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動物たちの王国【第二部】-5-

2014-02-27 | 創作ノート
【犬神家の一族、犬神佐兵衛】(オールポスターズさんの商品ページよりm(_ _)m)


【犬神松子】


【犬神竹子】


【犬神梅子】


【犬神佐清】(松子の息子)


【犬神佐武】(竹子の息子)


【犬神小夜子】(竹子の娘)←何故かww


【犬神佐智】(梅子の息子)


【青沼菊乃】


【青沼静馬】(菊乃の息子)


【野々宮珠世】


 あれ?静馬だけおかしくね??という感じですが、なんにしてもリン・デイヴィーズさんのアートで遊んでしまってごめんなさいm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)m

 ちなみに、↓の本文と↑の犬神さんたちはなんの関係も縁もゆかりもありませんww(特に書くことないので遊んでみただけ☆殴

 それではまた~!!



       動物たちの王国【第二部】-5-

 ――K市には、唯も以前に何度か、遊びにきたことがある。というのも、唯が普段「えっちゃん」と呼んでいる江口悦子とは、唯は幼い頃より仲が良く、看護学生だった頃の夏休みにも彼女の家に泊りに来ていたことがあるからだった。

「あっははははっ。お母さんから話は聞いたよ。店のシャッターにちんぽだのまんこだのSEXだの、色々えっちなことスプレーされたんだって?これがもし他人ごとなら「マジ受ける~!!」で済むのにねえ。唯、あんたそんな変な男とつきあってたの?」

 これがK市のK駅まで迎えにきた、江口悦子の第一声であった。悦子は彼女の息子の広夢を連れてきていたため、唯は反射的に悦子のことを叱っていた。

「えっちゃん!!子供の前でそんなこと言っちゃ駄目じゃない!!」

「あ~、大丈夫、大丈夫。うち、そこらへんの性教育はかなりオープンだから。それにこいつ、この間も同じクラスの子に「俺と一晩一緒に過ごそうぜ」とか言ったんだって。そしたら女の子のほうが「ヒロムくんがえっちなこと言います、先生」ってチクったらしいんだけど、本人は一晩いるのがなんでえっちなのか、実はよくわかってないから」

 悦子はここでもケタケタと笑い、「なあ、ヒロム~」などと言って、息子の野球帽をカパカパかけたり外したりした。小学二年生の広夢はといえば、悦子の足にまとわりついてどこか恥かしそうにしている。もちろん母親の悦子にはよくわかっていた。普段はやんちゃな息子がこういう仕種をするのは、大抵美人か可愛い女子の前でだけだということを……。

 このあと三人は、駅の構内にあるレストランで軽く食事をし(広夢がここのハヤシライスを食べたいと言ってねばった)、悦子の運転するランドクルーザーで海辺の道をドライブしながら彼女の義母の家へ向かうことになった。悦子は広夢の父親と形式上離婚しているが、姑のほうとは馬が合ったこともあり、離婚後もずっと一緒に暮らしていたのである。

「健治さん、時々は実家に帰ってきたりするの?」

 遠くの港から灯台を横切り、船が沖に出ていく姿を見ながら、唯は運転席の悦子にそう聞いた。助手席に座る唯の後ろで、広夢が大きなクマのぬいぐるみを相手に「えい、やあ、とうっ!」などと格闘しているのがサイドミラーから見える。

「まあ、ほんっとーに時々ね。言ってみればフーテンの寅さんみたいなもんよ。たま~に帰ってきて広夢におもちゃとか買って、ちょっといい父親の振りだけして去っていく……みたいな?けど、あんなんでもまったく交流ないとかいうよりいいのかなって思ったりね。広夢も「一応はあれがお父さん」みたいに思ってるし、「なんでうちにはお父さんがいないんだよう!!」って言われるよりはいいのかなって」

「前から不思議だったんだけど……えっちゃんは健治さんの借金のことがなかったら、別に離婚することもなかったのよね?じゃあ、健治さんがもし借金を全部返済したら、よりを戻してもいいってこと?」

 悦子の元夫の川上健治には、莫大な額の借金があった。一緒に事業をはじめた友人が彼を連帯保証人にして金を借り、それをおっつけたまま姿を消したのである。

「まあね、最初の頃はそう思わなくもなかったかな。借金取りが取り立てに来るから、わたしやお義母さんに迷惑かけないために離婚して、あの人は遠いところに行っちゃったわけだけど……嫌いあって別れたわけじゃないからね。でも年月が経つと人の気持ちは変わるわ。たまに帰ってくるあんな苦労の滲みでたショボイ男より、若くてイケメンの男のほうが断然いいものねえ。K病院の外科にも、ひとりいい男がいるのよ~。見てるだけで目の保養になっちゃうみたいな感じの奴。そういえば唯、あんたの勤め先、本当にうちの病院でいいの?」

「うん。明日早速面接に行こうと思ってるんだけど、えっちゃんは内科の病棟がいいんじゃないかとか、何かそういうのってある?」

「そうねえ。脳下は意識不明の患者ばっか多くてきつい、整形外科は中途半端に意識ある奴が何かと文句言ってうざい、内科は局系のヒステリックな看護師が多くてうるさい……ま、わたしの経験としてわかるのはそんな程度よ。あとはオペ室かあ。オペ室もうちは頭おかしいの多いから、どうなのかしらねえ。まあでも、二大巨頭のうちのひとりが辞めちゃうから、これからオペ室もどうなっていくのやらってところ」

 唯は当然、悦子の言っている言葉の意味をあまりよく理解していなかったのだが――結局のところこの翌日、「十三階の特別病棟なんてどうかしらね、羽生さん」と総師長に言われ、その翌週の月曜日から唯はそこで勤務を開始するということになるのだった。



 >>続く。





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