マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

中国人も大好きな「石焼きビビンバ」。でも生卵はNGです。

2011年08月25日 | 一品料理
久しぶりに上海に戻ってきたが朝から雨だ。今年はどういう訳か雨が多いように感じる。

聞くところよると「ヨウ化銀」という物質をミサイルで打ち上げて空に散布すると、それを核にして雲が発生して人口的に雨を降らすことができるらしい。

今年の5月には中国の湖南省で「人工降雨用ミサイル」が民家に落下し、屋根を破って室内で爆発し2人が負傷するという事件も起きたが、中国では干ばつの地域の空に年に1000回以上も、このミサイルを打ち上げているという。

実は以前、タイに3年程住んでいたのだが、「人工降雨」の技術はタイのプミポン国王が発明したと聞いたことがある。

タイでは映画を見に行くと、映画が始まる前にまず国王のイメージビデオが最初に流れる。そうすると全員が起立して国王に敬意を表す。もちろん外国人も例外ではなく、一緒に起立しなければならない。

それほど、タイ人は皆、国王(王様)が好きなのだ。

そのイメージビデオの内容だが、干ばつの農村と途方に暮れている農民。そして、その農村に国王がやってくる。すると、どういう訳かとたんに雨が降り出してスクリーンいっぱい緑と笑顔であふれるといった内容だ。

タイ人は、「人工降雨」の技術は王様が発明したと誰もが知っている。

実際、2009年には、タイのプミポン国王が開発した人工降雨技術がフランスなど欧州10カ国で特許を取得し、タイ研究評議会の代表から国王に特許証書が進呈されたらしい。

「人工降雨」の技術の話は別として、こう雨の日ばかり続くと店の客足にも響いてしまう。

さて、また話がそれてしまったので、今日の「石焼きビビンバ」の話に入ろう。

実は中国に来るまでは「石焼きビビンバ」という料理は、ほとんど食べたことがなかった。

焼き肉店に行っても、肉や野菜を焼いて食べた後は、決まって「冷麺」か「クッパ」で、「石焼きビビンバ」を食べる気にはならなかったからだ。

ところが、中国に来てから月に2回は「石焼きビビンバ」風の料理を食べている。

それは、店のキッチンスタッフがつくる「まかない」だ。

店では、朝の10時と夕方の4時に「まかない」を食べるのだが、なるべく1号店~5号店のどこかの店でスタッフと一緒に「まかない」を食べることにしている。

皆とのコミュ二ケーションもあるが、それより、その地域の「味の特徴」を知る為だ。

中国という国はとても大きく、それぞれの地域に多種多様な民族が生活していて、言語や習慣、考え方や食べ物も違う。

たとえば、上海は「上海国」、北京は「北京国」と、それぞれ独立した国家のようなものだ。

中国生活の最初のスタートは大連からだったが、大連と上海では味付けが大きく異なる。

大連は3方を海に囲まれていることもあり、魚介類を中心に味付けは塩味は濃いがさっぱりしている。

また、上海は上海蟹など魚介類も豊富だが、味付けは甘くてくどい。

ただ、大連でも上海でも中国人は日本料理の「薄味」は受け入れてくれないようで、せっかく別々に野菜を炊いた「炊き合わせ」は没有味道(メイヨー ウエイダオ)となり、味が無いとつっ返されてしまったことが何度かあった。

そこで、今ではなるべく、その地域の味を知り、大連なら塩味に気をつけ、上海なら少し甘めの味を心がけている。

そして、キッチンスタッフの「まかない」を食べることは、それぞれの地域の味の特徴を知るチャンスでもある。

しかし、とんでもない味の「まかない」もあり、そういう時には少しだけ助言をすることになる。

その一つが今回の「石焼きビビンバ」で、ナムルは何でもかんでも野菜を茹でて、ゴマ油をたっぷり掛けるので、どの野菜もゴマ油臭の同じ味で口の中がベトベトになる。

そこで、今回はうちの調理スタッフにも教えた「石焼きビビンバ」の作り方を紹介しよう。

この「石焼きビビンバ」は実際に上海の4号店と5号店のメニューに入っているが、これらの店は日本人客より中国人や欧米人のお客さんが多いので、「石焼きビビンバ」はとても好評だ。

◆「石焼きビビンバ」のつくり方。

1)それぞれの材料で「ナムル」をつくる。


①ニンジン(左奥)
ニンジンは4㎝~5㎝の千切りにし、湯でボイルした後に流水でさらし甘酢に漬ける。

②モヤシ(中央奥)
モヤシはひげを切り取り、鍋に水(モヤシがひたひたにかぶる位)を入れ火に掛け、沸騰したら蓋をして2分程蒸し煮しザルに上げる。冷めたら砂糖、醤油で味を整える。

③ぜんまい(右奥)今回はぜんまいが無かったので、しいたけで代用)
フライパンを火に掛けゴマ油でぜんまいを炒めて、砂糖、醤油で味を整える。

④大根(手前左)
大根は4㎝~5㎝の千切りにし、水にさらした後で甘酢に漬ける。

⑤牛肉(手前中央)
牛肉は7㎜位に薄くスライスして「薄いステーキ肉」のようにし、、両面に塩、コショーをし、その後で両面に軽く小麦粉をまぶす。
フライパンを火に掛け、ゴマ油を入れ、ニンニクのみじん切りを入れ、ニンニクの香りが出たら、肉を両面焼いて7㎜幅に切る。
(肉の表面に軽く小麦粉をまぶしてから焼くことで、冷めても堅くならない)

⑥ほうれん草(手前右)
ほうれん草を茹でて水気をよく絞り4㎝~5㎝に切る。(しっかり水気を取ること)
砂糖、醤油、すりゴマを加えて和える。


2)石鍋にゴマ油を敷き火に掛け、ご飯を入れて上にトッピングを並べ、温泉卵を中央に置き、コチュジャンを中央に添える。


<ポイント>
①ご飯が冷たい場合には電子レンジ等で温めてから石鍋に入れる。
②ご飯を石鍋に入れる前に、ご飯に少量のゴマ油を振って混ぜ合わせておくと、ご飯がダマにならず混ぜやすい。
③トッピングを乗せる前に、ご飯の上に「すりゴマ」を振りかけると香ばしくなる。
④「おこげ」が香ばしいので、「おこげ」ができるまでじっくりと焼く。

3)台の上に乗せ、小皿に盛った「キムチ」を添える。


さて、これで「石焼きビビンバ」のできあがりだ。

後はスプーンでよく混ぜて食べればいいが、通常、日本では「石焼きビビンバ」には生卵の「黄身」を入れてよく混ぜ合わせて食べるが、中国人には生の卵は「NG」だ。

すき焼きでも、日本人は生卵に肉や野菜を絡めて食べるが、中国人は絶対に生玉子は食べない。

あんな腐ったような「ピータン」は食べるのに、生で卵を食べることはゲテモノのようで、口の悪い中国人は「生で卵を食べるのは日本人と蛇だけ」と言ったり、「鼻をすすっているようで気持ち悪い」等と言うが、卵は新鮮でないと「サルモネラ菌」等の食中毒の原因にもなる。

今、上海では日系の会社が「ヨード卵」等、新鮮な卵を生産しているが、もし、これがなかったら自分も中国産の卵は「NG」だろう。

ただし、これを「温泉卵」にしてあげると中国人にも抵抗がないようで、以前は「目玉焼き」をトッピングで乗せていたが、今は「温泉卵」を乗せるようにしている。

今回は温泉卵の簡単なつくり方も説明しよう。

◆温泉卵の簡単なつくり方(多く作る場合)

1)鍋に湯を沸かし、水溶き片栗粉をいれる。

お玉半分の片栗粉に水を入れて、鍋に沸かした湯の中に入れ、かき混ぜる。

2)鍋に卵を入れる。

卵は冷蔵庫から出し常温にしばらく置いたものを使用する。

3)再度、沸騰したら火を止める。

ときどき箸で卵を回してやると、黄身が卵の中央にくる。

4)25分経ったら殻をむいて確認してみる。

固めがよければ、さらに5分程、鍋に入れておく。

「温泉卵」はこのように簡単を作ることができるが、もし、1個だけ「温泉卵」をつくりたい時には、「電子レンジ」を使っても温泉卵をつくることは可能だ。

◆温泉卵の簡単なつくり方(電子レンジで1個だけ作る場合)

1)小さな器に卵を入れ、少量の水(大さじ1位)を加える。


2)きっちりラップする。


3)電子レンジに入れ、「中火」にダイヤルを合わせ、50秒~60秒加熱する。


4)出来上がり


器が白でよく見えないので、もう一枚写真を張り付けておこう。


電子レンジでも「温泉卵」を簡単につくることができるが、電子レンジを使う場合にはレンジ内の置く場所等で加熱状態が違ってくるので、1つずつ作った方が安心だ。

今回は「石焼きビビンバ」の話をしたが、、この料理は具材をいろいろと変えてみると、たくさんのバリエーションの「石焼きビビンバ」を楽しむことができる。

もともと、ビビンバの「ビビン」は韓国語で「混ぜる」という意味で、「バブ」は「ご飯」なのだから、どんな具材を使用しても、どんなタレを使用しても構わないのだ。

ちなみに、最近は「コチュジャン」に少量の「豆板醤」を加えて食べているが、夏に食べるにはもってこいの味となる。


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1 コメント

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Unknown (kyohey)
2011-08-26 01:54:46
石焼ビビンバ、おいしそうですねー。

最近中国では、色んな日本の料理
が食べられる様になってきてると思うんですが
ベーシックに戻り、寿司に関しては
中国では未だに人気がありますか?

世界の寿司事情も大分変ってきたと聞きます。
中国の寿司事情で面白い話があれば
是非聞かせて頂きたいです。
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