高校の同窓会サークルから
『サラメシで故郷のカトリック教会で司祭を務める30代の神父さんのひとりランチが放送されるよ』
とのLINEが届いた。
ついこの間は、
酷暑でニュースになったが、こういう故郷ネタなら嬉しい。
さっそく、忘れないように録画予約したが、
ニュース後のゴールデンタイムという事もあって、リアルタイムで観た。
TVに映し出された若い神父の風貌は、
職業のイメージとは随分、違っていた。
鮮やかな若草色の司祭服に
やはりカトリックは派手だなぁ…と思いながら
昔、故郷の教会の聖歌隊で歌っていた時の事を思い出した。
と言っても
カトリックではなくプロテスタントのルーテル教会なのだが、
当初、カトリック教会の建物を想像していた高校生の私は、
何もかもが予想外でびっくりしたものだ。
キリスト教そのものに無知だったせいもあるが、
ルーテル教会というのは、カトリック教会と違って、簡素で地味な教会が多い。
私が高校時代に通っていた教会には
ステンドグラスの窓もなく、
牧師(プロテスタントは神父ではなく牧師)は、
地味な黒い服を着て眼鏡をかけた中年のおじさんだった。
住宅街の中にひっそりと建つ白壁のこじんまりとした二階建ての戸建ては、
屋上にポツンと伸びた十字架がなければ、うっかり普通の民家と見間違えそうになるほど地味で、
内装も簡素な祭壇があるだけの全く飾り気がない小さな集会所だった。
なぜ、
そこへ通うようになったのか…
きっかけは、
中学時代の恩師がクリスチャンで
たまたま、イースターの手伝いをしに行った事だったか…
賛美歌を歌う人が足りないというので、
それならと、
中学時代の友人や先輩数人とミニ聖歌隊を結成して『うるわしの白百合』を歌ったように記憶している。
その中で一年先輩のE君は高校を卒業してから、
神学大学を卒業して本格的に牧師の道を目指していたと聞いていた…
が、
これからという時に病で亡くなった…
確かまだ20代だったと思う。
白血病だった。
恩師から
「E君は頑張ったのよ。彼は素晴らしい…立派な最期だった」
と、聞いたのは
たぶん私が結婚前に恩師の家を訪ねた時だ。
E君が洗礼を受けた事は知っていたし、
真面目で清潔感あふれる彼に、牧師はぴったりの職業だと思っていた…。
もし彼が生きていたら、
今頃はきっとあのソフトな美声と優しい笑顔で信者さんを癒していたに違いない…。
『サラメシ』で
ひとりでランチを食べる活動的な若い神父さんを見ていると、
時代は変わったのだと、つくづく思う。
番組中で、
「給与は安い」と言っていたが、
調べてみると基本給は月15万が平均らしい。
確かに少ないが、住居や光熱費、通信費などは本部持ちらしいので、
贅沢しなければ生活できるというのも、わかる気がする。
「信者は自分より年長者ばかり、
20年後は、どうなっているかわからない…」
と言いながらも、
スマホのLIVE配信で悩み相談を受けている姿には、
現代の若者らしさとドライな逞しさを感じる。
どんな業界でも変容は求められる…
変わることを恐れていては生き残れないということだ。
そういえば、
私が高校時代に通っていたルーテル教会の牧師には奥さんと子供がいたが、
結婚が認められないカトリック教会では
神父は独身を通すことになる筈だ…。
まさに、
サラメシに出た若い神父は、
これからも“ひとり飯”を続けるのだろう…。
なんだか、
それも味気ないなぁ。
このルールは、
変えられないのかな…。
(ー ー;)