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マシュー・ボーン作 ザ・カーマン

2009-07-22 05:52:47 | バレエ
Matthew Bourne's The Car Man



完成した強烈な作品があると、それとまったくちがうものを創造していくのがいかに難しいかは、テレプシコーラに何度か書かれていました。たとえば白鳥の湖で、白鳥以外の踊りを考えるのは難しいです。それからボレロ。ベジャールの例の振り付けが強烈すぎて、みんな似たような振り付けになっちゃう、ってエピソードがありました。

ビゼーの「カルメン」もまちがいなくそういった作品の一つ。おまけに原曲はオペラで歌詞がありますから、他の物語にするのは難しいし、へたをやると単なる愚か者扱いされそう。

ところが、「ザ・カーマン」でマシュー・ボーンは実にうまくやっているではありませんか。

おそらく発想はだじゃれそのもののはず。carmen=car men。それを単数形にしただけ manだから、カルメンにあたる役は男性になるわけです。

ところがそこからの発展のしかたが実におもしろかった。カルメンと同じく、情熱、愛憎の入り乱れる物語。60年代のアメリカだかに置き換えたカルメン、といっていいつくりです。情熱的/肉体的な愛と暴力と死がテーマ。 

舞台はとある町の自動車修理工場。そこに危険なにおいにみちた男性のルカ(アラン・ビンセント)が登場。どこか若いころのマーロン・ブラントを連想させるキャラで、セクシーといいますか、男臭さがむんむんしてます。

このルカにひかれていくのが工場主のディノ(スコット・アンブラー)の奥さんであるラナ(サラン・カーテン エスミリオみたいな役といっていいのかなあ)嫉妬したディノと争った結果、ルカはオーナーを殺してしまいます。そして濡れ衣を着せられたのが、工場のいじめられっこといっていい存在で、バイセクシャルなルカに夢中になってしまったアンジェロ(ウィル・ケンプ。ホセにあたるキャラ)。殺人者として牢にいれられたアンジェロは、そしてアンジェロに惹かれているリタ(エタ・マーフィット。ミカエラみたいなキャラです。ラナの妹でもあるらしい...)の運命は... とまあ、こんな具合の話。まだ見ていない人のために、最後まであらすじをいうのはやめておきましょう。

ダンスもウェストサイドをもっと汗臭く、セクシーで危険な香りをもたせたものです。バレエとモダンダンス/ストリートダンスとブロードウェイダンスを混ぜたようなかんじ。

たいへんおもしろいパフォーマンスです。このCMで作品のエッセンスはわかるのでは。

明日はアンジェロをやったウィル・ケンプ(バレエ界のジェームズ・ディーン)の踊りをのせてみます。この秋、来日します。

気に入ったら全編もどうぞ。一時に比べ、DVDのおかげでバレエも安く見ることができるようになりました うれしいかぎりです。

ザ・カー・マン [DVD]

ワーナーミュージック・ジャパン


ルカ:アラン・ヴィンセント Alan Vincent
ラナ:サラン・カーテン Saranne Curtin
アンジェロ:ウィル・ケンプ Will Kemp
リタ:エタ・マーフィット Etta Murfitt
ディノ:スコット・アンブラー Scott Ambler
メルセデス:ヴィッキー・エヴァンス Vicky Evans
ロッコ:アーサー・ピタ Arthur Pita
モニカ:ヴァレンティナ・フォーメンティ Valentina Formenti
ブルーノ:スティーブン・バークリー=ホワイト Stephen Berkeley-White
ジーナ:ヘザー・ハベンス Heather Habens
サンドラ:レイチェル・ランカスター Rachel Lancaster
デロレス:シェルビー・ウィリアムス Shelby Williams
"ホット"ロッド:アダム・ガルブレイス Adam Galbraith
チャド:リー・スマイクル Lee Smikle
ヴィト:ニール・ベンリントン Neil Penlington
マルコ:ベン・ハートレイ Ben Hartley
ダーク:ジェイムズ・リース James Leece
田舎の警官チャック:ダレン・J. フォースロプ Darren J. Fawthrop
クラブのオーナー シャーリー:ミケラ・メアッツァ Michela Meazza
バーテンダー:パウロ・カドウ Paulo Kadow
監視人デクスター:ダレン・J. フォースロプ Darren J. Fawthro


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