ラジオ局で午前中の仕事を終えた後、
午後の仕事までの1時間半のインターバルにラウンジでひとりお弁当を広げていると、
入り口から見覚えのある長身の女性が関係者と一緒に入ってきた。
思わず互いに
「あ〜っ!」
と言いながらハグのマネをして久々の再会を喜びあった。
彼女は昔、一緒にバンドを演った仲間だが
今は様々な雑誌に記事を載せている活躍中のライターである。
聞けば、当時まだ4才くらいだったお子さんが高校生だとのこと…
ということは、
十数年ぶりという事になるだろうか…。
偶然とはいえ、嬉しい出会いだった。
次の仕事に向かうためにエレベーターで1階に降りていくと、
目の前にスラリとした長身の男性。
どこかで見たお顔が…と思い、
「青木さん…ですか?」と声をかけると
「そうです」とニッコリ。
自己紹介もそっちのけで、
「ラストラン 拝見しました、お疲れさまでした」
と言うと、
一瞬ビックリしたような表情で私を見て、すぐに好相を崩し、
改まった様子で丁寧にお辞儀をした元GPレーサーは、
とても気さくな印象の人だった。
短い会話の後、別れ際に
「私も昔、KR250に乗っていました!」
と言うと、
「また、クセの強い…」
と笑ってエレベーターに消えて行った。
(あぁ、そうだった…こう言う出会いもあったのだ…)
ここ数年の私は、
仕事で出会う人、いわゆる利害関係のある人は別として、
プライベートで人と会う事を、ほとんど経験していない事に気づいた。
コロナのせいか?
多分それもあるが、それ以上に時間的余裕のない生活をしていた…という事に愕然とした。
仕事が終われば一目散に家に帰る生活が当たり前だった。
留守をさせているHalが気になって仕方ないのだ。
Halを最優先するライフスタイルが4年近く続いたせいで、
知らず知らずのうちに人との出会いを遠ざけてしまっていたのかもしれない。
一つのことにのめり込むと周りが見えなくなってしまう私の悪い癖でもある。
視野が狭くなっていた事を反省した。
それで思い出した。
今、朝ドラのテーマ曲を歌っているバックナンバーとも、
以前の古い社屋では何度かエレベーターホールですれ違ったことがあった。
当時は名前を聞いても、
(知らないバンド名だなぁ)
と思っていただけだったが、こんなにメジャーになるんて。
だいたい、ラジオ局に出入りしていれば
多くの業界人や著名人に出会う機会があるのは当然のことだ。
それなのに、
ここ数年の私は何も見ていなかったし、
見ようともしなかったのだ。
やっぱり、これではまずい、
これでは、いけないと思う。
このままでは、
私は、近い将来きっと孤立してしまう。
どうしたものかなぁ…。
画像はラジオ局の壁にかかっていた有名アーティストのコレクション画像。