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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

パプリカー筒井康隆

2021年07月15日 | 読書

評価5
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再読(前回2016年11月19日)。
ノーベル医学生理学賞候補となっていた精神医学研究所理事の千葉敦子と時田浩作はサイコセラピー機器を発展させたDCミニを発明。パプリカという別名て活躍していた敦子はDCミニ争奪戦に巻き込まれ敵対勢力とのバトルはエキサイト、夢が現実に現出して阿鼻叫喚の世界が広がる!奇才筒井のSF巨編!

人並外れた美貌と英知を持つ千葉敦子(29歳)。密かに、あの「火田七瀬」の再来を期待するが、ぜ~んぜ~ん、違うタイプであり、かなりのやり手。近くにいたら「やなタイプ」と思われるが、そごはそれ物語なので許す(笑)。相方の浩作は幼稚な天才。敦子との弁当の取り合いには大笑い。あの「伊良部一郎」にそっくり(笑)。

しかし、頭に装着することで他人の夢の中に入り込めるDCミニ(ダイダロスコレクター)を巡って展開される夢の中を舞台にした戦いが凄い。各人の妄想が作り出した珍獣、猛獣、想像上の妖怪が入り乱れて、夢と現実の境目も曖昧としたバトルの連続に終盤は論理的理解をかなぐり捨てて頁をめくるしかない。で、これが筒井康隆の世界な、の、だ!

いや~久しぶりに筒井康隆の世界にどっぷり。
正直疲れた・・・(笑)


盛岡一高初戦辛勝

2021年07月14日 | '21夏8強チームの球跡

盛岡一高バッテリー:(1~7回)菅、(8~9回)佐々木裕ー金澤
釜石バッテリー:中館ー佐々木

<盛岡一高メンバー>
1.⑥川村(3年仙北)
2.①③菅(3年浄法寺)
3.⑨高橋(3年奥中山)
4.⑧井上(2年仙北)
5.③⑤平井(3年附属)
6.②金澤(3年紫波三)
7.⑦藤平(2年大宮)、佐々木航(3年矢巾)
8.⑤①佐々木裕(3年上田)
9.④大川(2年下小路)

【戦評】
盛岡一が投手戦を制し3年連続初戦突破。
盛岡一は2回、4番井上の三遊間安打、5番平井の内野安打で無死12塁の好機をむかえ、6番金澤の送りバントはピッチャー前へ。ここでピッチャーの三塁への送球が悪送球となり1点先制。6回には安打で出塁の4番井上を三塁に置き、5番平井のセンター犠牲フライで1点追加。7回にも相手エラーで3点目をあげて、先発の左腕・菅が釜石打線を被安打3、7奪三振に抑え込み、8回から背番号1の佐々木裕をマウンドに送り釜石に付け入る隙を与えず逃げ切った。釜石は7回にむかえた二死満塁の好機を逃したのが悔やまれる。

川村主将が戦列に復帰したことで守りが硬くなったことは喜ばしいことですが、春同様「好機に打てない」。投手は不用意な四球が多い。このままでは上位進出はかなり厳しいと言わざるを得ません。「一戦一戦実力をつけて・・・」と言っても、時間がありません、持ち前の集中力でこの夏の戦いを乗り切ってください。応援しています。頑張れ!盛岡一高!





旅のラゴスー筒井康隆

2021年07月12日 | 読書

評価5

再読(前回2017年1月21日)。
文明を喪失したものの、人々が転移などの超能力を獲得した世界を旅するラゴス。ラゴスは奴隷に身をやつしながらも、祖先が残した宇宙船を訪ね書物から得た農業、医学の知識を世界に広める。そして「産業革命」目前に北への旅を決意するのだった。巨匠・筒井康隆のロードノベル!

①集団転移②解放された男③顔④壁抜け芸人⑤たまご道⑥銀鉱⑦着地点⑧王国への道⑨赤い蝶⑩顎⑪奴隷商人⑫氷の女王

SF手法を使って人類の歴史をたどる旅。似顔絵を依頼した人に顔が変貌する似顔絵描きのザムラ、自分を量子にまで変化させて壁抜け芸を見せるウンバロ、大路に卵を産み付けるムラサキコウ、そして、旅には欠かせないスカシウマとバラウマ、その辺にたむろしているミドリウシ等々、登場するキャラクターが面白すぎる!

そんな中にも、巨匠独特の文明論めいたものが見え隠れして何とも言えない読後感。さすがです!



剣闘士スパルタクスー佐藤賢一

2021年07月10日 | 読書

評価4

トラキア出身のスパルタクス(25歳)はカプアにあるレントゥルス剣闘士養成所の一級剣闘士。女パトロンに裏切られたスパルタクスは紀元前73年、同僚74人と脱走し、一般奴隷をも吸収し最終的には10万人もの反乱軍を率いてイタリア南方でクラッススと対峙する。ローマ帝国に背いた男の歴史活劇。

昨年「ローマ人の物語」を読破しただけに、カエサル、ポンペイウス、クラッススの名前はもちろん、ガリア、トラキア、ポンペイなどの地名が懐かしい。これと言ってローマに盾突いた理由がはっきりしないので、たまたま、スパルタクスが頭目に祭り上げられたってことのようです。まっ てことで、この点がスペクタクル的には弱いって感じ、では、ありますね。



墜落現場遺された人たちー飯塚訓

2021年07月07日 | 読書

評価5

再読(前回2017年3月24日)。
1985年8月12日の日航機墜落事故を多角的に取材した記録。遺族の思い、生存者の思いと葛藤、捜索にあたった自衛隊員の行動、治療に当たった医療関係者の心情、葬儀社の戸惑い、極限の惨状を共有した人々の心の叫びがここにある。36年前を思い出して涙が禁じえない。

しかし、生存した4人(川上慶子さん、落合由美さん、吉崎博子さん、吉崎美紀子さん)へのマスコミのスクープ合戦が腹立たしい限り。昔も今も一緒だな。

お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。



クライマーズ・ハイー横山秀夫

2021年07月06日 | 読書

評価5

再読(前回2017年4月2日)。
1985年8月12日羽田発大阪行日航123便御巣鷹山へ墜落、死者520名生存4名。群馬県の北関東新聞社全権デスクに抜擢された悠木和雅は現場からの突き上げ、社内での軋轢、報道の在り方、親子の葛藤に懊悩しながら情報を送り続けた。読み手の心を揺さぶる傑作長編!

かつての同僚がくも膜下出血に倒れ、御巣鷹の惨状を見て来た若手記者とぶつかり、一面トップの選択で上司と怒鳴り合い、家に帰れば息子とのすれ違い、四面楚歌の中でも同期、後輩の発した声にぐっと来た。
「同期じゃねえか。俺たち同期だろうが。一人で勝手に辞めるな」
「どこへ行ったって、俺たちの日航デスクは悠さんですから」

昨日、ボイスレコーダーの音声を元に墜落までの約30分を再現した動画を見ました。墜落直前まで羽田に航路を取ろうと懸命に操縦する乗務員の声に胸が締め付けられました。娘が生まれてから一月後の忘れらない出来事です。



春を背負ってー笹本稜平

2021年07月05日 | 読書

評価4

再読(前回2019年2月27日)。
奥秩父の国師ヶ岳と甲武信ヶ岳の稜線にある山小屋・梓小屋の主は脱サラして父の跡を継いだ長峰亨。その亨を支えるのがわけありの二人、ゴロさんと美由紀。6つのエピソードが3人の山小屋生活と四季の奥秩父を彩る、心癒される山の物語。

①春を背負って②花泥棒③野晒し④小屋仕舞い⑤疑似好天⑥荷揚げ日和

シャクナゲが咲き誇る奥秩父の風景が目に浮かぶようだ。山に行きたい思いがよけいに募る。そんな、ほのぼのとした清々しい物語。さすが笹本稜平。ゴロさんいつまでも元気でね!