SCOTT WALKER THE BRIDGE
わたしが少女だったころ、磨り減るまで聞いては涙していた曲。 マドレーヌになりたいと願ったけれど、今思えば、そのころのわたしが、マドレーヌだったのだ。 世界はいつも雨が降り出しそうな灰色の雲で覆われていた。そしてどこまで行っても、雲は途切れず、頭上に重く垂れ込めているに違いないと感じていた。涙の川にかかる橋の上で泣き続けるマドレーヌ。
これを聞くと、当時の心のざわめき、柔らかく湿っていく臓腑、固い仮面で隠している弱くて敏感な自分、そういうものがよみがえってくる。