万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1742 高橋虫麻呂歌集

2010-10-09 | 巻九 雑歌
見河内大橋獨去娘子歌一首(并短歌)

級照 片足羽河之 左丹塗 大橋之上従 紅 赤裳數十引 山藍用 揩衣服而 直獨 伊渡為兒者 若草乃 夫香有良武 橿實之 獨歟将宿 問巻乃 欲我妹之 家乃不知久

しな照(で)る 片足羽川(かたしはがは)の さ丹塗(にぬ)りの 大橋の上ゆ 紅(くれなゐ)の 赤裳裾引き 山藍(やまあゐ)もち 摺(す)れる衣着(きぬき)て ただ独り い渡らす子は 若草の 夫(つま)かあるらむ 橿(かし)の実の 独りか寝(ぬ)らむ 問はまくの 欲しき我妹が 家の知らなく


河内(大阪)の大橋を独りで去る女性を見る歌一首(ならびに短歌)

「“しな照る”片足羽川の“さ丹塗りの”大橋の上を、(イカした女がいた)。“紅の”衣装の裾を引きながら、ヤマアイで、模様を染めた上衣を着ている。ただ独りで、(橋を)渡る娘には、(すでに)“若草の”夫がいるのか?(それとも)“樫の実の”独り寝の女か?

(あの娘の家に)お邪魔したいが、あの娘が欲しいが、(あの娘の)家が分からない」

●片足羽川:石川 または 石川が注ぐ大和川か

●大阪府羽曳野市