声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

古い旅館で

2013-02-05 17:47:25 | テレビレポーター、キャスターの仕事
樹海の中では、自分の入ってきた道を見失わないように、

途中の樹に、一メートル間隔に赤い紐で目印をつけながら進むのですが、

頭上を見上げるとカラスが飛んでいて、
それを見るたびに何ともいえない嫌な気分になったものでした。

 案内をしてくれた年配男性の話では
毎年、定期的に地元の捜索隊が入って

自殺者の遺体収容を行っているということもあって、

私が入った時は、その捜索が終わったばかりと聞いてホッとしたものです。

とはいえ、女物の時計や男物の黒い革靴など、辺りには遺留品が幾つも散乱していて、

中には明らかにここで首を吊ったであろう、木の枝にかかったままの古い縄や紐が、
そのままの状態で残されていて、

それらが、
風に揺れてブラブラしているのを見るのは、とても生々しいものでした。

周囲には睡眠薬の小瓶らしきものもありました。

(こんな場所で、さぞかし寂しい亡くなり方をしたのでしょうね…。)

と、心の中で手を合わせながら初日の取材を終えた私は、その場所を後にしたのですが・・・・。


樹海での取材が終わって、近くの旅館に到着したのは、

辺りもすっかり暗くなって、
夜の9時をまわっていたかと思います。

その日は、修学旅行生でどの部屋も満杯、私たちが通されたのは、
離れのような古くて薄汚れた部屋でした。

他の男性スタッフ達とは1人だけ別の部屋に通された私は、
何となく、カビ臭い部屋だなぁと思いながら

翌日の早朝取材に備えて、
早めに布団に入ったものの、疲れているはずなのに
何故かなかなか寝付けないのです。

その時の気持ちを表現するのは、
とても難しいのですが、心がザワザワしているとでも言いましょうか、

どこか落ち着かない、身体がゾクゾクするような違和感がありました。


清水由美 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 樹海にて | トップ | 誰かがいる? »
最新の画像もっと見る