マグロチャンピオンの料理道場

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料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(2)海老のオリーブオイル煮

2011年09月22日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
前回の「スペアリブの豆板醤蒸し」は作り方は簡単だが、蒸し時間などを入れると30分以上掛るので、今回はパッと作れる「海老のオリーブオイル煮」を紹介しよう。

この料理はスペインやイタリアのバールやタベルナ(軽食を出す飲み屋)で定番の「おつまみ」だが、海老をニンニクと一緒に炒めたオリーブオイルをパンに付けると美味しくて、ついついパンを食べ過ぎてしまう。

飲み物は良く冷やした「白ワイン」をお勧めするが、オリーブオイルで味付けした料理は不思議と「日本酒」にも合うし、またビールにも合う。

思い起こすと、最初に海外に渡ったのは19歳の時で、今から何十年も前の事だが、日本から離れて海外で生活することが夢だったので、当時は行き先はどこの国でも良かった。

高校(都立工芸)ではどういう訳か1年の時に「生徒会副会長」、2年になると「生徒会長」に選ばれ、当時、都立高校で問題となっていた「制服の自由化」に取り組んだが、それを阻止する学校側との話し合い、また、生徒を取りまとめることに奔走したが、学校はうちの母親まで学校に呼んで、『進学も就職の推薦もしない』と脅すし、生徒も「三無主義」「六無主義」といった、自分の事しか考えない連中が多く、「制服の自由化」は勝ち取ったが、なぜか心の中はとても空虚だった。

それよりも、自分の弱さを自分が一番よく知っていたので、そういう自分を追い込める為にもあえて海外に出てみたかった。

その後「服部栄養専門学校」に入学し、調理師免許を取った理由は、調理師免許を取るのには調理師学校に通うのが一番手っ取り早いことと、学校が海外の就職先(料理店)を紹介してくれるからだ。

「服部栄養専門学校」に入ってからは、いち早く海外の就職先を斡旋してくれる就職課の先生のところに顔を出しておいたが、そろそろ就職活動を始めるという時期になった時に、就職課の先生がうちのクラスに来てこう話を切り出した。

『誰か、ベネズエラの日本料理店に行く奴はいないか! 明日の朝9時までに履歴書を持ってこい、早い物勝ちだ。』

この話を聞いた時には、もう、胸の内は決まっていた。「俺はベネズエラに行く!」と。

早速、学校帰りに「履歴書」を買い、バイト先の市ヶ谷の「焼き鳥店」でいつものように、200本の「焼き鶏」の串打ちをしていても、頭の中は「ベネズエラ」という国がどこにあるのか?どんな国なのか?妄想ばかりだった。

バイト先から家に戻ると、小学校か中学校かで使っていた社会科の「世界地図」を取り出して、早速、ベネズエラという国がどこにあるのかを探し始めたのだが最初に見たのは「アフリカ」のページだった。

今のようにPCも無く、インターネット検索なんかできなかった時代なので、「ベネズエラ」という国を南米のページから見つけ出すのに1時間以上も掛ったのを今でも覚えている。

翌朝、9時前には就職課に行き先生に履歴書を出したのだが、求人2名に対して、自分だけしか希望者が見つからず、それから一週間程経ってやっともう一名、一緒にベネズエラに行くことになる生徒が見つかった。

後から就職課の先生に聞いたところによると、なぜ、先生が『翌朝一番に履歴書を持ってこい』と言ったかだが、直ぐに履歴書を持ってくるくらいガッツがないと、出発直前になって行きたくないと言ってくる生徒が多いからだそうだ。

そういう経緯で調理師学校の推薦で、南米のベネズエラという国の首都、カラカスにある「家紋」という日本料理店に就職が決まり、羽田空港から「パンナム」でニューヨーク経由で、丸2日掛けてベネズエラに降り立った。

さて、また話が長くなってしまったが、今回紹介する「海老のオリーブオイル煮」を初めて食べたのはカラカスにあるスペイン人が経営しているスペイン人の客しか入れないバールだった。

なぜ、スペイン人しか入れない店に日本人が入れたかの話は、また、今度しようと思うが、日本ではオリーブオイルなど「明治屋」か「大きなデパート」に行かなければ買えなかった時代なので、初めてオリーブオイルを使ったこの料理を食べた時は衝撃的だったし、和食にオリーブオイルも使う自分の料理の原点がここにあるのかも知れない。

では早速作ってみよう。

◆「海老のオリーブオイル煮」の作り方。

1)用意するもの。

写真手前左から、「ニンニクのみじん切り」「パセリのみじん切り」「鷹の爪」。写真中央「有頭海老」。
写真奥左から「オリーブオイル」「チリパウダー」「食塩」

2)作り方。

①「海老」の皮を剥き、背ワタを取り、一口大に切る。


②フライパンを中火に掛けて「オリーブオイル」を注ぐ。(大さじ4~5位多めに)


③鷹の爪を加える。


④ニンニクを加える。


⑤「海老」を加える。


⑥「塩」を振る。


⑦皿に盛りパセリを散らす。


⑧完成


辛いのが好きならば、「チリパウダー」を振ろう。


ニンニク味のオリーブオイルをパンに付けると、ついついパンを食べ過ぎて「メタボ」が気になってしまう。


さて、この料理のポイントはニンニクを焦がさないことと、海老に火を通し過ぎないことだ。海老はどんな海老でもいいが、炒めるのではなくオリーブオイルでさっと煮るように作ると旨い。

さて、「白ワイン」は何を飲む?

実は、この料理に一番合うのはスペイン産の辛口のシェリー酒、「TIO PEPE」(ぺぺおじさん)だ。

グラスにクラッシュした氷をたくさん入れて、そこに「TIO PEPE」を注いで、南米の音楽サルサでも聴きながらこの料理を食べればもうすっかりラテンの気分だ。

さて、次回も「おつまみ」の話をしよう。




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