リハが終わった後で、
コリャ、場違いにも程がある…と思った。
シャンソンは表現力の世界だとは思っていたが、
レベルが違った。
前半の出場者の歌を客席で聴きながら、
歌の世界観を独自の解釈で表現する出場者の迫力に圧倒されてしまった…
まさに、心を鷲掴みにするガツンとくる歌唱ばかりで、
3分30秒の中に凝縮された物語の余韻が
聴き終わったと同時にジワジワと湧いてくる…
歌というよりオムニバスドラマを見ているような不思議な体験だった。
同じ曲を歌っても、歌い手によって全く表現方法が異なる…
特に前半は、どの人がグランプリを獲ってもおかしくないほどハイレベルだった。
実際、同コンクールに出場経験を持つ人たちが口を揃えて
「今年はレベルが高すぎる」
と言うくらいだから、相当なものなのだろう…
私のように思いつきで応募したような者は、ほぼ皆無に近いのではなかろうか。
(歌詞間違えずに歌えるかな)
なんて思っているようではダメなのだ。
(^_^;)
とは言え、
思いつきではあったけれど自分なりに楽しく歌えたのが何よりで、
終演後にロビーで見ず知らずの観客の女性2人が私を呼び止めて、
「あなた、とても良かったですよ、シャンソンらしくって…私はあなたの歌に◎を付けました」
と言ってくださった。
(私の歌を聞いて楽しんでくれた方がいたなんて…)
参加して良かった…と心底思った瞬間だった。
『箸休め』の目的を果たせたと思って良いのかな。
とは言え、疲れた。
自宅を出たのが朝7時過ぎ、
在来線と新幹線、
新宿から小田急線に乗り継ぎ、
会場がある代々木上原に着いたのが10時。
会場のけやきホールがある古賀政男記念館は代々木上原駅から徒歩で3分、JASRACの隣だった。
11:00受付、
12:00〜14:00出場者リハ(公式伴奏者との打合せ)
16:00開演、
19:30終演
丸1日をコンクール会場で過ごしたが、その分、収穫も多かった。
私と同じく後半の部に出場し、
長年シャンソンを歌われていてCDも作っていると言うTさんが、
「あなたのように面白くって楽しい方とご一緒できて本当に良かったわ」
と言ってくださった。
別世界だと思っていた場所に知り合いができた事も大きな収穫だ。
ちなみに今回のコンクールには全国から200人もの応募があって、
音源審査に合格したのは40名、
その中にはプロとして活動中の方や、
内幸町、軽井沢などのシャンソンコンクールで入賞した人たちも多く含まれていたらしい。
私の稚拙な伴奏譜を、とても素敵に弾いてくださった公式伴奏者の江口さんに感謝しつつ、
流暢なフランス語でゲスト紹介をしていたベテラン司会者、青木氏にも大いなる刺激を受け、
私のシャンソンコンクール初挑戦は終わった。
さてと、次は何に挑戦しようか…
その前に明日の仕事、がんばろう。
(^_^;)