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◆「日の名残り」
イギリスの名家に勤める執事、スティーブンが元同僚と会うために旅にでる。その間、思いをめぐらせる。
伝統的なイギリスと本の裏にあるが、その通り。
でもって、この主人公が執事としては優秀なのかもしれないが、人間としては面白みがさっぱりない。さっぱりないんだけど、だんだんシンパシーを感じてくる。
カズオ・イシグロ、上手い!
「品性」という言葉がポイントのように出てくる。品性が失われた時代に、あえてこれを問うという、手法は古めかしいが切り口は斬新なのである。
つまり、古い皮袋にいれた新しいぶどう酒か…。
村上春樹が、「わたしを離さないで」を絶賛していたのが、納得。
さっさと、文庫になってくれるといいんだがな。