万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1747 高橋虫麻呂歌集

2010-10-14 | 巻九 雑歌
春三月諸卿大夫等下難波時歌二首(并短歌)

白雲之 龍田山之 瀧上之 小鞍嶺尓 開乎為流 櫻花者 山高 風之不息者 春雨之 継而零者 最末枝者 落過去祁利 下枝尓 遺有花者 須臾者 落莫乱 草枕 客去君之 及還来

白雲の 龍田(たつた)の山の 瀧の上の 小椋(をぐら)の嶺に 咲きををる 桜の花は 山高み 風しやまねば 春雨の 継ぎてし降れば ほつ枝は 散り過ぎにけり 下枝(しづえ)に 残れる花は しましくは 散りな乱(まが)ひそ 草枕 旅行く君が 帰り来るまで


春三月。諸卿大夫らが、難波に下りし時の歌二首(ならびに短歌)

「“白雲の”竜田山の、滝の上の、小倉山に、枝がしなるほどに咲き誇る、サクラの花は、山が高く、風も止まず、“春雨の”(雨が)降り続けたので、枝先(の花)は散ってしまった。

下の枝に、残る花よ、しばらくは、散り乱れないで。“草枕”(難波まで)旅立った人たちが、帰ってくるまで」

●竜田山:大阪府と奈良県の県境 生駒山地の最南端 大和川北岸の山々の総称

●小倉山:京都府京都市右京区嵯峨