organic journal

生活が楽しくなるきもちのいい " organic life " を楽しもう *

一円玉と五円玉

2011-08-12 | 暮らしのこと

先日コンビニのレジでお釣りをもらっていると、幼稚園か小学1年生くらいの
レジのテーブルから頭半分がやっと出るくらいのこどもと
そのお母さんが一歩後ろについて割り込んで来た。
次の瞬間、小さな彼がレジのお姉さんに言ったことばが
「入口のところにこれが落ちていました」とハッキリとした口調で
きちんと顔をお姉さんに向けて言った。
言い終わった後から、"ヤった!言えた!”と彼のこころの声が
聞こえたような気がした。
そして少し後ろにいたお母さんも、ひと安心と胸を
撫でおろしているかのようでもある。
なあんだ、割り込んできたんじゃなくて、あれこれお母さんと話した結果
決意のもとに近づいてきて、順番を待つより先に
言ってしまいたかったのかもしれない。
レジのお姉さんは、私の立っているテーブルに前に
握っていた小さな手から置かれた一円玉を見て、一瞬声が出せずにいた。
その親子は一円玉を置くとさっさと去ってしまった。
結局、レジのお姉さんの間があってからの小さな「どうも」
という声は届かなかっただろう。
レジのお姉さんとお釣りをもらう私だけが無言で取り残された。
今ではその子とお母さんの両方の気持ちがわかる。
その日は雪が止んだ快晴の朝だった。
風もなくあまりのいいお天気に、子どもながらに気分もよく
道の左右にかき分けられたキラキラに光る雪や足元の純白の雪をみながら
近所の友だちとおしゃべりをしながら、いつもよりゆっくりした足取りで
小学校に向かって歩いていた。
もう少しで左手に交番がある大きな通りに出て、それを右に曲がって
信号を渡ればもう学校の門だ。
そんな場所で雪とは違うキラキラと光るものが足先にある。
何だろうと頭を下げてよく見ると、それは五円玉だった。
まだお小遣いもまともにもらったことのない小学一年生にとっては
お金の価値はわからないが、お金には違いなく、拾い上げてから
即座にすぐそこの交番に届けようと、おない年の友だちと決める。
友だちと交番に元気よく入って行き、机に腰掛けていたお巡りさんに
「これが道に落ちていました」と机に置いた。
友だちはわからないが、少なくとも私は、お巡りさんにとても
褒められるだろうし、いい子だと言われるとばかり思っていたが
それほどでもないみたいだなぁと感じながらも
自分たちはとてもよい事をしたということに酔い、満足し
その日一日中、クラスのみんなより少しオトナになった気分でいたものだ。
雪の上で見つけた五円玉。
コンビニの入口で見つけた一円玉。
見つけた時の気持ちはきっとおんなじだろう。
お釣りを受けとりながら、遠い昔を思い出した。




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