ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

111.コンプライアンスは身を守る

2019-08-03 21:35:50 | 時代 世の中 人生いろいろ
 かんぽ生命の不適正販売のニュースを見て、「まだこんなことやっていたのか。」と、怒りを通り越してあきれてしまう。17、8年前、保険業界にいた私は同様の体験をした。目標数字に追われて、不適切な営業活動を行った時期があった。一部にせよやったことは事実だった。よって、会社自体が業務停止処分を受けた時、懲戒処分を受けた多数の社員の中に名を連ねた。「訓告」という処分であったが、恥ずかしい気持ちと、ノルマからの解放感が入り混ざったような複雑な気持ちだったのを覚えている。「そこまでやれと言った覚えはない」と手のひらを反したり、「これくらいの処分は営業の勲章だ」とうそぶく上司、不正の自己申告に不誠実な申告をする同僚など、サラリーマンの責任転嫁と保身の術を目の当たりにして悲哀を感じたりもした。一方で、真っ当な仕事をしていた者や、自分なりのけじめをつけた者もいて、麻痺していた常識や良心が戻ってくるような安堵感もあったと思う。

 今回のニュースでも、不適正販売件数や被害にあった顧客のインタビュー、現場職員の声がクローズアップされているが、全体像やその背景はまだつまびらかになっていない。ただ言えることは、組織ぐるみの事件であるということだろう。勿論、実際に不適正販売を行った職員は謝罪をして処分を受けるべきだが、それ以上に現場に圧力をかけた上司、その上司、そして経営陣の責任は免れないということだ。社内牽制やチェック体制が甘かったというよりも、黙認されていたか物を言えない雰囲気もあったのだろう。それでも、出世欲や保身のために顧客や部下を騙したり犠牲にしたりすることが許されるはずはない。

 今の私は、コンプライアンスは自分を守るためと心得ている、迷った時こそ、信念や職業倫理をもとに判断していることは誇りになりつつある。「何のために働いているのか。」同じ過ちを繰り返さないためにも、時々思い起こしたい。
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