Cafe Eucharistia

実存論的神学の実践の場・ユーカリスティア教会によるWeb上カフェ、open

ライスカレーにソースをかけて食べるのを止めた中学生男子とその後

2016-02-03 00:33:26 | Dr.大福よもやま話
カレーライスの隠し味についての話をしていた時のこと。
皿に盛られたカレーにウスターソースをかけて食べるという、B級感漂う食べ方を大福先生が知っていたことに、私は少々驚いた。

大福先生がその食べ方を知ったのは、中学生の時らしい。「ライスカレーにソースをかけて食べるとうまいんだぜ」という話が同級生の間で広まり、大福先生もそれを試してみようと思ったのだ。大福先生とて、中二病にかかるのだ。

ただ、自宅では、とてもではないがそれを試すことはできない。大福先生の場合、自宅で出されるカレーは、シェフが出してくれるものだ。父とはいえ職業シェフが作ったカレーに、その面前でソースをかけるなんてとてもできない。でもやってみたくてしょうがない…。だから、「ライスカレーにソース」は外食の折に、こっそりやるのだ。

「うまー」
だけどやはりここでも、作ってくれた人に気の毒なのは変わりがない。
それに、そんなことを何回かやっているうちに、その味にも飽きてしまった。

四十代の頃に胃潰瘍を患ってからというもの、大福先生はカレーライスを避けてきた。何かをきっかけにある料理から遠ざかってしまうと、それを敢えて食べたいとも思わなくなってしまうものだ。大福先生にとって、カレーライスがまさにそれだった。

でも私は、たまにはカレーも食べたい。1人分ならではの、レトルト食はどうも好きになれない。しかし手作りのカレーを無理に一緒に食べてもらって、潰瘍は完治したとはいえその病痕を刺激するのは怖い。だから、胃に刺激となり過ぎず、かつ自分の好みに合うカレーを模索した。そのうち、ターメリックが肝臓によい、という話も聞いた。

あめ色になるまで炒めた玉ねぎ、スパイスで味をつけた骨つきの手羽中をカレー粉で炒め、スープに量多めの白ワインで煮込む。その間にトマトとすりおりしリンゴを加える。煮込み終わったら塩コショウで味を整えて、仕上げに生クリームを入れる。確か上沼恵美子の料理番組で紹介されていたレシピで、それをアレンジしたものだ。

大福先生は再び、しょっちゅうではないけれどもカレーが食べられるようになった。そしてもちろん、それにウスターソースをかけることもない。誠意を込めて作ってもらった食事に対して誠意をもっていただく。かつての「プチ中二病」を克服して学んだ、作り手へ敬意を払うということ。

おかげ様で、いつも私は気持ちよく食事を作ることができたし、それを一緒に食べることができた幸せ者だった。