ものぐさ屁理屈研究室

誰も私に問わなければ、
私はそれを知っている。
誰か問う者に説明しようとすれば、
私はそれを知ってはいない。

トレンド・フォロー再論

2023-09-18 15:00:00 | 投資理論
殆どのファンダメンタル投資家は、効率的市場仮説を批判することから始めて、最終的には自らの投資行為の成果によって、効率的市場仮説を実証する結果に終わるのが常である。ー名無し



先日、仲間内の飲み会で投資の話になり、名証IR の講演会に行ってきた友人を中心に、STFというカリスマ投資家の話題でひとしきり盛り上がった。私はこのSTFなる投資家については、全く知らなかったので、もっぱら聞き役であった訳だが、話の内容にいささか違和感があったので、色々と質問したり、意見を述べたりしたのだが、酒の席のせいか、話が上手くかみ合わないままに会はお開きとなった次第、まあよくある話である。

ただ、私自身STF氏の投資法にはかなり興味を引かれたこともあって、後日改めてネットで調べてみたところ、やはりこの違和感をぬぐい去ることが出来なかったので、文章を書く気になった。トレンド・フォローについて新しい光を当てることになるかもしれないと思うからである。

なお、参考にしたのは、複数のSTF氏の講演会に関するまとめメモと以下のツイキャスである。

うっしの株談義 ゲストSTFさん

私が違和感を感ずるのは、STF氏の投資法についていろいろと言われているが、その思想というと大げさだが、考え方の理解がどうも核心の部分でズレていて、今一つ十二分に理解されていないのではないかという点である。そうした理解の大本にあるのはファンダメンタル的な先入観だと思われるが、STF氏の投資法の根底にあるのは、ファンダメンタル的な考え方とは、ある意味で対極にある考え方である。

じゃあ、それは何かと尋ねられれば、トレンド・フォローだというのが私の答えである。今回のSTF氏の件で今更のように痛感させられたのは、私の仲間内だけではなく日本のSNSでも、このトレンド・フォローという考え方がほとんどと言って良いほど理解されていない、というかその基本的な知識さえ知られていないという事実で、逆に言えばそれだけファンダメンタル的な考え方が、いかに根強いかを物語ってもいよう。

例えば、氏の投資法については、”モメンタム投資”という言葉が使われているが、この”モメンタム投資”という言葉も、ロジックがどうもよくわからない言葉である、そう思うのは私だけであろうか。ググると「相場の勢いに乗る投資法」とか「株価チャートが上昇トレンド(右肩上がり)を示している銘柄を狙っていく投資法」とかの説明が出て来て、”モメンタム投資”を冠した書籍も色々と出版されているようだが、私に言わせるとこれらのロジックの中身は、どれも皆トレンド・フォローである。後で紹介するミネルヴィ二も、”モメンタム投資”と言われているし、著書の邦題には原題にはない”成長株投資”という言葉が冠されているといった有様である。やれやれ。

そしてまた、同じようなのに”新高根ブレイク投資法”というのもあるが、これもその核心にあるロジックは、トレンド・フォローそのもので、こうやって新しい意匠を次々に着せ替えて新奇さや進化形を演出するのも結構だが(私には、そこに投資関係の出版社等のマスコミによる次々に流行を作り出そうという意図が透けて見えるのだけれども)、逆に返ってその本質が見えにくくなってしまうという欠点があることも事実である。最も、一方ではこうした新しい意匠を生権力化し構造化する考え方も、そこには存在しているのも事実なので、先に述べたようにそれはファンダメンタル的な考え方だと私には思われる。言い換えると、ファンダメンタル的な見方や発想法から見ると、どうやらトレンド・フォローという投資法は、”モメンタム投資”だとか”新高根ブレイク投資法”だとか”成長株投資”といった投資法に見えるらしいということである。

結局、私が違和感を抱くのは、そこに透けて見えるこうした抜きがたいファンダメンタル至上主義的な見方や発想法、という言い方が拙ければ、ファンダメンタル一元論的な見方や発想法による理解における硬直性が鼻につくからに他ならない。それはまた、STF氏の投資法について、異口同音に皆が口を揃えたように述べている「良い子はマネをしないように」という結論にも、異議があるということでもある。

普通、ファンダメンタル分析に対しては、テクニカル分析が対置されるが、こういった二つの分析方法が発達してきたのには、その根底に全く異なった考え方が存在していると言わなければならない。STF氏自身はテクニカルは使わないとのことだが、誤解を恐れずに言えば、氏の考え方や発想法は、全く持ってテクニカルのそれである。

という訳で、ここでこの両者の原理的な考え方の違いを対比して述べなければならないが、ざっくりと幾分早口で述べれば、こういったことになろうか。

ファンダメンタル分析の根底にあるのは、実証主義的な(一般的に言うと科学的な)考え方であって、表層的な株価の根底にはファンダメンタルという本質があるとする考え方である。従って、例えばバリュー投資で言えば、最終的には本源的価値によって価格が決定される、つまり、平たく言えば本源的価値というファンダメンタルが原因であって、価格形成はその結果であるとする「因果関係」モデルを想定している訳である。実際にはこの「因果関係」自体は解析・証明出来ないので、統計的手法=背理法による検定という作業を基に、有意性がある「相関関係」などと言うのであるが、まあ、「相関関係」と言おうが「因果関係」と言おうが、根底にある考え方は基本的に同じであると言って良い。

だが、繰り返しになるが、こういった考え方による分析は、よく「最終的に」とか「長期には」とか言われるように、「因果」または「相関」を決定または反映する過程の動態的なモデルは解明されていない、というか原理的に不可能なので、静態的な分析になりがちだといえる。実際には本源的価値自体も変動しているのであるが、普通は、その時点での本源的価値に対して、高い安い(割安かどうか)だけが問題にされるので、下がってきてその価格になったのか、上がってきてその価格になったのかといった、そこに至る市場価格の動的な過程というものは殆ど問題にされることはない。

近年、こういった古典的ファンダメンタル分析の限界が意識されるようになり、企業価値の成長性という企業業績の変化に注目する動態的なファンダメンタル分析が注目されるようになったが、いわゆるグロース株のファンダメンタル分析による割安度の判定というのは、相当に難易度が高いと言わざるを得ないようだ。企業価値の成長性に対するファンダメンタル分析には、定量分析プラス、ビジネスモデルなどの定性分析を重視しなければならないが、後者は当然のことであるが、主に言葉によってしか表現することは出来ないという根本的な矛盾を伴うため、割安度の判定は至難の芸当であると言って良い。ただ、ここで私が言いたいのは、こうした動態的なファンダメンタル分析であっても、この割安度の判定という行為自体は、どうしてもある種の数値の比較にならざるを得ないので、結果としては、量的な意味合いしか持ちえないので、原理的に静態的たらざるを得ないという点である。

これに対し、テクニカル分析は、基本的に効率的市場仮説の立場を取っている。従って、そもそも価格の根底にある本質などと言った考え方はしていないので、「因果関係」や「相関関係」などといったモデルは端から想定しておらず、言ってみれば、即時的に市場価格=本質とする考え方である。これは、ファンダメンタルは全て市場価格に表われているという考え方に立っていると言い換えても良いが、この点に関するファンダメンタル派の批判はややこしくなるので、ここでは触れない。そして、これはあまり言われていないことだが、先に述べたようにファンダメンタル分析が基本的に静態的な分析であるのに対し、テクニカル分析というのは基本的に動態的な分析だと言わなければならない。このことは、例えばファンダメンタル分析にはないトレンドというテクニカル分析に特有な概念を考えてみれば、すぐに判ることであろう。結局、これはそもそもテクニカル分析とは一体全体何ぞやという話になるが、ファンダメンタル分析が、静態的な割安度という量を分析する方法であるのに対し、テクニカル分析は、市場価格の変動という動態的な質を分析する方法だというのが私の意見である。

よく需給だとか地合いだとかいった言葉が使われるのを目にするが、これらの言葉はファンダメンタル派にはある種のエクスキューズとしてしか使われていないが、テクニカル分析とはまさに、この需給や地合いを分析する方法なのだと言ったら判り易いだろうか。


であるから、こういったファンダメンタルとテクニカルの根本的な考え方の違いを念頭に置いて、STF氏の説明を読んでもらえれば、まさしくSTF氏の投資法はテクニカル的な考え方に基づいた、トレンドフォローであることは容易に了解出来るであろう。

ここで反論があるかもしれない。

<銘柄の発掘は、Twitterや株探から始まり、気になる銘柄は企業のwebサイトに行き決算資料やIRニュース・月次の販売データに目を通し、セグメント別の売上高や利益の推移を確認する>というのは、これこそまさに典型的なファンダメンタル分析ではないかと。

確かにスクリーニングに、ファンダメンタル分析を使っているように見えるが、それは割安度を分析している訳ではなく、株価変動をもたらすカタリストとしてのファンダメンタルの変化を探していると言った方がより正確であろう。従って、ファンダメンタル分析は、スクリーニングのための言わば単なる必要条件という位置付けでしかなく、STF氏にとっての十分条件としてはあくまでテクニカルなトレンドが出ているかどうかが問題なのである。なので、氏のファンダメンタル分析は正統的な?ファンダメンタル分析から見ると、あまりに簡略で不十分な分析だと言わざるを得ないだろう。それは<財務分析はしないけどPLは見る><浅く広くやってる、深掘りはあんまやらない><Q:目標株価は設定するかA:しない><Q:業績に株価がともなわない場合、原因を考えますかA:損切りする><Q:株価の高い低いの判断基準はA:そういうのは判断しない、上がってるものを買う>といった言葉に明らかで、繰り返しになるが、STF氏にとっては、そういったファンダメンタル分析よりも、あくまで株価にトレンドが出ているかどうかの方が重要なのである。まず、トレンド有りき、ということである。<株価が上がっているものでより上がりそうなものを買う><決算直後でない場合チャートがきれいなものに寄せる><Q:きれいなチャートってどういうものA:右肩上がり><Q:業績やテーマの先取りはどうやってるA:先取りはしてない、出てきたものを追っかけてる><下がって減らしたものがトレンドが変わって上がりだしたかなと思ったら増やす>等々。

こうした考え方であるから、いわゆる正統的なファンダメンタル投資とは違って<好業績が出たが、株価が付いてこない銘柄は損切りする>のは当然であり、ファンダメンタル投資家としてはあるまじき<決算の内容から継続性がよくわからなくても他の人もわかってなさそうなら買う>という事にもなる訳である。勿論、これはトレンドが出ていることが前提の話であることは言うまでもないだろう。

<おそらく超過利益の源泉は講演会で語られなかったところにあって、その意味でも講演を聴いた人が真似して同じようなことをやろうとしても勝つことは難しいでしょう。「上を買いたくなるものを買う」という表現があったけれど、上を買いたくなるとはどういうことなのか、開示資料からどのようなシグナルがあればそう認識されるのか、そのあたりにSTFさんに固有のエッジがあって、それは簡単には説明できないものであるように思われます。・・・ただ講演を聴いていて1つ強く感じたのはSTFさんの投資行動は本人がそう意識しているかはさておきPEADを取ろうとしているということで、PEADって何って人はPost Earnings Announcement Driftでググってほしいのだけど、決算の内容から継続性がよくわからなくても他の人もわかってなさそうなら買う、という発言はとくにそれを示唆するものであったと思います。参加者が100%良いとおもう決算に突撃してもダメなんですよね。みんながみんな良いとおもうなら寄りでぜんぶ織り込んでしまうから。ただ見た目のよい決算に無差別で突撃してもそれはそれでパフォーマンス出ないはずで、そこになにかの秘密があるのかなというのが昨日の講演で感じたことでした。>

こういった意見もあったが、これはテクニカルなトレンドという概念が欠落したファンダ思考の人の目にはこういう風に映るのであろうが、なかなかと興味深いコメントである。どうしてもファンダが主で、価格が従という考え方から抜けられないので、こういった倒錯的なコメントになってしまうのであろうが、価格(の動き=トレンド)が主でファンダが従であるということは、素直にSTF氏の説明を読めばわかるはずだと私なぞは思うのだけれども・・・。言い換えると、後で見るが、はっきりと講演会で語られているように<見た目のよい決算に無差別で突撃して>トレンドが出ない銘柄は<さっさと切る>、トレンドが出た<当たりを引っ張る>という方法こそが<STFさんに固有のエッジ>であり、パフォーマンスの<秘密>であると、トレンド・フォロワーの私は理解するのですけどね。まあ、こうやってカリスマ投資家は、神格化されて行くという絶好の見本かも知れない。

なお、これまで私はトレンドという言葉を定義しないで使ってきたが、実はテクニカル分析におけるトレンドには厳格な定義が存在する。

暴落はトレンド、トレンドはフレンド 7

そして、STF氏は明確にルール化はしていないようで、氏自身の「変動感覚」に基づいてトレンドを判断し、売り買いをしていると思われるが、トレンド・フォローには、トレンド・ラインや移動平均線などに基づいたシンプルで明確なルールが確立されている。私自身は、日足トレードなので5日移動平均線を使っているが、アップトレンドを買いで取る場合、基本、株価が5日移動平均線の上に出たら買って、5日移動平均線の上にある限りずっとホールドし、株価が5日移動平均線を割ったら売るだけという至極単純なやり方をしている。最もそこには、5日移動平均線の上であっても、トレンドが鈍ってきた兆候が表れれば売るといった裁量部分もない訳ではないが、この兆候についてもルール化しているので、判断に迷うことはない。実際売り買いの判断は、ものの数秒で済んでしまう程である。STF氏も100銘柄ほどを売り買いしているということなので、ルール化はしていないにしても、同様に売り買いの判断は秒単位で行っていることは容易に想像できる。そこには確固とした明確な判断基準が存在すると推察されるので、おそらく判断に迷うことはほとんどないのではないか。

ただ一口にトレンドと言っても、時間軸によってトレンドの認識は異なるので、STF氏がどういった時間軸でトレンドを判断しているのかは、氏の説明からはわからないということは、指摘して置かなければならないだろう。

そしてまた、同様に氏の<当たりを引っ張ること、さっさと切ること>という言葉も、ファンダメンタル的な損小利大の意味で取ってはならない。ファンダ系の人で「損小利大がとにかく重要、だから握力を鍛えなければならない」といった表現をSNSでよく見かけるが、こういった修行僧的精神論的な方向?へ行くと、本人が自覚していないだけに、迷走は深まるばかりで何時までたっても抜け出せないという事態にもなりかねない。これは私に言わせると損切りはともかくとして、誰でもが納得できる利確の明確な基準を示せないのがファンダメンタル派の弱点であるということになる訳だが、それはともかく、この点で、氏の<引っ張る>という表現は、いささか誤解を招く言い方だと言わざるを得ない。<トレンドが出たら(当たりを引いたら)、トレンドが継続している限りホールドすること、トレンドが出なかったり、トレンドが終わったらさっさと切ること>とでも言い直せば、より判り易いだろう。

この言葉に限らず氏の説明を通して読んでみると、どうやらSTF氏自身もトレンド・フォローという言葉を知らないように見受けられる。あるいは言葉自体は知ってはいるのかも知れないが、説明の中に使うというレベル程には、この言葉の意味を明確に把握してはいないようだとは言えるだろう。

以上、どこかの国の選挙カーが立候補者の名前をしきりに連呼するごとく、いささかトレンド・フォローを連呼し過ぎた嫌いがないではないが、ここで興味を持たれた方のために、トレンド・フォローに関する書籍を幾つか紹介しておこうと思う。


まずは、トレンド・フォローの基本的な考え方や方法が、非常に判り易く述べられた基本図書4冊



『ルール トレードや人生や恋愛を成功に導くカギは「トレンドフォロー」』ラリー・ハイト

それから、マイケル・W・コベルの3冊も比較的解り易い。


『桁外れの利益をたたき出すトレーディング トレンドフォロー59の啓示 』


『トレンドフォロー大全 上げ相場でも下げ相場でもブラックスワン相場でも利益を出す方法』


『規律とトレンドフォロー売買法』

そして高度な応用編6冊(特にファンダしか知らない人には、いきなり読んでもこれらの本当の凄さは、多分判らないだろう)

まずは、タートルズ本2冊

『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』(画像は旧版) マイケル・W・コベル
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス

そして、現役バリバリのマーク・ミネルヴィニの3部作

『ミネルヴィニの成長株投資法 ━━高い先導株を買い、より高値で売り抜けろ』
『株式トレード 基本と原則』
『ミネルヴィニの勝者になるための思考法』

最後にジェシー・スタインの渾身の1冊

『スーパーストック発掘法 ──3万時間のトレード術を3時間で知る』


そして、皆さん否定的であるSTF氏の投資法の再現性の問題であるが、後で述べるようなレバレッジの問題は別にして、これはタートルズですでに決着がついている。先の2冊を読んでもらえれば判るが、以下の説明文を読むだけでもこのことは判るだろう。勿論、これは厳密な言語化、ルール化がなされているという前提あっての話であるが(この点は、先に挙げた書籍で補完できると思う)、巷間SNSで言われているような、向き不向きや性格に合う合わないとか、才能の在る無しの問題ではないということは、ここで強調しておきたい。そもそも才能の在る無しなんて、やってみた後で、事後的にしかわからない事柄だと思うのだが、どう思われるであろうか。

<謎のベールに包まれていた「タートル」の奥義を初公開!
「シンガポールの亀(タートル)牧場みたいに、トレーダーを育ててみよう」25年ほど前、カリスマ・トレーダー、リチャード・デニスは同僚のウィリアム・エックハートにそう語った。彼らは、トレーダーを育成することは可能か否かという賭けをするため、主要新聞に全面広告を打って大々的な募集をおこない、トレーダー養成塾「タートルズ」を作った。タートルたちは、わずか2週間の研修プログラムを終えると、それぞれ100万ドルの口座を任され、市場に参戦した。そして、ほとんどのメンバーが未経験だったにもかかわらず、次々と巨額の利益をあげ、業界に旋風を巻き起こした。相場は正しい訓練により成功できることが証明されたのだ。
しかし、タートルたちには厳しい掟があった。それは、教えられた投資手法を絶対、誰にも漏らしてはいけない、というものだ――。
タートルたちはなぜ、華々しい成功をおさめたのか?デニスとエックハートは、いかにして、たった2週間の研修で全員を凄腕トレーダーに仕立て上げることができたのか?
今日まで語られることのなかったタートルの全貌を、ついに明らかにします!>

<著者・カーティス・フェイスは、当時19歳の最年少タートルだったが、最も巨額の口座――200万ドルの運用を任され、わずか4年で3000万ドル以上を稼ぎ出した。こうしてリチャード・デニスの運用方法を受け継いだのち、自ら部分的に改良をかさね、メカニカル・トレーディングのシステム、およびソフトウェアの先駆者となる。
その運用実績は、年平均100パーセントという驚異のリターン、文字通り常勝無敗を誇っている。>

<全くの投資素人集団がわずか2週間の研修プログラムによって、次々と巨額の利益を上げていくというセンセーショナルなストーリーはトレーディングの世界では、あまりにも有名。その集団の名は「タートルズ」。

全米のトレード業界を驚愕させるパフォーマンスを実現させた舞台裏には、ある課題について意見の対立した2人のカリスマトレーダーの存在があった。わずか400ドルをトレーディングによって2億ドルにまで増やした伝説的トレーダー、リチャード・デニスとトレーダーにして数理論理学の専門家ウィリアム・エックハート。「トレーディングは訓練次第で成功できるか? 」2人の実験からすべてが始まった。
タートルズのメンバーは彼らにどのようなトレード手法を伝授されマーケットを席巻していったのか?トレードの手法やルールなどを含めた実験の全貌を描いた異色ノンフィクション>

派手好きの人には、こちらの方が良いかも(笑)。



それから最後に、レバレッジの話であるが、私には、資金が十二分に増えた現在でも、STF氏がどうして信用全力にこだわるのか、どうもよくわからない。本人も自覚していると思うが、ハイリスクであることは確かなので、利益の半分(あるいは全部)を引き出すというリスク・マネージメント方法は、FXなどでも良く使われているやり方だが、これはFX自体はそもそも証拠金取引であるという性格からくるので、私には、どうもそこにはSTF氏のギャンブル依存症的な性癖が覗いて見えるように思われるのであるが、さてどうであろうか。

「シン・コロナ:破1.12」―現実(ニッポン) 対 虚構(COVID-19)

2023-09-13 14:00:00 | 空気に水を差す
祝!mRNAワクチン接種を頑なに拒否してきたジョコビッチ、全米OP5年ぶりの4度目制覇、グランドスラム通算24勝目を達成。

Daniil Medvedev vs. Novak Djokovic Full Match | 2023 US Open Final


試合後のインタビューで、マイクをつかみ、ビースティ・ボーイズの「Fight For Your Right|権利のために戦え」を歌う。

Novak Djokovic Sings to the Crowd | 2023 US Open


ワクチン未接種を批判したライバルのナダルは、トップ100陥落後引退、「打たないなら、とっとと家に帰れ!」と罵倒したナブラチロワは、咽頭がんと乳がんに。いや、偶然、偶然ですよね(笑)。

スポンサーのワクチン製造会社のモデルナはジョコビッチをThe Moderna Shot of the Day賞に。「Shot」は注射に懸けたダブル・ミーニングだけれど、毎年の恒例行事だから、しようがないよね(笑)。


「シン・コロナ:破1.10」―現実(ニッポン) 対 虚構(COVID-19)

2023-09-07 14:00:00 | 空気に水を差す


”陰謀論本”の紹介(笑)。

積読になっていた、ロバート・F・ケネディ・ジュニア著 The Real Anthony Fauci: Bill Gates, Big Pharma, and the Global War on Democracy and Public Health『アンソニー・ファウチの正体 ービル・ゲイツ、ビッグファーマ、そして民主主義と公衆衛生をめぐる世界戦争』をようやく読み終えた。著者は名前から判るように、あのケネディー一族である。アマゾンのベストセラー・リストには、ずっと載っているので、アメリカでは相当に読まれているのは間違いない。題名から判るように、今回のフェイク・パンデミックに重要な役割を果たしたファウチを中心に、自称フィランソロキャピタリスト・ビル・ゲイツやビッグファーマとの関係などが詳細に描かれている。いわゆる「回転ドア」ー”天下り”と”天上り”をぐるぐると繰り返し、利益相反どころか明らかな利益誘導で、特許利益と公的機関及び私的企業の特権的地位による報酬によって、巨富を得ていくシステムが見事に詳らかにされている。

恐らく、内容から言って日本では翻訳は出ないものと思われるが、すべてではないが、以下ののサイトで、かなりの重要な部分が紹介されているので、参照されたい。

「アンソニー・ファウチの正体」初めに

「アンソニー・ファウチの正体」第1章 パンデミックの管理ミス I: 恣意的な命令:科学のない医学

「アンソニー・ファウチの正体」第1章 パンデミックの管理ミス II: ヒドロキシクロロキンを殺す

「アンソニー・ファウチの正体」第一章 パンデミックの管理ミス iii: イベルメクチン

「アンソニー・ファウチの正体」第一章 パンデミックの管理ミス IV:レムデシビル

「アンソニー・ファウチの正体」第一章 パンデミックの管理ミス V: 最終的な解決策 ワクチンか破綻か

「アンソニー・ファウチの正体」第2章 公衆衛生よりも製薬会社の利益

「アンソニー・ファウチの正体」第9章 白人の重荷


「アンソニー・ファウチの正体」第10章 利益よりも大きい害

「アンソニー・ファウチの正体」第12章 細菌ゲーム ウォー・ゲーム バイオセキュリティー国家の誕生

「アンソニー・ファウチの正体」 あとがき


ご存じの方も多いと思うが、著者のロバート・F・ケネディ・ジュニアは次期アメリカ大統領選の民主党候補に立候補しているので、次期大統領選の台風の眼になりそうな人物である。対する共和党はトランプがまずもって固いと思われるので、ひょっとすると民主党、共和党共に”陰謀論者”が大統領候補に選ばれるという事態にもなりかねない。個人的には、その可能性は十二分にあると思っているが、マイケル、いや違った(笑)ミッシェル・オバマが民主党候補として立候補するという話もあって、ますます目が離せない次期アメリカ大統領選である。



そして”陰謀論本”の次に紹介したいのは、”陰謀論映画”である(笑)。



出演者がゲイリー・オールドマンなど錚々たるメンバーであるのにも関わらず、日本ではなぜか劇場公開されなかったことと「麻薬問題を扱った映画」といった頓珍漢な紹介をされたせいか、あまり話題になっていないようだが、ビッグ・ファーマによるオピオイド薬害問題を扱った映画である。現在、ネット配信で視聴可能。

物語は密輸捜査官ジェイク、突然死した息子の死の真相を究明しようとするシングルマザーのクレア、それに大学薬学病理学教授ブラウアー博士の三つのストーリーが並行して描かれるという構成になっているが、私が特に興味を持ったのはブラウアー博士のパートである。どの程度事実を踏まえているのかはわからないが、恐らくモデルになった人物がいるものと思われる。こうした大学研究機関におけるビッグ・ファーマの有形無形の影響力行使のやり口が、実に真に迫って描かれている。

これまで得た私の拙い知識からいって、1900年代後半くらいから、ビッグ・ファーマはこうした大学の研究室に資金提供するだけではなく、内容に関しても口を出すようになり、現在は、大学の研究室は完全にビッグ・ファーマの征圧下にあると言って良いようだ。極端な場合には、実際に今研究している内容が、プロジェクト全体うちのどういった位置を占めるのかも判らないといった、丸っきりビッグ・ファーマの下請け機関と化している有様というのが実情らしい。このような事情から、現役の大学研究者は、映画のブラウアー博士のように、今回のコロナ騒動において、いわゆる反ワクの立場を取ると、研究者生命が絶たれてしまいかねない状況にあると言って良い。恐らく京大のM准教授なども相当な有形無形の圧力を受けているものと思われる。


そして、さらに特筆すべきウルトラ・ビッグ・ニュースが飛び込んできた。<我々と一緒に民主主義と自由を取り戻そうではないか。バリケードの上でお会いしよう。>というロバート・F・ケネディ・ジュニアの「あとがき」の言葉に呼応するように、遂にと言うべきか、WHOに対抗する世界的な陰謀論者の組織(笑)が旗揚げした!

WCH日本支部HP

9/1 20:00~ 【ゲスト:佐々木みのり先生】WHOに対抗するWCH日本支部とは何か? 及川幸久The Wisdom LIVE Channel#92




終戦記念日に考える 2 ー 属国根性について

2023-09-02 14:00:00 | やまとごころ、からごころ
日本人が知らなければならない大東亜戦争の真実【真・日本の歴史】


知人に教えてもらったのだが、普通あまり見られない視点の考察が随所に鏤められている良質の動画なので、ここで紹介したい。2時間半弱の長尺ではあるが、全くダレることなく、非常に多くの事実や知見が緊密に凝縮して述べられているのは、作成者の見識とプレゼン能力の高さを示していて間然する所がない動画である。いや、素晴らしい。

少し難しい話になるが、前にも少し述べたことがあるように、近代以降の世界規模の歴史的現象は「資本ー民族ー国家」という三位一体のシステムの面から考えてみる必要があると考えている。

<柄谷氏は現在出来上がっている体制を「資本=ネーション=ステート(国家)」とする。この概念は、資本とネーションとステートという異質なものがハイフンで繋がれている訳だが、この見立ては、私には誠に的を得ているように思われる。勿論、この三つは重ならないので、そこからさまざまな現代的な問題が噴出して来ると言うことが出来る。思想的には、この三つが我々の頭の中に内面化されたものとして、それぞれ様々な「経済思想」、「ネーション思想」、「国家思想」などの主義やイデオロギーが考えられるが、大雑把に言えば我々個々人の世の中に対する考え=世界観の違いというものは、この三つの「思想」の微妙な濃淡の違いによる組み合わせのヴァリエーションの違いに過ぎないと言っても言い過ぎではないだろう。従って、政治においてはこの三つの勢力の鬩ぎ合いの結果が、その時々の各国政府の政策的な性格を決めることになると言っても良いだろう。>

一般に、こういった戦争に関する考察や解説というのは、主に「国家」の面から、即ち政治やら外交やら地政学の面からのみなされるのが普通だが、それだけではなく「資本」や「民族」の面からも考えてみることも必要だと言いたいのである。ここで「資本」というのは、平たく言えば「経済」の面から、「民族」というのは、比較文化論的な行動様式の面からであるが、この動画にはそれらの興味深い考察がいくつかなされている。私としては、特に後者について、少し掘り下げてみたいと思うのである。


なお、前回述べた山本五十六については、01:17:50 「 "ちゃぶ台返し”の真珠湾奇襲と連合艦隊司令長官・山本五十六」と説明されているが、実に言い得て妙である。


そして、「経済」面については、一般に日米の国力の違いと言った静態的な説明がなされるのを常とするが、さらに深く踏み込んで、01:28:50 「軍事サービスの供給能力の差が開いたのはなぜか」という動態的な問題設定から、当時日本がインフレであったのに対し、アメリカはデフレであって、軍事的生産能力に対する余力という点でアメリカに分があったという説明は、他ではあまり聞くことの出来ない明快な考察・説明で、これも素晴らしい。

それから、比較文化論的な行動様式の面については、01:05:55 「 米国の”フェア”な要求」ということで、アメリカという国は、”フェア”であると述べているのも、なかなかと興味深い。

これは、いわゆる日本”属国”論にも通ずる話なので、ここで掘り下げてみたいのだが、ここで言われているようにアメリカは交渉に当たって、要求を隠し立てすることなく、”フェア”に臨んできている訳だから、日本側の主体的な問題というものも大きいと言わなければならない。結局、突き詰めると、これは日本人通有の”属国根性”に帰結するのではないかと私は考えるのだが、どう思われるであろうか。

日本人通有の”属国根性”というと、なんだか雲を掴む話のように思われるかもしれないが、この点を明らかにするには、行動様式の帰納法的プロファイリングといった方法が有効ではないかと私は考えている。一般にこういったトピックについては、その是非だけが論じられることが多く、「なに?属国根性?卑屈だ、けしからん!」と言って、いわゆる”遺憾砲”と同じで断罪するだけでは、何ら解決がつかないのは、その背後にあるものを抉り出さない限り、この後も何度も繰り返されることになるからである。

そして、さらにこれに加えて比較文化論的というアプローチを持ち出すのは、こういった視点を考慮に入れないとなかなか我々自身の行動様式に対する見方というものは、相対化出来ないからである。

例えば、日米開戦に当たって日本は、英語・アメリカ語を敵国語として禁止した訳だが、前回の動画でも言われているように、海軍では異なり普通に使われていた。だから海軍は素晴らしいという是非論に陥り勝ちだが、日本の取った行動と、アメリカの取った行動と比べると、また別の面ー文化的な行動様式の違いというものが浮かび上がってくる。

ではアメリカはどうしたのかというと、国中から日本語の出来る人材をかき集めて日本語学校を作り、日本語使いを量産して、彼らに日本を、文化・産業等あらゆる面から徹底的に研究させたのである。孫子の「敵を知り己を知れば百戦危うからず」を地で行った訳であるが、これ以降、アメリカのジャパノロジー(日本学)は相当に進歩した訳で、実際にどのようなやり取り行われているのかはわからないが、現在の日米の様々な交渉の場においても、恐らく日本人特有の交渉態度における弱点を、アメリカ側は相当に熟知した上で、交渉に臨んでいるものと推察される。

と言ったようなことで、話を”属国根性”に戻すと、これはエンターテイメント作品を帰納法的にプロファイリングすれば容易にわかることである。

例えば、国民的アニメである「ドラえもん」である。問題があると、何かに付けてドラえもんにすがるのび太は、アメリカ大統領が代わるたびに、安保第5条が尖閣諸島にも適用されることの確認をいちいち取り付ける日本政府と瓜二つである。



また、例えば広辞苑に名前が載っているほど、日本人の人口に膾炙している「ウルトラマン」である。日本(設定は地球ということになっているが、なぜかいつも日本)の平和を脅かす宇宙怪獣や宇宙人に対して、日本(これも同様に設定は地球ということになっているが)の守護者として、どこからともなく飛来したウルトラマンが無償で戦うという、全くもって善意の守護者としてのウルトラマンという設定は、全くもって善意の守護者としての「ドラえもん」と同型である。その理由付けとしては、一応ハヤタ隊員を事故によって死なせたからだと言う設定になっているが、この設定は全くの善意の守護者たる理由としては、いささか弱いと言わざるを得ない。無理があるのは誰もが感ずることで、それが最終回での「ウルトラマン、そんなに地球人を好きになったのか?」というゾフィーのセリフを入れざるを得なかった理由であろう。



日米安保条約に関しては、果たしてアメリカは有事の際には、日本を守るために出動するのかどうか、という日本側の議論があるが、これは結局のところ、在日米軍は全くの善意の守護者なのかどうかという議論に帰着すると私には思われる。従って、この問いは、問いの仕方を変えて「在日米軍、そんなに日本人を好きになったのか?」という問いに変えてみれば、この議論の答えは明らかであろう。

まあ、実際には、在日米軍は、無償でもなんでもなく、日米開戦時に日本語学校を作ったように、アメリカ自身の行動規範に則って動いているので、先の尖閣諸島の件も同様だが、そもそもこういった議論をすること自体が不毛だと言わなければならない。アメリカが出動しない可能性があるならば、その事態に備えてさっさと日本は行動すれば良いだけのことである。結局のところ、こうした対米日本政府の行動様式に透けて見える、いわゆる「親米保守」の抜きがたいアメリカ依存性癖というものが、”属国根性”の正体であろうと私は考えるのだが、どう思われるであろうか。

例えば原爆投下などを考えてみても、「保守」と「親米」がくっ付くというのは、おかしな話だが、これは「終戦記念日」という、これまたおかしな記念日の背後にある考えと底で繋がっていると思われるので、次回には、このあたりの事について考えてみたい。