町作り研究会(容子の部屋-別室)

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「環境」と「開発」の両立目指す 

2009-01-28 10:10:21 | 地方新聞

 

            スポーツクラブでダイビングを教える潜水士の渋谷正信さん

最近日本国内の沿岸では海藻が枯れて藻場が消える「磯焼け」が増えているとの事です。ところがここにもその問題に真剣に取り組んでいる人がおります。和歌山県由良町の沖合にある「海藻造成実験現場」の澁谷さんです。その澁谷氏が半年ぶりに海に潜ってみると、深さ約6メートルの人工礁に、以前よりたくさんの海藻付着していたと言うのです。そしてイカが卵を産み付けたり、その周りをメバルの稚魚が元気に泳ぎ回っているのを発見したとの事です。これを見て「うまくいけば藻場(もば)が再生するかもしれない」と強く感じたとの事のようです

 これまで渋谷さんは、レインボーブリッジ(東京都港区)、川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアライン、阪神大震災における神戸港の復旧現場…と数々の大工事に携わってきたそうです。そのキャリア35年間のベテランであり、潜水時間3万5000時間も越すとの事です。「渋谷にできない仕事はあきらめろ」とささやかれる程この道の第一人者だとの事です。

一般的には「環境」と「開発」・・この2つは相いれないと考えられがちだですが、渋谷氏は「開発が環境によい影響を与えることもある。相乗効果が図れるような工事をしなくてはならない」と言っているそうです。

この澁谷氏・・故郷は北海道東部の白糠)町との事ですが・・19歳で上京、就職した電機メーカーの社員旅行で初めて本格的なダイビングを体験したのだそうです。その時の「海の中には多くの命があり、出発点となって24歳のとき、プロダイバー養成学校の存在を知り、周囲の人に「「潜水士になる」と宣言したそうです。

 両親を説得し、マイホームの購入資金としてためていた預金を崩し、学費に充て鹿児島の学校に1年半通い、潜水士免許取得試験に一合格して、いよいよこの道に入りました。しかし・・念願の潜水作業員の仕事には理想とかけ離れた過酷な作業も多く在ったとの事です。

32歳で会社を興し、最初の仕事となった水深70メートルの石油プラントの工事では、作業を終えて海面まで戻る途中に潜水病を発症して、急上昇すると命を落とす恐れがあったため、通常の倍の6時間かけて浮上した事もあったそうです。 ただ一度だけ、自分の仕事に嫌気が差したことがあるそうで、環境問題に興味を持ち始めた40歳のころに、「海中に構造物をつくっている自分こそ環境を壊している張本人」ではないか?と感じたことがあっとそうです。

 そんな思いを抱きながらも東京湾アクアラインの建設工事を引き受け、海底に打った鋼管くいの点検をしようと潜ったとき・・・周りでキラリと光る複数の物体を見つけたのだそうです。それはクロダイであり、そこに住み着いてました。その瞬間、潮流がぶつかる海中構造物には、流されてくるプランクトンなどの魚の餌が付着することを・・・「海洋工事は環境を破壊するだけでなく、やり方によっては魚礁みたいな魚の住みかをつくってあげられるのではないか」と気が付いたとの事です。

 これこそが「環境」と「開発」の両立を考える出発点だった・・・と澁谷氏は確信を持ったとの事です。この広報を応用したならば、日本の海には多くの可能性が満ちているのかも知れません・・・

 



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