天使の図書館ブログ

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ヒナギク野のマーティン・ピピン。

2012-04-06 | 

 さて、前回書いた「丘の上のアルティマ・トゥーリ」は、ファージョンのこの小説が元ネタ☆になっています♪(^^)

 まあ、元ネタなんて言っても、「サクラの王国」や「アルティマ・トゥーリを目指した西の男と東の女」は、わたしが適当に考えて書いたものなんですけど(笑)、「ヒナギク野のマーティン・ピピン」と、その前のお話にあたる「リンゴ畑のマーティン・ピピン」は、姉妹篇のようになってるんですよね。

 んで、お話の形式はどちらも同じで、主人公のマーティンが六人の子供or若葉乙女たちに物語を聞かせてあげる、といった形になっています。

 つまり、全部で6~7話の比較的短いお話が、首飾りに宝石を通すような形で収められているわけです。

 ファージョンは短編の名手でしたから、「リンゴ畑~」に収められている物語も、「ヒナギク野~」に収められている物語も、どちらも同じようにとても面白いんですよね♪

 まあ、個人的な好みとしては、「リンゴ畑」のほうが圧倒的に面白いというか、わたしはこれ以上に完璧な小説って、他にはちょっと読んだことがないくらいだと思ってます(^^)

 でも、これはわたしが結構な大人(笑)であるからそう思うのであって……「ヒナギク野」のほうは、最初から子供向けに書かれた物語ですから、こちらはこちらでそう思って読むと、とっっても面白いと思います

 第1話目が「トム・コブルとウーニー」、第2話目が「エルシー・ピドック夢で縄とびをする」、第3話目が「タントニーのブタ」、第4話目が「セルシー・ビルのお話」、第5話目が「ウィルミントンの背高男」、第6話目が「ライの町のマーメイド」、第7話目が「ニコデマスおじさんとジェンキン坊やがちえをさがしにゆく」……となっているのですが、個人的に一番面白かったのは、最後の「ニコデマスおじさんとジェンキン坊やがちえをさがしにゆく」だったでしょうか。

 イギリスやアメリカでは、「エルシー・ピドック夢で縄とびをする」はとても人気のある物語で、このお話だけ取り上げた本というのもあるそうで、ファージョン自身もこのお話をとても気に入っていたとのことでした。そして、もちろんわたしも胸がじーん☆としたんですけど、他のお話については、やっぱりどれがお気に入りかっていうのは個人差があるかなって思います(^^;)

 とりあえずここでは、わたし個人の一番のお気に入りである、「ニコデマスおじさんとジェンキン坊やがちえをさがしにゆく」を取り上げることにしますね♪

 ニコデマスおじさんとジェンキン坊やが知恵を探しにゆくと、イギリス人やイタリア人、ロシア人や中国人、フランス人やベルギー人、オランダ人やセルビア人、それにハイチ人がそれぞれ、自分の国の諺にまつわるお話を披露してくれました。


 イギリス人:「三人の秘密はどのようにして守られるか」

 イタリア人:「自分で選んだ重荷は軽い」

 ロシア人:「言葉は鳥でなく、一度飛び立ったら、捕まえることが出来ない」

 中国人:「パンの塊りをふたつ持っていたら、ひとつを売って、ユリを買ったらいい」

 フランス人:「もし三角形が神さまをつくったなら」

 ベルギー人:「よい隣人は、金のはいった袋よりいい」

 オランダ人:「ダンス靴だけでは、ダンスは上手に踊れない」

 セルビア人:「誰でも、自分のマントの裏側を知っている」

 ハイチ人:「ものを言う前に、あなたの舌を七度ひねれ」

(+「ニコデマスおじさんが湯ぶねの栓を抜いた話」・笑)


 まあ、ただこうして諺(?)だけを並べても、「なんのこっちゃら☆」っていう感じだと思うんですけど……イギリス人からはじめて、この諺が意味するところを小話として順に語っていってくれるんですよね。

 で、読むページとしてはそれぞれ、1話につきほんの4~5ページとか5~6ページくらいだったりするんですけど、自分的にはどのお話もとても楽しく、夢中になって読みました♪(^^)

 気になった方は是非、本書を一読してみてくださいませm(_ _)mといったところなんですけど、「丘の上のアルティマ・トゥーリ」のことに話を戻すとすれば、<アルティマ・トゥーリ>のことが出てくるのは、実は第6話目の「ライの町のマーメイド」という物語の中で、だったりします。

 このお話は、ウィンチェル嬢という落ちこぼれ(?)のマーメイドが、ライの町で「マーメイド旅館」のメイドになるまでの物語なんですけど(笑)、その時にはウィンチェルにとっては、陸の上の世界が<アルティマ・トゥーリ>だったんですよね。でも、いざ陸に上がってみると、今度は元いた海の中にこそ<アルティマ・トゥーリ>はあったのではあるまいか……というふうに感じられてくるというか。。。

 まあこれは、物語が終わったあとに、マーティンが補足としてそんなふうに言ってることなんですけど、「ヒナギク野のマーティン・ピピン」が読者に語る、一番大切なメッセージのひとつはここにあるんじゃないかなって、そんなふうに思いました。


 >>「アルティマ・トゥーリというのはね、シルビア、一ばん遠いはしなんだ。人間の宇宙の地平線。だれもゆかれないほど遠く、また見ることさえできないほど遠く、そして、そこにとどくのは、人間の考えだけというほど遠いところなんだ。ウィンチェル嬢には、はじめは、アルティマ・トゥーリは、ウィンクルの貝のふちだった。貝から出てからは、丘のライの麦畑のはずれ。おまえさんたちには、寝る時間」

 そして、マーティンは、シルビアにヒナギクの花をわたした。

「そら、シルビア。寝る時間は、遠くなった。夢にはみるかもしれないが、その時がくることはもうない」

「アルティマ・トゥーリは、いいもの?わるいもの?」

 シルビアが聞いた。

「そこにいってみなければ、わからないのさ」

 と、マーティンは言った。

「ウィンチェル嬢は、そこにいって、しあわせだったの?」

「そうだったといわれているんだが、じつをいうと、ウィンチェル嬢はライの町に着いて、ウィンチェル・シーのほうをふりかえってみたとき、じぶんのアルティマ・トゥーリが、じぶんが出てきたほうにあるのを見つけたんだ。どうも、そのアルティマ・トゥーリというやつは、一つのところへ釘づけにしておくことができないんだなあ。おまえさんも、目をぐるっと走らせ――寝る時間のところはとばして――遠くの地平線を見わたすとき、どこか金色の、あるいは、バラ色をした場所を見つけて、そこにゆきたいなあと思うだろう」

「ええ、そういうところあるわ」

 と、シルビアは言った。

「話してもらえるかね?」

「リンゴ畑よ」

「いつかそこへいったら」

 と、マーティンは言った。

「うしろをふりかえって、きれいなところを見つけ、それはヒナギク野だと思うかもしれない」



 ――はい、これが「丘の上のアルティマ・トゥーリ」の元ネタに当たる部分です♪(^^)

 んでもってわたし、「ライの町のマーメイド」を読んでいてふと……自分がその昔に書いた「新説・人魚姫」というお話のことを思いだしました

 ええとですね、このお話にでてくる真面目な王子さまの元イメージって、実はカルなんですよ(^^;)
 
 まあ、そんなわけで、十代の頃に好きだった人(キャラ☆)っていうのは、のちのちまで色々影響してくるものなんだなあ……なんて、あらためて思ったような次第ですww

 でもほんと、わたしがバスタを読まなくなってから十年以上たつのに、もう一度こんなに同じ人(キャラ☆)を好きになろうとは、自分でも思ってもみませんでした

 あと、Lのことも当然、色々考えていたり(笑)

 カルのことは、ファンタジーで「聖竜~」の続きを考える時に、絶対的にまず彼の存在ありきですし(センルの元イメージキャラ☆なので^^;)、Lとは、それとは真逆に超現実的な現代の問題を考える時に、色々意見交換したりするんです♪(^^) 

 まあ、次はどのお話書こうかなって思ってるんですけど……暫くは、「ヒナギク野~」と同じく、充実した読書体験を重ねて、そのうち押しだされる何かが来たら、そのお話を書こうなって思っています。。。

 それではまた~!!





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