マグロチャンピオンの料理道場

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料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(3)海老のトマトソース煮

2011年09月23日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今回も海老を使った簡単なおつまみを紹介しよう。

前回は海老をニンニクとオリーブオイルで煮たが、今回はそれにトマトソースも加えた「海老のトマトソース煮」を作ってみよう。

市販のトマトソースを使えば「海老のオリーブオイル煮」と同じよう簡単に作ることができるので「おつまみ」にはもってこいだ。

オリーブオイルを使った料理との初めての出会いは、南米のベネズエラのスペイン人の経営する小さなバールだった。

この店はちょっと変わった店で、店の主人が元フラメンコギター奏者のおじさんで、奥さん(おばさん)は元フラメンコダンサーで、お客さんはスペイン人のフラメンコをこよなく愛す人達ばかりだった。

スペインではフラメンコはとてもポピュラーな踊りで、プロだけではなく一般の人にも上手に踊れる人が多い。

そういうお客さんが夜な夜なこの店に立ち寄るという、そんな店だった。

店には看板も無く、ドアには小さな覗き窓があってスペイン人の常連客だけしか店に入れなかった。

そんな店に自分のような日本人の若造が通うことになったきっかけは、ある若いフラメンコダンサーとの以外な出会いからだった。

カラカスでは街の不動産屋に紹介してもらってアパートを借りて住んでいたが、そのアパートの1階が飲食店だった。
その店は朝から営業していて、ちゃんとした食事も出していたが、カウンター席にはタパス(おつまみ)が並んでいて真昼間からビールを飲むお客さんもたくさんいて結構繁盛していた。

当時の自分の生活は平日は朝の8時には起きてスペイン語の学校に行き、11時に授業が終わり学校の帰りに軽い昼飯を食べてからアパートに戻って仮眠を取り、昼の3時頃に店に行って料理の仕込みを始め5時にまかないを食べ、6時には店が開店。
夜の12時頃にお客さんが引けると店の従業員皆で夜食を食べてからどこかのバールで一杯飲んで深夜の2時か3時頃にアパートに帰って寝るという繰り返しだった。

休日は交代で取っていたが、忙しい店だったので月に2日位しか休みをもらうことができなかったが、たまの休みには遅くまでゆっくり寝て、昼頃に起きてアパートの1階の飲食店でビールを飲みながら食事を取ることにしていた。

ある時、カウンター席でタパス(おつまみ)を食べながらビールを飲んでいると、隣の席に綺麗な25歳位の女性が腰掛けた。南米人の顔立ちではないのでスペイン人かな?と思っていたら、彼女がこっちを見て「チニート」「チニート」と何かを話し掛けてくる。

まだ正午なのにもうかなり酔っぱらっているようだ。

そしてその女性が注文した飲み物が彼女のところに運ばれてきたのだが、グラスの中の液体が白く濁っていて、とても不思議な飲み物に見えた。

試しに彼女に「What is This?」などと尋ねてもチンプンかんぷんでキョトンとした顔をしている。。

まあ、スペイン語も英語もろくに話せないのに質問をする方が無理か。などと思いながら試しにバーテンダーに彼女の飲み物を指差して同じ物を注文して飲んでみたら、ものすごく強い酒でとても甘い。

カウンターの店の男に「Que es esto?」(これ何?)と、スペイン語学校で覚えたてのスペイン語で聞いてみたら見せてくれたのが「クアントロー」の瓶だった。

彼女はクアントローのオンザロックをがぶ飲みしていたのだが、これが結構いける味だ。

そして彼女の方は相変わらずこっちを見ながら、「チニート」「チニート」と何かを話し掛けてくが何を言っているのかサッパリ分からない。

そのうちにもう話すのは諦めたのか、こちらの手を引いて店のホールの方へ連れて行くではないか。

そして彼女が踊りだしたのが「フラメンコ」だった。

こちらは、フラメンコなどを踊ることはできないから、ただ、その場に突っ立っていただけだったが、周りの観客(お客さん)から彼女のフラメンコへの手拍子も大きくなり、それはとても素晴らしく情熱的な踊りだった。

その後も、彼女とは休みの日にアパートの1階の店でたびたび顔を合わせるようになり、クアントローのオンザロックで乾杯する仲になったが、その彼女が一緒に連れていってくれたのが、看板もないスペイン人しか入れない店だった。

この店にはそれから、毎日、毎日、店の帰りに立ち寄った。

それは、店主のおじさんとおばさんが本当に優しい人だったからだ。

午前中はスペイン語の学校に通っていたが、語学というのは実際に話して使わないと、なかなか身につかないものだ。

この店のおじさんとおばさんが、学校で使っている本を見て、今日、勉強したところの復習を一緒にやってくれたので、家に帰って眠い頭でボ~っとしながら復習しなくても、スペイン語がどんどん上達していった。

お金が無くても「ツケ」で飲ませてくれたし、いろいろな「おつまみ」を作っては食べさせてくれて、まるで自分の子供のように接してくれた。

もし、あの店の「おじさんとおばさん」が居なかったら、自分の海外生活は最初に行ったベネズェラで挫折していただろう。

ところで、フラメンコの踊りがうまい美人の彼女は本物のフラメンコダンサーで、この店で雇われて踊っていた。

また、彼女が言っていた「チーノ」はスペイン語で「中国人」という意味で、彼女から見たら「中国人」も「日本人」も皆、中国人に見えるのだろう。

さて、今回もバールで定番の「おつまみ」を紹介しよう。

◆「海老のトマトソース煮」の作り方。

1)用意するもの。

写真手前の左から「ニンニクのみじん切り」「バジルの粉末」。写真中央の左から「海老」「トマトソース」。
写真奥の左から「食塩」「チリパウダー」「コショー」「オリーブオイル」「白ワイン」。

2)作り方。

①フライパンを中火に掛け、オリーブオイルを(大さじ2)注ぐ。


②ニンニクのみじん切りを加えて炒める。


③ニンニクの香りが出てきたら海老を加える。


④白ワインを加えて2分~3分ほど煮込む


⑤トマトソースを加える。


⑥塩を振る。


⑦コショーを振る。


⑧バジルを振る。


⑨お好みで「チリパウダー」を振る。


⑩出来上がり。


⑪パンを添えて美味しいソースも食べよう。


この料理も最初にオリーブオイルにニンニクの香りを引き出したら海老を入れてさっと炒め、白ワインを加える。
炒めるというより、煮るようにして作るのがポイントだ。

ニンニクを焦がさないよう、また、海老が堅くならないよう火の通し方に注意しよう。

さて、次回も「おつまみ」の話をしよう。


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