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嘘つきアーニャの真っ赤な真実ー米原万里

2018年03月11日 | 読書

評価3
2006年にお亡くなりになったロシア語通訳者・エッセイスト米原万里さんによる表題作を含むエッセイ3連作。米原さんが10歳(1960年1月)から5年間、プラハ(チェコ)のソビエト学校に通っていた時の3人の同級生にまつわる話。

同級生の名はギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。4人の父親は各国の共産党から「平和と社会主義の諸問題」という雑誌の編集局に派遣された人や大使館員。ソビエト学校時代の米原さんと3人との交流、そして、離れ離れになって30年後の再開シーンが時代背景の移ろいとともに語られて行く。

思わぬ下ネタやストレートな表現に笑える場面も多いが、幼い少女3人の故国に寄せる思いや使命感、社会主義体制崩壊後の生き様を知り、時代の残酷さを感じた一冊。