引越し後の実父の部屋を片付けに行った先週の日曜日、
廊下で車椅子に座ったまま、
ガラス越しに外をジッと眺めているお婆さんがいた。
荷物を持って行ったり来たりする私たちが通るたびに、
「大変だねぇ」
と何度も声をかけてくれる…。
見れば、色白の上品な顔立ちのお婆さんだ。
2時間ほどして、
ほぼ片付いたので、部屋の鍵を持っている夫に先に帰る旨を告げると、
夫がお婆さんと何やら話している。
( 自分の息子の話でもしているのかな?)
と思いつつ、
その横を通り過ぎ、先に帰宅すると
しばらくしてから、夫が帰ってきた。
遅くなった理由を聞けば、
お婆さんに、くどかれていたのだそうな…。
「あのバアちゃん、100歳だって」
と言いながら、ニコニコ笑っている、
まんざらでもなさそうな表情だ。
彼女は、
いきなり廊下で、夫に
「アンタ、イイ男だね!」
と声をかけてきたと言う。
「アタシもね、昔はよく女優みたいだって言われたんだよ」
と。
女優の誰に似ていたのかときくと、
「 昔はよく、女優よりキレイだと言われたんだよ」
とのこと。
夫が、
「もう、こっちに来ることはないけれどお元気でね」
と言うと、
「また、会いにきておくれ」
と懇願されたらしい。
そして、別れ際に手を握ろうとしたのか
「約束だよ、待ってるからね!」
と夫の手にハイタッチしたらしい。
笑い話のようだが、
なんだか切ない話だ…。
あのお婆さんは、夫が帰った後もじっとあそこにいて外を眺め、
会いに来てくれるのを待っているのだ。
一日千秋の思いで…。
「…で、どうするの?約束したんでしょ?」
と質すと
「 まあね 」
とのこと。
100歳のGFがいるって、ちょっと自慢できるかもね!
夫にとって人生最後のモテ期かも…。
ガンバレ。😅