天使の図書館ブログ

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Cool&Passion-2-

2012-05-19 | 創作ノート
【罪】フランツ・フォン・シュトゥック


 今回は内容的に全然お話が進んでません

 とゆーのも、単にこみくす10巻の内容をなぞっただけの内容なので……えっと、他のSSとかだと、シェラがカルの過去を知るのは別の形みたいになってるんですけど――このパターンは一度、絶対に書いておきたいと思ってたので。。。

 あ、でも、今回エロ度は低いし、終わり方もなんか中途半端とゆーのか、尻切れっぽい感じだしで、誰も期待してないとは思うものの、あんまし期待しないでお読みください……なんて思います(^^;)

 まあ、10巻の子カルは何度見てもキュン死しそうになりますが(涙)、こんだけ自分は悪くないのに重い十字架背負わされるって、「神さまのいぢわる~!!」とか思いますよね、誰でも

 ちなみに、説明するまでもないかなとは思いつつ、このSSの設定的にアンスラってゆーのは存在してません

 いえ、存在してることにはしてるんだけど、パラレル的にアビがあーなった時点(こみくす8巻)で、カルは「邪神など使って世界制覇してもしょーがない☆」みたいに気づき、アンスラに洗脳されることはなかった――みたいのが前提にあるんだと思います(たぶん・笑)

 そんなわけで、カルはジューダス城を拠点にして、4王家の領土以上の支配地を拡大しよーとしてる王様みたいな感じなのかな~なんて(^^;)

 まあ、例によって、二次小説書く時はそゆことってあんまし深く考えてないので、テキトーに都合よく解釈してもらえると助かります(笑)

 あと、例のアレ☆が今日届く予定なんですけど……内容読んで萌え狂ってたら、何か感想記事書くかもしれないし、萌え狂ってても時間なかったら、来週あたりにでも何か書いてるかと思いますww

 それではまた~!!



       Cool&Passion-2-

<カル=ス……呪われた子!!>

<迫害――抑圧――辺境の民、族長の孫……>

<――の汚れた血!!おまえには……>

<一族を継ぐ資格はない!!>

 
 あまりにも強烈な念圧に圧迫され、シェラはその瞬間、ハッとして目を覚ました。

「夢、か……」

 自分でも愚かとは思ったものの、きのうと同じように子供姿のカルがまた現れはしないかと、ずっと待っているうちにうたた寝してしまったらしい。

「馬鹿だな、わたしも……」

 そうつぶやき、シェラが眠気を振り切るように、軽く首を振った瞬間のことだった。

(カ、カル様……!?)

 昨夜と同じく、天幕を背景にして少年姿のカルが現れる――だが、きのうの夜とはどこか、彼の様子は違っていた。


『母様……父様は?』

『カル……貴方の銀の髪も、碧い瞳も、冷たい肌も、みんなあの人の……』

 主君カル=スが眠っているはずの天幕が揺らめき、そこをスクリーンとするかのように、ある背景が映し出されていく。いや、背景というよりもこれは、氷の至高王カル=ス自身の心象風景なのだろうと、シェラは察しをつける。

『カル、お父様はね、生まれた世界へ帰ったの……』

(カル様の母君か。なんて美しいお方だろう)

 髪の色も瞳の色も、カルとはまったく違う色だが、それでも雪のような白い肌や、透き通るような美しさ、それに顔の輪郭線などは、息子である彼にそのまま受け継がれているようにシェラは感じた。

 それから不意に場面が切り替わり、わーわーという子供たちの喚声が、どこかから聞こえて来、シェラは自然、そちらのほうを振り返った。

 そこには、彼自身と同じくらいの年格好の子供たちに囲まれ、殴られる少年カル=スの姿があった。

『族長の孫とかいったって、大人はみんな知ってんだぞー。カルー!!』

『オマエの親父は――じゃねえか!!オマエなんか人間じゃねー!!』

『しかもなあ、オマエの母親はその――と……』

 カル=スをいじめているリーダー格の少年の顔が、子供らしくもなく、どこか淫靡に歪む。

 そして次の瞬間、あまりにも唐突に、なんの前触れもなく悲劇が起こった……。

 バンッ!!という破裂音とともに、カル=スを囲っていた少年数人の四肢が弾け飛んだのだ。ある子供は首が飛び、また別の少年は五臓六腑を撒き散らして絶命していた。

 おそらく、カル自身、一体何が起きたのか、瞬時に理解など出来ていなかったろう。そういう不可思議さを、シェラは子供のカルの表情に見てとっていた。

 けれど、次の瞬間――この出来事を見ていた母親と目があい、カル=スは初めて悟ったのだ。

<これは自分の力、自分の中に流れる呪われた血>がやったことなのだと……。

 カル=スの美しい母親が、ショックのあまりその場に倒れ伏す姿を見、シェラは痛ましさのあまり、彼女と同じく言葉さえなかった。

『呪いじゃあぁ!!』

『恐ろしいィィ!!』

『この子供は人間じゃないぃぃ!!』

『幽閉しろォォッ!!』

 カル=スの母親の父……つまりは、カルの祖父だろうが、その彼の命により、カル=スは屈強な大人の男たちに取り囲まれ、地下牢へ連れていかれることになった。

『カ……!!』

 カル=スの母がなんとか息子を追いかけようとするも、こればかりは彼女にもどうすることも出来ないことだった。

『母様――!!』

 少年カル=スの悲痛な叫び声を聞き、シェラは思わず耳を塞ぎたくなった。

(一体なんなのだ、これは!?まさか、まさかあの方は……)

 再び場面が変わり、今度は見るも寒々しい、教会の地下牢にカル=スが幽閉される姿を、シェラは直視することになった。

<あれは一族に災いをもたらす>

<幽閉しろ>

<五年でも十年でも、死ぬまで……>

<呪われた子>

<人間じゃない>

<人間ではない>

 ガコオォォォン、と金属製の扉が閉じられ、厳重に鍵がかけられる。
 また、それだけではなく、頑丈な岩の扉までもが、魔法の力によって施錠されていた。

 カル=スはそれでも、比較的薄い岩の隙間から、母親の気配を辿り、その冷たい岩肌にひたっと手をかけていた。

『ごめんなさい、わたしのカル……わたしを許して……』

 細い岩の割れ目から、微かな空気の流れと光を感じ、カル=スはそこから、自分の母が静かに涙を流す声を聞いた。

『母様……明日は?来てくださいますか?
 おとなしくしていますから、僕のこと忘れないで……』

 その瞬間、シェラは胸を突かれたようになり、思わず両手で口許を覆っていた。

(カル様……!!)

 カル=スは、水の冷たさも、岩や石の冷たさもまるで感じていない様子で、十字架の下に寝床とおぼしき場所と毛布を発見すると、それにくるまって眠りはじめた。

 正確には、声を押し殺して泣いているうちに、泣き疲れ、そのまま眠ってしまったのだ。

(わたしは、一体どうすれば……)

 シェラは、この強い幻視のような世界からどう抜け出せばよいかもわからず、あたりをきょろきょろと見回した。

 昨晩と同じように、少年カル=スに話しかけることが出来ればと思うけれど、どうやら彼には自分の姿が見えないらしいと、シェラにはわかっていた。

 ――と、その時……何かノイズのような音がし、一瞬映像がブレたかと思うと、先ほどまで誰もいなかったはずの場所、岩窟教会の地下水底より、何か不気味な気配のするものが現れた。

<わたしは恐ろしい……>

<あれは特殊な子だから――不吉な子……>

<忌わしい子……危険な子……>

『許してください。私の罪は……』

 今のシェラには、カルの母親の心の想念までもが、直接はっきりと伝わってきた。

 だから、彼女がこれから自分の息子に何を行おうとしているのかも、その前に何があったのかも、シェラにはよくわかっていた。

<この宝剣、氷の小剣(アイス・ファルシオン)で、娘よ>

<戦士>――<掟!!>――<おまえの手で!>

 シェラ自身、辺境部族における戒律がいかに厳しいものか、身に沁みてよく知っていた。

 そして、戒律を破った者及びその家族(あるいは一族)に課せられる罪の贖いがどのようになされるものなのかについても……けれど今は、その正当性について、云々している時ではない。

 少年のカルは、薄暗い岩窟の水の中から、怪異な水妖の気配を感じ、微かに恐れおののいていた。

『誰……?』

 岩壁自体がところどころ、自然発光しているので(そして、地下とはいえ教会のもっとも高い窓からは月光が差している)、完全な闇というわけではない。

 だがその視界のきかぬ暗がりの中では、まさかその殺気を発する人物が自分の母親などであろうとは――子供のカル=スには想像も出来ないことだったに違いない。

『私の罪は……この子を産んだ事!!』

 氷の魔剣の魔力により、パキィィィン!と、水が左右に分かれる。

 そして、一直線に自分に走り寄ってくる影が、まさか本当に母親のものだとカル=ス自身が気づくのは、まさにその剣が振り下ろされる直前のことであった。

(や、やめ……っ!!)

 シェラは身動きも出来ず、ただ息をのんで事のなりゆきを見守ることしか出来なかった。

 まるでスローモーションのように、ゆっくりと――実際はもっと速かったに違いないが――少年カル=スの頭蓋目がけ、アイス・ファルシオンが振り下ろされる。

 次の瞬間、哀しい透明な刃が月の光を反射しながら、カルの脳天に深々と突き刺さった。

 と、同時に、近くの岩が砕け散り、その威力と同じ圧力がおそらくは、カル=スの母親自身にも降りかかったのだ。

 カルの母親は周囲に五臓六腑を巻き散らしながら……他でもない息子の、呪わしい魔の力により、瞬時にして葬り去られていた。


「うわああああっ!!」

 その凄まじい雄叫びによって、シェラもまたハッとして現実の世界へ呼び戻された。

 気づけば、あたりを囲っていた強力な幻視の世界はかき消え、窓から差す満月の光と、夜の底にある静寂とが、シェラのことを包んでいる。

(カル様………っ!!)

 あまりのことに、シェラは体の震えが止まらず、ただその場に凍りついたように立ち尽くしたままでいた。

 主君カル=スが寝所で目を覚まし、天幕の中で身動きしている気配を感じても、彼女は息を殺すようにして、その場に佇むことしか出来なかったのだ。



 >>続く……。





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