評価
1999年直木賞受賞作。
東京荒川の超高層マンションの部屋で男女3人が惨殺され20歳代の男性が転落死した。死者はそこに住んでいるはずの家族ではなかった。そして、4人による執行妨害のため競売物件であるその部屋の引き渡しを受けられずにいた買主が行方をくらます。
殺された4人は家族ではなかった。4人と人生をともにして来た家族たち、その4人と入れ替わっていた家族、行方をくらましていた買主の家族、その男が泊まっていた簡易宿泊所の家族、転落死した男の子どもを出産した女性の家族、それぞれの家族の姿をドキュメンタリー的手法で描写して現代社会の悲劇をあぶりだす力作。
う~む、まさに力作!もの凄い数の登場人物の家族における関係性や心の動きを細部まで語る表現力に驚いた。恐るべし!宮部みゆき!