天使の図書館ブログ

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Mr.ロバートを探して。-4-

2012-10-01 | 創作ノート
(※今回の画像は、前文にちょっとだけ関係あるっていう、ただそれだけです・笑)

 さて、今回はDVDのブックレットにあった、出崎監督のインタビューのことでもって思います♪(^^)

 この出崎監督のインタビューは、わたしにとって一言一句興味深いものなんですけど……映画のことは少し別にして、出崎監督個人のことというか、出崎監督も母子家庭で、「おふくろが嫌いだった」っておっしゃってるのが、すごく印象的でした。

 なんていうか、原作の宗方コーチはお母さんのことを心から愛している、大好きな存在であればこそ、泣いてる姿を見たくなかった……っていう子供時代だったと思うんですよね(^^;)

 ところが劇場版では、「俺の記憶には母の笑顔がない」ってはっきり言い切っていて。これは出崎監督のインタビューによると、>>「母の泣いてる姿が嫌いだ」、「ああいう姿を見るのが嫌だった」っていうことなんですよね。

 たぶん、わたしが思うには――原作を読んだ人の心の中の宗方コーチ像と、出崎監督の心の中の宗方仁像って異なるっていうことなんだなって、ここ読んでて思いました。

 いえ、母親はいるんだけれども、好きになれないとか、そういう部分で出崎監督にとってすごく感情移入できるキャラだったんじゃないかなって思います、宗方コーチって。

 もちろん、原作を読んだ方の大抵は、宗方コーチは「お母さんが好きだった」、「悲しんでる姿を見ていて自分も悲しかった」みたいな捉え方だとは思うんですけどね(^^;)

 でも、出崎監督の宗方コーチ像って、徹底して<硬派>で<孤独>というか。

 もちろん、2にはダブルスを組んでいた親友のDaigo☆監督との絆とか、同じ屋敷に住んでるおじいさん・おばあさんといった家族のことも出てきますけど……旧&劇場版の宗方コーチは、本当に孤独というか、いわゆるニヒルなムード(笑)みたいのがすごく徹底してると思うんです(^^;)

 原作読むと、宗方コーチって、太田コーチっていう友達がいたり、厳しいながらも教え子たちに慕われてるっていう場面もあって、人間的にそんなに欠陥があるようには見受けられないにも関わらず、旧&劇場版の宗方コーチは「本当は優しい人なんだろうけど、何考えてんだかわかんない☆」っていう度合いがすごく高くてww

 これはたぶん、母親的愛情を感じさせる人との接触が少なくて育ったっていうことが関係してると思うんですけど、そこらへんのことに関しては宗方コーチって、「自分には必要のない、関係のない未知の領域」っていう処理なんだと思います

 普通は容姿的に可愛いおにゃのこ☆が寄ってきたら、もうちょっと顔の筋肉が緩むと思うんですけど(笑)、ミニスカ生足集団を毎日目にしてるにも関わらず、「そんなものにこの俺は誤魔化されんぞ!」というようなあの態度……この部分は原作・アニメに共通した、宗方コーチがもっとも格好よく見える一番の要素という気がします(笑)

 ただ、唯一ひろみだけは別だったっていうことですよね。最初は素材として「女子としては価値がある」ということで目をつけ、気性も素直だから教えやすいと思って、徹底的にしごき……でも、相手がただ<女>であるというだけで、もう男子とは全然違うっていう体験を、宗方コーチはしたんじゃないかなって思います(^^;)

 パワーテニスっていうのは、男性的なテニスっていうことですけど、女子がそれをする場合には<女を捨てる>覚悟が必要だっていうのに近いことを宗方コーチは言ってるわけですよね。でも、その<女>の部分というか、おにゃのこ☆的要素に日々接していくうちに、「自分が当初思っていたより、女というのはいいものだ」とか、そういう微妙な変化が宗方コーチにはあったのかなっていう気がしたり。。。

 劇場版のひろみはボーイッシュな感じですけど、旧のひろみって最初の頃、どこかすごく乙女チックで(笑)

 あの部分見てると、わたし的に「赤毛のアン」のアンとマシュウの関係を思いだします(^^;)

 最初は男の子が欲しかったのに、なんの手違いからか、孤児の女の子を引き受けることになり……でもマシュウは、アンの「女の子的要素」に魂の中で通じあうものを感じ、娘として心からの愛情を覚えるようになるという。

 まあ、わたしの中の旧&劇場版の宗方コーチ像は、なんかそんな感じですww

 アニメの「赤毛のアン」第47話あたりを見て、実は絶対号泣してるだろうっていう(笑)

 うん、あんなにコワモテ☆そうな感じなのに、実は愛読書が「赤毛のアン」だったらどうしようっていう、これはわたし個人のいつもの妄想ですけどね(^^;)

 それではまた~!!



       Mr.ロバートを探して。-4-

<Mr.ロバートを探しています>というサイトを立ち上げてから約一週間後、訪問者数の極めて少ないこの場所に、一通のメールが舞いこんだ。

 相手のHNはマスターで、言うまでもなく、<マリー・ド・サガン>の店長だった。

 >>本当にサイトを立ち上げたんだね。<F>さんから連絡のあることを心から願っています。


 ほんの短い文章ではあるけれど、わたしはなんとなく心がほっこりするものを感じて、嬉しくなった。

 実をいうとわたしは、マキとは違って――心密かに、このMr.ロバートなる人物は実在するのではないかと、そんなふうに思っていた。

 もちろん、ロバートというのは本名ではないだろう。けれど、ノートに書かれた断片的な文章から推察するに、<F>とロバートは同じ職場で働いているらしいのだ。

 >>ロバート、今日もあなたの青い眼差しがわたしを捕える。きのう、あなたの指は、すべてが終わったあとで、どんなにわたしの髪を優しく撫でてくれたことだろう……「祖国へは帰りたくない。ずっとこのまま君とこうしていたい」と言ったあなたの言葉を、わたしは信じてる。ああ、ロバート……でも仕事中はそんなことは忘れて、忠実に日々の業務をこなさなくては。仮に時々、あなたがわたしのことを官能的な眼差しで見つめていたとしても。


 何度も読み返したその文章を、わたしはこの時吹きだしもせずにとりあえず真顔で読んだ。

 実をいうと、うちから歩いて五分くらいのところに、<カナダ政府領事館>なる建物があり、さらにはそこから十分くらい歩いていったところには、<アメリカ総領事館>なる場所があった。

 もちろん、だからどーしたという話ではあるのだけれど、ロバートがもし仮に外国人であるとした場合、彼はどんな場所で働いていたのだろうとわたしは想像する。

 なんとなく、ロバートか他の重役の秘書を<F>はしていたように読める箇所もあるし――それらの記述から、彼らの職場がどこか、突き止められないだろうかとわたしは考えていた。

「でもやっぱ、無理だよねえ。名前がロバートっきゃわかってないわけだし、しかもこの名前自体が仮名っぽいんじゃ……」

 わたしはベッドの上を右へいったり左へいったりしながら、やがてそのまま眠ってしまった。

 夢の中ではわたしの想像するロバートとフジ子が、何か花畑の花びらを背景に、手に手を取りあって笑ってた気がするのだけれど――目が覚めた時、わたしは彼らの顔をまったく覚えていなかった。



 >>続く。





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