万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1751 高橋虫麻呂歌集

2010-10-18 | 巻九 雑歌
難波經宿明日還来之時歌一首(并短歌)

嶋山乎 射徃廻流 河副乃 丘邊道従 昨日己曽 吾超来壮鹿 一夜耳 宿有之柄二 峯上之 櫻花者 瀧之瀬従 落堕而流 君之将見 其日左右庭 山下之 風莫吹登 打越而 名二負有社尓 風祭為奈

島山を い行き廻(めぐ)れる 川沿ひの 岡辺の道ゆ 昨日こそ 我が越え来(こ)しか 一夜(ひとよ)のみ 寝たりしからに 峰の上の 桜の花は 瀧の瀬ゆ 散らひて流る 君が見む その日までには 山おろしの 風な吹きそと うち越えて 名に負へる杜に 風祭(かざまつり)せな


難波に経宿し、明日、還り来る時の歌一首(并短歌)

「島のように見える山(の周囲)を、取り巻いて流れる、川沿いの、丘辺の道を、昨日、我々は超えてきたばかりだのに。(難波で)一晩だけ宿泊しただけで、峰の上の、サクラの花は、滝の瀬に散って流れます。あなたたちが(サクラの花を)見るその日までは、山から吹き降ろす、風よ吹くなと(祈りましょう)。山を越えて、評判が高い(竜田の)杜で、『風祭』をいたしましょう」