評価
再読(前回2020年2月29日)。
健太郎の祖父・宮部久蔵は特攻隊員として戦死した。周囲から臆病者と揶揄されながらも、敵機を幾多も撃墜する凄腕パイロットだった宮部は部下たちに「生き続けろ」と言い続ける。戦時下の戦闘機乗りの生き様と特攻隊員の心情に迫った青春ストーリー。
ゼロ戦の交換を申し出た宮部とそれに応じた大石の人生が真逆になる終盤の大どんでん返し、宮部の恩に報いた戦友の戦後の所業に心が揺さぶられる。健太郎が宮部の戦友に聴き取り調査を行った時の証言が、太平洋戦争の経緯やあらゆる「特攻」の詳細を語る形となっており物語に厚みを加えている。