Matthewの映画日記?

Matthewの独断と偏見に満ちたお気楽日記

名もなき毒 / 宮部 みゆき

2012-01-07 15:24:56 | '12 読書
年末から今年にかけて読んでいた宮部みゆきさんの『名もなき毒』が、今年初めての投稿になりました。


名もなき毒 (文春文庫)
宮部 みゆき
文藝春秋




あらすじは、


最近、世間では、毒物による無差別連続殺人事件が報道されていた。

 今多コンツェルンの社内に設置された社内報の編集部「あおぞら」に勤める杉村。この日も社報に載せる記事のため、組織会社の今多物流倉庫株式会社の管理部次長の黒田にインタビューをしていたのだが、インタビューの合間、話は脱線し、『家』の話になっていた。というのも、黒田一家が引っ越してすぐ、黒田の娘がひどい喘息に悩まされて、今朝も大きな発作を起こしたのだという。いくつもの病院をあたって診てもらっても、症状の改善は見られず、「これは『家(シックハウス症候群)』によるものなのでは」と妻と相談し、販売会社にも訴え、専門調査を行ったのだが、検査結果の値は正常で、アレルギーを起こすものではないのだという。販売会社の調査だけでは信じられず、自分たちで依頼した結果も同様で悩んでいるのだと聞かされ、杉村も最近、中古家の購入・引っ越しを考えており、妻がリフォームに関し、そういったことを勉強しているのでと、話が長く脱線してしまったのだ。
 インタビューを終え、編集部に戻ろうとしたとき、廊下ですれ違った後輩の加西君が「原田さんがまた・・・」と声をかけてきた。原田さんというのは、前任のアルバイトが辞めることになり、入れ替えで雇ったアルバイト社員なのだが、どうにも扱いづらい人間で、しょっちゅう編集長とぶつかっているのだった。そして、今日も二人で諍いが起こり、泣いて早退してしまったのだ。なんとかフォローしていた杉村だったのだが、さすがに解雇の連絡をせねばならなかった。そして、次ぐ日、社長室に一通の手紙が届く・・・




感想は、


はっきり言うと、乗れる(惹きこまれる)まで、ちょっとダラダラと読んでました。
でも、惹きこまれはじめてからは、イッキに読んでしまいました。
内容が、ごく普通(?)のサラリーマンが主人公で、プロローグに書かれた「毒物混入殺人事件」と、どんな形で結びつくのかわからなかったのですが、わかってからは、ぐいぐいと惹きこまれていきました。
毒物の毒と人の持つ毒が上手く書かれていて、読んでいて寒気を覚えるほどでした。
原田という人間も、「こんな人いるわけない」と言えない世の中ではある気もするのが、コワイ。
毒物事件の真犯人も、昨今のニュースなどを見ていると、本当にこういう安易な理由でやりかねないから、とても真実味がありました。
普通(常識的に)に生きているだけで、「立派な人間です」と言われた杉村。
この「立派な人間です」というせりふも、杉村と同様に思うが、ストーリーを読んでいて、妙に納得してしまう自分がいるのも確かで、宮部みゆきという作者は、本当に現在(いま)を捉えるのが上手い作者さんだと思いました。
ストーリーを通して、家族としての絆も描かれていて、そちらでも、ラストは感動してしまいました。

この作品は、サラリーマン・杉村を主人公にしたシリーズ作品らしく、本作はシリーズ2作品目になります。

苦手意識の強かった作者・宮部みゆきさんですが、知人に勧められて読んでいるうちに、苦手意識が薄れてきたかな?
これからも機会があれば読んでいきたいと思います。



シリーズ第1作品目は、こちら
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文藝春秋



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