天使の図書館ブログ

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カルテット。-7-

2012-12-11 | 創作ノート

 さて、今回もまた前回に引き続き、本文と関係のないどーでもいい話です(笑)

 一応画像のほうは、カルミナSQの<死と乙女>&<ロザムンデ>なんですけど、これは本文の最後のほうで美音が弾いてるということで、お薦めのCDを貼ってみただけというか。

 なんにしても、今回の前文は<空気清浄機>について、だったり(^^;)

 いえ、冬になる前になんとしてでも、空気清浄機か除湿機を買わねば!!と前から思っていたのです。

 というのも、今住んでる部屋が冬になると湿気が多くなるもので……ネットで色々調べてみたところ、「除湿機は電気代食うけど、室内干しの洗濯物が速攻乾いて重宝☆」なる意見を多数見かけ、「そいつはいいぜ!!」と思い、最初はすっかり除湿機を買うつもりでいました。

 なんていうか、知人宅等で見かけた<空気清浄機>&<加湿器付空気清浄機>などを見ていて思うに、「これってほんとに効き目あるの?」と、ずっとすごく疑問だったのです(^^;)

 もちろん、煙草の匂いやペットの匂いにすごく効果あるのはわかるんです。でもわたし、病院とかで加湿器かけてても、「これってほんとに効果あるのかなあ」と思うことが多く……前まえからずっと、空気清浄機や加湿器に対して「こんなものに一万円も出して買う気には到底なれん☆」とか思っていて。。。

 でも必要にかられて、今回とうとう結局、空気清浄機を買ってしまいました。

 そして、その効果というのが――「なんかすごくイイヨ!!」という感じなのです(笑) 

 なんていうか、確かに空気が綺麗になってるのが実感できるというか……わたしが買ったのはシャー○゜のプラズマクラスター系の奴なんですけど、最近のシャー○゜さんが何故こんなにも、二言目にはプラズマクラスターと言ってる感じなのか、使ってみるとわかる気がしますww

 う゛~ん。わたしは一万円ちょっとのを買ったんですけど、こんなにいいものだってわかってたら、もう少しお金だしても良かったかな、とすら思いました(^^;)

 もちろん、わたしが書いてることはあくまで、よく通販にある※個人の意見ですっていう奴なんですけど(笑)、ハウスダストにアレルギーのある身としては、とても重宝している感じです♪

 夜かけておいて朝起きると、空気が清浄になってるだけじゃなく、それを吸いこんだ自分の心まで綺麗になってるような気さえします(※ただの錯覚です・笑)

 なんにしても、「空気清浄機など、ただの贅沢品。普通に空気吸えるだけでも地球に感謝しいや!」と思って生きてきた身にとっては――「空気清浄機って、なかなかいいものだなあ☆」とちょっと考えが変わりました(^^;)

 自分に吸える空気がある、酸素美味しい生活万歳!!地球さん、そして自然さん、本当に心からありがとう……とか思いながら目が覚めるのは、なかなか悪くないかもしれません(大袈裟な・笑)

 シャー○゜さんには今後是非、どんなどす黒い人の心も、このプラズマクラスターで吸収分解といったような、新技術を開発して欲しいものです(無茶すぎる☆)

 それではまた~!!



       カルテット。-7-

 南沢湖滞在三日目――その不幸な事件が起きた日の午後、翼と要はホテルの中庭にあるプールサイドで、ビーチチェアに並んで寝ていた。

 というのも、前日、それまでの生活習慣も関係してか、夜中に目が冴えて眠れなくなった翼に要がつきあい、ビリヤードとダーツに明け暮れた結果として、寝不足になっていたそのせいである。

 サングラスをかけた男ふたりは、ビーチチェアの上で真昼のゾンビよろしく微動だにせず、静かに寝息を立てていた。と、そこへ、白のビキニにパラオをまとった女性が、じっと翼の顔を見下ろす。

「ゆう子、やめなさいったら。せっかくぐっすり眠ってらっしゃるのに」

「馬鹿ね、美音(ミオン)。こんなのバカンス疲れに決まってるじゃないの。どうせ夕べの遅くまでお酒飲んでたせいで、今眠気が差してるのよ。正しい睡眠リズムを取り戻すためにも、起こしてあげるのが親切ってもんなの」

 ――要はといえば、ゆう子の今の言葉ですぐ目を覚ましていたが、事態の推移を楽しむべく、狸寝入りを決めこむことにした。それでも、サングラスの奥から得られる視覚的情報を見逃すことはしない。ミオン、と呼ばれた女性の声が可愛らしく、彼女がどういった容姿をしているのかが気になった、そのせいである。

「こちょこちょこちょ~」

 ゆう子は、手に持っていた<トロピカル・サンダーファウンテン>なる飲み物から、飾りの傘を取ると、それで翼の鼻のあたりをくすぐっている。

「おいこら、要。冗談にも限度ってものが……」

 ここで、要も流石にくつくつと笑いがこみ上げて、起きていることを周囲に知らさないわけにはいかなくなった。と、同時にサッと赤い水着の女性の影が、自分の頭上から去ったことを感じとる。それだけですでに、水上ゆう子とミオンという名の女性が、性格的にどうやら正反対らしいと、要は察知していた。

「要、いいかげんにしろ!!マジで怒るぞ!!」

 そう言って翼が起き上がると、彼の目の前にはFカップの大きな谷間があった。寝起きだったせいもあり、驚くと同時に、翼は珍しく顔を赤らめていた。

「結城先生、お久しぶりでございますわね」

「……………!!」

 いつもの翼であればおそらく、「今日は髪を染めてないんだな」とか「金髪じゃないから、誰かわからなかったよ」といった科白がすぐ出てきたに違いない。

 だが、単に寝起きというだけでなく、軽く二日酔い気味であった翼は、完全に虚を突かれるような形になった。

「お電話くださらないから、はしたなくも女のあたしのほうからお声がけしてしまいましたわ。これであたしの、暇つぶしのお相手をしてくださいます?」

 初心な少女を気取るように、小さな飾り物のパラソルを、ゆう子は唇に押し当てている。

「参ったな。完全に負けた。そういうことならもう、君の言うなりになるしかないらしい。で、どうすればいい?」

「競争してくださいな、あたしと。きのう、先生の見事な泳ぎっぷりを見ていて思ったのですけど――あたしたち、結構いい勝負が出来ると思いますわ」

「それで、何を賭ける?」

「このホテルの一階にある、鉱物室に展示されたダイヤモンドなんていかが?」

「わかった。いいだろう」

 水上ゆう子はパラオを脱ぎ捨てると、翼と同時に位置につくその前に、飛魚よろしく勢いよくプールへ跳びこんでいた。

「くそっ!汚いぞ!!」

「女のあたしにハンデをくださるのは、当然じゃありませんの!」

 翼とゆう子、つまりはそれぞれの自分の友人がターンして戻ってくる間、美音はどこかオロオロとし、要はといえば、事の推移を相も変わらず楽しんでいる様子だった。

「ゆう子は高校時代、水泳部だったんです。部内で色々あって、途中でやめたんですけど、でも当時は名の知れた選手で……どうしよう、ダイヤモンドだなんて」

「へえ。それ、要もだ。あいつ、インターハイに出たことあるんだよ、水泳で。しかも準優勝」

「えっと、じゃあ……」

「しかもあいつ、自分をいじめるのが大好きっていう、見た目サドの、真性マゾでね。週に二回はジムに通って、体鍛えてるって奴だから、ダイヤモンドの心配はしなくていいんじゃないかな」

 要の言葉どおり、若干遅れ気味にターンをしたあとは、翼の追いあげがすごかった。水からあがると、すぐ隣のレーンを泳いでいたゆう子に、翼が手を貸して上がらせている。

「負けましたわ、先生」

「じゃあ、ダイヤモンドの件はなしってことでいいかな」

「いいえ、先生。次はアレいってみましょう」

 そう言ってゆう子は、もうひとつのプールに設置された、飛び込み台のほうを指でさし示した。

「君も、負けず嫌いというか、相当諦めの悪い女だね」

「ええ、そうです、先生。あたしはとにかく、あの展示室のダイヤが欲しいんですもの」

 ――<南沢湖クリスタルパレス>の一階には、経営者の趣味なのか道楽なのかわからないが、ルビーやラピスラズリ、クラスター水晶といった原石が、展示されているのと同時に売られている。その中にはダイヤもあって、結構な値段がついていたと翼は記憶していた。

「けど、飛び込みってのは一体、どうやって判定するもんだろうね?」

「やってみればおわかりになりますわ、先生。まずは先に見ていてくださいな」

 そう言ってゆう子は飛び込み台の階段を上がっていき、その天辺で耳から水を追い出すような仕種をしてから、実に見事なフォームでプールの中へ跳びこんでいた。一度一回転し、それからまた元の美しい真っ直ぐなフォームへ彼女が戻ると、周囲に結構な水しぶきが上がった。

 ブールサイドにいてビーチバレーをしていた観光客たちも、ゆう子のこのパフォーマンスには驚いたらしく、一旦試合を中断し、水中から上がってきた彼女に対し、拍手すら送っていたほどである。

「やれやれ。負けましたよ……というより、あの高さから飛び降りることに恐怖感があるわけじゃないが、俺はあそこから「南無三!」とばかり落下することしか出来ないだろうからね。君みたいに一回転することの出来る余裕もなければ、どう練習すればそう出来るのかも、まるで見当がつかない。けど、たったこれだけのことでダイヤっていうのはどうかねえ。流石にそれは詐欺だっていうふうには、自分で思わない?」

「まったく思いませんわね」

 ゆう子はにっこりと優雅に微笑み、翼の腕をとって、自分の豊満な胸に押しつけた。

「それより、男らしくありませんわ、先生。潔く御自分の負けを認めてくださらないだなんて。あたし、先生があのダイヤをあたしにくださるまで、絶対先生のことを離しません。それでいいなら、いつまでもこのままでいらっしゃってくださいな」

「まいったな、まったく」

 ぼりぼりと茶色がかった髪をかく、親友の姿を見つめながら――要は、翼と水上ゆう子の間で、どういった会話が交わされているのか、聞かなくてもある程度想像することが出来た。

(やれやれ。確かにあの女は、一度捕まると大変なことになる、厄介な女だな)

「あの、君、ミオンさんだっけ?」

「は、はい」

 男癖の悪い友人が、新しいターゲットと消えたことで、自分はどうしたらいいのだろうといったように立ち尽くしている川原美音に向かい、要は声をかけた。

「ミオンさんは彼女と、どういった知り合いなのかな?僕の見たところ、君とあの人との間には、さして共通点がないように見受けられるんだけど……」

 要は目線で、先ほどまで翼が寝ていたビーチチェアに座るよう、美音のことを促した。彼女はバスタオルで自分の水着姿を隠しながら、どこかおずおずとそこに腰かけている。

「あの、わたしとゆう子は幼馴染みなんです。小さい時から高校生くらいまで、家が隣同士で。それで、ゆう子の家は家庭環境が悪かったものですから……お父さんが酒乱で、お母さんや娘のゆう子に暴力を振るうたび、うちに逃げてきてたっていうか。わたしとゆう子も、本当の意味では仲がいいのかどうかって、わたしにもよくはわからないんです。でも幼馴染みってどこか、そんなところがあるでしょう?腐れ縁っていうのとも少し違って、お互いの表や裏、そうした色んなことをわかりあってるから、わたし、ほんの時々なんですけど、ふとした時に彼女に電話するんです。大抵は迷惑そうか面倒くさそうなことが多いんですけど、ゆう子は人間関係のことについては物凄く洞察力があるんですよ。だからわたしが何か悩みごとを相談すると、「そりゃこういうことよ」っていうふうに、ズバッと解決案を示してくれたり……」

 初対面の相手に、あまりにペラペラものを喋りすぎてしまったことを恥じるように、美音は顔を赤らめ、それから突然黙りこんだ。

(なるほどな)

 要はといえば、ビーチチェアから足を下ろして両方の指を組むと、にわかに深刻な顔つきになっていた。

 今の美音の話した言葉の中で、彼にとって一番重要だったのは、水上ゆう子が母とともに父親から暴力を受けていたというくだりだった。家庭内暴力を受けて育ったすべての女性がそうだと断定することは出来ないものの、それでも要の経験上――そうした生い立ちを持つ女性で、悪女系の匂いのする女性には、あまりお近づきにならないほうが、翼が言っていたとおり<無難>なのだ。

 何故といえば、そうした女性というのは、自分でも気づかないながら、父親を含めた<男性全般>に無意識の内にも復讐しようと企てる傾向が強いからである。ゆえに、不特定多数の男性から金品を巻き上げようとも、まるで過去の賠償金を今受けとっているとでもいうように、良心が痛むことはほとんどないといっていい。

(しかも、一番始末が悪いのは……)

 と要は考えかけ、ふと美音のほうに目を留めた。親友のことも心配ではあったが、そんな理由で目の前にいる美しい女性をないがしろにするほど、要は野暮な質ではない。

「ゆう子さんから、美音さんは楽団の一員と聞いていたんですが、今こんなふうに遊んでいても、まったく構わないんですか?」

「いえ、夕方には『室内楽の夕べ』で、シューベルトの<死と乙女>を弾く予定なんです。まあ、今日の午後は偶然どこにも出る必要がなかったもので、他の方たちの演奏を聴きにいこうと思ってたんですけど……ゆう子が、人を招待しておきながら、友達につきあう気はまるでないのかって怒りだしたもんですから」

 ここで美音は、愉快そうに綺麗な声で笑った。

「でも、実際はただのだしだったんですね。わたし、こんな赤い水着きるの嫌だって言ったんですけど、男の人の気を引くためには、そのくらいしなきゃ駄目だって言われて……別にそんな気はなかったんですけど、とりあえず大人しくゆう子の言うとおりにしておこうと思ったんです。でも、彼女がわたしを連れだしたのは、たぶんダイヤのためというか、ようするにさっきゆう子が先生と呼んでいた方と、お近づきになるためだったんでしょうね」

 口には出さないまでも、(こんなことなら部屋で、ヴァイオリンの練習でもしているんだった)と美音が思っていることに気づき、要は微笑した。

「でも、似合ってると思いますよ」

 ゆう子がテーブルの上に残していった、<トロピカル・サンダーファウンテン>をストローで飲みながら、美音は「え?」と問い返した。

「バスタオルで変に隠しながら歩いたほうが、逆に目立つっていうか。せっかく似合ってるのに、勿体ないですよ」

「……………」

 そのあと美音は、ただ無言で、ハワイアン・ソーダの液体がなくなるまでそれを飲み続け――要のほうから「少し、泳ぎませんか?」という誘いがあってのち、彼の手をとってプールの中へ飛びこんだ。

 彼女は要と過ごした二時間ほどの時を、とても楽しいと感じはしたものの、だからといってそれ以上どうということはなかった。<時司要>という名前を聞いた時点で、南沢湖音楽ホールのロビーに飾られた絵のことを彼女は思いだしたし、見た目からして、女性にまったく不自由しそうにない容貌の男なのだ。

 自分を誘って泳いだり、水着姿を褒めたりといったことは、彼にとって日常茶飯的な社交辞令なのだろうと思ったし、ゆえに美音のほうから「良かったら、夕方からの演奏を聴きにきてください」と別れ際に言ったとしても――同程度の儀礼的な言葉として彼は受け止めたに違いない、美音はそう判断していた。

 とはいえ、この日の夕方、美音は客席の前列にいる要と目が合い、自分の演奏が練習時とは若干異なるものになったことを、認めないわけにはいかなかった。第一ヴァイオリンのリーダーからは、演奏終了後に「どうしたの?」と不思議がられ、ヴィオラ担当の同僚には、「練習の時より、随分熱情的だったけど、何かあったわけ?」と聞かれたけれど――美音は「ううん、なんでもないの」と首を振ることしか出来なかったのである。



 >>続く……。





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