organic journal

生活が楽しくなるきもちのいい " organic life " を楽しもう *

Karen Blixen Museum

2012-03-30 | Kenya trip

1981年に晶文社から出版された「アフリカの日々」(Out of Africa)という
分厚い本がありその頃に面白そうと思って買い、みるみる引き込まれて
読み終えた記憶がある。
1986年に「愛と哀しみの果て」という、この日本の映画のタイトルが
原作とは違いすぎてどうもピンとこなかったのだが
シドニー・ポラック監督の映画が上映されアカデミー賞作品賞を受賞している。
ついこの間、アカデミー賞主演女優賞を受賞したメリル・ストリープの
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」の演技は相変わらずすばらしかったが
若いときのこの映画の彼女は今とはまた違った輝きでいい作品を残したと思える。
この「Out of Africa」原作の著者はデンマークの女流作家の
”アイザック・ディネーセン” で、彼女のケニアでの生活であり
彼女自身、生き方を描いた作品だ。
映画もよかったが、原作はさらにすばらしいのでずっと心に残っていたし
優しくて気高くて勇気のある、なんてカッコイイ女性だろうと思っていた。
映画のオールケニアのロケは想像していたイメージに色と形が載せられ
確実な描写となって残った。
そんな思いもあってアイザック・ディネーセン(英語版のペンネーム)の本は
いつからか本棚の大事な本のコーナーにあたりまえのように陣取らせていた。
その彼女のデンマーク語での名まえは本名の「カレン・ブリクセン」という。
前置きが長くなったが、ケニアに行くにあたって行ってみたい所がこの
「カレン・ブリクセン博物館」(Karen Blixen Museum)だった。
ナイロビに着いた翌日、お天気のいい朝、車で1時間くらいのモダンな住宅地が
建ち並ぶ今は白人が多く住むという、ちょっと郊外にあるカレンの住んでいた家
そして映画のロケをしたその場所を訪ねた。
門を入り車を止めてから緩やかなカーブのアプローチが長く、心が弾んだ。
ここがケニアであることを忘れてしまうくらいヨーロッパ的だ。
その道の先にコロニアル風の小さな建物が見える。
映画で見て知っている家とおんなじだ。
周りの糸杉の木の背が高いすぎる印象で記憶のバランスとは違うようだが
考えてみれば時が流れているのだから無理もない。

       

彼女はスウェーデンの貴族と結婚し、ケニアに移住する。
ケニアの東海岸、モンバサから汽車に乗ってケニアまでの旅は
長かったであろうが、野生の動物たちと雄大な景色と
これからの生活を思うと心弾むものだっただろう。
広大なコーヒー農園を経営するが標高が高くて難しい。
その後離婚。1人で運営を試みるも破産し農園経営を断念する。
17年住んだケニアからデンマークへ帰国する。
その間イギリス人の恋人がいたが飛行機墜落事故で亡くなる。
帰国後は作家として多くの作品を残し、1989年公開された映画
「バベットの晩餐会」も彼女の作品だ。



       

私たちにガイドをしてくれたチャーミングな女性。
最後に記念写真まで撮ったのに名まえを聞き忘れてしまった。

       

広大な敷地の離れにあるコーヒーマシーンは
当時、ロンドンから取り寄せたのだそうだ。

       
ミュージアムの中は当時の装飾様式のままの書斎、リビングルーム、
カレンの部屋、夫・バロルの部屋、ダイニングルーム、
バスルームを見ることができる。
当時からの本物の家具や調度品と撮影で使用したときの家具と
ディスプレイ程度の衣装と小道具などが混沌としている。

       


カレンは若い頃に絵の勉強のためフランスに行っていたことがあるようで
かわいがっていた美しい使用人「ンジュリ」を描いた肖像画が印象的だった。
カレンが借地人のキクユ族の息子の足の傷を治すため病院に行かせた。
彼は感謝し、自らの意思でカレンの料理人として仕え、そして
カレンの帰国まですばらしい西洋料理を作り続けた。
その少年の名は「カマンテ」といい、カレンが帰国した後に
特に動物の絵を描いた作品はとても有名になり
日本でも紹介されたことがある。癒されるそのカマンテ絵の
ポストカードをたくさん持っていたなぁと思い出す。
キッチンは離れに独立していて当時の調理器具がそのまま
あったが、とてもかわいいキッチンだった。

使用人の子どもたちのために隣りの敷地に学校を作ったカレン。
大きくなったその学校はもちろん今も残っている。


       

朝一で着いたミュージアムは静かでゆったりとした朝の空気が流れていた。
6000エーカーの土地を持っていたというが、あまりにも大きすぎて
想像に難しい。
そのうちの600エーカーをコーヒー畑にしていたと聞いた。
美しく手入れされている庭はもうそこにいるだけで気持ちがよくなる
あたたかさに包まれるように感じる。
ンゴングヒルの丘はうっすらとしか見えなかった。
最近では樹々が大きくなったこともあり見えにくいのだそうだ。
少し林の中に入っていくと見られると聞いたが、植物の手入れのためか
通行止めになっていた。

       

       


       




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