※フランツ・カフカの「変身」について重要なネタバレ☆があります。閲覧の際にはご注意くださいm(_ _)m
カフカの変身を読みました♪
随分前に何かの本で、引きこもりの男の子が「この本に書いてあることは、自分のことだと思った」みたいに言ってるのを読んで以来、そのうち読みたいな~とずっと思っていた本でした。
いえ、わたしてっきりカフカって物凄く難解で、文章のほうも読むのが面倒なんじゃないかって思ってばかりいたんですけど――すごく読みやすかったので、むしろちょっとびっくりしたかもしれません(^^;)
ある日、目が覚めてみたら、突然自分が虫になってることに気づく、主人公のグレーゴル・ザムザ。
解説の文章には、>>「ところで、グレーゴルが変身したことを伏せておいて『変身』を読んだら、どうなるであろうか。両親を心配させる登校拒否児、ある日突然ノイローゼになった猛烈社員と見倣してもよいのではないか」と書かれています。
確かに、この部分は読む方によっていかようにも解釈が可能ですよね。
グレーゴルの症状はほとんど現代でいう鬱病のようにも思えますし、家族のために猛烈に働きすぎた結果として、虫となって自分の部屋から出て来れなくなったというように、わたし個人は思いました。
というより、虫に「変身」するという異常な事態でも起きない限り、グレーゴルは自分を偽って働き続けねばならず、精神的にも肉体的にも限界を越えたことによって、そのような姿になったというか。
お父さんは年寄りで、お母さんは喘息持ちで、妹はまだ若く、働かせるには早いという年ごろ。
一家の家計は、グレーゴルひとりの肩にずっしりと重くのしかかっていたわけですが、グレーゴルが虫になったことにより、お父さんは年寄りながらも働きに出、お母さんは内職をし、妹もまた職に就くことになるという。
このあたりまで読んでくると、最初からグレーゴルひとりにそんなに無理をさせず、家族四人で協力しあうことが大切だったのでは?みたいに、物語としては読めますよね(^^;)
でも、何故そう出来なかったのかっていうことも、読者としては物凄くよくわかるというか。
まあ、「変身」はそれまで真面目に働いていた息子・兄が虫になって部屋から出れない・出せないといった物語なので、今でいう引きこもりのように思えるわけですけど、これは実際には家族のうちの「父親」にも「母親」にも当てはまるんだろうなっていう気がします。あるいはもしかしたら、介護の必要な「祖母」や「祖父」といった存在にも。
たとえば、父親がある日突然虫になって働けなくなったら、他の家族がまったく尊敬せず、軽蔑すらするようになるといった事態が想定できるでしょうし、母親にしても、ある日虫になって家事が出来なくなったら「おまえなんか家事が出来なかったら、存在理由なんかないんだよ!」という扱いを受けるかもしれません。
グレーゴルにしても、最初のうちは、家族内で思いやりのある待遇を受けたりもするわけですが、その状態がずーっと続くにあたってはもう……「自分たちは虫のような息子・兄を持った覚えはない。そんなんだったら死んでくれ」といったような扱いに近い気がします(^^;)
結果として、グレーゴルは父親の投げた林檎が元で死に至るわけですけど、言うまでもなくこの林檎っていうのは原罪の象徴ですよね
そして、グレーゴルは誰からも完全に必要とされなくなり、血の繋がった家族からさえも拒絶された結果、愛情の枯渇によって飢え渇いて死んだといったようにも読めるというか。
もちろん、虫っていうのは比喩だと思うんですけど、これは家族関係だけでなく、もっと広げていうと学校内のいじめや職場内の人間関係、さらには民族の対立にも通じる概念のような気がします。
クラスのいじめのターゲットにされた子が、何か虫のあだ名で呼ばれるというより……何かこう無意識の領域内で「あいつは所詮虫だから、何をしてもいい」みたいな共通の概念が生まれることってありますよね。
職場でも、嫌われてる上司が近づいてくると、まるで虫でもやって来たように部下たちが避けるとか、そういったことがあると思います。
民族の対立っていうことでいうと、互いに嫌いあってる者同士は、相手民族を虫みたいに思ってるような部分がある。
「虫のくせに生意気だぞ!」、「触るんじゃねえ!」、「おまえはこっから先へは入ってくるな!」といったような感じというか。
カフカはこのお話、失敗作とも語っていたそうですけど、後世の人間からしてみたら「どこがやー!!」っていう気がしますよね、いやほんと(^^;)
カフカの「変身」は、これからも人間が虫とならず、文明社会で人として生き続ける限り、読み継がれる名作なのではないでしょうか。
なんにしても、カフカの「変身」は読みやすくて面白いので、村上春樹さんのファンで、「海辺のカフカ」が大好きで、でもカフカを読んだことはないっていう方に、もしかしたらお薦めかもしれません♪(^^)
それではまた~!!
カフカの変身を読みました♪
随分前に何かの本で、引きこもりの男の子が「この本に書いてあることは、自分のことだと思った」みたいに言ってるのを読んで以来、そのうち読みたいな~とずっと思っていた本でした。
いえ、わたしてっきりカフカって物凄く難解で、文章のほうも読むのが面倒なんじゃないかって思ってばかりいたんですけど――すごく読みやすかったので、むしろちょっとびっくりしたかもしれません(^^;)
ある日、目が覚めてみたら、突然自分が虫になってることに気づく、主人公のグレーゴル・ザムザ。
解説の文章には、>>「ところで、グレーゴルが変身したことを伏せておいて『変身』を読んだら、どうなるであろうか。両親を心配させる登校拒否児、ある日突然ノイローゼになった猛烈社員と見倣してもよいのではないか」と書かれています。
確かに、この部分は読む方によっていかようにも解釈が可能ですよね。
グレーゴルの症状はほとんど現代でいう鬱病のようにも思えますし、家族のために猛烈に働きすぎた結果として、虫となって自分の部屋から出て来れなくなったというように、わたし個人は思いました。
というより、虫に「変身」するという異常な事態でも起きない限り、グレーゴルは自分を偽って働き続けねばならず、精神的にも肉体的にも限界を越えたことによって、そのような姿になったというか。
お父さんは年寄りで、お母さんは喘息持ちで、妹はまだ若く、働かせるには早いという年ごろ。
一家の家計は、グレーゴルひとりの肩にずっしりと重くのしかかっていたわけですが、グレーゴルが虫になったことにより、お父さんは年寄りながらも働きに出、お母さんは内職をし、妹もまた職に就くことになるという。
このあたりまで読んでくると、最初からグレーゴルひとりにそんなに無理をさせず、家族四人で協力しあうことが大切だったのでは?みたいに、物語としては読めますよね(^^;)
でも、何故そう出来なかったのかっていうことも、読者としては物凄くよくわかるというか。
まあ、「変身」はそれまで真面目に働いていた息子・兄が虫になって部屋から出れない・出せないといった物語なので、今でいう引きこもりのように思えるわけですけど、これは実際には家族のうちの「父親」にも「母親」にも当てはまるんだろうなっていう気がします。あるいはもしかしたら、介護の必要な「祖母」や「祖父」といった存在にも。
たとえば、父親がある日突然虫になって働けなくなったら、他の家族がまったく尊敬せず、軽蔑すらするようになるといった事態が想定できるでしょうし、母親にしても、ある日虫になって家事が出来なくなったら「おまえなんか家事が出来なかったら、存在理由なんかないんだよ!」という扱いを受けるかもしれません。
グレーゴルにしても、最初のうちは、家族内で思いやりのある待遇を受けたりもするわけですが、その状態がずーっと続くにあたってはもう……「自分たちは虫のような息子・兄を持った覚えはない。そんなんだったら死んでくれ」といったような扱いに近い気がします(^^;)
結果として、グレーゴルは父親の投げた林檎が元で死に至るわけですけど、言うまでもなくこの林檎っていうのは原罪の象徴ですよね
そして、グレーゴルは誰からも完全に必要とされなくなり、血の繋がった家族からさえも拒絶された結果、愛情の枯渇によって飢え渇いて死んだといったようにも読めるというか。
もちろん、虫っていうのは比喩だと思うんですけど、これは家族関係だけでなく、もっと広げていうと学校内のいじめや職場内の人間関係、さらには民族の対立にも通じる概念のような気がします。
クラスのいじめのターゲットにされた子が、何か虫のあだ名で呼ばれるというより……何かこう無意識の領域内で「あいつは所詮虫だから、何をしてもいい」みたいな共通の概念が生まれることってありますよね。
職場でも、嫌われてる上司が近づいてくると、まるで虫でもやって来たように部下たちが避けるとか、そういったことがあると思います。
民族の対立っていうことでいうと、互いに嫌いあってる者同士は、相手民族を虫みたいに思ってるような部分がある。
「虫のくせに生意気だぞ!」、「触るんじゃねえ!」、「おまえはこっから先へは入ってくるな!」といったような感じというか。
カフカはこのお話、失敗作とも語っていたそうですけど、後世の人間からしてみたら「どこがやー!!」っていう気がしますよね、いやほんと(^^;)
カフカの「変身」は、これからも人間が虫とならず、文明社会で人として生き続ける限り、読み継がれる名作なのではないでしょうか。
なんにしても、カフカの「変身」は読みやすくて面白いので、村上春樹さんのファンで、「海辺のカフカ」が大好きで、でもカフカを読んだことはないっていう方に、もしかしたらお薦めかもしれません♪(^^)
それではまた~!!
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