れきしどころ真理庵

江戸時代の江戸を中心に、医学史・蘭学史を調べています。日々の暮らしを歴史からみた写真日記。

野沢尚 『ふたたびの恋』

2007-05-07 23:30:45 | 真理庵文庫・その他

『ふたたびの恋』を読むのはこれで3度目です。
最初はハードカバーの『ふたたびの恋』。
2度目はパルコ劇場での劇場版『ふたたびの恋』の脚本。
そして3度目がこの文庫になった『ふたたびの恋』です。
脚本版『ふたたびの恋』を読んだ後、
DVDの『ふたたびの恋』(役所広司が主人公を好演!)を観ました。
我ながら凄い惚れ込みようですが、
野沢尚の作品の中で一番好きなのがこの作品なので、
こういうことになってしまったわけで。。。

今回の文庫版は昨年9月に出版されています。
死後2年して出版されていることを考えても
野沢尚の人気は確固としたものだと思います。
実はこの版には、「陽は沈み、陽は昇る」という作品の
プロットのみが残されていました。
プロットではありますが、後少し肉付けされれば
そのまま小説としてちゃんと出版できるくらい完成度の高い
プロットです。
彼も独特の「野沢節」がありましたが、
プロットを読みながら、これを小説化したい、
完成させたいという衝動に駆られたのは
私だけではないのでは?と思いました。

「解説」は野沢と同様、脚本家で作家の高野和明氏。

「小説家というのは、底知れぬ孤独と戦う職業でもあった。
この孤独がどんなものか、説明するのは簡単だ。
あなたが会社員だとして、誰もいない無人のオフィスにたった一人で座り、
一生涯、仕事を続ける様を思い浮かべていただければよい。
…評価がマスメディアやインターネットを通じ、天下に向けて公表される。
毀誉褒貶の狭間で乱高下する精神を宥めながら、
あなたは一人黙々と仕事を続けなけていかなくてはならない。
…野沢さんの逝去を知らされた。
その真相は誰にも分からないし、無責任な憶測はすべて邪推になる。」
(278~279頁)

高野氏もちょっとふれていましたが、
野沢が書き込みによる言葉の暴力に傷ついたことは
先日のブログにも書きました。
で、私はそれゆえ野沢のことはインターネット上では
もう探し当てられないものとおもっていました。
ところが…
ブログをエントリーした後、何のきなしに彼の名前をググったところ、
何と!公式サイトを発見したのです!
昨年5月頃までは、サイトは無かったはずで、その後に出来たのでしょうが、
日本語ばかりでなく、英語とハングルの版もありました。
もし、あとほんの少し野沢が長生きし、
自らサイトの管理人かブロガーとして意見を書くことが出来たら
「ネットバイオレンス覚書」の意味もまた変わっていっただろうし、
言われっぱなしの無力感に襲われることもなかっただろうと思うと、
本当に残念です。

で、話題のサイトのアドレスを貼っておきますね。
http://nozawahisashi.jp/

ついでながら、何と今日は、野沢尚のお誕生日でした!!!
こんなこともあるんですね~♪


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2 コメント

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Unknown (野沢)
2007-05-08 01:40:10
公式サイトへのコメントありがとうございました。
また、「ふたたびの恋」を気に入っていただきありがとうございます。
私もこの作品が大好きです。
伊予甘をてんこ盛りになるまでむくのが得意で、自分の気持ちを正直に表現するのが下手で・・・。
何だか私と新子はとても似ています。
だからかとても好きな作品の1つです。
有難うございます! (真理庵)
2007-05-08 10:01:35
野沢様、
コメント頂戴致しまして、有難うございます!
昨日が野沢尚先生のお誕生日だったことも驚きでしたが、早々に野沢様からコメントを頂戴できるなんて、思ってもみなかったので、感激しております!!
伊予柑のシーン、私も好きです。新子のモデルが由起子様なんですね。以前にも増して『ふたたびの恋』が好きになりそうです!
野沢作品は、最後の『ひたひたと』まで、結構読んでいますし、また、TVドラマも楽しませていただきました。今後も時々野沢先生のサイトのお邪魔したいと思っております。
ところで、ブックマークに「野沢尚公式サイト」を加えさせていただいてよろしいでしょうか?

サイトの運営、管理大変でしょうが、「拠り所」が出来たのはファンとしては嬉しいです。頑張って下さい。