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オディロン・ルドン「キュクロプス」

2011-10-31 | 絵画
【オディロン・ルドン「キュクロプス」(1898-1900頃)クレラー=ミュラー美術館】


 そういえば最近、絵画のことって記事にしてないな~と思い……今回は、ルドンの「キュクロプス」という絵を取り上げてみることにしました♪(^^)

 ルドンの絵って結構、<眼>がテーマになってること、多い気がするんですけど、この<眼>は神を表すものとも解釈できるって、まあ大抵の人が連想しますよね。

 わたしがルドンのこの絵を好きなのには、理由があって、まあ例によってここからは個人的な勝手な解釈となります(笑)

 この絵のキュクロプスって、裸の女の人をじ~っ☆と見てますよね。

 でもたぶん、いやらしい動機とかではなく(笑)、ただ純粋に彼(キュクロプス)は美しいものが好きなんだと思います。

 というか、この絵は心理的な神話の風景なんでしょうね。

 だから、肉体を持つ人間は普段、当然服を着ているわけですけど……<魂そのもの>は服を着ていても無意味というか、神のような力(眼)を持つ者にとっては、もし仮に魂が服を着ていたとしても、その下にあるもの(心)が透けて見えてしまう。

 そしてそういう世界で、キュクロプスは美しい女性の姿、美しい魂の女性を眺めている。

 でも、彼女が目を覚ましたら、彼は遠い山並みにサッと姿を隠すのではないかと思われます(笑)

 それからまた、彼女が眠ってまぶたを閉じた頃を見計らって、再び好きな女性のことを見守るという。。。

 わたしがこの絵から個人的に感じるのは、そういう一種の「清らかな優しさ」かもしれません。

 キュクロプスは、自分が女性から見て<化け物>にしか見えないということを知っているので……彼女に自分の存在を知らせることなく、ただひたすらに見守っているというだけ。

 まあ、ここからはさらに絵の中には描かれていない、わたしだけの妄想ワールド(笑)なんですけど――彼女が目を覚ました時にはいつも、キュクロプスが置いた林檎とかぶどうなんかが横にあるんじゃないかと思います。

 そして彼女は、「一体いつ誰が」自分の寝ている間にそんなことをしていくのか気になって、ある時<寝たふり>をするんですね。

 そしたら、キュクロプスがその犯人(?)と判明。

 そこで次にお礼を言おうと寝たふりをして待ちかまえていると……キュクロプスは、女性と初めて目があってとても驚き、赤面(//_//)

 それから、「いつもご親切にありがとう」と言われたキュクロプスは、女性が化け物である自分を驚かなかったことを含め、あまりの嬉しさに涙さえこぼしたかもしれません。

 でも彼女はとても優しい人だったので、キュクロプスの涙を見てみぬ振りをしたあとで、さらにこう言いました。

「わたしたち、お友達になりましょう。きっと気があって、とても楽しいわ」

 こうして彼女はキュクロプスの肩にひょいと乗ると、ふたりで散歩へ出かけてゆきました。

 そしてそこで彼女は、キュクロプスしか知らない、美しい花畑を見たり、山のてっぺんから綺麗な夕陽を見たりして過ごし――夜には星空の下で、彼と一緒に眠るのでした


 おしまい。


 ……まあ、わたしがルドンのこの絵を好きなのは、大体そういったような理由によってです(笑)

 この絵は、ギリシャ神話をモチーフにしていて、描かれている女性は「ガラテイア」ということなんですけど、まあ一枚の絵をどう鑑賞しようと、それは見る人の自由ですからね(^^;)

 ではでは、最後にルドンの絵で、わたしが他に好きなのをもう一枚貼って、この記事の終わりにしたいと思いますm(_ _)m

 それではまた~!!



 ルドンはとても孤独な子供時代を過ごしたということなので……そんな彼の目には、蜘蛛でさえもこんなふうに擬人化されて見えていたのかなあと思うと少し切ないですが、でもそれでいてどこかユーモラスなんですよね、この蜘蛛(笑)

【オディロン・ルドン「蜘蛛」(1887)岐阜県美術館】





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