールドに徹するのも一案であるが、今一度再考してみることも必要であろう。つまり、インデックス投資の成績(大体、年率5~7%)を今後も確実に陵駕出来る自信がないと考えるのであれば、これまでやってきた「投資」に懸けてみる(という「投機」)よりは、インデックス投資の方が、はるかに賢明な選択肢である事は言うまでもないということである。


さて、以上でもって理論編の”まくら”を終えたいと思うが、結果的にduke氏に批判的な文章になってしまったので、duke氏の苗字が東郷ではないのを祈るのみである(狙撃されたくはないので。ズキューン!あっ。)。ただ、私としては目に見えぬ伏字を復元しようと努めただけの事であって、そのために日本の株式投資では普通語られることのない、原理原則に関する項目や考え方(太字で示して置いた)を取り上げることになってしまった訳である。ここまで読んでこられた奇特な方には、或は聞きなれぬ事ばかりで頭の芯がいささか疲れたかもしれない。しかし、知っている人にはごくごく基本的・初歩的な事柄ばかりなので、ご苦労さんでしたと言いたいところだが、肝心要の演目はこれからである。

ということで、次回は今回の暴落での実践編へと移りたいと思う。